ジャケ買いコーナーで発売中のヒナノ。タヒチ島のビールです。
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TV5MONDEのレポートも今回でひと区切り。ダラダラと引き延ばす内容でもないし、どのようなチャンネルなのかと、大枠は伝えられた。今後さらに書きたいことがあれば、別カテゴリーを作って、そちらで細々とやります。
最後の締めくくりは「誰にTV5MONDEを勧めるか」。どのレベルの学習者が、TV5MONDEの利用で効率的にフランス語力を上げられるかを考えたい。ただ学習者といってもさまざまで、「フランスなら何でもいい」という人も「TV5MONDEに加入するくらいフランス大好きを、みんなにアピールしたい」という人もいるだろう。そういう方々は誰かが何かを言わなくてもTV5MONDEを契約するだろうし、ここでは対象外である。これからもフランス好きを貫いてください。実際問題、そういう方々の契約料も、サービスの維持には馬鹿にならないと思うし。
また、これまであまりテクニカルなことに触れないように、長くならないように書いてきたのだが、今回は内容も内容なので、ちょっとだけテクニカルになるし、長くなってしまう。こればかりは仕方ない。「おもしろくねーなー」と思ったら、流し読みしてください。
本題に戻って、TV5MONDEは24時間フランス語のテレビ番組が見られるチャンネルで学習者には重宝するのだが、あまりにフランス語が聞き取れないと、きっとそれほど役には立たない。反対に、かなり習得している人にとっては、フランス語やTV5MONDE以外にも、人生に楽しいものはいくらでもある。いまさらテレビ番組を見なくてもいいだろう。
では誰にTV5MONDEを勧めるか。もちろんこれは僕の個人的な経験からではあるのだが、結論から言うと「B1からB2の学習者」である。
テクニカル出たぞー。「B1, B2ってなんやー?」これはCEFRという言語習得の国際基準に合わせたもので、下から順に「A1<A2<B1<B2<C1<C2」の6レベルがある。C2はもはやネイティブレベルなのだが、外国語として言語を用いるなら、C1でほとんど事足りる。その一歩手前、中級レベルのB1, B2の学習者にTV5MONDEをお勧めしたい。
とは言っても、すべての学習者がこまめにテストを受けて自分のレベルを把握しているわけでもない。ネット上では、例えばB1の説明で「職場、学校、あるいは旅先での会話の要点を理解できる」「スピーチの詳細を理解できる」「事実に基づく内容や興味の対象を理解できる」などと情報が得られるのだが、正直あまりピンと来ないだろう。
隠すことでもないので書いてしまうが、僕はカナダもしくはケベックへの移住を真剣に考えていた時期があり、その関係でTEFというフランス語の試験を2回受けた(TCFでもDELFでもなくTEF。受験料高いのよ)。聞き取りに絞って結果をお伝えすると、初回がB1、2回目がB2だった。以下にTV5MONDEも絡めて時系列を示すと、
2012年10月 フランス語学習開始
2016年8月 TV5MONDE無料お試し(15日間)
2017年2月 TEF受験1回目(B1)
2018年2月 TEF受験2回目(B2)
2020年2月 TV5MONDE契約開始
となる。別にそういう効果を狙っていたわけではないのだが、テストで習熟度を把握していたこともあり、レベルごとにどう理解度が変わるかは、かなり明確に、経験談として説明できる。
恐らく僕の現時点の聞き取りのレベルはB2の後半である。2年半前と同じではないがC1まではいかない。英語でIELTSも受けていて、そちらはC1なのだが、絶対に同じレベルにはない。また、B1からB2までと同じ学習量で、B2からC1にいけるものでもない。後半ほど道は険しいし、B2は永遠に続いているのかとも思う。感覚的に、A1からB2までの労力と同等かそれ以上が、B2からC1の間には求められる。そういうわけで、この文章では便宜的に「B2+」を設けたい。僕のレベルはB2+。2年半前と同じは嫌だ。
以下に個人的な経験に基づいて、学習者のレベルと聞き取りの理解度をまとめている。TEFRに興味がある方は、ご自身のレベルの目安にしてください。断っておくと、これはフランス語圏のテレビ番組など、「手加減なしの」フランス語に触れたときのものである。学習者用の教材などではない。かなり悲観的なまとめなのだが、ショックを受けないでほしい。
僕がTV5MONDEをお試し視聴したときは、A2だったのだろう。意気込んであれやこれやと録画したが、もうまったくの雑音で、見ていて苦行でしかなかった。あまりに分からなければ、ただの時間の無駄である。読解や音読で地道に力を付ける方がいい。その後B1に達するまで、学習開始から4年ほどは必要としている。学習を始めて間もない人も悲観せず、「雑音」が「ほぼ雑音」に変わるときがくると信じて続けてほしい。それってすごいことですから。
さて、「ほぼ雑音」のB1に入れば、いよいよ本格的に手加減なしに挑む時期である。映像があれば内容を推測できるし単語も拾いやすい。そしてこれは僕の推測なのだが、ここで、映像素材を前にして、学習者は2つのタイプに分かれるのではないか。片方は、フランス語であれ日本語であれ、字幕を見るのに抵抗がないタイプ。もう片方は、頑なに字幕を拒むタイプである。
僕は字幕は見ないタイプで、ノーガードでめった打ちにされてると分かっていても字幕は見ない。もちろん映画では見る。映画鑑賞は学習時間ではないので字幕は見る。こういう人はB1でTV5MONDEを利用しても苦痛でしかないだろう。25分、45分の番組をフルで見てストレスをためるくらいなら、YouTubeで10分弱の動画を集中して見る方がいい。だからといってB2にすぐに進めるというわけではないのだが、無駄な時間を他の学習に充てられるだけで大きい。
字幕に抵抗がなければB1からでもTV5MONDEを有効活用できるだろう。その日の調子や気分でどの程度字幕を見るのかを決めればいいだけで、手加減なしへの最初のハードルは低くなる。
B2およびC1への最短を目指すなら、字幕に頼ってでもB1から手加減なしの素材を長時間見る方がいいのだろう。自分のことを考えて、10分弱といえども、ほとんど分からないものに時間を取っていたのはもったいなかった。
B1のレベルに達するだけで、計り知れないほどの苦行を経ているはずである。さらに好んで身を傷める必要もない。楽しんで聞き取りの練習をすればいいし、幸いなことにフランス語にはTV5MONDEという、多くの番組で字幕付きの素材がある。視聴環境があり余裕もあるなら、利用して損はない。
ただ念のため確認しておくと、これはあくまで聞き取りに絞った話であり、いくらフランス語を聞いたからと言って、書けたり話したりできるわけではない。聞き取りの能力も、聞くだけではどこかで頭打ちになる。「肉を食うなら野菜も食え」ではないが、読む訓練も並行して行わないと、TV5MONDEも活かせない。もちろんそんなことは、B1まで来る人なら言うまでもないことだろうけど。
