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今日は「東北電力女川原発2号機の再稼働」と題して論説します。
下記は毎日新聞の記事です。
『毎日新聞 2020/11/11 15:55 女川原発2号機再稼働 宮城知事が地元同意表明 石巻市長、女川町長と会談
東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を巡り、村井嘉浩知事は11日、須田善明女川町長、亀山紘石巻市長との3者会談を開いた後、再稼働への同意を正式に表明した。東日本大震災で被災した原発の再稼働に対する地元同意の表明は初めて。
立地2市町と県の議会が既に再稼働を容認。県内35市町村の首長が集まった9日の会議では、3人の首長から反対意見が出されたが、3者会談の結果を「市町村長の総意とする」ことでまとまった。村井知事は来週にも、梶山弘志経済産業相に同意を伝える方針。
女川2号機は今年2月、原子力規制委員会の審査に合格。東北電は安全対策工事が完了する2022年度以降の再稼働を目指している。【深津誠】』
上記の通り、11/11に東北電力女川原発2号機の再稼働を巡って村井知事が、女川の須田町長、石巻の亀山町長と3者会談を行ったあと、再稼働への同意を正式に表明しました。
東日本大震災で被災した原発では初めての再稼働で、重大事故を引き起こした福島第一原発の事故と同じ、沸騰水型軽水炉(BWR)として全国初となりました。
私は度々、記事に書きますが、東日本大震災のとき、私は福島県いわき市に住んでいました。
当時は放射線、放射能の違いすら知識を持っておらず、大変怖い思いをしまして、会社の同僚、先輩らから心配のメッセージが多く送られて大変な状況でした。
そのあと、1946年のノーベル医学生理学賞の受賞者ジョセフ・ハーマン・マラー博士のハエの実験のことや、LNT仮設を知り、反原発が間違いであることを学びまして、いろんな思いがありますが、ようやく再稼働の合意ができたことを、私は大変うれしく思います。
また、この問題を語るうえでは、緊縮財政を推進する財務省のバカらしさを含めて、過剰自粛という愚行を抜きにして語れません。
なぜならば緊縮財政を推進するあまり、国が安全対策に関与しなければ、100%株式会社組織の東京電力が福島原発の安全のための念のための投資の費用を捻出することは難しいのです。
当時、福島県の福島原発は津波の想定が10mであり、宮城県の女川原発の津波の想定は15mでした。
法律的には10mの防潮堤があれば原発の稼働ができたため、福島県は法律に則って10mとしましたが、東北電力は念には念を入れて、さらに高くして防潮堤をかさ上げしました。
そのため、3.11では女川原発は12メートルの津波が来ましたが、防潮堤かさ上げによって被害を免れることができました。
地形的には女川原発と福島原発で距離はありますが、リスク環境は太平洋側ということもあって似ています。
一般的に100%株式会社となれば、いざという時の安全保障にお金をかけるのは難しいです。なぜならば100年に1回などのスパンで発生するものに備えるなど、利益追求の目的からすれば、100年に1回の頻度のためにかける費用というのは、積極的に費やそうならず、極力費用は削減したいとなるでしょう。
株主らも自分が配当をもらえれば・・・という価値観で考えれば、安全性を前提に・・・などと抽象論を語ることはできても、自らの配当を失ってでもいいので、利益が減ってもよいので念には念を入れての科学的に考えられる最大のモノを想定した投資をして欲しいという考えを、全ての株主が持つことは難しいでしょう。
せめて政府が建設国債を発行して資金の一部もしくは大半を負担するなどして、電力会社が安全に原発を稼働できるように環境を作ればよかったのですが、それもありませんでした。
その意味で東京電力だけを責めるのは間違っていると私は考えます。
念のためのリスクを考える場合、利益追求組織の株式会社がどこまで費用負担できるのか?これは答えが出ない問題です。
津波被害について考えれば東北電力は、やみくもに15mにかさ上げしたわけではなく、科学的に15mは起こり得るということを想定しました。
福島原発を抱える東京電力は、本来ならば東北電力に見倣って、科学的に津波の高さを予想して対策を講じるべきでしたが、そうしたことはお金がかかるということで無視し、それが責任問題となって経営者が責任を問われています。
とはいえ、科学的に検証した想定し得る津波の高さをとことん追求するには、政府の資金支援も必要だったのでは?という考えもあるのではないかと私は思います。
お金という側面でこの問題を考えると、緊縮財政も原因の一つではないか?というのが1つ目です。
2つ目はリスクゼロを考えすぎということです。
コロナのパンデミック問題も同様ですが、リスクゼロというのはあり得ません。
原発が危ないというならば、飛行機だって上空から落ちる可能性があり、自動車だって石油タンクなどに突っ込んで大事故につながったり、石油タンクを積んだトラックが横転して・・・などという事故は普通に起こり得ます。
それらを想定してリスクをゼロにすべきとなれば、現代の社会は成り立ちません。
そう考えますとリスクを測定した上で受け入れるという「リスクアクセプタンス」の議論も重要で、リスクをなるべく軽減させるための投資もまた政府が率先して行うことで、民間の投資を誘発し、経済成長につながるともいえるのではないでしょうか?
