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短いお話。
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短いお話。
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切り抜いた時間を、その瞬間を。超短編。
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虚構。

 薄い桃色の花弁が水面を埋め尽くしている。 脈の絶えた花弁は水面下を映し出しながら、悲しみを湛えぬように風からゆらりと波打たれて沈んでいく。 私の人生はあなたの書いた筋書き通りに進むしかなく、此処でこうして水際を覗きこむことでさえ、あなたの筆先から紡がれた物語。書きかけのノートは白紙の頁が残っていて、開かれたままの頁には乾いた筆先のペンが居心地悪そうに佇んでいる。 私に劣等感だけを残してあなたは何処へ行ってしまったのか。探しに行く術がないことをあなたは知らないままで。 柔らかい風に吹かれて、...

ほろほろあめ。 | 2013.03.12 Tue 10:16

上の空。

 静かな朝を迎えたいと思い越してきたアパート。 目を閉じると、今までと同じ喧騒の中に自分を追いやって、まるでそこにいることが当然のような妙な高揚と、耐えられない自分の逃げ出す瞬間とが入り交じって、少し脈が早くなった。 昨日電話で、あの子は『価値』について語っていた。最初は物の価値について静かに話していたはずなのに、仕舞いには生きる価値について熱く語っていた。それは生きる価値の内容ではなく、生きていくために、その価値の意味を知らなければ人は生きていけないのか、というものだった。 結局答えは出な...

ほろほろあめ。 | 2013.03.08 Fri 11:40

未(二)

 前略 もう私の顔は忘れているのではないでしょうか。あなたは目を合わせることがとても苦手で、向い合って座り話をしていても、必ず少しずれた視線で会話をしていたものだから、きっと忘れていると思います。こうして言われるときっと私の顔を思い出そうと必死になっているでしょう。そんなあなたを想像すると笑えてきます。 失くしたものを探しに行くと言って出ましたが、まだ見つかりません。まだ数日しか経っていませんが、ひとつの出来事を書き残しておこうと思います。  ある日私は電車に乗りました。田舎町の駅にはざらつ...

ほろほろあめ。 | 2013.02.14 Thu 23:57

未(一)

 失くしたものを探してくる。 そう一言残して君は静かに出て行った。 君が出て行った日は、何日も雨が降り続いたあとのやっと晴れた日の朝のことだった。小さな窓から朝陽が入り込むテーブルに向い合って、いつもと同じように珈琲を飲んで、いつもと同じように目玉焼きトーストを一緒に食べた。逆光の中に見える君の顔はいつもと変わらなかった。 朝食を終えると君は、自分の食器を洗い部屋へ戻った。いつもと同じように。だけどいつもと違ったのは、三十分ほどで部屋を出てきた君が旅行用の小さなボストンバックを左手にひとつ提...

ほろほろあめ。 | 2013.02.13 Wed 21:34

冷たさの中で。

 過去へ向かう途中に逸れた想いは、樹海を彷徨い行き先を見失ってしまう。時折思いがけず零れる涙は、浄化されずに彷徨い続けるそんな想いへの感情と、想いそのもの。 逸れた想いを過去へ向かわせる術が見当たらず、いつの間にか眠りに落ちてしまい枕は乾いて行く。 逃げよう、と云った。そこから先上手く伝えられなかったから、とりあえず君の手首をがっしりと掴み走りだした。初めは迷いのあった君の走りだけれど、そのうちそれは消えて行きただ僕の進む方へと単調な呼吸だけが繰り返し届いた。 目を開けると外は雨だった。薄い...

ほろほろあめ。 | 2013.01.12 Sat 10:04

入浴剤から。

 桜香る湯船に浸かった。私は愛おしいと思い、そしてそれと同じだけ切ないと感じた。梅の香りはまだ感じない。けれど桜の蕾は感じていて、春が近づいていることを伝えたいと思った。 春に泪を流すことに、もう驚かなくなってしまった。行き過ぎる者を黙って見送り、その都度目を閉じて心の中でそっと呟くことがある。それは旅人に届くはずなどないが、それをすることによって私は何かから許しを乞うているような気持ちになり、鼻の奥がつんとする。 このまま時が止まれば、梅は咲かず、桃も咲かず、桜など到底咲くことはない。雪に...

ほろほろあめ。 | 2013.01.07 Mon 14:32

別れの理由。

 ゆるりと瞼を閉じた。 そうして眠りにつくまでの間に、さっき君が云った別れの言葉を繰り返してみる。 思い返して映像を浮かべると正確なものは何一つ描かれておらず、背景には淡いピンクや紫などに彩られた花びらが揺れていて、君の姿はどこにも見えない。ただ君の唇が、じゃぁ、と動く感じだけが残っていて僕は布団の中で小さく震えた。そっと眼を開くとそこは真っ暗で、僕はぎゅっと布団を握りしめて頭まですっぽりと被り直した。 夜の鳥が飛んでいる。苦しそうな啼き声を降り注いで上空を通り過ぎると、途端に雨の粒が落...

ほろほろあめ。 | 2012.12.12 Wed 11:57

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