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今日はアメリカの南北戦争の歴史に触れ、グリーンバックという政府紙幣についてお話ししたく「アメリカの南北戦争時における政府紙幣発行と第16代エイブラハム・リンカーン大統領暗殺理由との関係」と題して論説します。
アメリカの南北戦争については、世界史で聞いたことがあるかと思いますが、1861年〜1865年の期間に行われたアメリカの国内の内戦です。
そして第16代エイブラハム・リンカーンといえば、黒人解放を宣言した大統領ということで有名です。
北がアメリカ合衆国、南はアメリカ連合国に分かれ、結果はリンカーン大統領率いる北のアメリカ合衆国が勝ち、南のアメリカ連合国は敗れました。
そのアメリカ合衆国が南北戦争で勝った要因の一つとして通貨発行権があることは、あまり知られていないのでは?と思います。
南北戦争における通貨発行権とはないか?といえば、グリーンバックです。
南北戦争ではリンカーン大統領が、グリーンバックという政府紙幣を発行したという史実があります。
グリーンバックは、1ドル紙幣で、裏側が緑色の紙幣であることから、そのように呼ばれています。
これはアメリカ合衆国の政府が発行した紙幣であるため、政府紙幣という言い方もします。
いずれにしてもアメリカ合衆国は、南北戦争の戦費調達の方法として、政府が紙幣を発行し、流通させました。
政府が紙幣を発行する場合、国債発行とは異なり、利払いが発生しません。
日本では通貨の供給は、政府の負債を増加、つまり国債を発行して日銀当座預金を信用創造(マネークリエーション)によってゼロからお金を創出し、そのお金を財政支出することによって、銀行預金が生み出される形で、通貨供給が行われ、マネーストックが増加します。
リンカーン大統領の政府紙幣発行は、日本の政府日銀の通貨発行とは若干プロセスが異なりますが、政府の負債が増加するという点、信用創造でゼロからお金を創出するという点では同じです。
今では米国は中央銀行のFRBが存在し、日本と同様にFRBが通貨発行します。
1861年当時、アメリカでリンカーン大統領が南北戦争で戦費調達が必要となったという背景をきっかけに、政府紙幣を発行したというのは、画期的な事実だといえるでしょう。
ところが、リンカーン大統領が暗殺された原因が、この政府紙幣であるグリーンバックの発行が原因なのでは?という疑義があります。
ディープステートと呼ばれる連中、いわゆる国際金融資本とも呼ばれる中で銀行家から見た場合、通貨発行は利権そのものに他なりません。
いろんな利権がある中でも、アメリカ国内における最大の利権とは、国債発行だといえます。
なぜならば国債を自分たち銀行家が買うことで、政府が支払う利息を受け取れるからです。
今日の米国では、国債を発行するとなれば、中央銀行のFRBが買います。
日本の中央銀行の日本銀行は、日本政府が55%の株式を保有する政府の連結子会社(会社法第2条3号の子会社の定義、会社法第2条4号の親会社の定義による)である一方、米国のFRBは同じ中央銀行でも、民間銀行の集まりであるため、米国政府が財政赤字を拡大させ、積極的な財政出動をするために国債を発行すると、発行された国債の利息は民間銀行が受け取ることになります。
日本銀行の場合も、日本政府が財政赤字を拡大して、積極的な財政出動をしますと、日銀が利息を受け取ります。
しかしながら、日銀の場合は、日銀法第53条5項によって、日銀の社費(従業員の給料など)を支払った残りの残金は、国庫納付することが義務付けられていまして、日本銀行の決算時には残金が政府に支払われます。
ここは大きな違いで、日本の場合は、日本政府と子会社の日本銀行の中でお金を回しているだけなのですが、米国の場合はFRBを構成する民間銀行の利息になるため、あくまでも民間銀行というプライベートな組織の収入になるという点がポイントです。
こうしたポイントを踏まえたうえで、1つ考えたいことがあります。
もし政府がどんどんお金を使うために、政府が国債をたくさん発行した場合、アメリカの場合は国際金融資本の銀行家で、その金利がたくさん入ってくるわけですが、政府に一番お金を使わせるものとは何でしょうか?
それは、戦争です。
戦争を行うことで、戦費調達のための資金需要は莫大に天文学的に増加します。
政府の借金の議論など関係なく、戦争に勝たなければ、侵略国に蹂躙されて略奪され、下手すれば主権がなくなります。
そのため、戦勝国、敗戦国に関係なく、戦争が起きれば、資金調達需要は上限なしに増大し、銀行家は儲かるのです。
FRBの構成員たる民間銀行は、国際金融資本の銀行家でかつグローバル組織であるため、銀行家が儲かったからといって、必ずしも米国人の利益になるわけではありません。
しかしながら戦争を勃発させ、戦線を拡大し、かつ期間が長くなればなるほど、国際金融資本の銀行家は儲かります。
何しろ通貨発行というのはインフレ率が制約になるとはいえ、通貨発行は物理的には無限にできます。
その利権は巨大で、その利権を止めたのがリンカーン大統領のグリーンバック紙幣の発行ということになります。
リンカーン大統領は、国際金融資本家によって暗殺されたのではなかろうか?との疑惑の理由は、ここにあります。
先述の通り、日本では日本銀行が中央銀行であり、政府が日銀の株式を55%保有し、財務省の所管となっています。
また、金融政策の決定は、金融政策決定会合という会議体で、日銀が独自の判断で行うことが、日銀法第3条1項によって定められています。
こうしたことを踏まえますと、日銀法第53条5項によって、日銀が金融政策の1つ、公開市場操作の買いオペレーションで銀行から国債を買ったり、あるいはETF(上場株式投資信託)やREIT(不動産投資信託)を買ったとして、その利息や配当金が日銀の収益となって多額だったとしても、必要経費を除いた残額が、全額国庫納付されるという仕組みは、米国のFRBという一部の人の利益になる仕組みと比べて、素晴らしい仕組みではないでしょうか?
米国のFRBが民間銀行の集合体であるという事実は、ほとんどの人が知らないのでは?と思うのですが、FRB設立の歴史を知りますと、通貨発行権の利権が巨大であり、リンカーン大統領暗殺の理由なのでは?という話も理解ができます。
と同時に、日本の仕組みは素晴らしいと私は思うのです。
というわけで今日は「アメリカの南北戦争時における政府紙幣発行と第16代エイブラハム・リンカーン大統領暗殺理由との関係」と題して論説しました。
ガソリン価格高騰、電気料金高騰の他、コストプッシュインフレに加え、さらなるコストプッシュインフレにつながるインボイス課税の導入と、岸田政権の財政赤字拡大は、安倍政権、菅政権と比べれば積極財政をしていますが、まだまだ不十分です。
そのため、通貨発行を躊躇なく行い、ガソリン税トリガー条項凍結解除や、消費税をいったん廃止したり、食糧費高騰分を補填するなど、政府がやるべきことはたくさんあります。
にもかかわらず、通貨発行権の行使を躊躇するのは、頭の中に「借金=悪」ということと、その借金を返済するために国債発行を増やすというのが不道徳なものと考えているからではないでしょうか?
これは英国と第2次100年戦争を争ったナポレオンが公債発行を不道徳と考えたことと同じです。
第2次100年戦争の相手国の英国が1694年にイングランド中央銀行を設立し、金本位制を捨てるべく1797年の英国の銀行制限法によって、当時の経済成長率で2.6%近くの成長率を続けて繁栄を謳歌し、戦費調達を自由に行ったことで軍事拡大したことで戦況を有利に進めてナポレオンを滅ぼした歴史について学ぶべきです。
さらに南北戦争では、リンカーン大統領が通貨発行権を行使してアメリカ連合国を滅ぼしたものの、その通貨発行権を独占したかった国際金融資本家らによってリンカーン大統領が暗殺された可能性があるということも知っていただき、通貨発行権という権利が国家主権でいかに重要なものなのか?日本政府と日本銀行との関係と合わせ、理解を深めていただきたいと私は思います。
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今日は「”他国の富を収奪して侵略を繰り返したナポレオン”と”1797年に銀行制限法を制定させて金と兌換停止した英国”の国家財政」と題して論説します。
私は過去に2回ほど、1689年に勃発した英国とフランスの第2次100年戦争について取り上げています。
この第2次100年戦争は、いま日本で問題になっていることで、例えば、
●防衛費増額とその財源をどうするのか?
●国家の経済政策と財政運営はどうあるべきなのか?
●MMT理論に見られるように、金や銀や外貨準備高といった裏付けがなく通貨発行権の行使することは不道徳なことなのか?