科学を駆使して科学的に想定できるものを想定し、それに対して備えるには長期なので政府が積極的に支援し、財政出動していく。これこそが資源がない日本が科学技術立国、科学技術大国として、国際社会の中で大国たり得るのに必要な条件であると私は思います。
そういう意味では女川原発の再稼働が、そのきっかけになればと私は思うのです。
というわけで今日は「東北電力女川原発2号機の再稼働」と題して論説しました。
女川原発は科学的に想定できる最大のモノ、物理学的、地学的にこれより大きなものはあり得る可能性はゼロではないとはいえ、十分想定される津波の高さとして防潮堤の高さを15mにしたことは大変立派だと思います。
とはいえ、株式会社組織の電力会社の全てが、それができるかといえば、最もコストが安い水力発電や、原油価格、為替動向に左右される火力発電所、安定供給されない太陽光などのエネルギー発電など、発電プラントのポートフォリオの状況によっては、その費用の捻出が難しい電力会社もあることでしょう。
そうした場合、小さな政府という発想ではなく、大きな政府として政府が積極的に資金を支援するということが、政府の役割でもあると私は思います。
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◆福島原発で放射能が危険と散々煽った人々は、風評被害の責任を取ってください!
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今日は「電力サービス、空港サービスなど、大災害時にサービスを維持するために赤字になっても復旧作業できるのは、どういう場合か?」と題して論説します。
1.発送電分離とは?
2.できない理由を並べる関西国際空港の運営会社「関西エアポート」に官邸が激怒!
上記の2つの小題に分け、2020年4月から始まる発送電分離と、コンセッション方式で民営化された関西エアポートについて、取り上げたいと思います。
1.発送電分離とは?
そもそも発送電分離とは何か?ご存知でしょうか?
発送電分離とは、発電会社と送電会社を分離させるということで、今の電力会社、例えば東京電力や北海道電力などの電力会社から発電所を切り離して別会社にし、送電会社は発電所を持たせないというルールのことをいいます。
重要なことは「発電所を持ってはいけない」という法律になっているという点、即ち法的に発電会社と送電会社を分離しているということが重要な点です。また適正な競争関係を確保するためという理由で、取締役の兼業禁止等の行為規制も課せられています。
この発送電分離によって、2020年4月以降、電力会社は「発電所を持たない」ということになります。
発電部門と送電部門が、それぞれ別会社になった場合、台風や大地震で停電した際に、速やかに復旧できるのでしょうか?という問題があります。
私は3.11のとき、福島県いわき市に住んでいました。福島県といえば福島原発事故が起きたわけですが、福島県いわき市は3.11のときに震度6弱、4.11にも震度6弱が発生しました。3.11のときは小名浜で10メートルの津波が来て亡くなった人々がいましたが、4.11のときも土砂崩れが発生して亡くなった人がいました。そんな経験もした私ではありますが、記憶ベースでは、停電があったか?記憶が定かでないくらいであり、停電については北海道胆振地震による全域ブラックアウトほどの印象は薄いです。むしろ水道が何回も断水したという記憶があり、風呂場に水を何回も貯めたりといった記憶はあります。それとて、復旧はスピーディーでした。東北では、断水の記憶はあっても停電の記憶はないくらい電力サービスは強靭だったといえるかもしれません。
電力の話に戻しますが、仮にも発電会社と送電会社が別々に存在しているという状態で、発電会社が倒れてしまった場合、送電会社は真剣に復旧活動をしてくれるのでしょうか?
