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読書感想文

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「イロアセル」　倉持裕

誰かが話した言葉にはその人固有の色がついている。だから誰も無責任な発言はしない。そんな小さな島に本土から囚人と看守がやって来る。言葉に色がつかない監獄で交わされる島民と囚人の会話。嘘ばかりの政治家や大企業の社長。とまどうスポーツ選手や前科者の女。漏出した本音は島社会全体を崩壊させてゆく。あきらかな悪意、ひそやかな悪意、善意にかくされた悪意。感情を描かない短い言葉のやりとりとでしだいに相手を追い込んでいきチェックメイトをかけるようなこういう文章、とて...

あべゆかりの回想法ノート | 2020.05.04 Mon 17:30

どすこい（安）

　京極夏彦という人が何者か。小説家、妖怪研究家、グラフィックデザイナー、アートディレクター。このような肩書が並ぶ。私は妖怪関連のミステリーを書く、理系な人、というイメージがあります。京極堂シリーズは映画化されちるので、ほとんどの人がこのイメージを持っていると思っていますが、いかがでしょうか。　その中で、飛び抜けて異質な作品がこの「どすこい」。はっきり言って、コメディーです。パロディーです。笑うところしかありません。元ネタの小説がベストセラーばかりなので読んだことがある人が多いかと思い...

読書の滴 | 2020.05.04 Mon 17:02

青柳碧人　『朧月市役所妖怪課　号泣箱女』

JUGEMテーマ：読書感想文『朧月市役所妖怪課』シリーズ　Ｇ県朧月市起こった妖怪殺害事件。当然、人が被害者でないので警察は動かず県朧月市役所妖怪課が対応することになるが、妖怪たちの一部は、知性があるので『揺炎魔女計画』に対して報復攻撃をしないのが不思議なところ。例え相手が魔力で妖怪を封じ込めたり...

こみち | 2020.05.03 Sun 05:51

青柳碧人　『朧月市役所妖怪課　河童コロッケ』

JUGEMテーマ：読書感想文『朧月市役所妖怪課』シリーズ　Ｇ県朧月市は、第二次世界単線終了後にダグラス・マッカーサーが連合国軍最高司令官総司令部が入った第一生命館に妖怪が現れたことをきっけかに日本中の妖怪をＧ県朧月市に封鎖したことからＧ県朧月市の市民は妖怪との日常生活が始まった。通常、悪さをする妖怪は封印されているのだが ...

こみち | 2020.04.29 Wed 12:55

「鳥瞰図」　早船聡

千葉県の海に近い町。釣り船屋に集まってくる人たちの人間模様。別れた夫婦、別れそうな夫婦。死んだ娘、やってきた孫娘。世話好きで人のいい佐和子の歩んできた人生はどこにでもあるような幸せと不幸に彩られている。登場人物は８人だけなのにそぎ落とされた言葉の隙間からそれぞれの家族や亡くなった人の姿も見えるような。鳥が空の上から下界を見おろすように埋め立てられた海の風景まで見えてくる戯曲。 JUGEMテーマ：読書感想文

あべゆかりの回想法ノート | 2020.04.29 Wed 01:38

「夢・桃中軒牛右衛門の」　宮本研

革命家、宮崎滔天は桃中軒雲右衛門に弟子入りし、桃中軒牛右衛門（うしえもん）と名乗る。明治３５年『三十三年の夢』を出版した滔天。貧乏に耐えながら夫の活動を支える妻の槌。孫文を助け辛亥革命を支援し革命の夢を追う滔天はただ夢を見るために生きているのだと語る。実在の人物が登場する戯曲を読むと自分の無教養が突き付けられる。浪曲というと村田英雄という名前が浮かぶくらいで、いやはや、歴史に無知な自分が情けない。 JUGEMテーマ：読書感想文 &n...

あべゆかりの回想法ノート | 2020.04.28 Tue 00:49

ほしおさなえ　『活版印刷三日月堂　空の冊子』

JUGEMテーマ：読書感想文『活版印刷三日月堂』シリーズ　『活版印刷三日月堂雲の日記帳』で活版印刷三日月堂シリーズは完結したと思っていたのですが、本書『活版印刷三日月堂　空の冊子』は番外編として発売されました。以前読んだ感動が蘇りますね。　『活版印刷三日月堂雲の日記帳』の初回限定盤は、活版印刷で刷られた扉ページと...

こみち | 2020.04.27 Mon 00:03

「エネミイ」　蓬莱竜太

いわゆる中流の平凡な家庭を訪れた６０代の二人の男性。父親とは４０年ぶりの再会だがなんだかぎこちない。フラメンコを趣味にしている明るい母親。仕事と婚活に力いっぱい頑張る姉。一見いい加減に見える友人の山田くんは警察官。コンビニでバイトする３１才の礼司はふわふわと頼りない。学生運動、三里塚闘争、闘った男、闘い続ける男たち。それぞれが自分なりの生き方を貫こうとする中で主人公だけがまだ闘うことの意味を知らない。 JUGEMテーマ：読書感想文

あべゆかりの回想法ノート | 2020.04.26 Sun 17:45

青柳碧人　『西川麻子は地理が好き。』

JUGEMテーマ：読書感想文『西川麻子は地理が好き』シリーズ　主人公の西川麻子は警察官でもなく、探偵でもない。彼女の職業は、品教堂出版に務めている地理のテキスト編集者。だから、事件現場に出ることは殆どなく、付き合っている刑事の尾谷和寿を通してインターネット回線で事件の解決の糸口を探します。インターネット回線で登場す...

こみち | 2020.04.25 Sat 12:09