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僕の中の虫。

  夜の淵に立って、足を踏み出そうかどうかを迷っている。いや、吸い込まれそうな勢いに負けじと踏みとどまっている、といった方がいいのかもしれない。その先に一歩を踏み出した瞬間、僕はきっと放たれた魂のように、軽やかに、なんの抵抗もできないままするすると吸い込まれていくだろう。――もし吸い込まれたとして、僕はその中でいつごろ失速を始めるのだろう。――もし吸い込まれたとして、その先に着地点はあるのだろうか。 僕の迷いはとても、とても弱虫だ。だから残酷なことも、ときどき平気でしてしまう。いいことだらけ...

ほろほろあめ。 | 2011.07.02 Sat 09:18

群青色。

 とてもよく晴れた日の午後に、ちょうど日陰になった軒下に身を寄せていた。考えていることはちょうど、そう、どこにも置き場のないことで、自分自身に向いても声に出していうことはないこと。口から出す、声という音にすることは、ときどき怖くなる時がある。声は消えてしまうけれど、残ってしまう。耳に。 頬を過ぎた風が、ある人には優しく、わたしにはとても無情に感じられるとき、日陰に立っていることがなんだか後ろめたくなった。こうして時間は過ぎていく。どんどんとタイムリミットに近づいていくのに、それは“いつの間にか...

ほろほろあめ。 | 2011.06.27 Mon 14:12

思いの到達点。

  水面が反射し、天井がゆらゆらと揺れているのをしばらく眺めていた。沼にぼこりと奇妙な音を立てて湧き上がる泡のように、仕舞われていた記憶がくっきりと浮かび上がる。 今日は、穏やかな日だ。なんとなく、そういった内面の機微を冷静に見られるようになってきた。凪の一日を、きちんとつかんで過ごせることなどなかったはずなのに。苛立たしく攻撃的な日々は、後悔とともに過ぎて行って、結局残るのはやはり≪後悔≫だけなのだな、と思う。 扇風機が、静かに、だけど確かに音を立てながら回っている。ラムネの瓶をしげしげ...

ほろほろあめ。 | 2011.06.24 Fri 11:26

月食。

 目覚まし時計を午前4時に合わせた。ベッドに入ってからはしばらく本を読んでいたけれど、そのままの格好でいつの間にか目を閉じていた。手首の力が抜けて、本が親指を挟んでぱたりと閉じたときに少し目が覚めた。 目覚ましをかけたところで梅雨時期ではあるし、特に今夜などは明け方まで大雨だと予報では言っていたのだから、諦めていても問題はないはずだったけれど、自然に対する少しばかりの期待を胸に眠った。 午前4時の目覚まし音で起きたけれど、ずっと夢を見ていたような怠さがあった。ベッドから抜け出し、階段まで行くと...

ほろほろあめ。 | 2011.06.21 Tue 13:34

吹き抜けた風。

  春一番という言葉を聞いてなんだかそわそわした。もうその時期を通り過ぎて数カ月が経つが、その風が吹くところを想像すると、胸をつかまれたような感じがする。 そこに立っている女の人は、右手でスプリングコートの胸元を押さえ、左手でコートの裾を押さえている。ベージュのスプリングコートから見えるスカートは、真っ赤なボックスひだで、周囲の色とは全く違う鮮やかな、朱に近い赤だった。彼女がその風に煽られたとき、一緒に何かが吹き飛ばされた。 約束の時間より早く待ち合わせ場所に着くように出かけたことをいい...

ほろほろあめ。 | 2011.06.20 Mon 12:08

正解のない真実。

  本物の≪白≫に出会えないことを知っているのに、やはり知りたいと思うのはなぜだろう。この世で誰一人として≪本物の白≫を知りはしないのに。 彼女は、意識が戻ってから新館の病室へ移されていた。壁は淡すぎるくらいのパステルピンクに塗られていて、天井は白、窓に下げられているカーテンも白だった。「ねえ、天井の白と、カーテンの白、あとこのシーツの白。どれが本物の白だと思う?」 シーツの上に置かれている彼女の手は本当に白くか細い。その手のひらと指でシーツを軽く握りしめていて、視線を落としたままゆっくりと...

ほろほろあめ。 | 2011.06.17 Fri 11:50

ないしょごと。

  新緑の季節、風薫る季節。そんなさわやかな季節のはずなのに、ここ数年は、この新緑の臭いに噎せ返ってしまい、鼻だけは清々しく過ごすことができないでいる。目に見る新緑も、きれいだと思う。だけれどそこは眩しすぎて目を逸らしてしまうのも事実で、ただ好むのは雨のみとなっている。ということはまったくもって清々しくなど過ごせていないということになるのか。 雨はいい。雨上がりよりも、雨の降り始めのほうがなおいい。物陰にひっそりと誰かが佇んでいるような、振り向くと赤い長靴が見え隠れしているような、そんな...

ほろほろあめ。 | 2011.06.15 Wed 17:16

ひとりごと。

 喋りたくて、いや、一方的に話しかけたくて、100円ショップで小さな球体関節人形を買った。頭部さえも球体で出来ているもので、流行の着飾った人形ではない。 泣きたくなったわけではない。怒りたくなったわけでもない。ただ、漠然とした《なにか》を、ほんの少しずつなら、話せるような気がしたから。誰かに聞いて欲しいわけではないけれど、僅かでも空に届くといいと淡い期待を持っている。もし届かなくても、それはそれでいい。 この《なにか》を、今はそのままにしておこうと思う。ぎゅっと握り締めている手から、無理やり指...

ほろほろあめ。 | 2011.06.14 Tue 19:48

抜け落ちた季節。

 夏はすぐそこ、のはずだけれどいつの年の記憶にも、殆ど夏は存在していない。 夏は、あまり好きじゃないの、と君が言ったのは知り合って初めての梅雨明け宣言の日。――みんなが一斉にはしゃいでいるようにみえるのよ…… と、何も思わなければそれがどうした?というような一言だけれど、その奥にはいろいろなものが埋まっているのだろうと思った。それは、君だから、なのだけれども。 何もかもが雑多に入り混じっている店内で、テーブルの上だけは小奇麗にしてある喫茶店。珈琲、紅茶、マンゴォジュース、柚子ティー、ビール。メニ...

ほろほろあめ。 | 2011.06.13 Mon 21:40

ボーダー。

  国境にさしかかった僕は一旦足を止め、見えない白線を乗り越える勇気を今一度自分自身に問いかけてみた。答えは出ていたはずなのに、と小さな自分を悔しく思った。 孤独に纏わる寂しさや悲しみ、もちろん楽しみもそこには含まれている。生きている以上抱えておかなければならない数々の感情と記憶を、僕はこの国境を越えることによってどうしたいのだろう。超える前に一息つこうと腰を下ろした。この弱さが僕なのだと少し笑えたけれど、きっと君も《らしい》と笑うだろう。国境に咲く花を、いつか君に届けられるといい。

ほろほろあめ。 | 2011.06.09 Thu 16:57

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