残念ながら復旧活動はスピーディーにはできなくなるでしょう。なぜならば、今は電力会社が発電会社と送電会社の両方をもって経営しているため、電力がギリギリで安定的に供給して需要に応じている状況です。復旧がスピーディーなのは、発電所から配電盤まで一つの会社で統合されているため、コントロールしやすく、電力マンがプライドを持って復旧作業をすることが可能です。要は電力会社の社内で何とかしているというわけなのですが、発送電分離が始まりますと社内で何とかなるというレベルではなくなります。何しろ、電力会社が発電会社と送電会社に分離されてしまうからです。
これは原発再稼働問題と同様に、大変な問題です。そして2年後の2020年4月ということで、もう間もなく始まる状況であり、差し迫っているといえるでしょう。
2.できない理由を並べる関西国際空港の運営会社「関西エアポート」に官邸が激怒!
台風21号で関西国際空港が浸水したのは記憶に新しいかと思います。空港の島と本州を結ぶ連絡橋にタンカーが衝突して往来不能となり、3000人近い人々が孤立した事件です。
関西国際空港はコンセッション方式で、商流で一番上の事業の部分を民間企業が運営しています。民間は利益追求の株式会社組織であるため、あのような被害が発生したら、撤退を選択する可能性も十分にあり得ます。「頑張って連絡橋を復旧したとしても、それって利益になるの?」といわれたら、かなり困る話になることは容易かと思います。
参考までに、関西国際空港の民営化で運営権を受託したのは、フランス系の外資企業でヴァンシ・エアポート・ジャパン社とオリックスです。
外資系企業のヴァンシ・エアポート・ジャパン社は、災害発生時であっても日本の空港サービスを維持するために、赤字になってもお金をたくさんつぎ込んで頑張って復旧作業をするのでしょうか?普通に考えたら株式会社の立場であれば、損切撤退です。
今回の台風21号では、コンセッション方式やらPFIで「水道法改正」などの公部門を民営化させることにおける問題点が一気に噴出したといえるでしょう。
関西国際空港の大災害時における孤立状態は、以前から想定されていましたが、予算がないということで放置されていたものです。(関連記事「想定されていた関西国際空港の被害」)
事故当時直後は、政府が一日も早い暫定再開を求めたものの、ヴァンシ・エアポート・ジャパン社とオリックスの合弁会社の関西エアポートからは、スピーディーな暫定再開ができない理由ばかりが述べられたとのこと。当時、オリックス出身の山谷佳之社長は大量輸送できる鉄道の早期回復が必要と主張しましたが、鉄道の再開は早くて1か月以上はかかるとみられていました。実際は2週間程度で再開したものの、できない理由しか並べない政府がしびれを切らし、政府主導で早期復旧させたのです。
関西国際空港はインバウンドを担うインフラとなっていたこともあり、アベノミクスの成果に影響を与えかねないという懸念が政府主導となった理由です。
というわけで今日は「電力サービス、空港サービスなど、大災害時にサービスを維持するために赤字になっても復旧作業できるのは、どういう場合か?」と題して論説しました。
政府主導で早期回復となるならば、そもそも関西国際空港の運営を民間にやらせる必要はあったのでしょうか?関西国際空港のコンセッション方式も電力サービスの発送電分離も、災害がない、非常事態がないということを前提にしたものとしか言いようがありません。もし、災害がない、非常事態がないという前提に立つならば、ビジネスとして成り立つともいえますが、日本は世界屈指の自然災害大国です。
よくある論説に「民間の血を入れたらよくなる」という論説がありますが、そもそも「公務員がダメ!民間人は正しい!」というのは正しくありません。単に緊縮財政で予算が削減されて公務員が何もできないところに、民間企業や外資系企業が「私たちならば、〇〇なこともできますよ!」と営業しに来ただけの話。商業力だけの話であり、大災害時に赤字を覚悟で資金を投じてでもスピーディーな復旧ができるか?となれば、株式会社組織の利益追求では困難なのです。
竹中平蔵氏らが推奨したPFIやコンセッション方式は、まさにそこが盲点でした。と同時に「公務員がダメ!民間人が正しい!」という論調も緊縮財政の結果であって正しくないことを、多くの人々に気付いて欲しいと私は思うのです。
〜関連記事〜
◆北海道の泊原発が震度2の地震で外部電源が喪失したというウソ
◆北海道電力にブラックアウトの責任を押し付ける北海道の高橋はるみ知事の無能さ!
