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迷いの森の騎士さま 第11話 和解-3-

「さぁ、その玉をお取りください」 リコプスさんの言葉通り、私はその不思議な球体を、そっと手の平で受け止めた。 すると、光は剣と盾に姿を変え、私の足元にそっと落ちた。「姫、それはイルミナルの剣とトルースの盾です」  今度は、剣と盾。  でも、剣と盾なんて私には使えないよ……。  私がそう思いながら、何となく剣に触ると、頭にキーンという甲高い音が響いた!!  私は訳の分からないまま、その場で意識を失ってしまった――。つづく。。。JUGEMテーマ:ファンタジー小説 ↓1ポチお願いします↓にほん...

イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:52

迷いの森の騎士さま 第11話 和解-2-

 私が顔を上げると、私の目の前にヴァルト王子の背中があった。「だが私は、父上を超える王になり、リコプス様の言う、エルフとダークエルフが仲良く暮らしていた昔を取り戻したい! だからお願いです。今だ少し、私が一人前になるまでお力をお貸しください父上!」 ヴァルト王子は、跪き頭を下げた。「エルフの王よ。我らダークエルフ一族は、エルフを傷つけないとここに誓いましょう。その証を見せるため、私がこの城に一人で残ります。そして、ダークエルフ達が手を出さなければ、貴方は私達を信用してくれますか?」 テネアさ...

イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:51

迷いの森の騎士さま 第11話 和解-1-

     第11話 和解      リエダフ王国城――会見の間。  ヴァルト王子、テネアさん、リコプスさん、ルークさん、アネモネちゃん、そして私が王様の座る王座の前に揃って、膝をつき頭を下げていた。  兵士さんたちは、ダークエルフのテネアさんを見て、ざわざわと動揺しているようだった。「詳しくは、王子より聞いておる。魔導の姫様、精霊王リコプス様……そして、テネアよよくぞ参った」 王様は、ヴァルト王子から今回のことを聞いているせいか、落ち着いてはいたけど、テネアさんをまだ良く...

イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:50

迷いの森の騎士さま 第10話 ダークエルフと精霊様-4-

  混乱してる様子のテネアさんに、私はゆっくりと言葉は下手だけど、ヴァルトさんの想いを伝えた。  ヴァルトさんが、ダークエルフを憎んでないこと。むしろ、、ダークエルフさんに助けられたことを感謝して、和解をずっと望んでいたこと。  テネアさんは、私の話に最初は何度も何度も驚きを見せてたけど、次第に嬉しそうな顔をした。「そうですか。私が生きている間に、魔導の姫様と出会え、そしてエルフとの和解まで……こんなに幸せなことはございません」 テネアさんは、さっきまで険しくしていた顔から想像できない...

イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:49

迷いの森の騎士さま 第10話 ダークエルフと精霊様-3-

「神よ、どうか我々をお見守りください。光の力の遣い手リュミエールよ、黒く染まりし、哀れな狼を助けたまえ!」 アネモネちゃんが祈るように唱えると、彼女が光始め、その光は一線の光となり狼を貫いた!  光あたると、狼は苦しいのかうめき声を上げて、風の中でうめき回っていた。  だけど、次第に狼の黒かった毛が、透き通るような水色に変わり始めた。「おぉ。あれこそ正しく、我らの森の守り神である、精霊王リコプス様の本当のお姿!」 どんどん毛の色が変わっていく狼を見て、テネアさんや、他のダークエルフの人...

イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:48

迷いの森の騎士さま 第10話 ダークエルフと精霊様-2-

 アネモネちゃんは小声でそう言いながら、私の背をポンポンっと叩いてくれた。  ――っと、その時だった!「っ! 使者よ、私の後ろへ。皆の者、心せよ!」 テネアさんが叫ぶと、木々の間から、弓や槍を持ったダークエルフさんたちが、一斉に飛び出してきた!  私たちは、何が起こるか分からず、テネアさんの言うとおり、彼女の後ろに隠れるように下がった。  でも、嫌な気配だけは濃く感じていた。  いつの間にか木々の揺れる音も、小鳥のさえずりさえも、森からは消えていた。まるで、何かに怯え、息を潜めてい...

イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:47

迷いの森の騎士さま 第10話 ダークエルフと精霊様-1-

     第10話 ダークエルフと精霊様      私とアネモネちゃんは、ルークさんとヴァルト王子に心配されながらも、ダークエルフさんの住む里の入り口の森へと、足を踏み入れていた。「何だか、意外と普通の森ですね……」 さわさわと森の木々が風に揺れ、小鳥たちがそれぞれ歌うように鳴く。「でも、獣たちの気配は感じますよ?」 アネモネちゃんの言葉に、私は一瞬にしてゾッとした。「そっそれって襲ってきます?」 私がお恐る恐るアネモネ様に聞いた。  ガサガサっ!!「きゃーーー!!」 丁...

イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:47

迷いの森の騎士さま 第9話 王子の想い-5-

「何で謝るんですか? 私は、ヴァルト王子の言ってること信じます。ヴァルト王子の言うとおり、ダークエルフさんたちが優しい人たちなら、私たちに危害は加えないはずでしょ?」 私がにっこり笑うと、ヴァルト王子は私の両手を握って、すがるように「ありがとう」と繰り返した。「でわ、決定ですね」 アネモネちゃんは、パンっと手を叩いた。  そんな彼女に、私は振り向き頭を下げた。「ごめんなさい、アネモネちゃんまで巻き込んで……」「いえ。僕は、はづきの優しさに動かされただけですよ」 アネモネちゃんは、愛らしくまた...

イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:45

迷いの森の騎士さま 第9話 王子の想い-4-

「でも、あの……」「世界の運命も君にはかかっているんだぞ?」 ルークさんがそう怒鳴ると、私は何故か胸がチクっと痛んだ。  怒鳴られて怖かったわけじゃない。  ただ……、私個人じゃなくて、世界の運命の心配していルークさんの言葉に、傷ついた気がした。――ルークさんが、世界の運命を心配することなんて、当たり前のことなのに……。「ルーク殿。そう熱くならないでください。はづき、貴方は何か考えがあって言ったのでしょう? 僕はそのアイデアを聞いてみたいです」 アネモネちゃんは、落ち込んでいる私の背中をそっと...

イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:44

迷いの森の騎士さま 第9話 王子の想い-3-

「でわ、お聞きしたい。俺たちが、ヴァルト王子をダークエルフの里へ連れて行くメリットはなんなのですか?」 ルークさんは、冷静にヴァルト王子に聞き返した。「それは君たちの探している魔導具の一つが、ダークエルフの里にあり、そこの扉の鍵を開けられるのが王家の血を引く者だけなんだ」 その言葉に、ルークさんは目を丸くし、私を振り返り、そしてまたヴァルト王子の方を向いた。「何故そのことを知って……」「我々エルフは、無駄に君たち人間の何倍も長生きしていない。最近の魔物の凶暴化や異変、はづきの不思議な魔力の流れ...

イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:44

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