犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律5条柱書及び1項は,「遺族給付金の支給を受けることができる遺族は、犯罪被害者の死亡の時において、次の各号のいずれかに該当する者とする。
一 犯罪被害者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)」
と定める。
ここにいう配偶者に同性パートナーが含まれるかどうかが争点となった訴訟の上告審判決で,最高裁判所第三小法廷(林道晴裁判長)は,26日,「同性パートナーも支給対象になりうる」との判断を示し,「支給対象にならない」とした二審・名古屋高裁の判決を破棄し,審理を高裁に差し戻した。
これは,遺族給付金の支給対象となる「配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)」について,同性パートナーも含まれうるとした最高裁の初判断である。
最高裁が自判(自ら判決を言い渡すこと)をせずに高裁に審理を差し戻したのは,本件の原告が「事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に該当するかどうか更に審理を尽くす必要があると認めたからであると思われる。
異性カップルと同性カップルでパートナーが犯罪被害にあった場合の影響は変わらないと思われるので,妥当な判決であると思われる。
犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律と同様の文言で給付金などの対象を規定する法令は200以上にのぼるという。
今回の判断が全ての法令に当てはまるわけではないが,類似する性質を持つ給付金などに影響を及ぼすだろう(https://digital.asahi.com/articles/ASS3T1QJXS3TUTIL012M.html 朝日新聞デジタル「同性パートナーも「支給対象」 犯罪被害者遺族給付金、最高裁初判断」2024年3月26日)。