☆☆☆
JUGEMテーマ:ドキュメンタリー映画
JUGEMテーマ:ドキュメンタリー映画
出典:IMDb
「SNSー少女たちの10日間ー」
原題:V siti
監督:バーラ・ハルポヴァー
ヴィート・クルサーク
2020年 チェコ映画 104分 R15+
キャスト:テレガ・チェジェロー
アネジュカ・ピタルトヴァー
サビナ・ロウハー
ネット上の児童への性的虐待状況を把握するため、
1本の映画が製作される。童顔の18歳以上の女子に
「12歳の少女」を演じさせ、セットとして提供された
子供部屋の中でPCを使ってsns上で友人を募集すると、
瞬時にあらゆる年齢の男性たちが卑猥な動画や言葉を
送り付けてくるのだった。
<お勧め星>☆☆☆☆ 本当に見ていて気分が悪い。そして
絶対にあってはならないことだと気づいてほしい。
性暴力の意味
チェコの未成年のネット事情は6割が親による制限なく
利用しており、その中の41%が見知らぬ人から性的画像を
送りつけられ、またネットで会話している相手と会う意思を
持っているのが5分の1存在する。という恐るべき文字が
流れます。しかしこれは日本でも全く同じことではない
でしょうか。Skypeなどを利用して映像付きでチャットをし、
言葉巧みに卑猥な映像を送るように迫り、それが届くと、
次はそれをネタに「親に知らせる」「画像を拡散させる」と
脅し、さらなる映像を要求したり、直接会って暴力に及ぶ
こともあるわけです。この時「同意がある」と大人側の男性が
主張しても、自分より体の大きい相手と交流する未成年、
それも10代前半の女子がすべてを理解しているか甚だ疑問
です。そもそも犯罪行為です。
出典:youtube
さて、映画ではこの状況をドキュメンタリー映画に収めようと、
18歳以上でありつつ童顔で12歳を演じられる女性を募集
するのです。この時23人が応募してくるのですが、驚くべき
ことにその中の19人がネット上で児童虐待の経験を受けて
います。
そして選ばれた3人の女性は、セットとして提供された子供部屋
の中で、偽のアカウントを作り、12歳少女という触れ込みで
友人を募集し始めます。いろいろなルール(相手の対応の仕方)
を取り決め、カウンセラーや弁護士等を用意して始まった
SNSのアカウントには、あっという間に多くの友人申請が届くの
です。そこに出てくるのは卑猥な画像ばかりで画面上はボカして
ありますが、中には動画を送り付ける人々もいます。
マジキモイ。
12歳を演じている女性たちは
「もしも幼かったら好奇心で連絡を取ってしまうかも」
と答えるのです。それが何を意味するのか理解できない年齢
だったら、連絡を取った結果がどうなるか想像できない
年齢だったら、客観的に見ると大変な罠がしかけられているのに、
幼さゆえに気づかないことが多いはず。
そしてチャットを始めた3人には、股間を見せつける男や顔を
出さず声だけで卑猥なことを要求する男、頼みもしないのに
勝手に服を脱ぎ始める男など信じられない人物ばかり映し
出されます。
出典:youtube
12歳を演じている女性たちもさすがに呆れ、涙をこぼす
女性も出てくるのです。制作側は、女性たちの裸画像を
合成し、その写真を送付したら相手がどう出るか反応を
見ます。すると一気に900人以上の友人申請が届き、
電話をかけてくる男性もいるし、さらには金の相談を持ち
かける男性も出てくる始末です。応対すると言葉巧みに
(優しそうに、そして少女をいたわる雰囲気で)誘い出そう
とし、しまいには脅しまがいの言葉を吐かれてしまいます。
これって本当に12歳だったら誰にも相談できず、怖くて
たまらないんじゃないかしら。それも自分の親より年上、
中には祖父と同じ程度の年齢の男性が相手です。
裸画像を送付すると相手は、自分が所持しているすごい
写真や動画を送ってきて(それも次々と)自分がいかに
普通かをアピールするし、こういう行為をする事は