B1だB2だと小難しく書いてしまった。もっとシンプルに考えると、「フランス語を身に着けたい」と地道な努力を重ねていれば、ある日突然「フランス語を聞きたい。狂ったように聞きたい」と、爆発的な感情が込み上げてくるのではないか。学習教材のCDが物足りなくなり「ガチのフランス語を聞かせてくれ!」となる欲求だ。
あまり覚えてないのだが、僕の場合は英語でもそういう時期はあったのだろうし、フランス語は、旬を過ぎつつあるが、今がその時期だ。そういう時期が来れば、多少バランスを崩してでも、聞き取りを優先した方がいい。脳が欲している時間を逃さない方がいい。
TV5MONDEは確かに時間がぐちゃぐちゃで、お堅い番組が多く、映画はロクなものがなく、字幕を手抜きしている時期があり、ニュース番組も集中して見るほどではないのだが、学習者の熱い脳には十分に応えてくれる。ひとつのチャンネルであそこまで多岐に富む番組をバランスよく見せられるのは、国際チャンネルだからこその業である。
また、「フランスにしか興味がない」という方も、もしTV5MONDEを契約するのであれば、「フランスだけがフランコフォニーではない」と少しだけ視野を広げてほしい。それだけでこのチャンネルは4倍楽しめる。フランス、ベルギー、スイス、ケベックで4倍。これは保証できる。「英語だけが国際言語ではない」というところから始まったチャンネルなのに、「フランス語はフランスだけのものだ」と考えてたらつまらないじゃないですか。
いやだねー。ポジティブなことを書いて、バランスを取ろうとしてるよ。でも、ここまで全部であれ部分的であれ読んでくださった方は、何かしらフランス語の習得に興味があって、この文章にたどり着いたのでしょう。仕事や学業で明確な目標のある方、とりあえず軽く始めた方、やめるタイミングを失っている方と様々でしょうが、お互いに、少しずつでも自分のペースで続けていきましょう。
こういう連帯感が生まれるのも英語以外の言語の特色だね。みんなフランコフォンだ。
Soyons fiers d’apprendre le français!
JUGEMテーマ:フランス文化・フランス語
TV5MONDE契約のきっかけとして、ケベック発のニュースが見られるのも大きかった。カナダ国営放送Radio-Canadaの制作で、枠は毎日あり、15時半から25分ほど。録画しておいて、見られる日は見ている。
ケベック発の25分(週末は20分)は大きい。まずは「ケベック発」の部分だが、YouTubeなどの動画サービスで、フランス以外のフランコフォニーの情報に付いていくのは意外と難しい。フランス発ならば有名なFrance24, franceinfo, RT Franceなどがあり、常にライブでニュースを見られる。フランスにしか興味のない学習者にはそれでもいいのだろうが、僕の場合はカナダとケベックへの興味がきっかけなので、あまり見る気にならない。
次に「25分」に関して。YouTubeでもRadio-Canadaのチャンネルで、ニュースのクリップは見られる。ただ一番組を丸ごと見られるわけではなく、ニュースごとに5分ほどの動画に分割されている。5分ごとに見るものを決め直していると、集中が切れてしまう。
そういうわけで、TV5MONDEのケベック発のニュース枠は貴重である。TV5MONDE向けだからか内容はかなり国際的で、外国(特にアメリカ)のニュースも多い。純粋にケベック向けの作りとは異なるのだろうが、ケベックの人にしか分からないニュースを追う必要もないし、サービスには満足している。スイスやベルギーに興味がある人には、スイス発ベルギー発の枠もあるし、アフリカ発もある。
だが、もうここからは僕の問題なのだが、毎日欠かさず見ているかというと「うーん」だし、二日や三日連続で飛ばしてしまうこともある。
あまり声高に宣言することでもないのだが、僕は、ニュース番組はダラダラ見ると決めている。他のテレビ番組であれば、コンディションを整え、ヘッドホンを着け「さあフランス語を聞くぞ」と集中する。ただどうしても、毎日のニュース番組にそこまでする気にはなれない。
Radio-Canadaとしても毎日25分を用意するのは大変だろうから、現地の記者や有識者へのインタビューで時間を稼いでいたりする。それでRadio-Canadaを責めるつもりは毛頭ない。世界中どこでも、ニュース番組なんてそんなものだろう。CNNなんか見てると特にそうだ。どうしても、そこに集中力を投入するのはもったいなく思えてしまう。
今ではケベックのニュースを見るのは夕食時である。ヘッドホンも着けない。代わりに酒は飲む。25分もあればビールは終わり、日本酒やウイスキーをゆっくりと飲んでいる。すでにできあがっているし、集中力なんてどこにもない。フランス語はもはや雑音に近い。それでも映像を見ていれば、聞き取れる単語からだけでも、だいたいの内容は分かる。ニュースなんてそんなものだろう。
この程度の見方だから、優先度も低い。他に興味のあるスポーツ中継があればそちらを見るし、囲碁・将棋チャンネルで将棋の好カードがあれば、やはりそちらを見る。ニュースを見ないことへの罪悪感は特にない。一日の終わりに録画データを消して、それでおしまい。繰り返すけど、ニュースなんてそんなものだろう。
若い頃ほど語学に貪欲でないからか、人間的に怠惰なのか理由は分からないが、語学習得に娯楽要素がないと、僕はどうしても続かない。ニュースは積極的に選べない。料理番組や旅番組を見てしまう。
そういう意味では新型コロナウイルスの影響も大きかった。ニュースはコロナ騒動一色だったし、ただただ暗いニュースと暗い雰囲気が支配していた。わざわざ外国語で見ようとは思えないし、これは新型コロナウイルスに限らずだが、冒頭から暗いニュースが続くと、そこで見るのをやめてしまうこともある。
TV5MONDEの名誉のために確認しておくと、ケベック発のニュースそのものが悪いわけではない。国際チャンネルならではの緊張感も伝わってくるし、たまに少し真面目に25分をフルで見ると、語学面でも情報面でも得るものは多く、「もっと見ないといけないな」と、その瞬間は思ってしまう。
毎日のニュース枠だけでなく、1時間枠で、時事問題を掘り下げる番組もある。申し訳ないことに、僕はケベック発(Le Point)に一度挑戦し、途中で断念してそれっきりなのだが、ケベック発の他にも、スイス発、ベルギー発も番組表で確認した。それぞれ週に1度の放送である。フランス発もどこかにあるのだろう。
ニュース系のドキュメンタリーもたまに放送される。対象となる地域に赴いてのルポルタージュである。これもだいたいが1時間枠で、内容によっては録画する。今はTV5 Québec Canada制作のTabous et interditsがおもしろい。世界各地の政治的歴史的なタブー、つまりは触れてはいけない話題を紹介し、その原因や社会に与える混乱にまで踏み込む。どことなくCNNのParts Unknownのようで、さすがお隣がアメリカのケベック制作と思わせてくれる。この先何週の放送があるのかは分からないが、1シーズンのボリュームが多めであってほしい。
