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JUGEMテーマ:恋愛小説はじめから読まれる方はこちらから 祥乃が夫に返事をしたのは拓真の退院が間近にせまった日だった。拓真を引き取る事をまず了承すると、夫はやっと笑った。ここのところ夫の笑顔を見た事が無かったので、祥乃は少し戸惑った。しかし、言わなければならない事があった。 「あなた、私、拓真くんは好きだし、かわいいし、引き取る事に何の依存も無いの。ただね・・。」 夫が不安そうな顔をした。 「母親になれるかどうかは、一緒に暮らしてみないとわからない。ずっと伯母さんのままかもしれない。」 夫...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.08.01 Sat 13:43
JUGEMテーマ:恋愛小説”好きな人と一緒にいるしあわせ、体をくっつけている安心。痛々しいほどまっすぐに綴られる「この人が愛しい」という思い・・・。ごく普通の女の子のリアルな日常、ありのままの恋愛、ほんとうのセックスをやさしくやさしく大事に切り取った、八つの恋の物語”(内容紹介)夏石鈴子は「新解さんの読み方”という文庫を初めて読んでそれがあまりにも面白くて、もっと彼女の作品を読みたいと思って、「新解さんリターンズ」とこの文庫を買ったのですが。タイトルはとても刺激的だし、(大体、タイトルにつられて買っ...
まいりすとまにあ | 2009.07.31 Fri 21:12
JUGEMテーマ:恋愛小説● 植物図鑑 / 有川浩● 角川書店● 1575円● 評価 ☆☆☆☆☆「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか?咬みません。躾のできたよい子です。」ある日、道ばたに落ちていた男はそう言った。「あらやだ、けっこういい男」そして二人の共同生活ははじまった。知っているのは彼の名前だけ。でも、それで充分。私たちは花を咲かせるように、ゆっくり大切にこの恋を育てていった。(感想)胸キュンの恋愛小説でありながら、道ばたに生えている植物を使った料理レシピ本でもあり、カラー写真入りの植物図鑑でもあ...
隣り近所のココロ・読書編 | 2009.07.29 Wed 12:51
JUGEMテーマ:恋愛小説 はじめから読まれる方は ここから 「拓真の事なんだが・・・。」 夫は言いにくそうに言葉を切った。 「拓真を・・・拓真を・・・引き取りたいんだ。」 祥乃はホッとした。何を言うのかと構えていたのに、そんな事か。 「もちろんよ。拓真くんが良くなったら、連れて帰りましょう。」「いいのか?本当に、いいのか?」 夫は、確かめるように何度も繰り返した。祥乃も何度も頷いた。 「祥乃、引き取るって事は・・・いずれ、父親と母親になるっていう事なんだぞ。拓真は一人ぼっちになってしまった...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.07.24 Fri 23:03
久しぶりの実家だな。 朱里のスキャンダル以来、森がここへ来なくなってから4ヶ月ほど経つ。一時は毎晩のように張っていた記者連中も、家の前の細い道と、親切なご近所の監視の目に音をあげたのか、最近はめっきりいなくなっていた。そろそろ、戻ってきても良いのかもしれない。 アイアン製の門を開けると、赤いカローラが、電話ですみれが言っていたとおり車庫に収まっていた。「蒼衣。おはよ」 リビングのソファには、蒼衣が突っ伏すように横になっている。この姿勢のときの蒼衣は、要注意だ。もちろん、返事はない。「こ...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.07.18 Sat 10:20
JUGEMテーマ:恋愛小説はじめから読まれる方は ここから 森弥祥乃は、いつもの様に仏壇に丁寧に手を合わせた。仏壇には、今朝方庭から切ってきた、祥乃の育てた竜胆と菊が供えられている。 「あなた、今日拓真が来ます。お正月以来ですね。もちろん、佳苗さんと露海(ろみ)も一緒ですよ。でもね、今日はもっと嬉しい事があるんです。私だけ、こんなにいい思いをして。あなた、妬かないで下さいよ。」 祥乃は仏壇に話しかけると、拓真達を迎える為のごちそうの準備に取り掛かった。ごちそうといっても、決まりきった田舎料理...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.07.18 Sat 09:59
「よ・・・」 陽。 そう言いたかった唇は、陽の唇に塞がれて息もできない。体重をかけるように押さえつけられた体は、身動きもできない。手を体の間に差し込んで拒絶しようとするが、あっさりと手首を掴まれて頭の上に押さえつけられてしまった。 キスが、より深く、激しく、口の中を蹂躪する。陽は、キスをしながら片手で蒼衣の両手首を掴みなおすと、もう片方の手を、耳たぶ、うなじ、首筋へと意図を持って撫で下ろした。いつも蒼衣がうっとりと見つめている美しい指先が、さらに鎖骨の下へと伸びていく。 蒼衣は身を捩ったが、あっ...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.07.17 Fri 08:34
「ねえねえ、陽は、休みがあったらどんなところに行ってみたい?」 美味しい食事が進んでも、ビールを数本あけたあとでも陽が蒼衣の天然ぶりを挙げてはからかうので、蒼衣は強引に話題を変える。一度もしたことのない、いわゆる、デートというもののリサーチをするのだ。「場所?」「そう」「そーだなあ。やっぱ、留学してたボストンかなあ。」 帰国して、そろそろ一年。あちらで就職しなかったことに対する後悔はまったく無いが、向こうで仲良くなったたくさんの友達が恋しかった。「海外か・・・。」 デートでボストンに行くわ...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.07.13 Mon 08:34
JUGEMテーマ:恋愛小説「はあ?」 陽は、案の定、訳がわからないという顔をしている。『友達みんなが “お泊り” してるのに私はそういうことしてないのが悲しい』と白状できない蒼衣は、答えを聞くまで甘い拷問を繰り返すであろう陽に対し、違う答えを用意した。・・・以前陽から聞いて信じ、佳代たちに話して笑われた、ネズミーランド話を。「ネズミーランド・・・?ああ、ディズニーね」「ほら、やっぱり!嘘つき!!」 鬼の首を取ったかのような、蒼衣の顔。「ちょー待て。ディズニーが、どうしたって?」「陽が、言ったじゃない。アメリ...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.07.11 Sat 08:18
JUGEMテーマ:恋愛小説はじめから読まれる方はこちらから 「玲王、私ね暖かい家庭に憧れてたの。実はね私の母、あなたのおばあちゃんだけど、父と別れた後、誰か必ず男の人がいたの。その人を父と呼んだ事もあったのよ。でも正式な結婚はしていなかったの。だから、玲王のおとうさんと、両親のいる当たり前の家庭が作りたかった。」 「どうして、別れたの?」 「別れた理由は、夫婦の事だからあまり詳しくは言えない。ごめんなさい。玲王のおとうさんにも悪いしね。ただひとつだけ。」 「ひとつだけ?」 「私は玲王を引き取...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.07.11 Sat 00:47
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