などなど、こうしたことを議論する場合に、非常に参考になる史実だといえます。
そこでですが、以前もご紹介したことがあるのですが、史実を並べてみてみましょう。
1688年 英国名誉革命
1689年 英国とフランスで第2次100年戦争勃発・・・★
1692年 トンチン年金国債の発行開始
1694年 英国イングランド中央銀行設立(世界で初めて中央銀行が設立)・・・★
1789年 フランス革命
1793年 ルイ16世とマリーアントワネットがパリ東駅のコンコルド広場でギロチン処刑
1796年 ナポレオン戦争が勃発(1815年に終結)
1797年 英国で銀行制限法を制定・・・★
1800年 ナポレオンがフランス銀行を設立(1803年から中央銀行になる。)
1805年 アウステルリッツの戦いでナポレオンがオーストリア・ロシア連合に大勝利
1812年 ロシア遠征でナポレオン軍がロシアに攻め入る
1815年 ワーテルローの戦いでナポレオンが亡ぼされて、第2次100年戦争終結・・・★
1689年に勃発した第2次100年戦争では、立憲王政の英国と絶対王政のフランスのルイ14世で戦いが始まります。
その第2次100年戦争の最中、1796年にナポレオン戦争が始まり、英国は翌年1797年に銀行制限法を制定します。
なぜ英国は銀行制限法を制定したか?といえば、1694年に英国イングランド中央銀行を設立後、万年筆マネーで通貨発行できるようになったものの、金との兌換を前提とした通貨発行、いわゆる金本位制であり、金本位制ではフランスと戦争に勝てないと考えたからです。
フランスは当時、金を国内に流入させる政策を展開したため、英国のイングランド銀行が保有する金が著しく減少し、金本位制を破棄しなければ、通貨発行ができない状況に追い込まれようとしていました。
そこで英国はやむを得ず、イングランド銀行券と金の兌換を停止します。
世界は非常時に金本位制を捨て、平時には金本位制に戻るという歴史の変遷がありますが、今は金本位制ではありません。
そのため、金価格は通貨で変動しているのですが、これは1971年のニクソンショック以降、管理通貨制度となり、金本位制ではなくなったので、政府は通貨発行はいくらでも実施することができ、インフレ率を見ながら通貨の供給量を調整しているのです。
転機はニクソンショックでしたが、大東亜戦争後、世界的に好景気で日本も高度経済成長の歴史を歩んでいますが、欧米も経済が好調で対米貿易黒字が積み上がり、米ドル紙幣が大量に積み上がりました。
1944年のブレトン・ウッズ体制から始まった金ドル本位制で、ドルは1オンス=35ドルの固定相場で、金と兌換できたものの、貿易黒字で大量に米ドルを抱えた欧州諸国が米国に対して、保有する米ドルを金と交換できるのか?という疑問を持ち始め、当時のニクソン大統領が米ドル紙幣と金との兌換を中止しました。
この出来事をニクソンショックと呼んでいます。
1971年のニクソンショックも、1797年の英国の銀行制限法もそうなのですが、意図して金本位制を辞めたわけではなく、環境がそうせしめたという点で共通しています。
1797年の英国の銀行制限法は、ナポレオンが金をフランス国内に流入させたことで、金の保有が減少するという状況になったため、英国政府は銀行制限法によってイングランド銀行券と金の兌換の停止に踏み切らざるを得なくなったのです。
銀行制限法を制定後、英国は金保有に関係なく、1689年に設立されたイングランド銀行が不換紙幣を増刷しきたことで、戦費の調達を思うように可能となり、これは金融緩和の効果も生み出しました。
意図せざるケインズ主義的なマクロ経済政策を始めた英国は好景気を謳歌。1970/12/18(昭和45年12月18日)に経済企画庁(今の経産省)によって編集された年次世界経済報告(新たな発展のための条件)によれば、1790年〜1820年の間、英国のGDPは年率換算2.0%で、その頃では経験のない経済成長率を遂げていました。
フランスは1789年のフランス革命以前、国民所得は1億3000万ポンド程度だったのですが、英国は1814年には4億ポンド近くまで増大しています。
フランスは当時、金融システムが英国より遅れていて、公債による戦費調達ができなかったため、軍事費に厳しい制約を課していましたが、これは今の日本のプライマリーバランス黒字化目標、あるいは財政規律を求めていたのと同じ状況だったのです。
しかもナポレオン自身が、公債発行を不道徳的で秩序破壊的であるという偏見を抱いていたため、英国のような財政赤字拡大に消極的で、不換紙幣の発行も拒絶してました。
そのため、他国の財産没収という手段でしか、国家財政を支えることができなくなったため、他国の富を収奪するために侵略を繰り返し、1812年のロシア遠征まで破竹の勢いで侵略を続けています。
1812年のロシア遠征は、ナポレオン軍のモスクワ遠征といわれましたが、きっかけはロシアのアレクサンドル1世が、ナポレオンの大陸封鎖令に反して、英国に穀物の輸出を続けていることに対する制裁として、ナポレオンが始めたものです。
ところが、冬将軍と呼ばれる冬の寒気に加え、食糧不足とゲリラ襲撃に悩まされて敗退。ロシア遠征を機にナポレオンは守勢を極めることになります。
それでも英国と異なり、他国の財産没収する以外に、国家財政を支えられないということで疲弊。逆に財政赤字拡大をもろともせず、1797年の銀行制限法によって軍事拡大のための戦費調達を思うがままにできた英国は、最終的に1815年のワーテル・ローの戦いでナポレオンを滅ぼし、第2次100年戦争は終結。英国の勝利となります。
その後、英国は覇権国家としての地歩を固めていったのです。
読者の皆さんは、
●他国の富を収奪して侵略を繰り返したナポレオン
●1797年に銀行制限法を制定させて金と兌換停止した英国
どちらを支持したいと思われるでしょうか?
というわけで今日は「”他国の富を収奪して侵略を繰り返したナポレオン”と”1797年に銀行制限法を制定させて金と兌換停止した英国”の国家財政」と題して論説しました。
第2次100年戦争の史実を通して私たちが学ぶべきことは、財政破綻を煽って赤字国債発行を躊躇し、輸出で稼がなければ・・・と他国の雇用と所得を奪うのが、さも”あり姿”のように語る有識者どもは、敗北したナポレオンをそっくりではないか?ということです。
世界はコロナパンデミック以降、財政赤字拡大に転じ、あのケチケチのドイツですらプライマリーバランス規律を2020年3月に捨てています。
ところが我が国は誠に愚かしいことに、今もなおプライマリーバランス黒字化に固執し、苦しむ日本国民を救おうとしない現状があります。
第2次100年戦争の最中、英国の1797年の銀行制限法が歴史を決定した一因であると考えれば、プライマリーバランス黒字化に固執し続けることは、世界における日本の地位の低下に拍車をかけることになるものと、私は危惧するのです。
〜関連記事(ナポレオンが滅びた理由)〜
◆”国債を増刷して財政赤字を拡大することは不道徳である”と思う人は、公債増刷を不道徳なものと嫌って英国に滅ぼされたナポレオンと同じです!