やや取りとめのない内容となったが、ニュース番組とは付かず離れずがちょうどいいのだろう。気が向けば見るし、向かなければ見ない。集中力を落として、何となく見ていられるジャンルがひとつくらいあってもいい。
ただ、この先フランス語に取れる時間が少なくなった時にどうするかは、たまに考えてしまう。TV5MONDEの番組を録画してもほとんどが見られないとなると、おそらく解約という流れになるのだろう。その時、何を名残惜しく思うのか。
嘘みたいな話だが、これは間違いなくケベック発のニュースである。自分でも嘘だと思ったので、何度か自問した。それでもやはりケベック発のニュースである。シーズンごとに入れ替わる他番組ではなく、同じものが常に同じ時間にある安心感なのだろうか。たとえ付かず離れずでも、失った時の喪失感は大きい。ハードディスク内に録画データがない日常は考えられない。
今のうちにもっとケベック発のニュースを見ないといけない。日常の一部なのに不義理すぎる。今日は見よう。でも今日はF1があるんだよなー。無理だ。しょうがないよ。ニュースなんてそんなもんだよ。週明けから見ます。
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前回、TV5MONDEの映画ラインアップは貧弱だという話をした。今回も映画の続きで、字幕について。そして今回も文句タラタラになってしまう。「TV5MONDEの魅力を伝える」と始めた割にひどいものだ。ただ、今回の内容は、現在ではほとんど改善されている。バランスを取るわけでもないが、むしろ「TV5MONDEはこんなゴミみたいな問題も乗り越えられるんだ」と好意的に読んでほしい。無理やりだな。
映画への興味がなくなったのは、字幕がひどかったのも大きかった。前回、TV5MONDEの映画は日本の配給網とは無関係だと書いた。字幕も同様で、それ専門のプロではなく、より一般的な字幕制作会社が字幕を付けている。映画終わりのクレジット表示も、個人名ではなく会社名である。
専門のプロではないから、こちらとしても完璧を望んではいない。ぎこちない字幕があっても、ある程度は許容する。あまりにぎこちなければ話は別だが、最低限、物語に付いていけるなら、それで満足である。
TV5MONDEの字幕の問題は別にあった。いやむしろ、字幕ですらないのかもしれない。何しろ、字幕が出ないのだ。
字幕が出ない。文字通りに字幕が出ない。正確に言うと、ところどころ字幕を飛ばす。さっきまで普通に字幕を出していたのに、突然サボってしまう。家族の会話の途中で字幕をサボる。上司と部下の口論があっても字幕をサボる。「まただよ」とフランス語能力総動員で付いていくと、ほどなく字幕が戻ってくる。だが、またほどなくサボりだす。
映画1本がだいたい100分として、サボりが5回くらいならまだ許せる。しかし奴らは全編まんべんなくサボっている。ひどいものだと、字幕タイミングの2割はサボっている。全部で5回と、5回に1回は大違いだ。
「聞き取りの練習になるからいいや」と余裕なのも最初だけで、サボりのタイミングで能力総動員に切り替える必要があり、頻繁に毎回となるととんでもないストレスだ。また、映画の聞き取りは、テレビ番組の聞き取りとは難易度が違う。総動員したところでおぼろげにしか分からない。
サボり方も悪質で、理解の阻害が最大限になるようにやっているとしか思えなかった。例がないと分かりにくいので、以下に、日本で普通に公開されている映画の、模範的な字幕を紹介する。
過去にCSの映画チャンネルで録画しておいたものから、おしゃべりなフランス映画がいいだろうと、エリック・ロメール監督の作品を選んだ。「飛行士の妻」の一部分である。ぱっと適当に取り出したところなので、前後のつながりはよく分からない。広い公園内で、何かしらの事情で若い男性が若い女性に話しかけ、道を尋ねるシーンだ。
A 男「祝日広場は?」
B 女「祝日広場? あっちよ」
C 男「そうだね 行く気はないけど―」
D 男「ここだと方角が分からなくて…」
E 女「簡単よ」
F 女「行き先は?」
G 男「場所は分かるけど 住所を知らない」
H 女「初めての所?」
これが模範的な字幕として、仮にサボるとしても、途中を抜かすのであれば前後のつながりで付いていける。D,E,Fあたりがひとつなくなっても、何となく流れは分かる。
ところがTV5MONDEはこういう会話の冒頭を徹底的にサボる。サボると決めたら、Aは間違いなくサボる。その流れでBもサボる。「祝日広場」というキーワードは絶対に出さない。Cからだと何のこっちゃだし、A,B,C,D,E,Fくらいまでまとめて飛ばすのもザラだ。いきなり「場所は分かるけど 住所を知らない」なのだ。いや本当なのだ。信じてほしい。TV5MONDEはぶっ飛んでいるのだ。
すべての映画で字幕を飛ばしていたわけではなく、専門のプロの仕事と変わらないものも多かった。それでも、サボり映画は全体の半分くらいはあった。ちょっとやばいだろうという数だし、映画への興味を失わせるには十分だった。映画に入り込めない時点でストレスだし、有料チャンネルで公開するのはよくない。
それにしても、なぜTV5MONDEおよび字幕制作会社は字幕をサボっていたのだろう。今は他の番組も含めてHiventyという会社の字幕がほとんどなのだが、サボり時期には他にも2社ほどをクレジットで確認できた。
分からないのが、3社とも同じようにサボっていたのだ。サボりの割合も傾向もほぼ同じだった。ひどい会社からまともな会社に乗り換えたわけではない。あの頃のHiventyはひどかったが、他の会社がまともだったわけでもない。
映画1本にかけられるTV5MONDEの字幕予算が決まっているのだろうか。馬鹿みたいな話だが、一方で字幕翻訳も「1ライン〇〇円」のように単価があって、予算に収めるには間引きするしかなかったのだろうか。それなら字幕制作会社には申し訳ない。彼らには断腸の思いだったのかもしれない。でも、いや、それはないよなー。それならあんな悪質な飛ばし方はしないよな。
ただ、どこを飛ばすのが視聴者にダメージが少ないかを考えるのも労力だし、どうせ大したお金にならないなら、「会話の冒頭は飛ばす」と統一する方が効率的ではある。考えるほどよく分からない。
改めて補足しておくと、この字幕問題は現在では解決されている。僕がTV5MONDEと契約した2020年の2月から数か月の話である(それ以前は知らない)。Hiventyに映画字幕専門のプロが入ったのかもしれないし、TV5MONDEからの予算が増えたのかもしれない。
