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FRUiTS 編集長 青木正一 インタービュー

Vol.5 FRUiTS 編集長 青木正一 インタービュー

H.U.G.vol.0「ムーヴ!」でプレゼンターを務めた青木正一。ストリートスナップの先駆け FRUiTS の編集長として HARAJUKU を世界に広めた仕掛け人が語る、H.U.G. の原点・「原宿」とは!?

原宿は新しいファッションが生まれる街

JUGEMスタッフ - H.U.G. の第一回である vol.0「ムーヴ!」は、原宿のストリートスナップを集めた雑誌『FRUiTS』の編集長である青木さんがプレゼンターということで、ストリートで活躍する読者モデルによるファッションショーが行われ、大盛況でした。そもそも青木さんが原宿のストリートに目をつけ、『FRUiTS』を創刊されたのはなぜですか?

青木正一 - もともと、ぼくは『STREET』という雑誌で、ロンドンやパリといった外国のストリートファッションの写真を中心とした雑誌をつくっていました。そんな中で、東京のファッションが変わってきてるなって思っていたんです。まだそのときは面白くはなかったんですけど、もしかしたら面白くなるかもということで、『STREET』のなかで、東京のファッションスナップ特集を載せてみました。そうしたら思いのほか反応が良かったんで、じゃあ、『STREET』の日本版という意味で、『FRUiTS』を作ろうかと検討を始めました。それから半年くらいたって取材を始めた頃から急に原宿のファッションが本当に面白くなってきて、そのおもしろいファッションを集めて『FRUiTS』が生まれました。

JUGEMスタッフ - では、ちょうど原宿のファッションの変わり目に『FRUiTS』は始められたということですか?

青木正一 - その変わるキザシが見えたから始めたといっていいと思います。

JUGEMスタッフ - 原宿でストリートスナップを撮っていた青木さん、原宿でショップを開いている増田さん。そもそもお二人が出会われたきっかけは?

青木正一 - 直接話すようになったのは、『FRUiTS』の取材で増田さんのショップ「6%DOKIDOKI」にお邪魔させてもらったのがきっかけですね。

増田セバスチャン - ぼくは「青木待ち」というのが有名だったので、随分前から知っていましたよ。『FRUiTS』に載せる写真を撮るために、青木さんがよく原宿の GAP 前に現れるっていう話をきいて、写真を撮ってもらいたい子たちが青木さんを待っていたんです。それが「青木待ち」で、あまりに青木さんがいつもいるから、「青木さんが立ってる場所」っていうので、待ち合わせ場所になるくらいだったんですよ。

青木正一 - そういうのありましたね。あとは、原宿のホコ天(歩行者天国の略)がなくなっちゃった時に、一緒に「復活運動」をしたんですよね。

増田セバスチャン - 色々大人の事情がありましたからね。それでもやっぱり、ホコ天からでてくるファッションを死に絶えさせたくなくて青木さんを中心にがんばって、その中でとても仲良くなりましたね。結局うまくいかなかったんですけど。


青木正一インタビュー

青木さんがプレゼンターを務めた
イベント H.U.G. vol.0

JUGEMスタッフ - なぜ「原宿」を選ばれたんですか?

青木正一 - ぼくは原宿しかない、って思っているんですよね。時代によっては停滞することもあるけど、ファッションが生まれる土地って結局原宿しかないですよね。若い子が毒されずに純粋に表現できるパワースポットなんだと思います。

原宿の人たちがあえて政策としてパチンコとか風俗なんかが入れないようにしていることが大きいですね。若者のことを考えて行われている政策なのかはわからないけど、結果的に若い子が純粋にファンションを楽しめる場になって、他の街とは違うファッションが生まれるんだと思います。

増田セバスチャン - ファッションは大きく分けて2種類あると思う。1個は異性を意識したもので、もう一個は自己実現だったり、自己満足というか、自分のためにあるもの。原宿は後者のファッションをしている子が多いですよね。それを身に着けたところで、異性にはモテないようなものを、自分自身が楽しむために身に着ける子が多いと思う。そういうお店も多いと思うし。

青木正一 - 原宿でちょっと異性を意識した服装をしていると「モテ線ねらってるの?」とか言われたりするね(笑)


青木「ぼくは、ストリートファッションを作品だと思ってるんですね。」
FRUiTS

H.U.G. vol0 が掲載されている
FRUiTS 2007年 12月号

世界に通じるおしゃれレイヤーを切り取った FRUiTS

JUGEMスタッフ - 『FRUiTS』に登場する若者たちは、自己実現のファッションという視点で選んでいるということでしょうか?