「キミが喜ぶことだ」と訳のわからない論理を押し付けて
きます。「キミが俺の要望に答えてくれないと、俺はとても
苦しんで病院に行かなくてはならない」さらには、送付
してくれた画像をネットに公開すると言い始める始末です。
この時点でネットを利用して不特定の誰かとチャットしよう
とする相手はろくでもない、と思ってしまいますが、一人だけ
「まともな人間」が登場するのです。彼は自分に彼女いる
ことを告げ、12歳を演じている女性に対し、
「求められても自分がしたくないことをする必要はない」
「キミは頭がいいからちゃんと考えればわかるはずだ」
などと間違っているのは、相手の男性たちであり、こういう
行動は慎んだ方がいいと諭します。ネットの世界でも顔を
晒しながら、少女たちの危険な行為を正しく戒める人たちも
存在すること知ると、思わずスタッフ、演者が涙をこぼします。
これはあまりに当然のことなのに、それが通用しない無法地帯
になっていることを、この数日の撮影で皆が見てきたから
なのです。
出典:IMDb
終盤、ケーキ屋で3人の女性はチャット相手と直接会うことを
約束します。その場に現れたのは、孫もいるじいさんや、3人で
遊ぼうと言い出す夫妻、そして最初からエロモード丸出しの
男性です。今回は撮影なのでその先には進みませんが、どれだけ
の数の少女(少年もある)たちが大人の餌食になっているんか
わからない恐怖に襲われます。
そしてラストにはチャットで散々脅迫じみた性的言動、行動を
繰り返した青少年キャンプ運営者との対決が待っています。
彼の言い分が
「子供にチャットをさせるような親の育て方が悪い」
「子供相手の仕事だから自制のために役立てている」
「もっと取り締まるべきことがたくさんあるだろう」
など無理やり自己正当化するものばかりで、こういう人たちを
チェックする機能の必要性を痛感するのです。またこの手の
サイトを運営するサービス提供者の管理強化も必要だと製作者は
言います。スポンサーや利用者の数という利益だけを追求するのが
優先されるべきではないのです。
性的画像は「たかが1枚」ではなく、それを送る人たちが
数えきれないほど存在すると、求めないのに送られてきた
相手への明確な「性暴力」に変わることが本当によくわかりました。
何が育て方が悪いだよ!
自分の子供が同じことをされたらどう思うんだよ!
自制できるのが「まともな大人」じゃないのか!
自制できなかったらセラピーに通えよ!
などとかなり不快に思える内容でしたが、ちゃんと見ておくべき
映画だと思っています。
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JUGEMテーマ:ドキュメンタリー映画
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出典:IMDb
「行き止まりの世界に生まれて」
原題:Minding the Gap
監督:ビン・リュー
2018年 アメリカ映画 93分
ラストベルトに位置するイリノイ州、ロックフォード
に住むキアー、ザック、ビンというスケートボードを
通じて繋がった3人の若者の12年間の生活をビンが
撮影したドキュメンタリー映画です。
<お勧め星>☆☆☆☆ あらゆる方面から受ける閉塞感
の中でもがく若者の姿そのものが映し出されています。
スケボー仲間が家族
冒頭に立ち入り禁止のビルに入り込むキアーとザック、
それを映すビンは、「落ちるからやめようぜ」
「落ちたら命はない」などと言いながらビルから降りて
いきます。そしてビンの「子供は自由。しかしやがて
そうでなくなる」というナレーションが流れます。
彼らが暮らすイリノイ州ロックフォードは全米で2番目に
危険な町と呼ばれ、人口流出は止まらず、「ラストベルト」
に位置しているのです。かつて自動車産業で繁栄を極めた
時代の名残がそこかしこに残り、借り手のつかない空き