今でもたまにTV5MONDEの映画を見るが、どうしても最初に字幕が出るまでは落ち着かない。フランス語総動員の準備をしている。あの字幕クオリティを知っている人と知らない人では、同じ映画であっても見え方は違うだろう。それがいいことか悪いことかは分からない。「戦争を知らない子どもたち」みたいだな。
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TV5MONDEを契約したもともとのきっかけは、日本では普通に公開されない映画を見るためだった。昨年末から時間ができ、フランス語習得の本格化とともに、映画趣味も再開させていた。この10年ほど(特にこの5年)映画をロクに見られてなかったので、遅れを取り戻すべく、ほぼ毎日何かしら見ている。
幸いに、これまでCSの映画チャンネルで録画していたものやAmazon Primeのおかげで、いくらでも見るものはあったし、空白の10年間がどんな感じだったのかと、全体像もつかむことができた。
僕は映画鑑賞と言語習得は切り離して考えているので、フランス語の学習のためにフランス映画を見たりはしない。ただ、やはり興味がフランス語に移っているので、どうしてもフランコフォニーの映画は優先的に選んでしまう。当然ながら、次第に見るものがなくなってくる。映画祭に出品されたり、本国で大ヒットしたり、有名監督の最新作でもなければ、日本で見られるフランス映画にまともなものはない。ワインやグルメやファッションやアートがテーマの、いかにも外国人(特に日本人)が喜びそうな輸出用で、「フランスっぽくてしあわせー」と、それだけだ。
輸出用ではなく、フランス人が日常的に見ているものが見たかった。加えて、フランス以外のフランコフォニー映画も見たかった。そこで行き着いたのがTV5MONDEである。
実はTV5MONDEのサービスを利用するのは初めてではない。3年ほど前に15日間の無料お試しサービスを申し込んでいた。当時は聞き取りの能力が不十分で本契約するほどではないと判断したのだが、映画のラインアップは魅力的だった。ほんの半月ほどの間で、やや古い(80年代くらい)ケベック映画や、アフリカ発の映画も楽しめた。あれから3年。「時は来たれり。いざTV5MONDE」だ。
ところが、うーん、最初は物珍しくてよかったのだけど、ほどなく興味を失ってしまった。今では映画の録画は週に1本あるかないかである。
まずは、日常的なフランス映画について。TV5MONDEでは映画の枠がかなりあるので再放送も多いのだが、週に2〜3本は新しいものと入れ替わる。最初の頃はほとんどを録画して見ていた。「TV5MONDEで見てるんだぞ、普通には見られないんだぞ」という高揚感があった。だがそんなものはすぐに冷める。何とも煮え切らない映画が続いた時、残酷にも気が付いてしまった。「これそんなにおもしろい?」
冷静に考えればそれもそのはずで、映画史的に価値があるなら、普通に日本で公開される。「フランスの日常」といえば聞こえはいいが、映画史的にはあろうがなかろうがどうでもいい。目新しさや面白さは、まず望めない。
映画の話になるとやたら厳しいのだが、これはフランス映画に限らず、どの国でも似たようなものだろう。フランスや日本で年間に何本の映画が作られているのかは知らないが、10年後20年後も残る、映画としての価値があるものとなると、5本から、よくて10本というところだろう。毎週2〜3本とか、そんな数字にはならない。
TV5MONDEのフランス映画には他にも問題があって、純粋にスクリーンで公開される映画だけでなく、2時間枠のテレビドラマも映画扱いなのだ。大部分がサスペンスである。この数が実に多い。日本の2時間ドラマよりは映画に近いのだが、これを映画枠で見せるのかというのが正直なところだ。録画対象にはならない。
これらテレビサスペンスの見分け方は単純で、たいてい放送時間が95分ほどである。本編中にCMは入らないのだが、本国では2時間枠でCMを差し引くとそれくらいの時間になるのだろう。次に番組紹介に「〇〇テレビドラマ賞金賞」などと受賞歴があったりする。金賞なのに申し訳ないけど、やっぱり映画が見たいんです。
次にフランス以外のフランコフォニーの映画について。これははっきりと、コロナ騒動前と後で変わってしまった。因果関係はともかく、そのあたりの時期にはっきりと変わった。
3月中旬ごろまでは、ベルギーやスイスの映画もぽつぽつとあった。アフリカの国のものもあった。ところが、コロナ騒動でヨーロッパ各国がロックダウン状態になってからは激減し、フランス制作ばかりになった。どういう仕組みで調達しているのかは知らないが、めぐり合わせが半年近く続くとは考えにくいし、何かしら関係があるのだろう。
「フランスじゃないから」という理由だけで、日本に入って来ない名作を見る機会もほとんど奪われている。TV5MONDEの映画でも、覚えているのはフランス外のものが多い。一番印象に残っているのが、Les Grandes Ondes(à l'ouest)というスイス映画である。タイトルはすっかり忘れていたので、TV5MONDE JaponのTwitterを延々さかのぼって調べ直した。
スイスのラジオ局からポルトガルに派遣された少人数のメンバーが、現地の風習を紹介する番組を制作している途中にクーデター(だったかな)が勃発し、いつの間にか巻き込まれ、いつの間にかクーデターを報道していたとそういう話である。コメディ調に作られていたのでまったくの作り話だと思っていたのだが、そこそこ事実に基づいていると最後に紹介されて驚いてしまった。
あとこの映画で知ったのだが、TV5MONDEは日本の配給網とはまったくの別基準らしく、規制という概念がない。かみ砕いて言うと、いかなる裸体にもぼかしがない。そうです。もろ出しです。そういうシーンが多い映画だったので、最初はどきどきしてしまった。
これで俄然、TV5MONDEに興味が湧きましたか?でも忠告しておきます。規制がないのは女性だけではないですよ。男性にも規制はありません。「おー、すげーなー」と見てたら、次の瞬間には規制なしの男性が立っていたりする。「うぎゃー」と目にとんでもないダメージを負う。アツアツに焼いた鉄の杭を目に突き立てて、すべてを忘れたくなる。
ひどい締めくくりだな。いや本当にひどい。そんなこんなも含めてTV5MONDEだと、すべてをTV5MONDEのせいにするしかない。
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気が付けば8年近くフランス語の勉強をしている。数限りなく挫折と再開を繰り返しているので、その期間を含めるともう少し長いのだろうが、最後の再開からは8年近く、不思議なことに飽きもせず続いている。
8年の間でもダラダラしていた時期、死ぬんじゃないかというくらいに取り組んでいた時期と均一ではないが、今はもっぱらインプット中心、読むこと聞くことに集中している。「アウトプットもやらないと伸びないよ」とアドバイスしてください。本当にその通りです。ただ、もうまったくやる気にならない。
