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JUGEMテーマ:*銀魂*二次創作『夜明けの夢で躍らせて。』 その夜、もしかしたら妹を送り届けたら蜻蛉返りするのではないかと思っていた吉田は、宴席に座り続けそのまま城に泊まることになった。 道中短くないのが理由だろうが、少ない供と籠とは言えほぼ単身で乗り込んで来てのこの振る舞いは、恐らく勲の信頼を得るには充分だっただろう。隠居した先代である父にも謁見したようだし、工作としては申し分ない。 十四郎は吉田に狡猾なイメージを持っていたのだが、どうやら同時に大胆不敵な肝の据わった面もあるのだと考えを改...
Runbleレポート | 2013.01.20 Sun 16:24
JUGEMテーマ:*銀魂*二次創作『夜明けの夢で躍らせて。』 「トシ……本当にすまねえなあ」 この当日に至っても、長兄は申し訳なさそうな曇った表情を崩すことはなかった。人が良いのは彼の何にも勝る長所だが、上に立つ者としては時に情よりも重要な判断をせねばならないことに慣れて欲しいものだ、と十四郎は苦笑を浮かべた。 「いいんだよ、兄上。俺だっていつかは嫁を貰わなきゃならねえんだ。それがウチのためになるなら、それに越したことはねえさ」 「けどなあ……」 「断る理由なんかねえよ。惚れた女がいる訳でもねえ...
Runbleレポート | 2013.01.19 Sat 16:28
JUGEMテーマ:*銀魂*二次創作『夜明けの夢で躍らせて。』 大江戸国は東方の筆頭と言っても過言ではない大国だ。今は引退した先代当主は一角の猛将として名を馳せた人物であり、その跡を継いだ長兄勲は父に勝るとも劣らぬ人徳で領地を治めていると言う。 それを支えるのが執政から軍事の参謀まで多岐に渡って切れ者具合を発揮する次兄十四郎と、刀を取れば負け知らずで戦の妙を熟知した天才剣客と謳われる末弟の総悟だ。 豊富な資源と屈強で勇猛な軍を持つ彼の国は、晋助が天下を取るに当たって最大にして最悪の障害になるに...
Runbleレポート | 2013.01.18 Fri 18:58
JUGEMテーマ:*銀魂*二次創作『夜明けの夢で躍らせて。』 一. 太陽は嫌いだった。 まるでその強烈な光で隠しておきたい己の汚い部分をも余すところなく暴き立てようとするかのような、己の正義を信じて疑わないような熱が嫌いだった。 だからと言って月が好きなのかと訊かれたら特別そう言う訳でもなくて、ただあの冴え冴えとした光は例え影さえも良しとしてくれるような柔らかさが安心出来て、けれどまあそれ以上でもそれ以下でもなかった。 そんなどうでもいいことをつらつらと考えてしまうくらいには、今夜の月は...
Runbleレポート | 2013.01.17 Thu 18:44
JUGEMテーマ:*銀魂*二次創作『夜明けの夢で躍らせて。』 ー序ー もう決して二度と逢うことはないだろうが、銀時には忘れられない相手がいる。 名前も生まれも知らない。 時を経た今では面影しか解らない。 けれどきっと、逢えばそれが彼であろうことが解る。そんな予感がしている。 幼かった頃、銀時は他の数人と一緒に野盗に誘拐されたことがあった。 詳細はうろ覚えだが、新年の歌会だか何かの集まりだったろうと思う。大人の付き添いで来ていた子供たちは、退屈な行事に堪えられずに自分たちだけで屋敷を抜け出し...
Runbleレポート | 2013.01.16 Wed 18:42
JUGEMテーマ:*銀魂*二次創作『夜明けの夢で躍らせて。』 何をされるのか、と言う緊張感を孕みながらも啜り泣いていた子供たちの視線はいっせいに右に左に彷徨って、自分ではないことをアピールしているかのようだった。 ーーああ、多分晋助のせいだ…… 元服と同時に、亡き父に変わって家督を継いだ長兄は、敏腕ではあったがその苛烈な方針に一切の妥協も躊躇も持たない人だった。 恐らく彼は野盗の要求をきっぱりとはねのけたのだろう。 「跡継ぎでもないガキ共人質に取るたぁご苦労なこったな。そんな何の価値もねえものに...
Runbleレポート | 2013.01.16 Wed 18:40
JUGEMテーマ:*銀魂*二次創作『Bye-bye Baby-blue10』 しかし、覚悟した拳はいつまで経っても飛んで来なかった。どん、と責めるように胸を叩いただけである。 「……銀、と……」 「何で今更謝ったりすんだよ……何で今頃俺の前に出て来んだ。せっかく忘れようとしてたのに、何で掘り返すような真似すんだよ!!」 俯いているから表情はよく解らない。けれど、間違いなく顔を歪めて泣き出しそうにしているのだろうと思うと、土方の胸はナイフを突き立てられたように痛んだ。 自分の成したことは、銀時をそこまで傷つけていたの...
Runbleレポート | 2013.01.14 Mon 17:52
JUGEMテーマ:*銀魂*二次創作『Bye-bye Baby-blue9』 よく考えてみれば、結構な距離が開いているのに銀時たちの行き先も解らないのに、無謀なことをした、と冷静な思考は理解していた。 けれどまるで強力な磁石か何かに引き寄せられるかのように、足を止めることは出来なくてひたすら全速力で走る。 追いつけるだろうか? 見つけられるだろうか? 仮に見つけて追いついたところで、どういう釈明をして銀時の耳をこちらに向けさせればいいのか、皆目見当がつかなかったけれど、あの銀時の友人たちに阻まれるのだけはどう...
Runbleレポート | 2013.01.13 Sun 17:54
JUGEMテーマ:*銀魂*二次創作『Bye-bye Baby-blue8』 「銀……時」 思わず足を止めた土方に、不思議そうな顔で近藤と総悟が振り返る。自然道のど真ん中で集団が止まると言う、迷惑極まりない状況が出来上がってしまい、嫌でも目についたのだろう。 棒付きキャンディーをくわえたまま談笑していた銀時の視線が、土方を捉えて丸くなった。 「土方……」 その表情が幾ばくかの怯えを含んだように見えたのは、致し方ないとは言え土方の胸をちくりと刺した。 当然のことではあるが、銀時は土方の知らない制服を着ていた。いや、...
Runbleレポート | 2013.01.12 Sat 18:15
JUGEMテーマ:*銀魂*二次創作『Bye-bye Baby-blue7』 土方が進んだ大江戸高校は県下でも有数の進学校だった。しかも剣道の強豪校である。 警視庁のキャリアを目指す土方に取っては実に都合がいい進路だ。 高校に入ってからは新しい友人も出来た。人の好き嫌いが激しい土方だが、何だかんだ言いながら誰かとつるむのは実に久し振りのことだった。 学生生活も部活も充実。 見てくれが悪くないせいで告白されてそれなりにカノジョが出来たりもしたが、全く興味が沸かなかった。彼女たちが土方から離れる時の台詞は、恐ろしい...
Runbleレポート | 2013.01.11 Fri 18:53
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