店舗だらけの街並みを見ると、まさしく寂寥感に襲われる
のです。
出典:IMDb
出典:IMDb
そこにずっと暮らしている3人の若者の12年前の姿が映ると、
スケボーで繋がり、自由を謳歌しているかのような天真爛漫な
笑顔が見られるのです。キアーは黒人であるがゆえにいじめられ
そうになったところを救ってくれた少し年上のザックを慕い、
親しくなります。3人の若者の家庭環境は恵まれておらず、
例えばキアーは両親が離婚し大工の父に厳しく育てられ、
しばしば暴力を受けてきました。またザックは幼い頃母親が
家を出ていき、父子家庭で育ちましたが、突然保守系思想に
変わった父に大反発して家を出ています。撮影しているビンは、
母親の再婚相手に頻繁に暴力を受けて育ちました。
出典:IMDb
またザックにはニナという恋人がいて彼女との間に子供が
生まれますが、彼女も家族に恵まれた生育をしていないのです。
このように親子、男女、貧困、人種などにより多くの希望が
閉ざされていく時間12年間が、ビンのカメラに収められて
いきます。ビンが語る通り「人生は猛スピードで進んでいく」
のです。
ザックは生まれた子供エリオットのために「何でもする」と
語りますが、今より収入のいい仕事に就くために高卒認定試験を
受けるものの、その問題文すら理解できなかったと言います。
そしてニナとも喧嘩が絶えなくなるのです。生活のために
ニナも働くものの、21才という若さですから、子守をザックに
頼んで遊びに出かけることもしばしばで、それを巡る口論から、
遂には暴力まで振るわれます。
ロックフォードは全米で2番目に暴力が多い街であり、その
大半が家庭内暴力、それも女性への暴力が蔓延していると
語られます。
ニナも普段のザックは好きだけれど、酔って喧嘩になった時は
手が付けられないと言い、ザックはルームメイトのカイルに
ニナが暴言を吐いているシーンを撮影させています。
結局ニナは、叔母夫妻の家を頼るのですが、それは彼らから
すると「愛情あふれる家庭」だけれど、一般に見ると
「普通の家庭」のように思われるのです。
またビンの母モンユエのインタビューをビン自身が撮影します。
かつて継父デニスがビンを殴っていた時、実は彼女も暴力を
振るわれていたけれど、
「彼は凶暴な一面はあったけれど、たいてい優しかった」
と語るのです。さらに「一人はいや」と。
一方キアーは父を嫌っていたけれど、その父は常に
「白人の仲間がいても黒人であることを忘れるな」と言い、
「黒人はいつも問題に立ち向かっている」とも言っていたの
です。
キアーは免許証や車検証は常に車のダッシュボードの上に
置いています。なぜなら、白人警官に止められ、提出を
求められたときにダッシュボードを開けようとしただけで
射殺された仲間がいるからなのです。
出典:IMDb
映画内で白人の貧困層の苦悩を語る青年がいますが、それは
黒人青年たちに制止されます。問題の根本にある「人種差別」
はその上に貧困が重なると、一層根深いものになっていくと
いうことです。
出典:IMDb
時を経てキアーはレストランの洗い物係からホール担当に
変わりますが、ザックは勝手にデンバーに引っ越し、そこで
新しい恋人サムと暮らし、酒とドラッグに溺れる日々を送る
のです。ザックはどう見てもアル中なんだけれど、彼曰く
「ネガティヴから立ち上がれない、とことん落ちるタイプ」
らしい。その間にエリオットを働きながら育てているニナに
ついてどう考えていたんだろう。彼自身が母親の愛情を知らず
に育ったことに起因しているのでしょうか。
この閉塞感に満ちた街を遂にキアーは出ていくことに決めます。
逆にザックはこの街に戻ってくるのと対照的です。
またビンの母親は再婚し、そのエスコート役をビンが務めるの
です。彼らに今以上の未来が見えているのかどうか、
エンドロールに流れる現在の彼らの様子を読んでも、それは
形となって頭の中に浮かんできません。しかしスケートボードで