実を言うと、今年の夏か秋に、ケベックへの旅行を考えていた。2か月強のハードな滞在である。どの都市にどれくらい滞在するか、旅費宿泊費を抑えるにはどうすればいいかなどの情報を、今年に入ってからは集めていた。
もちろんフランス語も勉強していた。基本的に日常では、この言語はまったく役に立たない。一度でいいからこの子に活躍の場所を与えてやりたかった。幸い時間もあったので、地域の国際機関のフランス語教室にも通い、狂ったように取り組んでいた。アウトプット練習も行っていた。壁にフランス語で話しかけていた。
そこで待っていたのが、コロナ騒動である。はい、渡航制限です。外国には行かないで。外国からも来ないで。この文章を書いている時点でも、日本とカナダはお互いに渡航制限をかけているはずだし、仮に部分的に解除になっても、現地で2週間隔離されるだろうし、ケベック州もマスク着用にソーシャルディスタンスで、歩いて楽しい場所ではないだろう。フランス語をどうこうという雰囲気ではない。
「ごめんよ僕のフランス語」と、ケベック行きをひとまず断念すると、アウトプット練習も行わなくなった。こればかりは仕方ない。何の当てもないのに、壁に向かってフランス語で話す方がどうかしている。
それでもフランス語そのものを中断したわけではない。アウトプットはエネルギーがないとできないが、インプットは習慣化していれば惰性でできる。いつか再びアウトプットに興味が向いた時のために、今は読んで聞いて、相手の言ってることが難なく分かるように、自分の言いたいことも選択肢のストックを増やすようにとそういう時期である。
読む方は小説だったり雑誌記事だったり、聞く方は、今ではCS有料チャンネルのTV5MONDEがほとんどである。フランスに限らずフランス語圏の文化紹介を目的にしたチャンネルで、字幕が付く番組もあるが、一日中フランス語で放送している。
有料チャンネルだから当然ながら有料で、一か月あたり1,300円くらいだっただろうか。今はインターネットがある便利な時代で、お金を出さなくてもYouTubeで検索すればいくらでもフランス語の動画は出てくるし、テレビ番組を切り取ったもの、もしくはそのまま全編アップロードされているものも多い。僕も以前はYouTube上のものを見ていたのだが、それなりに時間が取れ、CS放送にすでに加入している人にはTV5MONDEをおすすめする(もちろん、どの程度フランス語を上達させたいかが一番だろうけど)。
YouTubeが悪いとは言わないが、どうしても自分に興味のあるものばかり見てしまう。僕の興味は自動車、旅行、食べ物辺りなのだが、関連動画に延々出てくるものを延々見ていると、最初は楽しかったはずなのにやがて飽きてしまう。だからといって他のジャンルで探そうという気にもならない。興味のないもので何かと言われてもよく分からない。回転寿司で大好きなサーモンを食べ続け、「もうシャケはいらんわー」となる感覚だ。
TV5MONDEであれば、おまかせの握りなので、サーモン以外にもバランスよく提供される。自動車はないけど、旅行に食べ物は当然あるし、自分では好んで選ばない科学技術や国際問題を扱ったニュース系の番組も多い。いずれ書きたいが、日本では普通に見られないような珍しい映画もある。それらすべてを見るわけではないにしても、自分で探す手間は省けるし、「ここで会ったもなにかの縁」と、挑戦へのハードルも低くなる。結果、幅広い分野の理解力につながる。
フランスのテレビ番組だけでなく、スイス、ベルギー、ケベックとバランスが取れているのもいい。ややフランス制作が多い気もするものの、これら4地域の番組数はほぼ同じである。ケベックの旅番組が1シーズン分終われば、翌週からはケベック制作の異なる旅番組が始まるといった具合である。
YouTubeではこのようにバランスを取るのが難しい。公式でのチャンネルとなると、フランスのチャンネルなり制作会社のものばかりである。フランスが好きで好きでたまらないという人にはいいのだろうが、(ここで多くは言わないけれど)僕にとってフランスはフランコフォニー(フランス語圏)の地域のひとつでしかないので、あまりフランスに偏ったインプットはしないように心掛けている。
TV5MONDEの回し者のような物言いだが、有料チャンネルだから、そのサービスを必要としている人には、十分に価値があるというだけである。ただし結構ツッコミどころもある。言い方を変えればなかなか不便なチャンネルで、最初の頃はイライラとしたものの、今ではそれも含めてフランコフォニーでありTV5MONDEだと思っている。あれだよ、日本のチャンネルがきっちりしすぎなの。TV5MONDE見てると本当にそう思うよ。
これから何回か、TV5MONDEの憎めない魅力を紹介できればと思っています。
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TV5MONDEを契約したもともとのきっかけは、フランコフォニーの映画とケベックのニュースを見るためだったが、あまり興味が続かず、聞き取りの素材としても満足を得られなかったため、今では主に、普通のテレビ番組を見ている。
普通といっても人によって定義は違うだろうから細かく挙げておくと、旅番組や料理番組、日常的な問題がテーマの(環境問題や食の安全性など)ドキュメンタリーなどである。だいたいが30分から50分までの長さで、時間の都合を付けやすく、集中力も持続する。
字幕が付いていなければ(番組紹介で字幕のありなしは確認できる)たいていは録画するし、付いていてもおもしろそうならば録る。一日あたりでは5番組ほどの録画になる。結構な数である。一日中テレビ前にかじりついているわけではないので録画は当然の流れだが、まずはこの「録画に慣れる」という作業が、TV5MONDEでは必要になる。
どういうことか。答えは簡単で、時間がまったく守られないのだ。契約当初はがく然とした。例えば、楽しみに録画しておいた番組なのに、再生しても一向に始まらない。前の番組が予告時刻をまたいで放送されている。お目当ての番組が始まったのは6分遅れ。そして6分ずれているから、録画時間内に収まりきらない。最後にぷつんと切れて「材料混ぜ合わせてたけど、どんな料理になったんだろう」と、消化不良が残る。
逆パターンもある。再生したらすでに始まっている。始まったばかりというわけでもなく、すでに名前も知らない(見てないもの)名峰の頂上にいたりする。息を切らせて「苦労のかいがあった」と言われても、苦労を見てないので反応のしようがない。
半年ほどTV5MONDEを利用している感覚では、普通のテレビ番組で、予定時間内に始まり終わるものは3割程度である。あとは最初がなかったり最後がなかったり。信じられないだろうが、最初も最後もなかったりする。正味45分はある番組なのに、枠が35分だったりする。いや本当なのだ。どうか信じてほしい。
