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オリジナル小説にパロディーとかファンタジックな感じとか織り交ぜてます!
明るめで読んでて楽しい感じに仕上げます。
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「女が来るぅ?」  食堂で、同僚があげた素っ頓狂な声に、会見を盗み聞きしていた480番は頷いた。 「なんでもエラいさんだったらしい、あの女」 「それで、司書に女が来るのか?」 「均衡を図るために共同体で生活を営むとかなんとか…」 「ムリだろ」 「だよなあ。今更女って言われてもな」 「あれ、080番は?」 「知らね。部屋に行ったっきり」  しばらくして、670番は問うた。 「なあ、お前、女って生き物についてどう思う?」 「どうもこうも」  480番は食事の最後の一さじを平らげながらあっさり言う。 「度し難い...

Note d' Ecrire | 2008.07.11 Fri 14:41

「お茶のひとつも出ないの?」  という《筆者》の苦言によって、急ぎ紅茶とケーキが供された。彼女はそれをおいしそうに食べた。女と言うのはわけのわからん生き物だ――080番は考える――来客以外の女には、もう数十年と会っていなかった。恋のひとつもしない若い頃に、司書として《井戸の底》に来た。  《井戸の底》。  それは巨大なデータベース。世界の図書館。有史以来のありとあらゆる書物が、司書たちの手によって管理・保管されている。司書は全員男で、女の司書は一人としていなかった。  そう、一人として。  《井戸の...

Note d' Ecrire | 2008.07.11 Fri 14:40

 暗い部屋の中に、930番は横たわっていた。彼はまだ少年だった。黒い巻き毛に、幼さをのこしたうりざね顔は、青ざめ、憔悴していた。 「やっと落ち着いたところなんです」  医師は080番と《筆者》の耳元でささやいた。 「暴れさすようなことはしないで下さいよ」 「努めるわ」  《筆者》は言い、病室の中に足を踏み入れた。  ベッドのそばに立つと、ぱちっ、と930番の目が開く。 「うわあ」 「大丈夫、私は何もしないわ」  静かなトーンで女は語りかけた。930番はとびあがると、壁の方へあとずさりしてわめく。 「いや...

Note d' Ecrire | 2008.07.11 Fri 14:39

 《筆者》と名乗った女は、080番のあとをさっさと歩いて、回収された恋愛小説の山の前に立った。 「すごいわね。これが全部、《シニガミ》が見える本?」 「いや」  080番は、女を奥に案内した。小さく頑丈な金庫の数字を合わせると、中から1冊の本を取り出してみせる。――思わず、持つ手が震えた。文庫版の、さして厚くもない本である。 「問題は《これ》ですよ」 「『ガーデン』」  小声で題名が読み上げられた。女は受け取り、軽くぱらぱらとめくってみる。ぎょっとして080番は、 「危ないぞ!」 「私はもう婚姻を結んで...

Note d' Ecrire | 2008.07.11 Fri 14:39

 悲鳴が聞こえたのはそのときだった。 「うわああ」 「どうした」 「女だ」  《井戸の底》は騒然となった。080番は他の物見高い司書たちと共に、受付へと向かう。  カウンターの前に、美しい女が立っていた。  我が目を疑った。 「――おふくろ?」 「俺には姉貴に見えます」  480番が言った。 (見えないのか!?あそこに金髪で灰色の目の女が…!)  前に《女》で死んだ240番が言っていた《女》とは、容貌が何もかも異なっていた。080番には、若い頃の母親をさらに若く、美しくしたように見えた。栗色の髪、白い肌、緑...

Note d' Ecrire | 2008.07.11 Fri 14:38

「で、」  080番は目の前に山積した本の山を睥睨した。 「これで全部か?」 「はい」 「あ、まだあるそうです、特別室の方に」 「よくもまあ集めたものだな」 「すごいですよ。聖書の雅歌からホメロスからゲーテからポルノまで。恋愛と言えるならですけど」 「恋愛小説の定義自体が俺よくわかんないっす」 「読んでみる気あるか?」  傍らにいた480番は首をすくめる。 「興味はありますけど。でも、ごめんこうむりますね」 「そうか」  080番は視線をドアのほうへやった。 「930番の様子はどうだ?」 「拘束してあり...

Note d' Ecrire | 2008.07.11 Fri 14:37

 ――れんあいしょうせつ、だあ?  ――いーじゃないですかぁ。流行ってるんですよ。  ――またですか、3人目ですよ。  ――《女が見える》か?  ――お前、俺に何を貸した?  ――小説だよ、ただの。  ――待ってくれ、俺が、俺が悪かったんだ!  ――ソフィア!  ――妹が、手をひいて、呼んでるんですよ。  ――もう、ひとりにしないから…。 『呪われてるんだ』 『本当か?』 『《女が見える》らしいぜ』 JUGEMテーマ:パロティックファンタジー

Note d' Ecrire | 2008.07.11 Fri 14:36

A Book Of 'GARDEN' 1

 Scarlet.d.t.様、原典 / 日野成美 著  そうして、本は人生に干渉する。           1 「こわいんです」  と少年は言った。唇が青く震えていた。 「何が」 「《女》が」  少年は虚空をゆびさした。だがそこには夜の闇がわだかまるばかりで、人の子ひとりおらぬ。 「こわい」  少年は頭を抱えてうずくまった。初老の男はただそれを見守ってやるしかできなかった。 JUGEMテーマ:パロティックファンタジー

Note d' Ecrire | 2008.07.11 Fri 14:36

ガーデン 6

   『ギャスケル夫人の夏の庭』。  扁額にはそう掲げられてあった。この大温室のことだ。  大温室《ガーデン》はいくつかのガラス・ドームから成り、広大な敷地の植物を庭師が管理していた。いつから、なぜここがあるのか、庭師たちには明かされていない。 「時は夏で止まったままだ」  最後の扉の前、トシトッタは掌の中のカードに向かってぼそぼそと教えた。エリとマコトはこわごわとうなずく。 「我々はこれから夫人に目通りする。夫人はおそらく、お前たちをおそれるだろう」 (なんで?...

Note d' Ecrire | 2008.04.27 Sun 10:52

ガーデン 3

 本年も無事新年をむかえられました。  ゆるゆると太陽はのぼって、朝日さす仏壇の間に、おじいちゃんはお線香をあげていた。  お正月からいいの?とおかあさんが訊いたけど、本人の気がすむならいいでしょう、と言っておいた。  わたしたちはおじいちゃんが惚(ほう)けてから、なるだけ手の届く範囲で、おじいちゃんの気の済むようにさせてあげようと決めていた。その点、おじいちゃんは手のかからない惚け老人だった。  おかあさんとおじいちゃんは血がつながっていない。おじいちゃんはおとうさんのおとうさんで、嫁のお...

Note d' Ecrire | 2008.02.26 Tue 14:07

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