繋がった友情はこの先も続いていくのだろうななどと考えて
しまいました。それはラストに流れるスケートボードを走らせる
彼らの姿があまりに生き生きしていたからかもしれません。
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JUGEMテーマ:ドキュメンタリー映画
出典:IMDb
「RBG 最強の85才」
原題:RBG
2019年 アメリカ映画 98分
監督:ベッツィ・ウェスト
ジュリー・コーエン
1933年、ニューヨーク、ブルックリンに生まれた
ルース・ベイダー・ギンズバーグは、1993年、
クリントン大統領によって史上2人目の最高裁判事に
任命される。彼女は弁護士時代から一貫して法の下の
平等を訴え、格差の是正の取り組み続けていた..。
<お勧め星>☆☆☆☆半 見終わって感動してしまい、
しばらく文字が出てきませんでした。
真実の力と普遍性
この映画はドキュメンタリーで、2018年に
フェリシティー・ジョーンズ主演
「ビリーブ 未来への大逆転」という映画で彼女について
描かれています。その映画では、ルースは意志が強く、
反骨精神が表情からにじみ出るような雰囲気でしたが、
実際のルースは、極めて控えめであり、内気で討論の場
でも言葉が少ないのです。ただ要点を確実に突いた話が
できるという高い能力を持っていることが伺えます。
ルースはニューヨーク、ブルックリンに生まれ、
ウクライナからの移民の父を持ち、母も高卒という学歴
でした。しかし母のしつけは厳しく、
「淑女であれ」=怒りなどの不毛な感情にながされるな。
「自立せよ」=自活する能力も必要。
という教えのもと、勉学に励みます。そして進学した
コーネル大学では、男子4人に対し女子1人という比率
でした。いやいや日本では、進学高校に入学する女生徒が
500人中、10人余りという時代が1970年代でも
存在していたんです。ただルースが恵まれていたのは、
その能力を認め、生涯を共にするマーティンと出会った
ことで、マーティンは
「自分の能力に自信があるから女性の能力を認める」と
いう考え方でした。女性は感情的で話し合いには向かない、
などという極めて根拠のない思い込みがない人物だった
のです。
時折挿入される孫娘クララの話から、ルースのモットーは
「討論の場では大声を出さない」ことであると知ります。
大声で相手を威圧したところで、到底納得させることは
できません。
さてルースはハーバードのロースクールに通い始めますが、
そこでの女子学生の比率は1%です。さらに学内の図書館
への入館を断られ、学部長からは「君たちは男性のいるべき
座席に着いた」とまで言われるのです。それに対し、
ルースは学業に励み成績を上げていきます。中盤に彼女の
言葉として出てきますが、何かを訴えるためにはデモで
はなく「スキルを活かす社会」を世間に知らせようと
務めるのです。
マーティンと結婚したルースは出産を経て学業を続けますが、
マーティンはガンを患います。その際、彼の看病と学業の
援助と子供の世話と自分の学業をすべてこなしたタフな
人間だとわかります。そしてガンから回復し、
ニューヨークの法律事務所に勤務したマーティンとは裏腹に、
ルースは女性であるがゆえに雇ってくれる場所がなく、
大学でジェンダー法について語る講義をする職に就くの
です。彼女が素晴らしいのは、話に余談がなく「核心」のみ
語っていることで、そこには多くの文献を読み、法律を
熟知して仕事に臨んでいることがうかがえます。
出典:IMDb
1973年、女性の空軍での処遇が憲法違反であると訴えた
案件から始まり、彼女は法の下の平等と市民権の獲得を
求めて活動し続けるのです。1975年には、男性の
一人親手当の取得を裁判で訴え、勝訴します。
それは「性差別は万人を傷つける」という信条に基づいて