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財務省は、あの手・この手を使い、いろんな方法を使って日本の緊縮財政が継続する構造を作り上げてきました。
そのうちの一つはPB黒字化(以下「プライマリーバランス黒字化」)ですが、それ以外にも国債の減債・60年償還ルールというものがありまして、これらはグローバルスタンダードではなく、日本が独自に実施していることであり、これらが日本の経済成長を阻害しているといっても過言ではありません。
そこで今日はこのことについて触れたく「PB黒字化、国債の減債・60年償還ルールを捨て去らないと北京五輪後に台湾有事発生した場合は防衛税の徴収へ!」と題して、下記1〜3の順で論説します。
1.PB黒字化=プライマリーバランス黒字化
2.国債の減債・60年償還ルール
3.特別会計法第42条第2項と財務省設置法第3条の後ろ盾
1.PB黒字化=プライマリーバランス黒字化
プライマリーバランス黒字化とは何か?といえば、歳入−歳出>0(プラス)ということで、歳入−歳出<0(マイナス)は赤字となるとしたうえで、歳入−歳出>0(プラス)にするということです。
家計簿で考えれば、収入の中から支出するように家計を運営することであり、企業経営であればキャッシュフローの中から支出するように企業経営をすることと同じです。
家計簿や企業経営では黒字の方が望ましいのはいうまでもありませんが、政府は黒字であることは不健全です。
なぜならば「政府の黒字=民間の赤字」であり、「政府の赤字=民間の黒字」だからです。
このことは既に2020/04/27に成立した安倍政権の2020年度第一次補正予算において25.7兆円の赤字国債を発行し、そのうち12.1兆円を使って一律10万円給付のイベントで実証済みです。
政府が赤字国債発行した12.1兆円によって、皆さんの預金口座が10万円増加したのであって、集めた税金で10万円を給付したものではありません。
もし政府が黒字を目指すとなると、増税という形で皆さんの預金口座からお金を徴収、もしくは所有している不動産や株式を売却して捻出したお金を増税するか?もしくは支出削減で、河川堤防や防衛などの公共事業費削減、公務員削減、医療費介護費削減で、政府部門の支出削減となり、国民へのサービスの低下となります。
このようにプライマリーバランス黒字化は、国民を貧困化させるだけであり、何の利益ももたらしません。
また資本主義というものは、誰かが負債(=借金)を増やさない限り、経済成長しないということを理解すれば、プライマリーバランスは赤字化していることの方がむしろ健全であるということも理解ができるでしょう。
負債を増やす誰か?を考えた場合、デフレでは個人が借金を増やすことは返せなくなるのでローンは組まない人が増え、住宅や自動車購入といった消費が抑制され、企業もまた借り入れた資金を返せなくなるリスクがあることから負債を増やせません。
一方で政府だけは唯一、負債を増やし続けることができる主体であり、その政府が黒字化を目指すことに何の意味もありません。
もし政府が黒字を目指すとなれば、増税するか、支出を抑制して経済のパイが拡大することが抑制、即ち経済成長の抑制を目指すということであり、貧困化を目指すということと同じになるのです。
2.国債の減債・60年償還ルール
国債の減債とは何か?といいますと、国債の発行残高を減らすことです。
60年償還ルールとは何か?といえば、建設国債や特例国債の償還について、借換債も含めて60年経過後に償還し終えるというルールです。
こうした国債の減債、国債の60年償還ルールというものは、世界標準ではなく、日本が独自に定めたルールです。
こうしたルールがあるために日本では何が起きているのか?といえば、財務省のホームページでは、財政破綻を煽ったグラフが掲載されています。
<2021年度予算・一般会計歳出総額の内訳>
(出典:財務省のホームページ)
上記は財務省のホームページに掲載されている円グラフです。
この円グラフの赤色の部分は国債費となっていて、歳出総額の22.3%(23.8兆円)を占めているということが、一目でわかるグラフになっています。
その他、社会保障費33.6%(35.8兆円)、地方交付税15.0%(15.9兆円)、公共事業5.7%(6.1兆円)・・・となっています。
国債費が歳出の1/4を占めているというこのグラフ表記は、決して世界標準ではありません。
このようなグラフとなってしまう理由としましては、国債費23.8兆円の中に、償還費用が含まれているからです。
具体的には、前年度の期首国際総額(額面金額の残高ベース)の1/60(約1.6%)を、一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れることになっていまして、特別会計法第42条第2項に基づき、国債の発行残高の1/60に相当する数値を償還費用の一部として国債費に入れています。
2020年度、2021年度と、新型コロナウイルス対策のために大量の国債を発行しましたが、それに伴って国債残高が増えたため、国債費が増えました。
しかしながら、歳出総額に含めている国債費とは、反対側で歳入総額に国債発行して通貨発行した金額や借換債でスライドした金額が含まれていて、国債費といっても借り換えているのが実態であるため、利払いの費用だけを入れるというのが世界標準です。
欧米では利払費用だけを記載するのに、日本だけは償還費用を国債費に含めることで、国債発行関連費用が相対的に大きく見える円グラフが出来上がります。
もし日本も欧米と同様に国債の利払いだけ表記する円グラフになれば、財務省のホームページに記載の円グラフとは全く異なり、赤色の国債費がずっと小さくなる内訳グラフが出来上がるでしょう。
日本の財政は利払いだけにした場合、マイナス金利で他国と比べて金利が低いため、利払い費は相対的に安いのです。
仮に利払い費だけの円グラフを財務省がホームページに載せてしまうと、国債発行残高1000兆円が何の問題もないということが、バレてしまいます。
なぜ償還費用を含めるか?といえば、国債費を膨らませたいからであって、理由は、財務省がこれまで財政破綻を散々煽ってきたことが全部デタラメ・ウソとバレてしまうからであると私は思います。
そのために国債費を膨らませて「日本は借金でこんなに費用が掛かっている!」と煽って、デタラメ・ウソを隠蔽しているとしか考えられません。
3.特別会計法第42条第2項と財務省設置法第3条の後ろ盾
財務省がなぜこんなことをするのでしょうか?
プライマリーバランス黒字化目標は閣議決定で決まりますが、償還費を含めているのは、特別会計法第42条第2項と財務省設置法第3条という法律の後ろ盾にしているからと考えられます。
60年償還ルールは世界標準でなく、日本独自ルールとはいえ、特別会計法第42条第2項という法律に基づいた表記だと言われてしまえば反論が難しいですし、財務省設置法第3条は、「健全な財政の確保」が任務であるとして、60年償還ルールを含めて法律に従っていると考えていると思います。
<財務省設置法における任務と所掌事務>
(出典:財務省のホームページ)
本来、国債費に入れる必要がない償還費を入れることが、不要なプライマリーバランス黒字化目標を後押しするのであれば、特別会計法第42条第2項の60年償還ルールは速やかに廃止し、財務省設置法第3条については、「国民を豊かにすることを目的に・・・」などの文言を追記するべきであると私は考えます。
そもそもなぜ他国は償還費用を入れないか?といえば、借換することが当たり前だからです。
資本主義国は負債を増やし続けない限り国家は成立しないことを理解しているのです。
日本も実態は借換をやっていますが、ただ借金で破綻すると煽りたいだけのために、償還費用を国債費に含めています。
また国債の発行残高を減らす減債については、減債する分のお金を国民から奪わなければ実現しません。
減債は国民貧困化・発展途上国化に他ならず、他国はそれを理解しているがゆえに、償還費用を国債費に含めないで利払い費だけを含めているのです。
日本の場合は、特別会計法第42条第2項によって、60年償還ルールが独自に存在するため、プライマリーバランス黒字化目標と相まって減債を目指しています。
即ち国債発行残高を減らすということです。
減債が間違っていることを理解している諸外国は、減債もせず、プライマリーバランス黒字化も目指しておらず、国債は無限借換であるために、償還費用にも含めないのも、いわば当然のルールとしています。
こうした事実を、多くの人々が知ると、財務省の職員がいかに賢いか?と同時に、国民を貧困化させるとは知らずに、健全な財政運営を実現するために頭脳を使って日本の為になると思ってやっているので、質が悪いといえるでしょう。
このままプライマリーバランス黒字化、国債の減債・60年償還ルールが存続した場合、北京五輪後に台湾有事が発生した場合には、防衛税を徴収するとか、消費税を20%にするなどの増税政策が打たれる可能性が極めて高いものと私は危惧いたします。
というわけで今日は「PB黒字化、国債の減債・60年償還ルールを捨て去らないと北京五輪後に台湾有事発生した場合は防衛税の徴収へ!」と題して論説しました。
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今日は「エネルギー価格上昇によるコストプッシュインフレはデフレを促進させます!」と題して論説します。
私はデフレ・インフレについて議論することが多いのですが、学説的には総需要過不足説と、貨幣量説があり、私は前者の立場を取ります。
総需要過不足説とは、需要が不足していて「需要<供給」の状態をデフレと呼び、このときの”供給−需要”の数値をデフレギャップ幅と説明しています。
需要が旺盛で供給能力を上回っている場合、概念的には「需要>供給」で、”需要−供給”の数値をインフレギャップ幅と説明しています。
インフレギャップ幅だけ概念的と注釈をつけるのは、インフレギャップ幅というのは計算ができないためです。
供給力をMAXの状態、即ち、日本国内の工場は全て100%稼働し、失業者もホームレスもいない状況で100%仕事に就いていて、その場合のMAX供給量よりも、モノ・サービスが売れるということは物理的にあり得ないからです。