不思議なことにニュース番組はほとんどが時間厳守である。映画もここまではひどくない。前後のどちらかがニュース番組なら、たいていは枠内に収まる。
無法地帯というと表現が悪すぎるが、これはきっと、有料チャンネルゆえのサービス心なのだろうと、今では好意的に考えている。TV5MONDEは日本の他のCSチャンネル同様に、番組開始が基本的に16:00や16:30と、00分ないしは30分始まりなのだが、CMと呼べるCMはない。特別番組や映画の宣伝、またはTV5MONDEの携帯アプリの宣伝はあるが、番組間のCM枠は1分から1分30秒程度である。番組内でもCMはない。定時までの時間調整に、他チャンネルのように通信販売や自動車保険のCMが延々流れたりしない。
ただしそれでは、どうしても空き時間が発生する。30分番組といっても正味の放送時間は25分ほどで、映画宣伝やアプリの宣伝を挟んでも3分ほどは余ってしまう。解決法は単純で、そこに時間調整用の短い番組を詰め込んでくる。サービス番組である。
これらの番組は3分から5分程度で、内容も幅広い。世界中の都市の知られざる魅力だったり、世界各地の珍しい風習だったり、野外市場の紹介だったり、芸術家の紹介だったり、環境保全への取り組みだったり、早い話が何でもある。
そして、せいぜい5分で伝えられることだから、さらりと表面的に、興味を失わないうちに終わってくれる。見ていてストレスはない。
録画した番組の始まりがない、終わりがないという事態を避けるために、今では前後に10分ずつ余分に録画しているのだが、結果として時間調整用の番組も網に引っかかる。何がかかっているかは網を引き揚げるまで分からない。時間調整でしかないから、番組表にも一切紹介されてない。
幻の魚のような希少価値もあるのだろうが、これらは例外なくおもしろい。特にお気に入りなのが、割といかつい男性が世界中のマーケットや食堂を紹介するものだ。いかにも暑そうな、古い扇風機しか回っていない南米の食堂の一画で、スパイスたっぷりの料理を頬張っている。「うわー、たまんねーなー」となるのだが、番組名は覚えていない。意識して選んで見ているわけではないので、毎度忘れてしまう。
時間調整番組にはもう少し長く、10分を超えるものもある。ワイン畑の紹介や芸術家の紹介が多い。よく分からないのが、短い調整番組が入ってほぼ定時なのに、さらに10分強の番組が入ることもある。当然ながら後続の正規番組の開始も遅れる。個人的にこれまでに見た最長は17分遅れである。いやもう、あまり驚かなくなってますが。
実際のところ、17分遅れても、長い時間調整番組は希少魚なのでうれしい。また、10分強と長いものだと、独立した番組扱いになることもある。番組表にも記載される。これらが番組表に枠を取っているとたまらない。迷わず録画である。10分強でも枠は15分。さらに前後に10分ずつ追加するので、録画時間35分と衣だらけの天ぷら状態だ。
だがこれで油断してはいけない。TV5MONDEは本当に油断ならない。後日、楽しみいっぱいで再生する。前番組はニュースなので早送りする。と、いきなり後番組の映画が始まってしまう。何事かともう一度確認するも、「ニュース→映画」である。奴らは枠をまるごと消しやがった!
最初はショックだった。録画予約の労力をすべて否定されたみたいじゃないですか。ただ、要はそもそもが時間調整の番組である。追加になることもあれば消えることもあると、それだけなのだろう。番組の消滅は日常茶飯事とまではいかなくても、TV5MONDEではたまにある。またいつか見られるさ。それも含めてフランコフォニーだよと、慣れるほかない。
繰り返すがすべてはサービス心である。CMを延々流されるよりはよほどいい。誰がどういう基準で時間調整をしているのか(恐らくフランス人なのだろが)は気になるし、今の人はあまり適任ではないとも思うのだが、細かいことを言ってはいけない。「これはTV5MONDEだから」ですべてが許される。それがTV5MONDEである。
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]]>TV5MONDEを熱く書いていることで、人によっては誤解してしまうかもしれない。誤解があれば早めに釈明しておいた方がいい。あくまで個人的な尺度だし、誰かを貶めたりという意図もなく単純に、「TV5MONDEはそれほどおもしろくはないですよ」。
これはもう仕方ないことで、仮に関係者が読んでいても怒られはしないだろう。TV5MONDEはフランコフォニーの文化をフランス語で紹介する真面目なチャンネルである。早い話がNHKの国際放送のようなもので、コメディアンが跳ね回ったり、放送禁止用語が飛び交うサバイバルゲームがあったりはしない。基本的には、落ち着いた拡張高い番組が選ばれている。
ただ、自局制作のNHKの国際放送とは異なり、TV5MONDEはフランス、スイス、ベルギー、ケベックのテレビ局から、理念に沿った番組を選んでいる。TV5MONDE制作のものもあるが、数はかなり少ない。もともとは自国の視聴者向けに作られたものだから、NHKの国際放送よりはくだけているし、興味も湧きやすい。それでもやはり限界はあって、録画した番組の大部分が、環境保全関連だったりもする。めぐり合わせといえばそれまでだが、「こういうのばかり見てたらつまんない人間になりそう」と正直に感じてしまう。環境保全は大事ですよ。誤解しないでね。でもテレビ番組には娯楽要素も必要です。
TV5MONDEの5は、フランコフォニーの5つのテレビ局の番組が見られるというところから来ているらしい。内訳はTF1、フランス2、フランス3(いずれもフランス)、RTS(スイス)、RTBF(ベルギー)である。あまり現地のテレビ情報に詳しくはないが、TF1はフランスのNHKのようなイメージだし、RTS、RTBFも番組を見る限りNHKである。
上記5局以外の番組もなくはないが、ヨーロッパ発となるとほぼすべてである。5分の3がNHKとなると、よほどフランス語へのモチベーションが高くないと続かないかもしれない。フランス語話者は見てない気がする。海外でNHK WORLDって見ないじゃないですか。いや、本当にごめんなさい。分かりやすい例なので多用してますが、NHKばかり損してる。
そんな中で異彩を放つのがケベック制作である。TV5の5にケベックの放送局が入ってないことから、設立時はあまり番組数が多くなかったのかもしれない。だが今では、フランス、スイス、ベルギーとほぼ同数の番組を誇る。
ケベックにもRadio-CanadaというNHK的な局があるのだが、TV5MONDEではニュース番組の提供がほとんどで、ごく普通のテレビ番組となると、とっつきやすいところでは、Épicerieという食の情報番組くらいだろうか。他でケベックとなるとRadio-Canada以外の制作で、すべてがいい具合にくだけている。堅苦しくもないしふざけてもいない。「いい具合」なのだ。
