[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]

翌日の夕方、圭は信じられないものを目のあたりにする。それは新聞の芸能ニュース欄に自分と克の事が報道されたものである。 ――まさか、一緒にいるところを見られたにしてもここまで出鱈目を書かれるなんて! 自分の愚かさを呪う。どうしてこんな事になると予想しなかったのか――それとも克の思惑なのか? 彼女は混乱してしまう。 その時に電話が鳴り始める。気を取り直して電話に出る。「はい、穂積です」『あんたが穂積圭? いい気になんないでよ! 克様はわたし達のものなんだから――』
:+: notebook :+: | 2010.06.15 Tue 09:54
桐野さんの作品を読むのはなかなか体力がいるのだけど、手持ちの本も少なくなってきて、どうかな〜と思いながら読み始めました。ここのところ心身共に弱っているもので(._.)最初は現代の男女の恋愛ものだと思っていたのですが、時代が遡り登場する男女。その4人の心情が交錯し、淡々と語られていく。4人それぞれの過去と現在(生きている今の思い)の思いが語られ、女性ならではの心と体の繋がりを求めたり、男性ならではの体の繋がりを求めたり、それぞれに共感できる部分はありました。最初は質視点で浪子ってなんて女だ!と思っ...
kuuの読書感想 | 2010.06.14 Mon 18:05
「おねが、い……克……」 唇を離すと圭はそう言って身体をよじらせる。克の手によってブラウスのボタンを外され、ブラジャーが露わになる。その純白の下着は光を受けてより一層白く映えている。 克は圭の胸元に口付けをして舌を出して鎖骨辺りを舐め始める。その彼の吐息がかかったところに敏感になり、彼女の口から喘ぎ声が漏れる。「克……やめ――」 力なく弱々しい声で抵抗しながらも克を制しようとする。 彼は素早く圭の背中に手を回してブラジャーのホックを外す。「いやっ……! やめてぇ!」 その叫び声も空しくリビングル...
:+: notebook :+: | 2010.06.14 Mon 09:28
圭の事務所もひっきりなしに電話が掛かってきて矢田もその他のスタッフも目が回るほどの忙しさに対処しきれなく軽い眩暈を引き起こす者もいた。「マスコミの力って大きいのね……改めて思い知らされたって感じだわ」 そう言って窓の外を眺めながらため息をつかせる。どうしたら収まってくれるのだろうか、と矢田に声を掛けると矢田は首を振っただけであった。「噂は七十五日っていいますからね……」 別のスタッフがゲンナリと机に伏す。短いようで長い、とまた別のスタッフがぼやく。
:+: notebook :+: | 2010.06.12 Sat 22:57
「おい――お前何した?」 シャワーを浴びて来た滝川がリビングのソファーに寝転んで滝川の携帯を握り締めている梓を見て大体の想像がついた。「何って? 圭さんに諦めてもらうよう言ったの」「お前な! いい加減にしろっ!」 カッとなって従兄弟に手を上げようとしたがハッとして寸前で止める。 顔を引っ込めて目をつぶっていた梓はそろり、と目を開く。そこには深いため息をつく滝川の姿があった。
:+: notebook :+: | 2010.06.11 Fri 19:44
「なぁ、あっこぉ、モスバーガー、いこか」ええ、夜のごはんとして、モスバーガー。セックス終えたあと、シャワーあびて、夜ごはん、どないしょかなぁ。そう思っていた亜希子でした。「うん、モスのハンバーガー、高いけど、おいしいもんね」マクドナルドよか、高めのモスバーガーです。でも、外出、モスバーガーへ行くといっても、そのままじゃないの。亜希子、ローター、いれて、パンティ穿いて、きっちり抜けないようにして。「ふうん、あっこぉ、顔、火照ってるんや、かわいいねぇ」「ああん、なによぉ、しんいちぃ、そやかってぇ...
あっこの愛の部屋 | 2010.06.10 Thu 18:00
「ふう……どうしたものか。矢田さん何も知らないのか? 圭が不機嫌にしている理由」「さ、さあ……分かりませんねぇ」 矢田はまいった、と言わんばかりに頭をぽりぽりと掻く。滝川はドアの横の壁にもたれかかり、ため息をつく。「そういえば昨日から様子おかしかったなあ……」「そうみたいですね、昨日結構険しい顔して事務所に来てましたよ」 矢田が昨日の圭の様子を思い出して滝川に伝える。
:+: notebook :+: | 2010.06.10 Thu 09:49
シュルシュル、と林檎を向く音と点滴の滴り落ちる音が入り混じって、薬品のにおいで林檎の香りがかき消される。 静かで殺風景の病室は圭の気持ちを沈ませるもので、長くはいたくなかったのだが――滝川の父親である滝川和則の世話を引き受けた以上放棄するわけにはいかない。 この病室さえ明るければまだマシだったのに、と少し心の中で呟く。
:+: notebook :+: | 2010.06.09 Wed 20:59
ガラガラと重苦しい空気の中でドアが横に開かれる。病院のドアは大抵横に開くもので、滝川の父親の病室もそういうものであった。 するとぷうん、と鼻につく薬品のにおいで圭は思わず顔をしかめる。 丁度彼女の母親の死んだ病室もそうであったように、彼女の記憶の渦から呼び戻される。――お母さん……死んだなんて、嘘でしょう?
:+: notebook :+: | 2010.06.09 Wed 09:53
大事な、話――? 圭はじっと滝川を見つめて彼の次の言葉をじっと待つ。彼の方は深呼吸しながらも圭の瞳をまっすぐに捉えて、軽くキスを落としてからにっこりと笑う。「いつか、圭に教えて、って言ってただろ? 俺の母親の事を――」 丁度四年前に付き合う直前に圭が滝川に言った言葉を思い出して、圭はああ、と呟いて思い出す。「それ、な、言おうと思って。今大丈夫か?」「うん、大丈夫」 圭は微笑んで彼の肩に寄りかかる。それに応えるようにして圭の肩を抱いて額に口付けをした。
:+: notebook :+: | 2010.06.07 Mon 21:12
全653件中 211 - 220 件表示 (22/66 ページ)