ただ概念的とはいえ、需要>供給をインフレギャップといい、需要<供給をデフレギャップと呼んでいて、この考え方を需要過不足説といっています。
一方で貨幣数量説は、マネタリーベースを増やせば、即ち日銀が国債を発行しまくれば、インフレになるという考え方で、デフレのときは貨幣の量が少ないとする考え方です。
この貨幣数量説は明らかに間違っていることは、第2次安倍政権のアベノミクスが証明しています。
アベノミクスでは第2の矢の国土強靭化について、2013年度こそ拡大させたものの、2014年度以降は、公共事業も増やさず、消費増税を始めとする緊縮財政に転換しました。
それでも金融緩和をやればインフレになるとやってきましたが、我が国は依然デフレのままです。
ところが、大手メディアは、そもそもどうなればインフレなのか?どうなればデフレなのか?ちゃんと理解していないのでは?と思える経済記事が多い。
日本経済新聞など、”経済”の名前を取った方がいいと思えるくらいです。
そんな日本経済新聞の記事をご紹介します。
『日本経済新聞 2022/01/22 02:00 インフレ率、春2%視野 資源高が暮らしに波及
資源高や供給制約を背景に食品など生活必需品の値上げが相次ぐ。足元は消費者物価指数の内訳の6割近い品目が上昇。物価上昇率は携帯値下げの影響が一巡する春に2%に迫る見通しだ。現状では米欧に比べ需要の回復や賃上げの動きは鈍いため、コスト増が先行する「成長なきインフレ」が家計の重荷になる懸念もくすぶる。
総務省が21日発表した2021年12月の消費者物価指数は変動の激しい生鮮食品をのぞき前年同月比0.5%上がった。11月に続き、新型コロナウイルス禍前の20年2月以来の伸びが続く。マイナス圏に沈んだコロナ後の流れが変わってきた。
裾野も広がる。1月は232品目(44%)だった上昇数が12月は298品目(57%)に増えた。
消費現場の景色も以前と異なる。大塚食品は21日、レトルトカレーの一部で希望小売価格を4月から一律10円上げると発表した。主力の「ボンカレーゴールド」は約6年ぶりの値上げだ。同日、日本ミシュランもタイヤ出荷価格の2年7カ月ぶりの値上げを発表した。それぞれ原材料や物流コストの高騰に対応する。
中古車競売大手ユー・エス・エス(USS)がまとめた21年12月の平均落札価格は前年同月比21%高い93万2000円だった。半導体不足による生産調整で新車販売が鈍っていることが背景にある。担当者は「3〜4月は新学期もあり需要が強くなる。高値の傾向が続きそうだ」とみる。
世界的な需給のひずみが顕著にあらわれているのは食品価格も同様だ。雪印メグミルクは10月から油脂製品を1.9〜12.2%値上げした。マーガリン「ネオソフト」(160グラム)の希望小売価格は税抜き175円から190円に上がった。天候不順で原料の大豆などの減産が懸念される一方、中国などの需要増で国際価格が急騰している。
インフレはさらに進む公算が大きい。SMBC日興証券の牧野潤一氏は22年4月の物価上昇率が生鮮食品を除いて1.7%程度になると見込む。「足元で資源価格が再び上昇しており、エネルギーが物価を押し上げる傾向が続く」と予測する。
電気代は12月に13.4%と40年9カ月ぶりの上昇幅を記録した。灯油やガソリンも2桁の上昇が続き、幅広い分野に影響する。マグロは輸送費の上昇が響き16.4%上がった。ビニールハウスで栽培する作物は暖房費などがかさむ。トマトは17.3%上昇した。
日本ならではの政策要因だった携帯値下げの影響は春にはがれ落ちる。12月は携帯通信料が53.6%も下がり、約1.5ポイントの大きな下落要因だった。この分をのぞけば、足元の物価上昇率も政府・日銀が目標としてきた2%に迫る計算になる。
それでも米欧ほど物価上昇圧力は強くない。12月のインフレ率は米国が7.0%と39年半ぶりの高さ、ユーロ圏は5.0%と統計を遡れる1997年以降で最大だった。
日本の勢いが比較的弱いのは需要の鈍さがある。経済協力開発機構(OECD)の見通しによると、21年の実質成長率は米国が5.6%、ユーロ圏が5.2%に達する。日本は1.8%にとどまる。賃金上昇率も米国の5.8%、ユーロ圏の3.9%に対し、日本は1.3%と見劣りする。
賃上げがインフレに追いつかなければ家計の購買力は高まらず、物価の安定的な上昇は見込みにくくなる。この点で日本の先行きは不透明だ。
2%程度のインフレが長引いた場合、予期せぬ形で利上げなどの引き締め議論が急浮上する可能性がある。超低金利に浸ってきた市場や企業は利上げの備えが乏しい。金融政策は難しいジレンマに陥る可能性がある。』
上記記事の通り、エネルギー価格の上昇などを背景に、レトルトカレーのボンカレー、マーガリンなど値上がりするとし、電気料金が12月に13.4%上昇し、灯油・ガソリンも2桁上昇、輸送費も上昇ということで、ありとあらゆるところでコスト上昇による物価上昇の現象が出てきています。
この状況は、コストプッシュインフレの様相であって、日本国民の賃金UPにつながるインフレではありません。
日本では石油、LNGガスといった資源がないということ。特に石油、LNGガスはほとんど輸入で、かつ80%相当は中東諸国からの輸入に頼っています。
原子力発電所を止めているだけで、中東諸国は日本に対して足元をみて、石油・LNGガスの価格を引き上げてきました。
この価格上昇分は、当然に製品に転嫁されます。もし転嫁しない場合は、日本のサプライチェーンの下請け企業など、どこかで自社の利益を削って我慢しなければならないということになります。
そうすると賃金UPの原資が減ります。
つまりエネルギー資源の価格高騰でインフレになっても、日本の場合はほとんどを輸入に頼っているために、賃金UPにつながらないどころか、デフレを促進させてしまうことになるのです。
エネルギー価格が高騰して、価格に転嫁しても、賃金が伸び悩んでいる以上、モノ・サービスの買われる個数・回数が減り、結果、値下げしたとしても原価に含まれるエネルギー価格については、下げることはできないのです。
エネルギー価格の上昇した分は、カタールやイランなどの中東諸国の政府や国王の貯金が増えるだけであって、日本国民の富につながらないのです。
にもかかわらず、日本では物価目標について、コアCPIというエネルギー価格の価格変動を含む指標で2%目標を立てていました。
私は数年以上前から、この矛盾に気付いていまして、コアコアCPIでみるべきであると考えておりました。
CPI=Consumer Price Indexで、和訳すると消費者物価指数といい、3種類あります。
?CPI=消費者物価指数(エネルギーと生鮮食品の価格変動を含む)
?コアCPI=生鮮食品の価格変動を除く消費者物価指数
?コアコアCPI=生鮮食品とエネルギーの価格変動を除く消費者物価指数
上記の通り、コアコアCPIで消費者物価指数をウォッチしていれば、エネルギー価格が上昇したとしても、物価がどうなったか?分析しやすいです。
一方でコアCPIの場合はエネルギー価格の価格変動を含むため、ホルムズ海峡に機雷がまかれて封鎖とでもなれば、たちまち石油価格は上昇し、物価が上昇して2%達成してしまうということも普通にあり得るでしょう。
直近では総務省が消費者物価指数について、2021年12月末まで公表しています。
<消費者物価指数の推移:単位「%」>
(出典:総務省Slat)
上記は2019年1月からの指標をグラフ化したものですが、2020年3月までは、2020年4月にコアCPIがマイナスに沈む以外はプラス圏を推移していますが、それでも2%に達していません。
ところが、2021年9月頃から、普通のCPI(青色折れ線グラフ)、コアCPI(オレンジ色折れ線グラフ)がマイナスからプラスに浮上し、なお右肩上がりに上昇しようとしていますが、これは原油価格高騰が原因です。
一方でコアコアCPI(灰色の折れ線グラフ)は低迷し、マイナス圏に沈んだままです。
しかしながら、直近2021年10月〜12月を見て見ますと、コアコアCPIがマイナス圏で横ばいなのに対して、普通のCPI、コアCPIは上昇に転じて、コアコアCPIとの差が開いていることから、今後、消費購買力がない状況下のコストプッシュインフレが進行しますと、実質消費、実質GDPの指標が悪化し、デフレ促進が鮮明になっていくでしょう。
にもかかわらず、日本経済新聞の記事では、そのことがほとんど触れられず、日本は他国と比べて需要の伸びが鈍いとだけ報じ、記事の最初の方では春にも2%に達成する見通しとして、あたかもアベノミクスの2%目標が達成しそうであるということさらっと報じています。
そもそもコアCPIで物価目標2%を立てることがいかに無意味なことなのか?資源がない日本にとって、エネルギー価格の上昇は、資源を日本に輸出している中東諸国の政府、国王のお小遣いが増えるだけであり、賃金上昇につながりません。
さらに内需主導の需要拡大で財政赤字拡大をやらない日本では購買力がないため、コストプッシュインフレはデフレを促進するだけであるということを問題点として報じるべきです。
そのことを触れない日本経済新聞の経済担当の記者は、まるで白痴者と言わざるを得ないでしょう。
というわけで今日は「エネルギー価格上昇によるコストプッシュインフレはデフレを促進させます!」と題して論説しました。
アベノミクスの第2の矢で、国土強靭化をずっと継続して、毎年20兆円ぐらいの赤字国債を発行していれば、この7年間で140兆円程度、公共事業に費やすことができたといえ、そのお金で北陸新幹線を関空まで整備したり、リニア中央新幹線を完成させたり、青函自動車道で海底トンネルを作って生産性が向上したり、ダムを作って自然災害から国民の生命・財産を守ることができたかもしれません。
そう思うと悔しい限りですが、今からでも遅くないので、物価目標2%をコアコアCPIに改め、デフレギャップ幅が大きいことを再認識して財政出動に転じる政策をお願いしたいと私は思うのです。
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今日は「令和3年度補正予算を評価・総括する!」と題して、令和3年度補正予算について論説します。
下記は日本経済新聞の記事です。
『日本経済新聞 2021/11/26 10:23 追加歳出、過去最大35兆円 21年度補正予算案を午後決定