やっていることは食べ歩きや地域の文化紹介と、ヨーロッパ発とあまり変わらないのに、ケベック発だと不思議と見ていられる。だからといってケベック発が常にどんちゃん騒ぎというわけではない(そういうものもあるが)。理由はよく分からない。NHK的な局でなく自由に作れるのもあるだろうし、何といっても北米で、お隣はエンターテイメント大国アメリカというのも大きいのだろう。作り方がおおらかで開放的で、実にアメリカ的なのだ。それでも、TV5MONDEで紹介されるようなケベックの番組は、北米基準ではとんでもなくお堅い番組なのだろうけど。
そういうわけで、思わず「神番組」と呼んでしまうような、フランス語の理解が不十分でも楽しい番組は、ケベック発がほとんどである。すべてを列挙するわけにもいかないが、最近の大当たりでひとつとなると、Mon Nouveau Mondeの一択だ。
先に断っておくと、これは子ども向けの番組である。TV5MONDEは親切で、子ども向け番組を集めた時間帯(通称「チビ5モンド」)もあり、そこで放送されていた。ただ実際には全年代で楽しめるように作られているし、むしろ大人向けなのではないかとも思う。
内容はシンプルで、外国に移り住んでいるケベックの子どもたちを紹介すると、それだけである。一番組25分ほどを、ひとりの子どものみに割く。たいていが親の仕事の都合なのだが、移住先はアフリカ、アジア、南米、ヨーロッパと世界中である。制作費もすごそうだ。
時間を稼ぐためか、たまに現地の観光地や博物館なども訪れるが、基本的には子どもの日常で、家で何をしているか、学校でどのようなことを学んでいるか、どのような友達がいるのか、何をして遊んでいるのか、どのようなものを食べているのかなどである。
子どもは適応も早いからか、新環境への不安はあまり語られない。実際あまりないのだろう。しかし、音楽はどこか物悲しい。この音楽が実にいい。これだけでもTV5MONDEを契約する価値がある。物悲しく始まるが、少しずつ明るく伸びやかに変化する。
物悲しさの中に少しずつ希望が見つかっていく。海外に移り住んだことがない人でも、これまでに大きな環境の変化を経験したことがあれば、その頃の気持ちを追体験できる。「これは大人向け番組だよな」と、テーマ曲を聴くたびに思ってしまう。
日本でもこういう番組が作れないのだろうか。子どもからすれば、自分たちと変わらない年齢の子が、外国で現地の学校に通い、現地の友だちと遊んでいるのを見るだけで衝撃だろう。その衝撃が未来に与える影響は悪いものではないだろうし、今よりもほんの少し開かれた世の中が待っているかもしれない。
ただやっぱり制作費がなあ。NHK教育で(今は呼び方が違うんだっけ)ここまでできないよね。だからといって民放がやれば、ふざけたバラエティ番組になるだろうし。やはりTV5MONDEである。TV5MONDEは子どもの教育にもいい。
ちなみにMon Nouveau Mondeは1シーズン分が終わったのか、7月末でいったん終了しています。次はあるのだろうか。次がなければ、ここまで何を書いていたのだろうか。
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Bonjour à tous !
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Bonsoir à tous !
フランスの情報に触れていると、GAFAを始めとするIT巨大企業への課税は必ずしなければならない、ということをしょっちゅう議論しています。
ただ、その背景が、GAFAが納めていない税金分、フランス政府(=フランス国民)に入るべき収入が不当に奪われているという感じで、やはり背景には社会主義的発想が見られます。
その社会主義に、アメリカの自由主義かつ覇権主義が衝突する構図、でしょうか。
では、本文の対訳を掲載していきます!
Source:https://fr.news.yahoo.com/donald-trump-ordonne-enquête-taxe-gafa-prélude-à-040534683.html
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
Donald Trump ordonne une enquête sur la «taxe Gafa», prélude à des sanctions
ドナルド・トランプ、“GAFA税”の調査を指示、制裁の序曲か。
Washington va étudier le projet français de taxation des géants du numérique, voté définitivement au Parlement. Son but: déterminer s’il est «discriminatoire ou déraisonnable et entrave ou restreint le commerce des États-Unis». Bruno Le Maire a répondu en appelant au dialogue.
ワシントンは、議会で最終的に採択された、フランスのIT巨大企業への課税計画の調査に乗り出した。目的は、案件が差別的もしくは常軌を逸していないか、またアメリカのビジネスを阻害または制限しないか、を確認すること。ブルノ・ル・メールは、対話への呼びかけで応じた。
Washington,
ワシントンより
La France est désormais directement visée par une enquête de la part de l’administration Trump pour pratiques déloyales. La Maison-Blanche a formellement chargé son représentant pour les affaires commerciales d’enquêter sur les effets du projet français de taxe sur les géants du numérique. «Les États-Unis sont très préoccupés par le fait que la taxe sur les services numériques [...] vise injustement les entreprises américaines», a commenté le représentant au Commerce, Bob Lightizer, cité dans un communiqué. Il s’agit de la première étape d’un processus qui débouche généralement sur l’imposition de sanctions unilatérales par Washington.
