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首都圏でのマンション建設ラッシュは、見上げる空に「クレーン」をもたらした。まるで経済発展を誇示するように空に向かって高く、高く地上から伸びてゆくクレーン群。それらが遮るのはこれから幾重にも重ねられ高層化する構造体によって満たされ私達の視界から無くなる空景。その空を背景にクレーンは黙々と作業をこなす。建物が完成すると同時にクレーン自体は撤去され人々はその存在など忘れてしまう。新たに生み出された文明の稜線が日常の眺めとしてそこに出現し、かつてそこに在った空の存在すらも忘れられる。
本写真展では、鬼才、中村大が首都圏の空を数年にわたって撮り続けた作品を展示する。悠久の時を経ていつも我々を見下ろす空。かたや時とともに移り変わる人工造形物が溢れかえるこの地上。クレーンは、永遠の空と有限の世界を隔てる象徴なのかもしれない。
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