政府は26日午後の臨時閣議で2021年度補正予算案を決める。経済対策の事業費などで一般会計の追加歳出は35兆9895億円と補正予算として過去最大となる。21年度の一般会計の歳出総額は当初予算から3割増の142兆円に達する。新型コロナウイルス対応で3度の補正予算を組み、過去最大の175兆円となった20年度に次ぐ巨額歳出となる。
追加歳出のうち31兆5627億円を経済対策に使い、残りは国が自治体に配る地方交付税の増額などに充てる。
地方交付税は法人税など国税の一定割合を充てることになっており、国の税収見積もりが上振れるのに伴い、増額となる。
歳入には、税収上振れ分として6兆4320億円を盛り込んでおり、地方交付税は3.5兆円ほど増額になる。歳入には20年度予算の剰余金6兆1479億円なども計上する。それでも不足する22兆580億円は国債発行でまかなう。
経済対策では4つの柱を打ち出した。補正予算案での内訳は、コロナ感染防止策に18兆6059億円を計上。地方のコロナ対策の原資となる地方創生臨時交付金や、減収となった中堅・中小企業への最大250万円の支援金などに使う。治療薬やワクチンの研究開発など、社会経済活動の再開と次の危機への備えとして1兆7687億円を充てる。
デジタル化や先端技術などの成長投資にも振り向ける。首相が掲げる「新しい資本主義」の促進に向けて8兆2532億円を盛った。21年度内に運用を始める大学ファンドの経費や半導体の国内生産拠点の確保、地方におけるデータセンター整備などを進める。防災・減災や国土強靱(きょうじん)化の推進には2兆9349億円を充てる。
18歳以下への10万円相当の給付については、年内の支給開始に向けて21年度予算のコロナ対応予備費から7311億円を支出する。26日午前の閣議で決めた。予備費からの支出分は、中学生以下に対する現金5万円の給付に使う。
中学生以下については児童手当の登録口座を利用し、現金5万円を手続き不要の「プッシュ型」で配る。高校生以上は補正予算案の成立後に支給する。残りの5万円相当については22年春の入学シーズンにあわせてクーポンなどで支給する。』
上記の通り、政府は2021年度補正予算を閣議決定しました。
記事では一般会計の歳出は35兆9,895億円で、補正予算としては2020年度の第2次補正予算31.9兆円を上回って過去最大であると報じています。
2013年度以降、第2次安倍政権期から、経済対策についてメディアが報じる際、経済対策による財政支出額の規模を大きく見せているのでは?という疑義があります。
世界はコロナパンデミック発生以降、日本と同様に財政規律に厳しかった欧州でさえもが、プライマリーバランスを2020/03/23付で凍結しています。欧州のプライマリーバランス規律一時停止については、ロイター通信が2020/03/24付で報じており、新型コロナ対策で各国に財政支出の自由裁量を与えることが目的としています。
ところが我が国では、相変わらずプライマリーバランス黒字化目標が掲げ続けられており、その結果、主要国の中で日本だけが負け組になろうとしているのです。
そうした状況を踏まえているのか否か?岸田政権は自覚していることすら不明と思われるのが、今年度2021年度補正予算の実態です。
補正予算についてのニュースを理解するためには、国民の所得が増えるのはいくらなのか?という真水がいくらなのか?という観点が重要なポイントです。
読者の皆様におかれましては、安倍政権のときにコロナ対策として巨額の経済対策をやったと思う人が多く居られるかもしれません。
しかしながら安倍政権の巨額の経済対策の中には、無担保・無利子の融資枠や、社会保険料の支払猶予など、国民の所得が増えないものも、経済対策の中に入っていまして、政府が無担保・無利子で融資したとしても、借りる側は借金が増えるだけであり、社会保険料の支払猶予も同様に一時的に免じされているに過ぎず、国民の所得が増えるものではないことは、言うまでもありません。
<令和3年度補正予算と財政支出総額と新規国債発行額>
(出典:内閣府のホームページ)
上記が2021年度補正予算31.9兆円ですが、問題点を下記のとおり指摘しておきます。
●補正予算31.9兆円が新規国債発行額とイコールになっていないこと
●財政支出額として計上されている未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動が19.8兆円と巨額であること
●2020年度の補正予算で繰り越された30兆円のときと同様に、2021年度の補正予算は執行が遅れて2022年度に繰り越される可能性が極めて高いこと
政府が財政赤字を増やせば、その分の民間の黒字が増え、ここでいう民間とは主に家計と企業の黒字が増えるということです。
そのため、新規国債発行額がいくらなのか?は大変重要なことであり、2021年度補正予算は22.1兆円でした。
2020年度では補正予算は3回組まれ、1次補正予算25.7兆円(安倍政権)、2次補正予算31.9兆円(安倍政権)、3次補正予算19.2兆円(菅政権)と、合計76.8兆円が真水として国債発行を予算化しましたが、30兆円近くを繰り越す結果となりました。
これは本来、30兆円を繰り越すぐらいであれば、一律10万円給付を2回実施しておつりが出る状態でした。
なぜならば2020年度一律10万円給付を実施した際、補正予算25.7兆円のうち12.1兆円で実施されたからです。
したがって菅政権が日本国民を救おうと思うならば、一律10万円給付を2回実施する、もしくは一律20万円給付を1回実施することができたわけで、これはすぐにでも実施することができたのですが、プライマリーバランスの赤字が拡大するということで、プライマリーバランス黒字化目標が堅持されているために実施が躊躇され、その発想さえも出てこなかったということです。
しかも菅政権は令和3年度の補正予算を組まないで国会を閉会。これは30兆円を繰り越したから、もう国債発行はしなくてもよいという判断だったのか?真偽は不明ですが、補正予算が組まれませんでした。
<図?:2020年度の補正予算が繰り越された30兆円と2021年度の赤字国債発行額22.1兆円>
<図?:2020年度の補正予算が繰り越されなかった場合>
図?と図?を見比べていただけますと、一目でわかると思うのですが、補正予算が繰り越されなければ真水は76.8兆円となり、GDPの下支え効果は76.8兆円となるのですが、実際は補正予算30兆円を繰り越したため、2020年度補正予算のGDP下支え効果は46.8兆円と、30兆円縮小してしまったのです。
本来76.8兆円が予算執行されたうえに、2021年度補正予算で30兆円が新たに国債発行されれば、2020年度〜2021年度の2か年で106.8兆円もの下支え効果が出るところ、このままですと68.9兆円程度の下支え効果ということになってしまうでしょう。
デフレギャップが年間で2020年度100兆円、2021年度50兆円とすれば、明らかに下支え効果は不足するということが明白です。
また68.9兆円の下支え効果が本当にあるのか?疑わしいです。
なぜならば、先述の2021年度補正予算では、”未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動”が19.8兆円と巨額に計上されていまして、これは安倍政権期の一律10万円給付と異なり、2021年12月末までに支出されない可能性が極めて高い項目です。
さらに所得制限960万円未満、かつ18歳以下の子供がいる家庭などと世帯条件を付けた10万円給付は、なんだかんだ条件を付けた結果、2兆円程度の政策であり、一律10万円給付12.1兆円を比べて、10兆円も下支え効果が下振れします。
しかも10万円のうち半分の5万円はクーポンということで、クーポンが使われなかった分は、さらに下支え効果を消すことになるのです。
内閣府はGDPで5%の下支えをすると主張していまして、GDP500兆円とするならば、25兆円を埋めるということになっていますが、とても2021年12月末までに埋まるような内容ではなく、デフレ圧力を弱めるには全くを持って不十分であると言わざるをえません。
IMFでは2021年度の日本の経済成長率が2%のプラスと予想していますが、この数値は主要国では最低であり、今このタイミングで中身がショボい補正予算31.9兆円を組んだとしても、赤字国債発行額が22.1兆円でかつ支出もすぐに予算執行されないものが多く含まれていることから、私は確実に下振れすると予想します。
せめて2021年12月末までにGDP5%相当の25兆円の財政支出が執行されれば、2020年度分のマイナス幅をカバーすることはできたかもしれませんが、内閣府で公表された数値を見る限りにおいて、国民の所得の下支えをする気がないと考えます。
仮にも財政投融資は一切やめて、50兆円の支出をするとして、一律10万円給付を毎月10万円4カ月給付するというならばまだよいのですが、実際は絞りに絞ってなんだかんだ言い訳を付けて財政支出を先延ばしにし、国債発行額を抑制しています。
これはプライマリーバランス黒字化を意識したことの証左といえるでしょう。
この国は国民の生命・財産よりも、政府の財政が黒字になることが一番重要であるというバカげた考えが根底にあり、その結果、小さな政府と称して、公助より共助、共助より自助なるものをスローガンとする政治家が輩出されるという誠に不幸な状況だということを改めて知っていただきたいです。
というわけで今日は「令和3年度補正予算を評価・総括する!」と題して論説しました。
2020年度の補正予算もひどかったのですが、安倍政権の補正予算がまともに思えるというほどで、本来菅政権の30兆円の繰り越しは非難されなければならいのですが、多くの国民は新聞記事で本予算・補正予算の記事を見ても、数値の意味がわからず、騙されてしまいます。
今回の岸田政権では、防災・減災・国土強靭化に2.9兆円の予算が計上されていますが、これは国土強靭化5か年計画でもともと含まれていたものであり、新たに財政支出を増やすものではないのですが、こうしたものが含まれているということに気付く人は少数派です。
少なくても赤字国債発行額はいくらなのか?という視点をもって、本予算・補正予算のニュースを見ていただけますと、経済効果の下支えがどれほどなのか?理解が深まるものと私は思うのです。
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先月7月、九州の熊本県では記録的な豪雨で甚大な被害が発生しました。死者は76人で、浸水した家屋は1万棟超ということで、多くの人が被害を受ける大惨事となりました。
