JUGEMテーマ:不可解な事件・信じがたいこと・都市伝説
知る人は知っている、知らない人も知っているかもと思いますが、東京は奥多摩のその奥に鍾乳洞があるんです。まあ、いくつかあるんですが、有名なのは、日原鍾乳洞ですね。当時はそうではなかったのですが。なんとか村と言ってましたね。確か、八つ墓村だったかそのような名前だったと思うのですが、その頃読んだ推理小説と混同しているかも知れません。
真夏の下宿は、クーラーもなく暑いから、みんなで鍾乳洞に行こうということになりました、と思って下さい。無謀な空手部員がゴリ押ししただけなのですが、戦うと負けるのでしぶしぶ言うことを聞くこととなりました。「鍾乳洞は夏は涼しく冬は暖かいところなんだぜ」と空手部員が言いました。
懐中電灯を持って、私たちは、電車とバスを乗り継いで、数時間後、とある日原鍾乳洞に着きました。鍾乳洞に入ると、いかにも霊がおりそうな悪寒が私たちを襲いました。さすが八つ墓村。全員が何気なく後ろを振り向きましたが、白い影がふわふわと浮いているだけでした。「あれは、急に冷やされた空気に色がついたものなんだ」と空手部員が言いました。
途中から観光道をそれて、横穴に入ろうと言い出したのがいました。「横穴の方が涼しいんだぜ」。多分空手部員だったと思います。横穴に入ってみると、細いがずっと続いているように思いました。確かに横穴は湿っており何か涼しいような気がしました。これが、日頃の悪行の呪いであることを知る者はいませんでした。
そんなに進んでいないのに、思いもよらず、洞窟が通れないほど狭くなっていました。みんなで代わる代わる突破しようとしましたが、無理でした。これが、怨霊の仕業であることはあと数行で分かるのです。私たちは仕方がないので戻ることにしました。
運よく10分ほどでバスが来ました。私たちはバスに乘ろうとしましたが、「泥だらけの人は乗せない」と乗車拒否されました。私たちははっとして、お互いの姿を見ました。多分怨霊のせいでしょうが、バスの運転手の言う通り、不思議なことに私たちは泥だらけになっていました。「俺たちを乗せなかったらどうのこうの」と空手部員は絡んでいましたが、バスはさっさと行ってしまいました。
駅まで2〜3時間歩きました。空手部員がぶつぶつ言っている以外は、誰も口を聞きませんでした。私は乗車拒否されたショックで鍾乳洞の入洞料を払ったかどうか忘れてしまい、いまだに思い出せません。
奥多摩は怨霊がはびこる、深山幽谷の地です。
ぜひ行って頂きたいと思います。
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