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第四部 8.

  圭の事務所もひっきりなしに電話が掛かってきて矢田もその他のスタッフも目が回るほどの忙しさに対処しきれなく軽い眩暈を引き起こす者もいた。「マスコミの力って大きいのね……改めて思い知らされたって感じだわ」 そう言って窓の外を眺めながらため息をつかせる。どうしたら収まってくれるのだろうか、と矢田に声を掛けると矢田は首を振っただけであった。「噂は七十五日っていいますからね……」 別のスタッフがゲンナリと机に伏す。短いようで長い、とまた別のスタッフがぼやく。

:+: notebook :+: | 2010.06.12 Sat 22:57

第四部 7.

 「おい――お前何した?」 シャワーを浴びて来た滝川がリビングのソファーに寝転んで滝川の携帯を握り締めている梓を見て大体の想像がついた。「何って? 圭さんに諦めてもらうよう言ったの」「お前な! いい加減にしろっ!」 カッとなって従兄弟に手を上げようとしたがハッとして寸前で止める。 顔を引っ込めて目をつぶっていた梓はそろり、と目を開く。そこには深いため息をつく滝川の姿があった。

:+: notebook :+: | 2010.06.11 Fri 19:44

愛のお部屋(2)-13-

「なぁ、あっこぉ、モスバーガー、いこか」ええ、夜のごはんとして、モスバーガー。セックス終えたあと、シャワーあびて、夜ごはん、どないしょかなぁ。そう思っていた亜希子でした。「うん、モスのハンバーガー、高いけど、おいしいもんね」マクドナルドよか、高めのモスバーガーです。でも、外出、モスバーガーへ行くといっても、そのままじゃないの。亜希子、ローター、いれて、パンティ穿いて、きっちり抜けないようにして。「ふうん、あっこぉ、顔、火照ってるんや、かわいいねぇ」「ああん、なによぉ、しんいちぃ、そやかってぇ...

あっこの愛の部屋 | 2010.06.10 Thu 18:00

第四部 6.

 「ふう……どうしたものか。矢田さん何も知らないのか? 圭が不機嫌にしている理由」「さ、さあ……分かりませんねぇ」 矢田はまいった、と言わんばかりに頭をぽりぽりと掻く。滝川はドアの横の壁にもたれかかり、ため息をつく。「そういえば昨日から様子おかしかったなあ……」「そうみたいですね、昨日結構険しい顔して事務所に来てましたよ」 矢田が昨日の圭の様子を思い出して滝川に伝える。

:+: notebook :+: | 2010.06.10 Thu 09:49

第四部 5.

  シュルシュル、と林檎を向く音と点滴の滴り落ちる音が入り混じって、薬品のにおいで林檎の香りがかき消される。 静かで殺風景の病室は圭の気持ちを沈ませるもので、長くはいたくなかったのだが――滝川の父親である滝川和則の世話を引き受けた以上放棄するわけにはいかない。 この病室さえ明るければまだマシだったのに、と少し心の中で呟く。

:+: notebook :+: | 2010.06.09 Wed 20:59

第四部 4.

  ガラガラと重苦しい空気の中でドアが横に開かれる。病院のドアは大抵横に開くもので、滝川の父親の病室もそういうものであった。 するとぷうん、と鼻につく薬品のにおいで圭は思わず顔をしかめる。 丁度彼女の母親の死んだ病室もそうであったように、彼女の記憶の渦から呼び戻される。――お母さん……死んだなんて、嘘でしょう?

:+: notebook :+: | 2010.06.09 Wed 09:53

第四部 3.

  大事な、話――? 圭はじっと滝川を見つめて彼の次の言葉をじっと待つ。彼の方は深呼吸しながらも圭の瞳をまっすぐに捉えて、軽くキスを落としてからにっこりと笑う。「いつか、圭に教えて、って言ってただろ? 俺の母親の事を――」 丁度四年前に付き合う直前に圭が滝川に言った言葉を思い出して、圭はああ、と呟いて思い出す。「それ、な、言おうと思って。今大丈夫か?」「うん、大丈夫」 圭は微笑んで彼の肩に寄りかかる。それに応えるようにして圭の肩を抱いて額に口付けをした。

:+: notebook :+: | 2010.06.07 Mon 21:12

第四部 2.

 「綺麗になりましたね」 克は営業スマイルを浮かべて圭に会釈をする。圭は顔が引きつったままどうも、と会釈を交わす。滝川は客である克を今すぐにでも追い出してすっきりしたかったが、ここはあえて抑えなければ自分の面子が潰れる事は頭でも分かっていた。「ようこそいらっしゃいました。フランネリー家の御曹子が直々のお出ましとは嬉しい驚きです」 強引に圭と克の間に割った滝川は満面の笑顔で克を見つめながら手を差し出す。克はゆっくりとした動作で滝川を睨み返し、その出された手を強く握る。

:+: notebook :+: | 2010.06.07 Mon 10:22

第四部 1.

  I drew my dream loving with you... Why you left at me? I wanna loved for you for ever... Why you stopped loving me? I drew you love me... Why? Why? Why...?

:+: notebook :+: | 2010.06.06 Sun 12:01

ブランコ 第三部 15.

  滝川は黙って引き下がり、圭を手前に出させる。克は滝川をずっと睨んだまま腕を組む。「本当、お久し振りね」 フランネリー夫人は圭の肩を叩いて嬉しそうに声を掛ける。圭は少々後ろめたい顔をしてそうですね、と相槌を打つ。「そちらにいるのが――彼氏?」

:+: notebook :+: | 2010.06.05 Sat 11:43

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