おり、女性だけの権利を守るわけではないとわかります。
ここで肝心なことが出てきます。法廷ではどうしても
相手側からの「挑発」ともとれる主張が出されることが
しばしばで、それに対し、ルースは、母親の教え通り
「怒りを鎮める」ことに徹するのです。つまり同じ土俵に
上らないということですね。
出典:IMDb
カーター大統領時代に彼女は、DC巡回控訴裁判所の判事に
指名されます。その時夫マーティンは、
「二番手でも気にしない」と自らの職を辞してルースについて
行きます。彼女の娘や息子が語るには
「父は料理上手、母のせいでメカジキは食べられない」。
夫婦が互いの能力を認め合って、それを助け合う姿って
現代においてもそれほど見かけないですよね。
出典:IMDb
1993年、クリントン大統領時代には、マーティンは、
ルースを最高裁判事候補に売り込みます。自分の妻の能力を
一番知っているのは夫なのです。そして見事判事に決定
すると次々に「法の下の平等」を唱えて多くの裁判を
手掛けるのです。とはいえ最高裁判事で思想が全く異なる
仲間と交流がなかったかというとそうではなく、完ぺきな
保守派のスカリア判事とは、極めて近しい友人関係だった
とのこと。法の見解は異なっても、オペラなど共通の趣味が
あれば、私的には親しく付き合えるわけです。
これも素晴らしい。
出典:IMDb
映画内で空軍での男女の処遇格差に声を上げた女性が
「まともな女性は声を上げない」と言います。それはつまり
「わきまえた女性」思想につながるのではないでしょうか。
それを助長しているのが同じ女性も含まれていることに
もっと気づかなくてはいけません。
ルースはトランプとヒラリーが大統領を争った選挙で
トランプを「詐欺師」呼ばわりし、結局謝罪しています。
ある程度の地位、それも裁判官という立場からの発言と
しては、かなり問題視されるものかもしれません。それは
家で紅茶でも飲みながら言ったらよかったのでしょう。
映画を見終わってしばらく文字が書けず、とにかくルース
という人間のすばらしさとそれを支えてマーティンの
すばらしさに感銘しました。他者を納得させようと思ったら、
それはヒステリックな言葉ではなく、確固たる根拠に
基づいた少ない言葉で済むとも思います。
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[編集担当ヨネタニ・記]
今日から3月。日いちにちと春の気配が濃くなってきました。
せせらぎ出版ではリモートワーク中心の勤務体制が続いていますが
緊急事態宣言も前倒しで解除され、そろそろ通常にもどしてもいいのか……気になるところです。
*
さて。
新刊『ニチボーとケンチャナヨ 私流・映画との出会い方2』が好評です!
岸野令子:著/イラスト
著者・岸野令子さんは、映画の配給・宣伝会社「キノ・キネマ」の代表で
30年間にわたって、香港、釜山、全州、ベルリンなど、国内外の国際映画祭に参加し
時に赤字覚悟で良質な映画の配給・宣伝に情熱を注いでこられた方です。
発行日2月15日:バレンタインデーの翌日は、岸野さんのお誕生日でした!(パチパチ(*ˊᗜˋノノ*✭)
▲岸野さん(右)と韓国のイム・スルレ監督
「ニチボー」はロシア語、「ケンチャナヨ」は韓国語。
ともに「大丈夫」「心配ない」「気にするな」というニュアンスの言い回しで
おもにこのふたつの国の映画と、監督や俳優など映画人との交流が描かれています。
特筆すべきは、韓国女性映画人たちのめざましい活躍ぶりが紹介されていること。
イム・スルレ監督(上の写真)『私たちの生涯最高の瞬間』やチョン・ジェウン監督『子猫をお願い』の解説からは
儒教的家族規範の色濃い韓国で、女性映画人たちが映画という媒体を通して訴えてきたテーマの重さが感じられます。
生粋のフェミニストでもある岸野さんが鋭く世に問うコラム「映画にみるパターナリズム」
「続・パターナリズム〜グラン・トリノ」は、必読!