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◆ドイツのFIT廃止と日本のFITの現状と発電税
◆北海道電力(株)について(電気事業法第36条に基づく渇水準備引当金)
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今日は「プーチン大統領から提案されたロシアとの平和条約には反対!」と題し、論説します。
下記は産経新聞の記事です。
『産経新聞 2018/09/14 13:10 安倍晋三首相「11〜12月の日露首脳会談が重要」 平和条約締結に意欲
安倍晋三首相は14日、ロシアのプーチン大統領が領土問題などの「前提条件」抜きでの日露平和条約締結を提案したことに関し「(プーチン氏が)平和条約が必要だという意欲を示したのは間違いない。11月、12月の首脳会談は重要な会談になっていく」と述べた。
自民党総裁選に関する日本記者クラブ主催の討論会で語った。11〜12月に予定されているアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた会談が念頭にあるとみられる。
首相は「プーチン氏のさまざまな言葉からサインを受け取らなければならない。『とにかく平和条約ちゃんとやろうよ』と言ったことは事実だ」と述べた。同時に「日本は領土問題を解決をして平和条約を締結するという立場だ」と強調した。
首相は「『私の時代にやる』と言ったから前に進んでいく」とも語り、通算22回の日露首脳会談の成果について言及。総裁選で連続3選を果たせば次の任期中に平和条約締結を目指す考えを重ねて示した。』
上記記事に掲載の通り、9/14(金)に安倍首相が平和条約締結に意欲を示したというニュースです。
ロシア側から持ち掛けられた日ロ平和条約締結の提案は、その2日前の2018/09/12(現地時間で9/13)には、ウラジオストクで第4回東方経済フォーラムが開催されて安倍首相が出席し、その際プーチン大統領から安倍首相に対して、北方領土問題を事実上棚上げにして日ロ平和条約の締結を提案したのです。
日本政府は北方領土の帰属問題の解決が条約締結の前提という立場を崩しておらず、提案通りには応じない方針としていました。これは日本の立場としては当たり前のこと。領土問題が決着しない状態での日ロ平和条約の締結は、言語道断です。
なぜ北方領土が日本国有の領土であるといえるのか?北方領土についての史実を振り返ってみましょう。
1854年 日米和親条約締結 (※安政の南海地震津波が発生)
1855年 日露和親条約(日魯通行条約、日ロ通行条約、下田条約などともいう)締結 (※安政の江戸地震が発生)
1875年 千島樺太交換条約締結
1905年 ポーツマス条約締結
1951年 サンフランシスコ講和条約締結
1956年 日ソ共同宣言
※カッコ書きは本記事の内容と関連がありませんが併記しています。
【1855年 日露和親条約締結後の領土】
※樺太は、日本もロシア帝国もどちらも帰属していない
【1875年 千島樺太交換条約締結後の領土】
【1905年 ポーツマス条約締結後の領土】
【1855年 日露和親条約】
江戸幕府時代、1799年〜1800年にかけて北方領土のほか、千島樺太を含む蝦夷地を直轄地として日本人が開拓
日本とロシア帝国間で、平和的・友好的な形で日露和親条約を締結
自然に成立していた択捉島とウルップ島の間の国境をそのまま確認する
【1875年 千島樺太交換条約】
日本とロシア帝国間で、千島列島と樺太全島を交換する千島樺太交換条約を締結
樺太を放棄する代わりに千島列島(現在のウルップ島以北)を獲得する
【1905年 ポーツマス条約締結】
日本はポーツマス条約でロシア帝国から樺太南部を譲り受ける
【1951年 サンフランシスコ条約】
日本はサンフランシスコ条約で、樺太南部と千島列島(※)に対するすべての権利を放棄する
※千島列島とは「ウルップ島以北」を指し、択捉島・国後島・色丹島・歯舞諸島は含まれない
またソ連はサンフランシスコ条約に署名しておらず、条約上の権利を主張することはできない
【1956年 日ソ共同宣言】
