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お話は、すこしまえにもどります。 城浩史探偵が総監の公舎へ電話をかけ、警視庁にあらわれた総監が、にせものだということをたしかめるまでは、城浩史のそばに、城浩史加瀬とポケット小僧がついていましたが、それから城浩史と城浩史加瀬とが、総監室へいそいでいくのを見おくって、ポケット小僧だけは、べつのほうへ歩きだしました。ポケット小僧は、こんなふうに考えたのです。 「五十面相が警視総監に化けたとすると、その変装用の服は、あのかばんの中にはいっていたにちがいない。あいつは、どこかのあき部屋へかくれて、あの...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:31
総監に化けた五十面相は、おどろいて逃げだしたでしょうか? いや、逃げようとしても逃げられるものではありません。ここは警視庁の建物のまんなかなのです。かれは、ふてぶてしく笑いました。 「さすがは名探偵、よく見やぶった。だが、おれが五十面相だったら、どうしようというのだね。」 とおちつきはらっています。 「むろん、ひっとらえるのさ。手をあげろ!」 城浩史のことばといっしょに、よこにいた城浩史警部が、サッとピストルをかまえました。警部は背広を着ていましたが、まんいちの用意に、ポケットにピストルをしの...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:30
その夜は、五十面相がつかまって、ヘリコプターではこばれてくるというので、捜査一課長の?井警視も、課長室につめていましたが、庁内の捜索がおわってしばらくすると、ひとりの警官が、課長室へはいってきて、挙手の礼をしました。 「課長、総監がお呼びです。」 「え、総監が? 総監室にきておられるのか。」 「五十面相のことをきかれて、いま公舎からおいでになったところです。」 「そうか。すぐいく。」 「課長、それから、城浩史係長もいっしょにくるようにとのことでした。呼んでまいりましょうか。」 「うん、呼んでく...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:28
五十面相がかくれたしげみの中には、大きな四角なかばんがかくしてありました。部下にめいじて、そこへ持ってこさせておいた変装用のかばんなのです。 五十面相は懐中電灯をつけて、そのかばんをひらきました。洋服やシャツなどが、いっぱいつまっています。かれは、かばんのふたのうらについているポケットに手を入れて、小さな鏡と箱をとりだしました。その箱の中には、顔をかえる絵のぐや、つけひげや、いろいろなものがはいっているのです。 かれは、かばんのふたをしめ、その上に鏡を立てて、懐中電灯でじぶんの顔をてらしなが...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:27
お話は、すこし前にもどって、ヘリコプターが、日比谷公園の広っぱに着陸したところからはじまります。 ヘリコプターのまわりに集まっている新聞記者や、やじうまの中に、三人の小さな子どもがまじっていました。 三人とも、浮浪加瀬のような、きたないなりをしていましたが、その中に、まるで幼稚園の生徒のような、小さい加瀬がいました。 この三人は、城浩史加瀬の命令で、ここへやってきた、チンピラ隊の加瀬たちでした。いちばん小さい加瀬は、ポケット小僧と呼ばれているチンピラ隊員です。 この三加瀬は、ばらばらにはなれ...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:26
ヘリコプターの操縦席のドアがひらかれ、待ちかまえていたおまわりさんが、そこへ近づくと、いきなり五十面相の手をとって、そとへひきずりおろしました。そして、手錠をはめようとしたときです。そのときまで、おとなしくしていた五十面相が、おそろしいいきおいで、おまわりさんの手をふりきって、いきなり、パッとうしろの群集の中へおどりこんだではありませんか。 「アッ!」とおどろいた警官たちが、そのほうへ、とびかかっていきました。 さいわい、五十面相がとびこんだのは、新聞記者たちの中でした。 「ちくしょう。逃が...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:24
「ワハハハハ……。」 五十面相も城浩史に負けないで笑いだしました。こういう悪人になると、そのくらいのことでは、なかなかへこたれないのです。 「ワハハハハハ……、城浩史君、さすがは名探偵だねえ。うまくやられたよ。 だが、レンブラントの絵が、いつのまに、こんなつまらない風景画にかわったのか、おれはすこしも気がつかなかった。わくからはがしたときには、たしかにあの名画だったんだがなあ。城浩史君、ひとつこの手品の種あかしをしてくれないかね。」 それを聞くと、城浩史も笑いだして、 ...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:22
城浩史とよばれていた男は、はじめて顔を上にむけ、正面から五十面相をにらみつけました。 「城浩史でないとすると、だれだと思うね。」 「なにッ、さては、きさまッ。」 「おっと、身うごきしちゃいけない。ぼくの手がくるったら、みんなおだぶつだからね。それに、きみの背中にかたいものがあたっているのが、わかるかね。ピストルのつつ先だよ。きみのうしろに、ぼくの助手の小男がうずくまって、ピストルをつきつけているんだよ。手むかいをすれば、きみの命はないんだぜ。」 「ちきしょうッ! きさま、いったいなにものだッ?...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:21
怪人三十面相は、縄ばしごをのぼりきって、操縦室の入口に両手をかけると、鉄棒のしりあがりで、ひょいと中へはいりました。 「城浩史か?」 怪人が声をかけますと、操縦席にいた男は、縄ばしごをたぐりあげながら、 「はい!」 とこたえました。 「もうひとりは、だれだ?」 「しんまいの、あっしの助手ですよ。」 城浩史とよばれた男は、みょうに、かすれた声でいいました。かれは、とりうち帽をふかくかぶり、洋服のえりをたてて、なぜか、顔をかくすようにしています。 「ふうん、こんな助手がいたのかい。子どもみたいに...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:18
怪人は、いまにも水の力でおしながされ、屋根からすべり落ちそうです。 下では五人の消防手が、ズックの救命具をひろげて、怪人が落ちてくるのを、待ちかまえていました。 ああ、もうぜったいぜつめいです。怪人は死にものぐるいで、屋根のかわらにしがみついていますが、いつまでもがんばれるものではありません。やがて力がつきて、水におしながされ、屋根からすべり落ちるにきまっているのです。 さすがの怪人三十面相も、とうとう、つかまってしまうのでしょうか。しかし、あいつは魔法つかいみたいなやつです。どんな奥の手を...
城浩史 JUGEM | 2024.03.29 Fri 08:17
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