寅さんやクリント・イーストウッドに“男のロマン”を感じちゃっているオジサマがたに
ぜひ読んでいただきたいものです。
さっそく、2月20日に朝日新聞Web版「Globe+」で紹介されました!
https://globe.asahi.com/article/14203062
韓国在住映画ライターの成川彩さんがインタビュー記事にまとめてくださいました。
書籍の帯の推薦文も成川彩さんです。
装幀は、仁井谷伴子さん。
豊かな色彩感覚で、ロシアと韓国の特徴的な色、模様を融合させ
岸野さんがこよなく愛する猫のシルエットをあしらった、おしゃれでかわいい本になりました。
中のイラストは、岸野さんご本人が描かれたものです。
MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店5階「アジア映画ブックフェア」(〜3月30日、大阪アジアン映画祭協賛)と
映画書棚でも展開中です。
▲MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店5階「アジア映画ブックフェア」
▲平積みにしてくださっています!
ぜひ手にとってご覧ください!
*
せせらぎ出版では、新型コロナウイルスの感染リスク軽減のため
各種ご相談や制作進行のやり取りなど
メールや電話FAX、Zoomなどでも可能です
お気軽にご相談ください
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出典:youtube
「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」
監督:豊島圭介
2020年 日本映画 120分
1969年5月13日、東大駒場キャンパス
900番教室で、1000人の東大全共闘学生と
三島由紀夫の討論会が開催される。思想が両極端
と思われる話し合いだったが、次第に両者の中に
共通の認識があったことに気づかされるのだった...。
<お勧め星>☆☆☆☆ 思想信条が全く異なって
いても相手への尊敬を忘れない討論風景には感動
しました。
言霊を信じる
1960年、日米安保条約の改定を巡り国内では
混乱が続き、衆議院での強行採決をきっかけに学生
などを中心とした反対運動が盛り上がっていきました。
この年代のことはほとんど本やドキュメンタリー番組、
映画などで知ったことなのですが、1968年、5月、
フランスにおける「五月革命」、同年8月、
チェコスロバキアにおける「プラハの春」事件などを
知った若者たちは世界同時革命が可能ではないかと考え、
ベトナム戦争反対、大学改革反対、資本主義への反対
などをスローガンに日本でも学生運動がさらに
エスカレートしていったのです。
その中で全学共闘会議が設立され(通称全共闘)、当時
右翼、民族派を自称し、楯の会を主宰していた作家、
三島由紀夫を論破しようと、1969年、5月13日、
東大駒場キャンパス900番教室に彼を招いたわけです。
全共闘側の学生は約1000人、三島由紀夫を揶揄する
ポスターを見て、彼はその講堂に入っていきます。
三島由紀夫は60年代に入ると政治色が強くなり、反革命を
主張し、同時に自らの武術や体を鍛え、幾度となく主宰して
いる楯の会のメンバーと自衛隊に体験入隊しています。
この体験入隊というのがかなり過酷であることは、昔から
有名で、一時期新入社員の研修に使っていた会社もあった
ほどです。今でも行っているんでしょうか。
映画内では現在の元全共闘のメンバーや元楯の会に所属
した人、そして取材したテレビ局員や週刊誌記者などの
インタビューも挟み込まれます。
出典:youtube
物々しい雰囲気で始まった討論会は、冒頭の三島由紀夫の
10分間の演説を誰もみな静かに聞き入ります。実際、
全共闘側も楯の会側も、最前列に「もしも何か起きたとき」
のためのメンバーを座らせていたそうですが、それは全く
