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亮の、隣街の高校の転入が決まった。 あの日以来、昴は私を避けているようだった。 私は、夏休みのほとんどを亮と過ごした。 美沙からは毎日のように電話が来ていたが、会う気にはなれなかった。 どうせ、また三人になる。 私の中で、そうなる事を意識的に避けていた。 夏休み最後の日。 亮は昴の家から、隣街へと越して行った。 少しだけ時間よりも早く着いた朝の駅は静かで、明け方に霧がかかったせいか、 ホームのベンチは薄っすらと濡れていた。 「昴くんによろしく」亮は最後にそう私に告げると、始発の電車に乗...
君に綴るもの・・・ | 2009.07.03 Fri 18:50
JUGEMテーマ:恋愛小説 杉浦は、体が硬直したまま、動けなかった。「陽さん・・・。いつから・・・?」 いつから、自分が同性愛者だと気づいたのだろう?すると「二回目?一色の家で会ったとき。そうかなって思った。」 やはり、陽の予感は的中していた。自分を見つめる杉浦の目が恋愛対象のそれと同じだ、と気づいたのは、会ってすぐのことだった。「じゃあ、もしかして一色も?」 朱里も、すでに自分がそうだと知っているのだろうか。「いや?朱里は、気づいてないと思うけど。」 陽は、自分で気づいたものの、他言はしないでくれ...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.07.03 Fri 08:38
JUGEMテーマ:恋愛小説 せっかく、陽と気持ちを確認でき、ラブラブな予感がしたのに・・・! 蒼衣は、先日朱里から言われた『頑張ってね』という一言が、まさかこういう風に頑張ることになるとは思ってもいなかった。 ただでさえ、会社員である陽は仕事納めだ忘年会だと忙しい年末なのに、森のスパーリング相手と撮影に向けてのトレーニングという新たな予定が加わることで、また更に会えない日々が訪れていた。なんと、陽の家へ行っても居候している森に会うほうが多いくらいだ。 陽には一応年末年始の休みがあるが、年内は森のセ...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.07.02 Thu 08:31
JUGEMテーマ:恋愛小説 杉浦が陽を撮影する日は、年明け、成人の日と決まった。 朱里、蒼衣ふたりの成人式でもあるこの日。朱里の状況を慮って、地元の式には出ず、写真撮影だけをすることになったのだ。「陽ちゃんのついでに、私たちも撮ってもらえばいーじゃん!」 大発見をしたかのようにそう言ったのは、朱里だった。「陽ちゃん、会社休みだし、美人双子姉妹も撮れるし!一石二鳥♪ ね、杉浦?」「おい、朱里。杉浦くん、同い年だろ?人の成人式のコトも考えろよ」 呆れたように陽が言った。「あ、そっか」「いえ、い...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.07.01 Wed 08:26
JUGEMテーマ:恋愛小説 事の成り行きを見計らったかのように、すみれから『ごはんよ〜』という号令が届いた。「杉浦くんも、食べてってねーえ♪たくさん作ってあるから!」「あ、ハイ。すみません、じゃあ、お言葉に甘えて・・・」 出張中で不在の光三にかわって杉浦が腰掛け、すみれがこれまた張り切って作りすぎたご馳走を前に、夕食が始まった。「あああ。裸を撮られると思うと、メシも美味くない・・・。」 まだぐずぐずと抵抗を見せる陽が、鶏肉のグリルを箸でつつきながら言う。「なんで、ヌード見たいとか言うかなー・・・。」「なんで...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.06.30 Tue 08:31
JUGEMテーマ:恋愛小説 「え」 朱里の表情から、笑いが消える。「あおい?っていう、事務所なんですか?」 蒼衣にまだ会ったことのない杉浦は、陽の言った名前が本当のプロダクション名だと信じているようだ。「違う!蒼衣、っていうのは・・・」 朱里が、杉浦に説明しようとしたそのとき。「え、なあに?」 背後から、当の本人である蒼衣が、森と一緒に現れた。「・・・あれが、蒼衣。」 杉浦は、朱里の妹の存在を知らなかったようだ。髪形が違うだけで、全く同じ造作の蒼衣を見て、朱里と蒼衣の顔を交互に超スピードで見比べてい...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.06.29 Mon 08:35
JUGEMテーマ:恋愛小説初めから読まれる方はここから 「露海(ろみ)、公園にいこうか?」 森弥露海は昼食を終えると、父・拓真から声をかけられた。 露海はちょっと嫌な顔をした。 「露海、行かない。」 「どうして?」 拓真が露海の顔を覗き込んできた。 「だって・・・。」 おにいちゃんとお話したいもの。 露海が別の所に住んでいる兄がいると、母・佳苗から聞いたのは、つい最近の事だ。何のことなのか、正直 露海には解らなかった。しかも、佳苗の話だとその露海の兄・玲王(れお)は、近々家...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.06.27 Sat 19:13
JUGEMテーマ:恋愛小説「すみません・・・・・・・・・」 静かに陽の背後に立っていた若い男は、驚いて仰け反る陽になぜか謝って、ぺこりと頭を下げる。「いや・・・、いいんだけど・・・ビックリした・・・。」「あ、杉浦。こっち、座って」 朱里が、男に向かってぽんぽんと一人掛けソファの座面を叩く。「こちら、陽ちゃん。陽ちゃん、同じ大学の杉浦だよ。共同の課題、ガッコでできなくなったからウチに来てくれたの」 なんで学校でできなくなったかは、言わずもがな、か。週刊誌やワイドショーには、普段の朱里の性格などをペラペラと語る自称 ”仲...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.06.27 Sat 09:28
JUGEMテーマ:恋愛小説 週刊誌発売の日。予測どおり、朱里は報道陣に囲まれて質問攻めにあった。「朱里さん、大嶺さんとの交際報道は本当ですか?」「大嶺さんの奥様とも面識があるとのことですが、申し訳ないと思わないんですか!?」「関係は、いつごろから続いているんですか!?」・・・・・・・・・ 黙ってて。先に車の運転席に乗り込んだみどりから、無言のメッセージが目線を通じて伝わる。朱里だって、黙っているつもりだった。ある記者からの問いかけを、耳にするまでは。「ご両親は、あなたのその行動について、どうおっしゃってい...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.06.26 Fri 08:32
JUGEMテーマ:恋愛小説 その日の夜。光三とすみれも帰宅して、一家全員で首を長くして朱里の帰りを待っていた。 皆、口数が少ないものの、心底悲観している雰囲気ではない。というのも、スクープされたという知らせが事務所から届いてはいたが、当の雑誌はまだ発行前だということが分かったからだ。 朱里の所属する事務所は、ものすごい大手ではないが、まあ中堅の類。もしかしたら、話し合い次第で記事が差し替えできる可能性だってあるかもしれない。 朱里がスキャンダルに巻き込まれないように、今は祈るばかりだった。その答え...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.06.25 Thu 08:36
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