日ソ共同宣言で、平和条約締結後にソ連が歯舞群島と色丹島を引き渡すという前提で平和条約の交渉を行う合意
しかしながら、以降北方領土についての何らかの現状変更はなく、現在に至る
ソ連は1945年8月9日に日ソ中立条約に違反して対日参戦し、ポツダム宣言受託後の1945年8月28日〜9月5日の間に北方四島のすべてを占領しました。その当時の四島はソ連人が一人もおらず、日本人は四島全体で約17,000人が住んでいましたが、ソ連は1946年に四島を一方的に自国領として「編入」し、1948年までにすべての日本人を強制退去させたのです。
史実を振り返れば、誰もが理解できると思うのですが、北方領土は少なくても史実で確認できる江戸時代の頃から日本の領土であり、ソ連に帰属したことはありません。1951年のサンフランシスコ条約で、日本は南樺太と千島列島を放棄したのは事実ですが、千島列島とはウルップ島以北を指し、北方領土は含まれないのです。
それだけではありません。サンフランシスコ条約の際には、既に冷戦に突入しており、ソ連とポーランドとチェコスロバキアの共産圏3か国は、署名しませんでした。サンフランシスコ条約に署名しない以上、ソ連は条約上の権利すら主張することはできません。
こうして史実を振り返りますと、ソ連は領土を泥棒のごとく盗んだというのが正しい認識です。プーチン大統領がそうした史実や立場を知っているのか否か?不明ですが、泥棒で国土を盗んでおきながら、経済協力を得るために平和条約を結ぼうというのは、あまりにもバカにしている話です。
日本政府の見解として菅官房長官は、今まで通り北方領土の返還・帰属があってこその平和条約といっていますが、「北方領土を横においてまずは年末に平和条約を結ぼう!」との呼びかけに対して、「極めて遺憾である!」とはいっていません。
失礼な呼びかけであって完全に舐められているといいくらい失礼にもほどがあります。
一部の安倍首相を持ち上げる識者らは、”安倍の外交”とか”外交の安倍”などと持ち上げる人がいます。日ロ首脳会談の際、「平和条約が締結されていない異常な戦後を、私(安倍首相)と大統領(プーチン)で終わらせる」といいました。安倍首相の意図としては、北方四島の返還をやってからその後という意図だったはずです。
それを逆手にとってプーチン大統領は、安倍首相が異常というなら、平和条約を締結しようというノリで発言したにすぎないでしょう。プーチン大統領ですら”平和条約締結”を口に出すことすらヤバイと思っていたかもしれません。しかしながら、安倍首相が平和条約を締結していない状態が異常というから、だったら平和条約締結について触れてもいいのでは?と思った可能性があります。
完全にプーチン大統領は軽く見ており、見下しているといえるでしょう。
プーチン大統領は、平和条約締結後に歯舞諸島、色丹島を引き渡すと発言。1956年日ソ共同宣言は、ソ連の最高会議と日本の国会で批准されたが、日本がその後に拒否したとも言及しました。
確かに日本が拒否したのは事実です。なぜならば2島だけではなく4島一括返還を主張したからです。拒否したという言い方で止めるのは、4島一括返還という日本の主張を意図的に無視した言い方であり、悪質です。
私たち日本人は、「4島返還以外平和条約の締結はできない」という主張を続けるしかありません。
というわけで今日は「プーチン大統領から提案されたロシアとの平和条約には反対!」と題して論説しました。
日ソ共同経済活動とも関係しますが、法律を作ってからやるべきことを、法律を作る前に仲良くやろうといっているのに等しく、仮にロシアの法律で共同経済活動を行うとしたら、北方四島がロシアの領土であることを日本政府が認めたことになってしまうのです。
識者と呼ばれる人の中には、「2島返還で妥協してもいいのでは?」という論説を述べる人がいます。これは史実を知らないばかりか、国益が何なのか?を理解しない愚民です。仮に国会議員の中にそうした人がいるとするならば、すぐにその職を辞していただきたい。日本の国益を損ねるからです。
そもそもなぜ日本は平和条約を締結しないか?といえば、平和条約を締結すれば領土問題が存在しないことを認めることになるからであり、国際的に常識な話なのです。