の杞憂に終わります。三島由紀夫は「言葉の有効性」を
主張し、学生たちが権力に反対するのは、相手側の
「眼の中に不安」があるからだと語るのです。そして
彼自身は
・当面の秩序を保つことが嫌い
・非合法の暴力の肯定
・反知性主義である
と言います。この3番目の「反知性主義である」という話は、
彼の存在の正反対のものだと思ってしまうのですが、
反知性主義の概念が、三島由紀夫の思想と通じるものが
あったのでしょうか。知識が浅く、ここは理解できません
でした。三島由紀夫は学習院高等科を首席で卒業し、
在学中に既に散文を書いて認められているのです。彼ほど
多くの本を読み、知識の豊かな人間が自分のことを反知性主義
であるというのは、どこに理由があったのでしょう。
出典:youtube
そして全共闘側の学生の一人は、つい「三島先生」と呼んで
しまい、聴衆の失笑を買います。その後乳児を肩車した
全共闘学生、芥正彦が論客となります。
出典:youtube
彼は現在も前衛劇団を主宰していて、当時の風貌と全く
変わっているとはいえ、唯一思想に変化のない人間です。
彼が主張する「解放区」については三島由紀夫もそれを十分
理解し、受け入れるわけです。この間に、遠くから
「殴れよ、俺は三島を殴りに来たんだよ」などというヤジが
飛ぶと、芥は「遠くからそんなこと言わずここに来い!」と
壇上に招きます。そのヤジの主の話にも耳を傾ける
三島由紀夫に姿には感動したというか、ヤジにヤジで返
すような下劣な姿を晒さない人間であると実感しました。
出典:youtube
この討論の最中、ほとんどの学生が煙草をくゆらせている
わけです。そしてショートホープを2箱持っていた芥は
すべて吸い尽くしてしまうと、三島由紀夫は4箱持っていた
ショートホープの1箱を彼に渡します。思想、信条は
ほとんど重なる部分はないし、芥のシニカルな質問に
イラついていたかもしれないのに、あくまでも
「相手への敬意」を忘れない姿にも驚きます。その芥も今でも
「三島には1箱借りがあるんだ」と語るほどです。
三島由紀夫は「あやふやな日本」を嫌い、神聖な天皇へ仕える
ことを心底考え、その後1970年、11月25日、
自衛隊市ヶ谷駐屯地で自衛隊員を前に演説した後、割腹自殺を
遂げました。この経緯は
「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」(2012)
で若松孝二監督が丁寧に描いています。
一方万博直後の日本では極左の連合赤軍が1972年に
あさま山荘事件を起こしています。これについても
「突入せよ!あさま山荘事件」(2005)と
「実録 連合赤軍あさま山荘への道程」(2008)
を見比べてほしいです。
あさま山荘事件後、全共闘は敗北へと向かいます。2000年に
国際指名手配されていた連合赤軍の最高幹部、重信房子が
大阪で逮捕された時に、誇らしげに手錠を掲げた彼女の風貌と
それに拍手や歓声を送る人々の姿が、すでに過去の人物に
なっていることを物語っていました。
しかし世界を変えようとした学生たちの熱情とそれに対し敬意を
払った三島由紀夫の姿は、決して同じ思想ではないけれど、
人間として本来あるべき姿なのではないかと考えています。
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JUGEMテーマ:ドキュメンタリー映画
出典:youtube
「日本人の忘れもの フィリピンと中国の残留邦人」
監督:小原浩靖
2020年 日本 98分
第二次世界大戦に日本が降伏した後、満州に置き去りに
され、中国人の養父母の育てられた中国残留孤児が多数
存在する。しかし対戦中、植民地下のフィリピンへ当時
の日本政府が率先して移住を推進し、現地女性と結婚で
授かった子供たちは、終戦後、日本人であることを隠し、
何の保護も受けられず極貧の生活を強いられている。
無国籍であるが故の貧困を断ち切るため、様々な証拠を