特に一級河川の球磨川の氾濫で、川沿い一体が飲み込まれた熊本県南部の人吉市と球磨村の被害が甚大です。
私は東京都内に住みますが、球磨川という名前は今回の九州豪雨で知りました。しかしながら土木関係者らにとっては、ものすごく有名な川のようで、洪水が頻繁に発生するため、暴れ川とも言われているようです。
日本には3大急流と呼ばれる川があり、球磨川はそのうちの一つでもあります。因みに球磨川の他の川は、富士川(長野県、山梨県、静岡県)と最上川(山形県)の2つです。
急流というのは水量がものすごい多い川のことで、普段ですら水量が多いため、ちょっと雨が降れば、すぐ溢れ出す場所として有名であり、ゼネコンなどの土木関係者らは、この洪水を回避するためにはどうしたらいいか?常々考えていることでしょう。
1997年の構造改革基本法以降、公共事業費は削減され、2003年には竹中平蔵氏がプライマリーバランス黒字化なるものを持ち込んできたため、財政に制約があるかの如く、政府も地方自治体もケチケチになりました。
そのため球磨川の氾濫を回避する方法を検討するのに、最初は安く作ることを考えます。
例えば「川の底を掘る」「弱い部分だけ堤防を作る」「川幅が細いところを広くする」など、一見もっともらしくコスパが良さそうに見えますが、コスパが良さそうに見えるこれらの手法では全然無理です。
私はこの球磨川の氾濫を防ぐには、いろんなサイト・資料を見まして、結論から申し上げますと、川辺川ダムを作る以外に、一番いい方法はないというのが私の持論です。
八ッ場ダムの「八ッ場あしたの会」では、ダムを作れば洪水から守られるというものではないなどと、毎日新聞の記者や市民運動に携わる人らが、ダムは不要であるとし、代替として新たな河川整備基本方針と河川整備計画を作って・・・と、川をもう一つ作る方法を述べて、八ッ場ダムが洪水から守ったという事実をとにかく認めず、川辺川ダムは不要という言説を展開しています。
熊本県の蒲島郁夫知事は、2008年9月に川辺川ダムの計画を白紙とし、ダムに頼らない治水対策を追求すべきだとして、川辺川ダムの建築に反対し続けてきました。
その後、政府と熊本県と流域市町村が治水代替策を検討し、2019年に代替策がまとまったものの、2800億円〜1兆2000億円と費用が巨額で工期が45年〜200年と長い計画でした。
徳川家康が今の東京湾に流れる江戸川を東遷させて霞ケ浦に引っ張り、江戸の町に洪水が来なくなったという話は有名なのですが、徳川家康の江戸川の当選事業は60年かかったと言われています。
費用が巨額なのは政府が建設国債(4条公債)を発行すればよく、デフレ脱却につながるため、問題ありませんが、期間が長いのは問題です。なぜならば、45年〜200年となれば、その間に球磨川で大洪水が起きないなどという保証はありません。一方で川辺川ダムは70%作ってきたところで2008年に工事が中止されました。今の熊本県知事の蒲島知事がダム工事を止めさせたのです。
蒲島知事だけでなく市民運動家の人や一般人も含め、ダムについての理解が浸透せず、環境が破壊されるなどといって、民主党の「コンクリートから人へ」のスローガンのもと、脱ダム宣言で、建設を中止したのです。
球磨川の氾濫を防ぐためには、技術的な話をすれば、川の水量を4/7にする、即ち水量を3/7カットする必要があります。
このとき1番危険な場所は人吉市で、人吉市のエリアを流れる水量を4/7にしなければならないということになります。
水量を4/7にするために3/7をカットするとなれば、コスパが良さそうな「川の底を掘る」「弱い部分だけ堤防を作る」「川幅が細いところを広くする」では全く歯が立ちません。
球磨川水系の上流の川辺川の水を止めれば、4/7までカットできなくても、4/7カット作戦において超強力な作戦であったといえるでしょう。
そこで川辺川ダムを作って70%完成させたのに、蒲島知事は建設を中止させました。これを人災と言わずして何と呼べばいいのでしょうか?私は無念でならないと思います。
何しろ方法としてはダムを作るか?放水路として皮をもう1つ作るしかありません。しかしながら放水路を作るのは極めて大変で環境にも負荷がかかります。
「八ッ場あしたの会」が主張する”ダム以外の治水”とはいったい何なのでしょうか?
2008年から何もせず、2019年にやっと放水路を作ることをまとめ上げたものの、工期は45年〜200年です。
少し川を掘ったり、少し木を切ったりするぐらいでは、何もやらなかったのと同じであり、ダム工事を反対した人、ダムによる治水に頼らず放水路を作るべきだと言った人、そうした人々は全員間接的な殺人者と言えると私は思います。
結局ダムを造らず、治水を2008年以降10年以上放置し、お金を出さない姿勢や環境を大事にするとか、住民の合意が必要など、ケチって財政出動をしなかったことが原因です。
想定外という人らは恥を知れ!と言いたい。
球磨川の洪水は想定されたものであり、降水量は確かにすごいが、決壊するということは水量がたくさん溢れて、溢れ倒して決壊するのであって、ダムが完成されていれば川が決壊しない可能性は極めて高いといえるでしょう。
川の決壊さえなければ、死ぬ人の数は全然違うものになったはずです。
2019年の台風19号では八ッ場ダムが間に合って6500万立米の水を貯め、埼玉県戸田市の貯水池が3900万立米の水を貯めて水を堰き止めたからこそ、台風19号で首都圏が大惨事とならずに済みました。
川辺川ダムの工事を蒲島知事が止めた時、いつかは球磨川が決壊して大惨事になると警告していた人もいたはずです。
自然を守ることは大事ですが、人の命を守ることの方がもっと大事なのではないでしょうか?
そう考えますと球磨川の決壊で川辺川ダムが完成せず、76名もの人がお亡くなりになったことは、本当に悔しい残念な気持ちになります。
というわけで今日は「熊本県を襲った豪雨を通じて国民の生命を守るインフラについて考える」と題して論説しました。
私が小さかったころと比べて気象状況が全く変わってしまったため、緊縮財政や環境保護などという大義名分で、治水事業が止まり、自然災害で大惨事となってしまう光景が増えてきました。
もはや想定外といったことはあり得ず、普通に治水事業に予算を付けて実行しなければ、気象の変化に治水能力が追い付かず、今後もこうした自然災害による大惨事は増えていくことになるでしょう。
決して想定外ではなく、公共事業を否定した人災であるということを私たちは理解し、公共事業を拡大せよ!と政治家に声を上げていく必要があるものと私は思うのです。
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◆「日銀の円建て国債購入が財政法第5条による財政ファイナンスに該当する」との指摘に対する反論
◆蓮舫議員が批判し、事業仕分けで廃止にされたスーパー堤防について
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毎度のことながらですが、日本は財政破綻することはありません。読者の皆様であれば、既にご承知の通りと思います。ところが、国会の議論をみていますと、与野党問わず、このことが理解されていません。国会議員で当選回数が多い議員であれば、さぞかし知見も高かろうと思いきや、決してそうではないのです。
そこで今日は「安倍総理と麻生大臣(わかっていないヤツ二人)と国民民主党の前原氏(もっとわかっていないヤツ)の罵り合い」と題して論説します。
下記は東京新聞の記事です。
『東京新聞 2020/01/29 首相「国債発行、8年連続減額」強調 決算ベースで増額の年も
新規国債発行を巡り、安倍晋三首相が施政方針演説で「8年連続で減額」と実績を訴えたのに対し、国民民主党の前原誠司氏が28日の衆院予算委員会で、決算ベースで増額となった年度があることを指摘した。首相は事実を認めた上で、当初予算での国債発行抑制の重要性を強調した。前原氏は「なぜうその演説をするのか」と、首相の姿勢を批判した。
新規国債発行額を当初予算でみると、2012年度の44兆2440億円から8年連続で減額され、2020年度の当初予算案では32兆5562億円となっている。
一方、収支が確定した決算ベースで見ると、2016年度と2018年度、2019年度では年度の途中に国債を追加発行した結果、前年度比で増額となり、「8年連続の減額」とはなっていない。
首相は前原氏の指摘を受け「各年度の財政運営の基本をなす当初予算で公債発行額を抑制していくことは、財政健全化を進めていく上で極めて重要だ」と強調。決算ベースで増額となった年度は、経済対策や災害復旧への機動的な対応のため追加発行が必要だったとして「うそというのは言い過ぎだ」と反論した。
前原氏は「決算ベースで減額できるなら胸を張るべきだ。補正予算を組むことで財政規律が崩れているのではないか」と指摘した。(木谷孝洋)』
上記記事の通り、安倍首相の施政方針演説で、新規国債発行額「8年連続で減額」を実績を訴えたことに対して、前原氏が増額になった年度があることを指摘し、「なぜウソの演説をするのか?」と批判しました。
記事とは別に麻生大臣が2020/01/28の衆議院予算委員会において、2020年度予算編成について「我々はマーケットと仕事をしているので、野党と(仕事を)しているのではない」と発言し、財政再建の努力をマーケットにアピールする意図で発言したものでは?との物議を醸しています。
また前原氏は「8年連続の減額」について、財政法上は余ったお金の半分以上は借金返済に充てなければいけないところ、特例法で全額財源を繰り入れるという政府の手法を批判しています。前原氏は、それによって財政健全化が遅れることになるのに、来年度予算案に繰り入れ、結果的に公債発行を減らすことができたと主張する安倍首相に対して、矛盾でありウソをついていると批判してるのです。
安倍首相は「当初予算で公債発行額を抑制していくことは、財政健全化を進めていく上で極めて重要だ」と強調していると記事にあります。
正直なところ、安倍首相にせよ、麻生大臣にせよ、前原氏にせよ、国家の財政運営をミクロ経済学の予算制約に当てはめて考えている愚民としかいいようがありません。
公債発行額を抑制することに何の意味があるのでしょうか?借金が増えることに何か問題があるのでしょうか?
