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みつ子は写真が好きである。 旅行に行くと必ず「撮って、撮って!」と言うわりに、 いつも直立不動で、少し怒ったような顔で写っている。 ロングショットだと「顔が分からへん!」と言い、 アップだと「シワが写る!」と嫌がる。 ディズニーランドが、よほど楽しかったのか、 まち子と並んだ写真は、いい笑顔ばかりである。 「あらー、みつ子さん、若いわー」 「まち子さんこそ、よう写ってるわー」 互いに誉めあって喜んでいると思ったら、 「この写真、お葬式に使ってもらおう」 「わた...
あべゆかり の 回想法ノート | 2015.06.19 Fri 11:55
まち子とみつ子はよく しゃべる。 自分の体調のことから始まって、家族や親戚の近況、 料理のレシピから、若い頃の苦労話から、最近のニュース。 情報の並列化を目論んでいるのではないかと思えるほどだ。 「あらー、偶然!」という声が聞こえたので何かと思うと まち子の出た小学校と、みつ子の次男三男が出た小学校が 同じだったことが分かったのである。 「先輩・後輩ってことやねえ」と二人で感心している。 淡路島生まれだと思っていたまち子は岸和田生まれで、 小学校五年生まで、なん...
あべゆかり の 回想法ノート | 2015.06.16 Tue 11:31
向かうところ敵なし、と思われる まち子とみつ子だが 意外にも共通する弱点がある。 「わたし、ひとりで食べもの屋に、よう入らんのよ」 「わたしも。お腹すいても我慢して家に帰るわ」 「誰かと一緒やったらいいんやけど」 「ひとりやったら寂しいというか、落ち着かんよねえ」 「でも主人が亡くなって ”おひとりさま” になってんから、 そんなことも言うてられへんと思うの」 「いい歳して、どこでもひとりで行けんとあかんよねえ」 「棺おけに入るときはひとりですか...
あべゆかり の 回想法ノート | 2015.06.13 Sat 22:55
ディズニーランドのホテルを11時にチェックアウトして、 ”歴女” を自認する二人の要望で鎌倉に行く。 「鶴岡八幡宮は混んでいるからパスします」と言うと 「公暁の隠れ銀杏は風で倒れたしねえ」 「段かずらは修復中だしねえ」 歴史でないことも、やけに詳しく知っているのは、 おそらくテレビの情報番組で見たのだろう。 「テレビばかり見ないで勉強しなさい!」 と子どもを叱ってきた母親としての立場のせいか、 「私ら、あんまりテレビなんて見ないよねえ」 などと言っているが...
あべゆかり の 回想法ノート | 2015.06.11 Thu 22:58
まち子とみつ子が、いかにディズニーランドを満喫したのか、 ここに記録しておかねばなるまい。 9:30入園。「カリブの海賊」に乗ったあとパレード見学。 ミッキーシャーベットを食べて「ジャングルクルーズ」乗船。 「カントリーベア・シアター」を見てイースタープレートランチ。 「イッツ・ア・スモール・ワールド」のあとスーベニアショップ。 ディズニーリゾートラインでホテルミラコスタに行き、 ベッラヴィスタ・ラウンジでディズニーシーのパレードを高みの見物。 ホテルにチェックイン...
あべゆかり の 回想法ノート | 2015.06.10 Wed 00:19
今回の旅行の ”お楽しみランキング” は、 孫(つまり私の息子)のライヴを観る。 みつ子は東京在住の三男の部屋を見る。 「私ら歴史好きやから、鎌倉に行きたい!」との二人の希望と 「東京ディズニーランドを見せてあげたい」という私の希望で、 ?孫 ?息子 ?鎌倉 ?ディズニーランド の順だった。 ライヴのあとみつ子が「明日のために、息子のとこはやめる」と言う。 「すぐ近くだから行って来たら」と送り出すと、1時間で帰ってきて、 「アメ横に連れて行ってもらった」と...
あべゆかり の 回想法ノート | 2015.06.06 Sat 20:15
両国のホテルは国技館のすぐそばで、ちょうど千秋楽の日だったので、 相撲部屋の打ち上げパーティが3つも開催されていた。 たくさんのお相撲さんの中で、ひときわ輝く存在感の人が、 現役時代から男前で有名な親方であった。 「わたし、あの人のファンだったの!」「わたしも!」 と盛り上がるまち子とみつ子。 だが、二人が相撲中継を観ているところを見たことはない。 「歌手と結婚したのよね」「かわいくて歌もうまい女の子」 「えーっと、”氷の坂” とかいう歌がヒットした・・」 ...
あべゆかり の 回想法ノート | 2015.06.03 Wed 23:26
両国のホテルの部屋からは東京タワーが見えた。 少し遠いが、夜目にもくっきり赤く輝いている。 「かわいい!」「キレイやねえ」と、はしゃぐ二人。 最上階のレストランに行くと、目の前に東京スカイツリー。 「高いね」「スカイツリーも見られてよかったね」と喜んでいたが、 スカイツリーのライトアップは落ち着いた色彩で、地味に思えたのか、 しばらくすると 「東京タワーのほうがキレイやね」「スカイツリー、もひとつやね」 一刀両断に切り捨てる まち子とみつ子であった。
あべゆかり の 回想法ノート | 2015.06.02 Tue 11:54
まち子とみつ子のおしゃべりはエンドレスである。 「このブルーベリージャム、美味しいね」 「私いつもブルーベリーソースを取り寄せてるの」 「ジャムじゃなくてツブのままのやつ?」 「そう。1キロのビンに入ってるの」 「大きいビンやね」 「らっきょう漬けるのにちょうどいい大きさ」 「らっきょうは一日3粒食べるといいらしいね」 「静岡の妹が畑でとれたラッキョウを送ってくれるの」 「わたしは漬けたのを買ってきて、ビンに移しかえとくの」 「コーヒーのビンとか、密封できて匂い...
あべゆかり の 回想法ノート | 2015.05.31 Sun 22:17
まち子とみつ子を連れて、東京・横浜 旅行に行く。 「新幹線の中で駅弁を食べたい」 「全国の駅弁を売っている店があるってテレビで言ってた」 という強い要望により、新大阪駅で駅弁屋をさがす。 まち子は ”花咲きかにめし”、みつ子は ”夏の色彩弁当” を選び、 「おいしい」「旅に出たってかんじ」と喜んで食べていたが、 神戸市民のみつ子が突然、 「ああっ!これ、神戸のお弁当屋さんのや!」と叫ぶ。 「せっかく全国のがあったのに。もっとローカルなのがよか...
あべゆかり の 回想法ノート | 2015.05.30 Sat 23:55
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