集め、彼らの日本国籍取得にために奔走する人々の姿が
描かれている。
<お勧め星>☆☆☆半 ドキュメタリーなのでやや単調
ですが、忘れてはいけない問題です。
司法が国を動かす。
1980年代後半には「中国残留孤児、涙の帰還」などと
センセーショナルな話題として取り上げられ、数十年の
時を経て再会する親子、兄弟、姉妹、叔父叔母などの姿が
テレビに映って、涙なしには見られなかったものです。
その孤児というのは、第二次世界大戦中、当時の満州に
開拓団として移住させられ、戦況の悪化により、関東軍が
撤退した後、置き去りにされた人々の子供のことで、日本
に引き揚げる際、ソ連軍の襲撃から逃れつつ、飢えと病に
苦しみ、中国人に子供を託すしかなかった日本人が数多く
いたのです。その親たちも全員が元気に帰国できたわけ
ではありません。映画内で中国残留孤児の語る自らの親の
最期は悲惨極まりないものばかりでした。幼い弟妹の餓死
する姿を涙を流しながら語る者もいます。
一方かつてアメリカの植民地だったフィリピンには3万人
の日本人が移住しており、現地の生活になじんでいたの
ですが、戦争が起こり、1941年に日本軍がフィリピンに
侵攻し、占領下に置くと状況は一変します。アメリカの
フィリピン奪回作戦は、フィリピン人の愛国心に火をつけ
ゲリラ作戦が開始されるのです。したがって日本人である
ことはアメリカはもとより祖国と思っていたフィリピン
からも「敵」とみなされます。日本人であることをひたすら
隠し、山中に逃げ込んだのです。そして日本が敗戦すると
さらに彼らの状況は悪化します。つまりフィリピン人でも
なく日本人でもない「無国籍」の人間は教育すら受けられず、
ただただん貧しい暮らしを送るしかなくなったのです。
それは彼らの子供、孫にも影響を及ぼします。
満州における残留孤児は最初に書いたように救済策が行われ、
幸運にも帰国できた人々もいました。しかしフィリピンの
残留邦人は「自らの意思で移住した」ということから、
中国残留孤児とは違うという考え方になるのです。
映画ではいかにして残留孤児問題が国を動かすに至ったかが
描かれます。そこには報道やNGOに力が大きく加わって
いました。しかし日本が景気の良かった時代が終わり、孤児
たちが高齢化すると新たな問題が起こるのです。つまり言葉
が十分に話せず(すでに習得できる年齢は過ぎていた人も含め)
安定した仕事につけない、さらには年金を支払った期間が
少ないためもらえるのはごくわずかであるということです。
彼らは「生活保護」は「日本人の血と汗」と言われ、できる
限り自力で生きようとしますが、あらゆる壁にぶつかります。
最終的には「生活保護で」と簡単に言ってしまうような人に、
彼らの葛藤が理解できるはずがありません。彼らをサポート
する弁護士たちは「残留孤児は棄民、それも3度棄民された」
と語ります。それは敗戦時に棄てられ、戦後過程でも
「居留民として定着するように」と棄てられ、帰国後は行政
のサポートが受けられないということです。この件について
全国で集団訴訟を起こし、勝訴したものもあれば敗訴した
ものもあり現在進行中です。
ところがフィリピンにの残留邦人に関しては、一切国が
関わっていません。彼らがゲリラから逃れるために日本人の
親を持つという証拠書類をほとんど棄ててしまったことは、
それを持っていたら殺されるという苦渋の決断だったのです。
そして当事者が高齢化し、亡くなってしまうことは
「問題の消滅」を意味します。映画内で幸運にも日本国籍を
得ることができた老女一家が映りました。家族は
「これで日本で働ける」と喜色満面です。しかし現在の
状況下でそれが実行できているのか、そもそもこの問題は
国が解決すべきものではないのかと深く考えてしまいました。
司法が国を動かすーそんな時代がずっと続いていくといいの
ですが。
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