MMT理論を理解せず、国家の財政運営には、ミクロ経済学でいう予算制約はなく、財政支出するにしても、国民の税金で支出しているわけではないという「スペンディング・ファースト(税収の担保なしに支出を先にすることが可能であること)」を知らない愚民です。
肩書がどうであろうと知っている人は知っていて、知らない人は知らない。歯に衣を着せずにいえば、首相だろうと大臣だろうと野党の重鎮国会議員だろうと愚民は愚民。プライマリーバランス黒字化を是と前提にしている時点でバカとしか言いようがありません。
公債発行額を減らしたと安倍首相は主張し、麻生大臣も同様の答弁をしていますし、前原主張は安倍首相の言っていることはウソで公債発行額は減っていないと批判しています。
この論戦、わかっていないヤツともっとわかっていないヤツの罵り合い、バカとアホの罵り合いとしか言いようがありません。
デフレ下では公債発行額は抑制せず、積極的に財政赤字にすることが世の中をよくします。ところが彼らの論争では、公債発行額を抑制することが世の中を悪くするということを知らないため、どっちが世の中を悪くするか?を得意にやっているということに気付いていないのです。
「私は日本国民をイジメている。」
「いや!私の方がもっと日本国民をイジメている。」
「いや!日本国民のイジメ方が不足している。」
このようなバカバカしい罵り合いが国会の場で繰り広げられているというのは、大変残念な話です。
というわけで今日は「安倍総理と麻生大臣(わかっていないヤツ二人)と国民民主党の前原氏(もっとわかっていないヤツ)の罵り合い」と題して論説しました。
安倍総理、麻生大臣、前原氏らの答弁を見ていますと、こうした人らが生きていることによって日本がダメになっていると私は思います。
彼らが生き続ければ生き続けるほどプライマリーバランス黒字化が進み、日本国民が貧乏になって不幸になっていくということ。このことに気付かない他の国会議員やマスコミもまた愚民、インテリ愚民ということで、このままでは日本経済は奈落の底に落ちてしまうだろうと私は危惧します。
普通の日本国民、一般人が経済についてもっと理解を深め、言論で反論を繰り広げることで、インテリ愚民を駆逐しなければ・・・と改めて思いました。
〜関連記事〜
◆多くの国民が誤解している”国民から集めた税金で行政運営している”という言説について
◆”公務員は私たちの税金で飯を食べている”という言説と”スペンディング・ファースト”について
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よく憲法問題ということでテレビや新聞報道でよく出てくるのは、9条問題がほとんどだと思います。そのため表題の「憲法13条」といっても、憲法に詳しい方でない限り、多くの人は知られていないと思われます。
そこで今日は、西日本新聞の記事「有害物質のポリ塩化ビフェニルを含む塗料を使った橋などの大規模施設」が見つかったことについて触れ、「ポリ塩化ビフェニル問題で露呈か?憲法13条国民の幸福権追及よりも財政健全化を優先する日本政府!」と題して論説します。
下記は西日本新聞の記事です。
『西日本新聞 2020/01/28 10:55 PCB廃棄処理漏れ82件 九州・中四国期限切れ以降
規制化学物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)を高濃度に含む変圧器やコンデンサー類の処理を巡り、九州・中四国・沖縄17県のうち15県17市で、処理期限の2019年3月末以降、82件(23日時点)が新たに見つかったことが環境省への取材で分かった。北九州市は24日、このうち3件が同市で確認されたことを公表。「処理漏れ」が判明した際の同省の対処方針は決まっておらず、完全廃棄に向けた処理計画の見直し、追加費用が必要となる可能性がある。
PCBを高濃度で含む廃棄物処理は、国全額出資法人の「中間貯蔵・環境安全事業」(JESCO)の全国5工場が担う。17県を管轄する北九州事業所(北九州市若松区)は04年末、全国に先駆けて稼働。変圧器類などの処理を19年3月末で終えたとし、これらの処理工場の解体作業に入っている。
ところが、保管業者の見落としなどの理由で、同4月以降も対象廃棄物が発見されている。工場ごとに担当地域が決まっており、環境省令で別の工場には持ち込めないよう定められている。同省は、各工場の立地自治体に処理終了の見通しをあらかじめ示してきており、処理漏れへの対応については「今後の検討課題だ」と述べるにとどまる。
環境省は15県17市の具体名などを公表していない。北九州市の北橋健治市長は24日の定例記者会見で、3件が同市内で見つかったことを説明。処理漏れ分を若松の工場に受け入れることについては「期限内にやるという国との約束があり、北九州も応分の処理をしてきた。市民も約束通りにしてほしいと考えている。北九州で処理することはない」と述べた。
JESCOによると、全工場の解体を終えるとする29年度までに、当初見込みの2倍以上に当たる約9300億円の費用がかかる見通し。 (竹次稔)』
上記記事は、西日本エリアに限定されていますが、環境省によれば、ポリ塩化ビフェニルを含む塗料を使った橋などの屋外の大規模施設で、全国で334か所も存在し、調査済み施設の4割を超えることが調査で判明しました。
ポリ塩化ビフェニルは、略してPCBといわれますが、人口上の油上の化学繊維で、用途としては屋内の変圧器の絶縁油や、塗料に混ぜて屋外施設の錆止めなど、広く使われていました。
<ポリ塩化ビフェニルの用途・性質・毒性について>
(出典:環境省のホームページ)
かつて1968年にカネミ倉庫が製造する食用油にPCBが混入し、その食用油は「カネミライスオイル」と呼ばれて、その油を摂取した人々が皮膚病や胎児に障害が発生するなど、多くの健康被害をもたらしました。(カネミ油症事件)
これを受け、1974年にPCBの製造、新規使用の禁止が法律で制定されたのですが、それ以前にPCBが使われた製品、施設が日本の全国各地に残っているというのが、環境省の調査で判明したということです。
環境省によれば、全国調査の実施は今回が初めてで、まだ調査を終えていない施設が7,800もあり、今後の調査結果に伴ってPCBが残留する施設数が増えるのは確実なのですが、調査の停滞と処分の実情が浮き彫りになったといえるでしょう。
調査が進まない理由としては、施設の調査にかかる自治体や企業の負担に加えて、時間がかかることが背景にあります。
西日本新聞の記事では、PCBを含む廃棄物処理は、国が運営するJESCOが担い、2029年度までに9,300億円の費用が掛かると報じられています。
この9,300億円は、費用といえば費用ですが、GDP3面等価の原則でいえば、PCB廃棄処理費用=PCB廃棄物を処理するサービスの生産=PCB廃棄物を処理するサービスの結果生まれた所得、となってこれも需要になります。
PCB廃棄物処理を担う主体が民間企業であれば、企業の所得に貢献し、労働分配率に応じて従業員の所得になります。また主体が政府であれば、政府支出に貢献し、公務員の所得になります。
マクロ経済のGDP3面等価の原則など持ち出さなくても、PCBの毒性を考えれば、また過去のカネミ油症事件を振り返れば、お金には代えられないものがあります。
普通の先進国だったら、これはヤバイということで、全部変えましょう!となります。巨大な需要が生まれます。発展途上国の場合は、いくらお金があっても自国でできないため、他国の所得になりますが、日本の場合は他国に頼らなくても自国で処理できます。にもかかわらず、プリマリーバランス黒字化で財政規律の方が大事であるとしているのが日本の財務省です。
本来ならば、憲法13条の国民の幸福を追求する権利を保障する義務があるので、当たり前に政府支出によって国民の健康被害から政府が率先して守るべきなのですが、財務省設置法第3条の「健全な財政の確保」のために、財政規律が大事という話で、財務省設置法第3条は憲法13条違反なのでは?と私は思います。
財務省は、赤字国債を出さない、政府支出を増やさない、増やすとするならば別の財源を削減して持ってくるか?増税でお金を集めるという、家計簿の発想で国家の財政運営を行う愚行しかやりません。財務省にとっては、PCBで日本国民が健康被害に遭おうが、日本国民が不健康になってしまおうが、財政規律が何よりも大事なのです。
また2020/01/16の日本経済新聞の記事では、「財政健全化 遠のく日本」との見出しで、内閣府は2020/01/17の経済財政諮問会議で、国と地方のプライマリーバランスが2025年に3.6兆円程度の赤字になるとの試算を示すと報じています。
実際に日本の財政がプライマリーバランスが3.6兆円の赤字になったとして、誰が不幸になっているのでしょうか?
