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彼女は彼をともなって、高層ビル上層階にある歯医者へ行く。メンテと称して口の中をガリガリやられる虚しさを、ロケーションと付き添いによって和らげたいとの切実な願いを受け容れてもらった形だ。例えとして「出産立会い」を持ち出した彼の、バイアスのかかっていなさが、彼女の頭にいつまでも引っかかている。もっとこう、波風でも立ってくれないと張り合いがないのだ。実際、歯医者の待合室でも、さっさと環境に順応して子供向けの絵本を楽しんでいたりする。心の中ではいつも怒っているような人だが(趣味といっていいくらい)、見...
散歩ブログ 〜わたしは器〜 | 2010.06.21 Mon 01:09
彼女はホームで待っていた。お互い「10分前には着く」タイプだが、今回は向こうの慎重さが上回った。線路脇のタンポポを見ている後ろ姿に忍び寄り「アブナイヨ!!」数秒間硬直した後、事態を了解し「もう」と振り返るいつもの笑顔。ふざけるのを許してくれるからこの人とやっていけると思う、この小説の主人公。「落ちるじゃない」「ヒーローになって、止める」「それってマッチポンプじゃないの」「……」その通りのつっこみは大歓迎。大事にしてくれるあまり何も踏み込んで貰えなかった過去の交際経験が、内出血のよう滲み出てくる。...
散歩ブログ 〜わたしは器〜 | 2010.06.20 Sun 10:23
彼はおきあがって部屋を見ていた。ほかに見るべきものがないからだ。睡眠は足りている。空腹もない。なのに何ダロ、この意味もなくひっかいた感じは。痛みでもなんでも来るなら猛烈に来て欲しい。キッチンへ行って水を飲む。乾いていた身体が正常に戻るのを自覚する。それだけだ。決め手になっていない。パソコンでニュースを見る。目的がないので、すべてそらぞらしく感じられる。「こいつらワザと書いてやがる。本当はどうでもいいと思っているくせに。」と内心毒づく。さて今日は、デート日だった。こざっぱりする礼儀があるので、...
散歩ブログ 〜わたしは器〜 | 2010.06.20 Sun 08:40
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