フランスは今後、トランプ政権による、不当な実践行為に関する捜査の直接の対象となった。ホワイトハウスは、通商代表を、フランスのIT巨大企業への課税計画の影響に関する調査に正式に任命した。ボブ・ライトハイザー米国通商代表は、「米国はIT事業への課税が不正にアメリカ企業を狙い撃ちしていることに強い懸念を抱いている。」とある声明でコメントしている。これは、通常は、その後ワシントンによる一方的な制裁実行に至るプロセスの第一段階となる。
Ce jeudi, au Sénat, quelques minutes avant que la «taxe Gafa» soit définitivement adoptée par le Parlement, le ministre de l’Économie, Bruno Le Maire, a réagi aux déclarations de Washington en martelant que Paris et Washington, alliés, devaient régler leurs différends autour de la taxation des géants du numérique «par des accords plutôt que par des menaces». «La France est un Etat souverain, elle décide souverainement de ses dispositions fiscales, et elle continuera de décider souverainement de ses décisions fiscales», a-t-il toutefois précisé. Pour le ministre, la «taxe Gafa» française doit être «une incitation pour [les Américains] à accélérer encore les travaux sur une solution internationale de taxation du numérique à l’échelle de l’OCDE». Il espère pouvoir en discuter lors du prochain G7 Finance, à Chantilly, dans quelques jours.
今週木曜日、元老院で、“GAFA税”が最終的に議会で採択される数分前、ブルノ・ル・メール経済大臣はワシントンからの発表に対して反応し、同盟国であるパリとワシントンは、このIT巨大企業への課税に関するいさかいに関し、「脅迫ではなく、合意によって」解決するべきだと強調し、「フランスは主権国家。主権者として自らの税制を定め、また今後も税に関わる決定を下していくだろう。」とも述べた。ルメール氏にとって、フランスのGAFA税は「アメリカ人が、経済協力開発機構のレベルでの、IT課税に関する国際的解決に向けた作業を速めるためのインセンティブ」になるべきものだ。彼は、数日後に控えている、シャンティで開催されるG7ファイナンスで議論できることを願っている。
Au titre de l’article 301 de la loi commerciale américaine de 1974, Bob Lighthizer dispose au plus d’un an pour déterminer si la «taxe Gafa», dont l’adoption semble imminente, est «discriminatoire ou déraisonnable et entrave ou restreint le commerce des États-Unis».
1974年アメリカ通商法301条(通称「スーパー301条」)に基づいて、ボブ・ライトハイザー氏は1年以上かけて、この間もなく可決される“GAFA税”が、「差別的もしくは常軌を逸していないか、アメリカのビジネスを阻害または制限しないか」を確認することになる。
La nouvelle taxe prônée par Bercy doit frapper des sociétés en majorité américaines, mais aussi quelques firmes chinoises, allemandes, espagnoles et britanniques. Les «Gafa», acronyme qui réuni Google, Apple, Facebook et Amazon, sont accusées d’abuser des règles européennes et de ne pas payer suffisamment d’impôts en France. Le critère de taxation retenu par le gouvernement français est celui d’un chiffre d’affaires de plus 750 millions de dollars dans le domaine numérique, y compris celui de la publicité en ligne. Le montant de la taxe devrait être de 3% du chiffre d’affaires réalisé en France.
ベルシーが提唱するこの新税は、その適用対象の大部分がアメリカの企業となるが、それ以外にも中国、ドイツ、スペイン、イギリス企業のいくつかも適用対象となる。Google、Apple、Facebook、 Amazonの略語であるGAFAはヨーロッパの規則を悪用し、フランスで十分に税金を納めていないと糾弾されている。フランス政府による課税の基準は、オンライン広告を含むデジタル領域での7.5億ドル以上の売り上げというものだ。税額は、フランスでの売り上げの3%でなくてはならない。
La procédure «301» a été employée à plusieurs reprises depuis l’arrivée de Donald Trump à la Maison-Blanche, en particulier contre la Chine, mais aussi contre l’Union européenne, accusée par exemple de concurrence déloyale dans le commerce des automobiles.
スーパー301条は、ドナルド・トランプがホワイトハウスに就任後、幾たびも発動されてきた。特に中国に対してのものだが、例えば自動車通商における不当競争を非難されているEU連合に対しても発動さている。
Au terme d’une enquête qui dure généralement plusieurs mois, mais dont les conclusions sont souvent connues d’avance, l’administration américaine évalue le préjudice subi par les sociétés des États-Unis. Des négociations sont censées en découler afin d’éliminer les pratiques épinglées. Faute de quoi Washington impose ensuite des sanctions douanières proportionnelles aux dommages estimés.
通常は数か月に及ぶ捜査の後―その結論はよく事前に知られているものだが―アメリカ政府はアメリカ企業が被った被害見積もりを行う。その次には、目に留まった行為を排除していくための交渉が行われることになっている。そうでなければ、ワシントンは被害見積もりに応じた関税制裁を課すことになる。
Comme dans de nombreux cas de procédures «301», la Maison-Blanche dispose du soutien du Congrès, en particulier des élus démocrates. «La taxe sur les services numériques en France et que d’autres pays européens envisagent, est clairement protectionniste et vise de manière déloyale des sociétés américaines d’une manière qui va coûter des emplois aux États-Unis et porter tort aux travailleurs américains», jugent le sénateur républicain Chuck Grassley et son collègue démocrate Ron Wyden, tous deux de la Commission des finances.
スーパー301条発動の多くの事例においては、ホワイトハウスは合衆国議会、特に民主党議員の指示を受けている。共に財政委員会に属している共和党上院議員のチャック・グラスリーと民主党議員のロン・ワイデンは、「フランスのIT事業への課税は、他のヨーロッパ諸国も検討されているが、明らかに保護主義的であり、アメリカ企業を不当に狙い撃ちしているもので、アメリカの雇用にとって打撃であり、アメリカの労働者に損害を与える性質のものだ」と断じている。
Le dossier «Gafa» s’ajoute à ceux de l’acier, de l’aluminium, des automobiles, des aides à l’aviation civile et des produits agricoles, sur la longue liste des contentieux commerciaux transatlantiques. Une délégation de législateurs allemands en visite à Washington considère, après avoir rencontré de hauts responsables de l’administration Trump, que les Européens doivent s’attendre à une série de sanctions commerciales américaines au cours des prochains mois. L’administration Trump considère que la question de la taxation des sociétés numériques dont les activités couvrent par définition plusieurs pays, doit être traitée dans un cadre d’un accord multilatéral comme celui de l’OCDE.
このGAFA案件は、鋼、アルミニウム、自動車、民間人飛行へのサポート、農業製品に続いて、大西洋を跨いだ通商対立の長いリストに加えられる。ワシントン訪問中のドイツ連邦議会議員団は、トランプ政権の高官と面談した後で、ヨーロッパは、今から数か月間、アメリカによる一連の通商制裁を覚悟しなければならないと考えている。トランプ政権は、定義上、活動領域が複数の国にまたがるIT企業への課税問題は、経済開発協力機構のように、双方向の合意の枠組みにおいて取り扱われるべきだと考えている。
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いかがでしたでしょうか?
お読みいただき、ありがとうございました!
Excellente soirée à tous !!
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