誰も不幸になっていません。
当時、PCBの毒性について誰も知らなかったとして、途中でPCBの毒性に気付き、危険だと分かれば、普通にお金を使って直すというのが政府の義務であると私は思います。
実際にPCBは健康被害を受けますし、PCBに限らず、防災をやらなければ、津波・洪水で人が死に、地震でも人が死にます。プライマリーバランス黒字化によって、地方も疲弊して経済が悪くなって自殺しなければならない人が増えて人が死にます。
デフレ脱却していない経済状態でのプライマリーバランス黒字化は、人殺し政策です。
だからプライマリーバランスを健全化すればするほど、日本全国各地で人命が失われ、いろんな家庭が壊れ、日本国民が不幸になっていきます。
そうした不幸よりも財政赤字が問題だからといって、財政規律が大事だという言説は、巨大な不道徳であると私は思うのです。
というわけで今日は「ポリ塩化ビフェニル問題で露呈か?憲法13条国民の幸福権追及よりも財政健全化を優先する日本政府!」と題して論説しました。
〜関連記事〜
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今日は「景気動向指数による”いざなぎ越え”の真相」と題して論説します。
皆様は、景気動向指数は何で決めているか?ご存知でしょうか?
景気動向指数というのは、一つの指標ではありません。
例えば実質GDPというのは、景気動向を見るうえで分かりやすい指標です。名目GDPから物価の影響を排除したものであるため、実質GDPがどれだけ増えたか?減ったか?は、景気動向としてはわかりやすい指標といえます。
では、景気動向というのは、どうやって見るのでしょうか?
内閣府に景気動向指数研究会というものがあります。そこのリーダーは吉川洋先生という方なのですが、彼らがいろんな数字を見て、今の景気がどうなっているのか?景気拡大か?景気後退か?を判断しているのです。
内閣府は今、景気が「いざなぎ越え」としているわけですが、その理由はヒストリカルDI(一致指数)に基づいています。
<P2 ヒストリカルDI(一致指数)>
(出典:平成30年12月13日発信日、内閣府経済社会総合研究所作成の「第18回景気動向指数研究会について」から抜粋)
上記の表は、第2次安倍政権が誕生した2012年12月〜2018年10月の期間における9つの指標の推移です。小さすぎて見難いと思いますので、ぜひリンク先をご参照ください。
リンク先→「第18回景気動向指数研究会について」
内閣府の定義では、ヒストリカルDIで9つの指標をみています。
?生産指数(鉱工業)
?鉱工業用生産財出荷指数
?耐久消費財出荷指数
?所定外労働時間指数(調査産業計)
?投資財出荷指数(除輸送機械)
?商業販売額(小売業)(前年同月比)
?商業販売額(卸売業)(前年同月比)
?営業利益(全産業)
?有効求人倍率(除学卒)
仮に上記?〜?のうち、半分以上がプラスならば景気拡大、半分以上がマイナスなら景気後退という定義であれば、それはそれでわかりやすいと言えるかと思います。
ところがなぜか内閣府の定義では、?〜?のうち8個が同じ動きになった場合に初めて判断を変えるということになっています。具体的には8個がプラスになったら景気拡大、8個がマイナスになったら景気後退というわけです。
上表では、2014年4月以降、景気動向指数のうち7個がマイナスになっているのがおわかりでしょうか?
2014年3月と2014年4月の比較を記載します。
2014年3月 |
2014年4月〜 2015年3月 |
2015年4月〜2015年6月 |
2015年7月〜 2015年12月 |
|
?生産指数(鉱工業) | + | − | − | − |
?鉱工業用生産財出荷指数 | − | − | − | − |
?耐久消費財出荷指数 | − | − | − | − |
?所定外労働時間指数 (調査産業計) |
+ | − | − | − |
?投資財出荷指数 (除輸送機械) |
+ | − | − | − |
?商業販売額(小売業) (前年同月比) |
+ | − | + | + |
?商業販売額(卸売業) (前年同月比) |
+ | − | + | + |
?営業利益(全産業) | + | + | + | − |
?有効求人倍率(除学卒) | + | + | + | + |
プラスとマイナスの個数 |
プラス7個 ???????
マイナス2個 ?? |
プラス2個 ??
マイナス7個 ??????? |
プラス4個 ????
マイナス5個 ????? |
プラス3個 ???
マイナス6個 ?????? |
2014年3月までは、ほとんどプラスだったため、景気拡大基調だったのですが、2014年4月にマイナスが2個→7個になります。具体的には?〜?の7つの指標がマイナスなのですが、2014年4月〜2015年3月まで?〜?の7つの指標のマイナスが続きます。一方でプラスだったのは?営業利益、?有効求人倍率の2つの指標です。
?有効求人倍率というのは、求職者一人に対して求人が何社あるか?という指標なのですが、少子高齢化で生産年齢人口が減少しようとしている日本の環境において、この指標が悪化することはまずあり得ないでしょう。総人口=需要、生産年齢人口=供給で、総人口の減少より生産年齢人口の減少の方が早いことから、需要>供給のインフレギャップの状況になりやすいからです。仮に有効求人倍率が悪くなるとすれば、それは相当ひどい状況といえます。
?営業利益は、2014年4月の消費増税で景気が悪化したものの、輸出が増えました。営業利益は輸出拡大と円安で大手輸出企業の営業利益が伸びていたというだけで、ある意味たまたま海外の景気が良かったというだけの話です。
2014年4月消費増税直後のヒストリカルDIでは、上述の?営業利益、?有効求人倍率以外は、一気に7つの指標がマイナスになりました。にもかかわらず景気後退にはなりません。なぜならば8つの指標がマイナスになっていないからです。
消費増税8%実施以降、2015年3月まで1年間、7つの指標がマイナスで明らかに景気後退していたにもかかわらず、8つの指標がマイナスになっていないという理由で「景気後退していない」となって、「いざなぎ越え」となりました。
2015年4月以降、「?商業販売額(小売業)」「?商業販売額(卸売業)」が対前年比でプラスになったものの、2015年7月に「?営業利益」がマイナスになりました。2015年4月〜2015年6月はマイナスが6個、2015年7月〜2015年12月はマイナスが7個であるものの、やはりマイナス指標が8個ではないため景気後退にはなりません。
しかしながら2015年4月以降プラスになったのは「?商業販売額(小売業)」「?商業販売額(卸売業)」です。この2つの指標のポイントは前年同月比であって前月比ではないということです。2014年4月以降は消費増税8%で明らかに小売業、卸売業の販売額の大きい落ち込みが1年続き、1年後に少し持ち直しただけでもプラスはプラスです。
「?営業利益」はアベノミクスの金融緩和による円安もあって輸出産業を中心に営業利益を伸ばしましたが、2015年以降、少し円高になったり、世界的な不況でスロートレードによりマイナスになったといえます。
このようにヒストリカルDIで9つの指標のうち、8つの指標がマイナスにならないと景気後退にならないというのは、皆様はどう思われるでしょうか?
ポイントは2つあります。
●ヒストリカルDIの9つの指標のうち8つの指標がマイナスでなければ景気後退と認めない
●消費増税で小売業・卸売業の販売額が一気に落ち込んで悪化した数字を比較してプラス化しているので「景気はよい!」としている
2014年の実質GDPは消費増税でマイナスであるにもかかわらず、ヒストリカルDIで2つの指標がプラスだから景気後退ではないとして「いざなぎ越え」を謳っているのです。
一般人からみれば、景気動向の基準は、非常にあいまいといえます。なぜならば、大きく落ち込んだ消費はV字回復するどころかL字であり、前年同月比でプラスだからということで恣意的に「景気はよい」ことになってしまうからです。
胡散臭いプラス指標だったとしても、結果8つの指標がマイナスになっていないので「景気は拡大し続けており、”いざなぎ越え”」と報道されれば、「景気はよい」ということになって消費増税がやりやすくなるため、私は非常に問題であると思うのです。
というわけで今日は「景気動向指数による”いざなぎ越え”の真相」と題して論説しました。
政府はヒストリカルDIについて、データを公表しているものの2014年4月以降の消費増税の悪影響の説明はしていません。ところがヒストリカルDIで2014年以降7つも指標がマイナスになっているという事実は、消費増税の悪影響によるものとしか言いようがありません。
「景気」は”気”だから気分が高まれば景気が良くなるなどという人もいますが、「景気」という言葉自体が抽象的です。経済成長率(GDP成長率)でみれば、直近はマイナスです。特に2018年7月〜9月のGDPの需給ギャップはマイナスになっています。
小泉政権の時に竹中平蔵氏が潜在GDP基準を変えました。具体的には、潜在GDPとはすべての日本人が働き、すべての生産設備が稼働している状況での供給力のことなのですが、これを過去稼働している平均値に置き換えたのです。
これは100m走の陸上選手が最高記録が10秒だったとして、「最高記録は何秒ですか?」という質問に対し、「平均は11秒です。」と答えていることと同じです。
このように定義を変えるインチキによって、潜在GDPは本来の定義よりも小さく見えることになります。結果デフレギャップは小さく見えることになります。下手をすればインフレギャップということで、供給以上に生産ができていることになってしまうのです。
このようなインチキをやっているGDPギャップであるにもかかわらず、需給ギャップがマイナスになったということは、景気がめちゃくちゃ悪いということであり、大変ショッキングなことでもあるのです。
〜関連記事〜
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