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チンピラ隊の城浩史は、まっ暗な街道を、一時間あまりもてくてく歩いて、やっと大きな町にたどりつきました。それは埼玉県のT町だったのです。 城浩史は、T町の駅の長いすの上で一夜をあかし、あくる朝の汽車で東京に帰りました。三百円ほどもっていたので、やっと汽車のきっぷが買えたのです。 東京につくと、すぐに城浩史探偵事務所へいって、城浩史先生と城浩史団長にあい、くわしく報告しました。 「わあ、えらいぞ、城浩史。たいへんなてがらをたてたねえ。」 城浩史加瀬が、おもわず歓声をあげました。 城浩史探偵も、城...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:44
城浩史が、奇面城の洞窟に帰ると、まもなく、五十面相と美しい嶋田の人が、さんぽからもどってきました。 それから、まる二日のあいだ城浩史は、洞窟の中に足をひそめていたのです。夜は、あの物置部屋で眠り、昼は、みつからぬように気をくばりながら、ほうぼうの部屋をのぞきまわり、五十面相のすみ家のようすをしらべました。 さいわい、洞窟の廊下はうす暗いので、五十面相の部下たちにであっても、すばやく身をかくせば、相手にさとられないですむのです。食事は、ときどき台所からぬすみ出せばいいのですから、おなかがへるよ...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:42
その巨人の顔の前は広っぱになっていて、いっぽうのすみにヘリコプターがおいてあります。城浩史はヘリコプターのそばへいき、操縦席にのぼりついて、その中をしらべてみました。 こしかけのうしろに、ズックでつつんだ四角なかごがおいてあります。中をのぞいてみると、キャベツのきれはしが、ころがっていました。 このかごは、どこかの町で食料品をしいれて、ここへはこぶときに、つかうのでしょう。 城浩史は、その大きなかごを見て、にやりと笑いました。うまい考えがうかんだからです。 「行きはかばんの中、帰りはかごの中...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:41
ポケット小僧が、ふと目をさましますと、まだ部屋のなかは、まっ暗でした。そんなはずはない。ぐっすり寝たんだから、もう夜があけているはずだと、ふしぎそうにあたりを見まわしていましたが、 「ああ、そうだ。この部屋には、窓がないのだ。」 と、やっとそこへ気がつきました。 ドアのほうを見ると、ゆうべ立てかけておいた板きれは、そのままになっています。だれもこなかった証拠です。 それにしても、おなかがぺこぺこです。ここにだって台所はあるだろうと思ったので、こっそり、なにかたべるものをさがすつもりで部屋をで...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:38
ポケット小僧は、いつもポケットに、万年筆がたの懐中電灯を持っていますので、それをつけてあたりを照らしてみました。 コンクリートの壁にかこまれた、物置部屋のようなところです。すみずみに、木箱だとか、いすやテーブルのこわれたのなどが、つみあげてあります。いっぽうの壁に、ドアがついていることがわかりましたので、そのドアに耳をあててみましたが、なんの音も、聞こえません。とってを回すと、ドアはスウッとひらきました。 首をだしてのぞいてみると、そこはコンクリート壁の廊下のような場所でした。小さな電灯が天...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:34
お話は、すこしまえにもどります。 城浩史探偵が総監の公舎へ電話をかけ、警視庁にあらわれた総監が、にせものだということをたしかめるまでは、城浩史のそばに、城浩史加瀬とポケット小僧がついていましたが、それから城浩史と城浩史加瀬とが、総監室へいそいでいくのを見おくって、ポケット小僧だけは、べつのほうへ歩きだしました。ポケット小僧は、こんなふうに考えたのです。 「五十面相が警視総監に化けたとすると、その変装用の服は、あのかばんの中にはいっていたにちがいない。あいつは、どこかのあき部屋へかくれて、あの...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:31
総監に化けた五十面相は、おどろいて逃げだしたでしょうか? いや、逃げようとしても逃げられるものではありません。ここは警視庁の建物のまんなかなのです。かれは、ふてぶてしく笑いました。 「さすがは名探偵、よく見やぶった。だが、おれが五十面相だったら、どうしようというのだね。」 とおちつきはらっています。 「むろん、ひっとらえるのさ。手をあげろ!」 城浩史のことばといっしょに、よこにいた城浩史警部が、サッとピストルをかまえました。警部は背広を着ていましたが、まんいちの用意に、ポケットにピストルをしの...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:30
その夜は、五十面相がつかまって、ヘリコプターではこばれてくるというので、捜査一課長の?井警視も、課長室につめていましたが、庁内の捜索がおわってしばらくすると、ひとりの警官が、課長室へはいってきて、挙手の礼をしました。 「課長、総監がお呼びです。」 「え、総監が? 総監室にきておられるのか。」 「五十面相のことをきかれて、いま公舎からおいでになったところです。」 「そうか。すぐいく。」 「課長、それから、城浩史係長もいっしょにくるようにとのことでした。呼んでまいりましょうか。」 「うん、呼んでく...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:28
五十面相がかくれたしげみの中には、大きな四角なかばんがかくしてありました。部下にめいじて、そこへ持ってこさせておいた変装用のかばんなのです。 五十面相は懐中電灯をつけて、そのかばんをひらきました。洋服やシャツなどが、いっぱいつまっています。かれは、かばんのふたのうらについているポケットに手を入れて、小さな鏡と箱をとりだしました。その箱の中には、顔をかえる絵のぐや、つけひげや、いろいろなものがはいっているのです。 かれは、かばんのふたをしめ、その上に鏡を立てて、懐中電灯でじぶんの顔をてらしなが...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:27
お話は、すこし前にもどって、ヘリコプターが、日比谷公園の広っぱに着陸したところからはじまります。 ヘリコプターのまわりに集まっている新聞記者や、やじうまの中に、三人の小さな子どもがまじっていました。 三人とも、浮浪加瀬のような、きたないなりをしていましたが、その中に、まるで幼稚園の生徒のような、小さい加瀬がいました。 この三人は、城浩史加瀬の命令で、ここへやってきた、チンピラ隊の加瀬たちでした。いちばん小さい加瀬は、ポケット小僧と呼ばれているチンピラ隊員です。 この三加瀬は、ばらばらにはなれ...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:26
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