青木正一 - いや、FRUiTS に関しては、純粋にファッションのレベルが高い子を載せています。ぼくは、ストリートファッションを作品だと思ってるんですね。それが前提にあるので、作品として完成度の高いファッションを選んでいます。

JUGEMスタッフ - 青木さんがいいと思う子を載せているということですね。

青木正一 - そうですね。あと、今はぼくが撮っていないのでぼくと同じ感覚を持っている子ですね。でもその感覚って、ぼく個人の感覚というよりは世界中のオシャレフリークというか、オシャレ好きの子たちが共通してもっている感覚だと思うんですけどね。

JUGEMスタッフ - ロンドンやパリの子達と東京の子達のファッションにも共通の感覚があるということですか?

青木正一 - 違うファッションですけど、多分ロンドンで『FRUiTS』や『TUNE』に載ってる子達が『STREET』に載ってる子たちと会ったら、すぐに分かり合えると思うんです。ぼくは、同じファッションの感覚を持っている人たちの集まりを、「レイヤー」って呼んでいるんですけど、世界には色んなレイヤーの人たちがいて、その中でも『FRUiTS』や『TUNE』に共感するレイヤーがぼくの中では一番おしゃれだと思っています。


日本ファッション界を変えた FRUiTS

増田セバスチャン - 青木さんがちゃんときれいな写真でああやって記録・スタイリングしてくれたから、そのレイヤーが日本にも広まったよね。『FRUiTS』はそういう意味ですごい。

青木正一 - すごいのは『FRUiTS』に載っていた子たち。ぼくは彼らをリスペクトしながら『FRUiTS』を作ったので。彼らは、日本のファッションの歴史の中ですごいことをした子たちだと思います。それまでは、プロのデザイナーが「このファッションするのがかっこいいですよ」って提案したものを、雑誌が「そうだそうだ」って取り上げて、それを読んでみんな同じ格好をすることがファッションだったんですよね。ぼくもそうだったんですけど。ファッションを生み出すのが、デザイナーと編集者だけというのは、ある意味すごいとは思うけど、着る側としては何にもクリエイティブではなくて、その後どうしても停滞してしまいます。

マスターピースがあって、それにしたがって着るのがおしゃれ、そうじゃない子はオシャレじゃないということですよね。でも『FRUiTS』に載っていた子たちは、その構造を全然変えて、「人とおんなじ格好のほうがださいじゃない」って言い出した。たとえ買ったとしても、どう着るかっていうのを自ら選択するんですよね。買ってから自分で改造したりとか、古着を探したりとか、ファッションのムーブメントを自分たちでつくっていく。そういう現象は、日本ファッション史上初めてのことだったと思う。

増田セバスチャン - 当時、原宿に集まった子ってコンプレックスがあって、それをファッションで補ってバランスをとっていたっていうのがあると思うんですが、それを青木さんが「リスペクト」の気持ちをもって認めたのは大きかったですよね。みんな「これでいいんだ」って思えたはず。

青木正一 - 『STREET』をはじめたきっかけも、今増田さんがいった「これでいいんだ」だったんですよ。ロンドンて、人種も国籍も色々な人たちが集まっていて、ファッションも色々なんですよね。『STREET』は、そういう多様なファッションをレベルの高いところで切り取ってまとめて、こういうファッションもいいんだよ、可能なんだよ、ということを提案したいっていうのが始まりだったんです。『TUNE』もそういう意味で、新しいファッションの提案でしたね。


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