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美しい音色、美しい声がホール内に響く。 マリア・フランネリーは天才オペラ歌手と謳われている。その実力は本物のようで、その声を聞いた者は本物だと認めざるを得ない。 彼女は声だけでなく容姿もスタイルも美しい。華奢な体つきに長い手が伸びており、まるでバレリーナのような美しい胸元を出している。それに相応しい大きな翡翠のネックレスを彼女の首回りを飾っている。
:+: notebook :+: | 2010.04.22 Thu 21:25
圭が着替えている間に彼女に似合いそうなドレスを探そうと店内を見回す。その時に視界に入ったのは淡いピンクのレースがついたボリュームのあるドレスで、素朴な雰囲気を漂わせている。圭にとってこちらの方が気楽に着れられるのではないか、と想定してそのドレスを持って来るよう店員に伝えた。
:+: notebook :+: | 2010.04.22 Thu 21:24
都心の道路はゴミゴミしていて車が一向に進まない。平日の昼間なのに一体どういうことか、と圭は文句を覚えながらもウィンドウ越しに車と車の隙間があと何センチ、というような形で信号を待っているのをぼうっと眺める。
:+: notebook :+: | 2010.04.22 Thu 21:20
――土曜日にオペラのコンサートがあるので、一緒に行きませんか? チケットはありますから。 克にコンサートに誘われたのは意外だったが、興味がある上にコンサートは初めてなので二つ返事で承諾した。 この事を圭の父に話すと、彼は驚いていた。
:+: notebook :+: | 2010.04.22 Thu 21:19
学校の一日の終わりを告げるチャイムが辺りを響かせる。担任の先生はやれやれと言わんばかりにため息をつき、これにて終了と言うとクラス委員長が起立と甲高い声で教室内を響かせ、それにならって皆が立ち上がり一礼をする。圭もそれにならっていたが、ダラダラとやるべき事をするだけだった。
:+: notebook :+: | 2010.04.22 Thu 21:18
いっそのこと、何もかも消えてしまえばいいのに。 そんな事何回思ったのだろうか、と圭はベッドの上に仰向けになって天井を見つめている。時間が経つつれに克の顔がおぼろけになっていく。どんなに一生懸命思い出そうとしても焦点がかみ合わないかのようにぼやけたままだ。
:+: notebook :+: | 2010.04.22 Thu 21:17
「オハヨー。昨日どうしたのよ?」 聞き慣れた声が圭の頭の中に響くように入ってくる。圭は冷ややかな笑みを浮かべ、用事があっただけだよと答えたきり麻奈とは口を利かない。麻奈は不思議そうに圭を見てこれ以上話し掛けても無駄だろうと思ったのかぱっと踵を返して自分の席に座った。
:+: notebook :+: | 2010.04.22 Thu 21:16
ポロロン、と圭の携帯が鳴り始め、二人だけしかいない静かな公園だったのかやけに大きな音のメロディが流れる。圭は慌てて携帯から出ると悪友の麻奈からの電話だったが、大よそ合コンかなんかだろうと思って応対した。『あ、圭? 今ねー、麻奈渋谷にいるんだぁ。友達と飲みに行こうかと思って、圭も来ない?』 電話の向こうから騒がしい声や音が聞こえて来る。いつもあたしと言ってるのに何が麻奈だ、と思いながらも「今日は行けないよ。」と断った。
:+: notebook :+: | 2010.04.22 Thu 21:14
穂積圭は近所では見かけた事のない少年と出会う。圭は大学をどこにしようかと公園のブランコを漕ぎながら迷っていたところ、見慣れない少年が視界に入ってきた。 身長が高く、圭よりもはるかにすらっと伸びている。中学生か高校生ぐらいだろうと思われる。圭はそのまま彼をじっと見つめていたのだが、彼はその視線に気付いたようでこちらに振り返る。
:+: notebook :+: | 2010.04.22 Thu 21:12
「そこで何をしてるんですか?」 聞き覚えのある声変わりの途中のような乱れた声が聞こえた。遠くにある滑り台の近くに先ほどの彼が立っている。 圭は漕ぐのをやめ、ブランコの勢いを緩めていき、小振りになると何か用? と訊ねた。少年はブランコの柵に腰掛け、圭の様子を眺めている。
:+: notebook :+: | 2010.04.22 Thu 21:12
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