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トム・リドル。 幼い彼がそこにいる。美しい卵型の頭、豊かでつややかな黒髪、アーモンド型の緑の瞳、りんごのような紅い頬。アイロンがけされた白いシャツに黒の半ズボン、サスペンダー。ピンクのひざこぞうが裾からのぞいている。彼は美しい子供だった。 野で花をつんでいた小さな私は、彼をこの世のものではないような心持で見つめている。花畑には霧がかかっている。なぜ私がそこで花をつんでいたのか、なぜトムがそこにいるのか、覚えていない。風がなびくように吹いていて、わたしのぼろぼろのスカートをふわりとふくら...
Note d' Ecrire | 2008.01.26 Sat 10:20
それからの一ヵ月、じつに静かな日々だった。 「まるで、しばらく病気をしていたうちの娘を見るようだよ」 コレット婆は言った。とはいえ、コレット婆が家族といるところを、わたしはほとんどみることがなかったのだけれど。 そのかわり、話はたっぷりと聞いた。コレット婆は一つひとつわたしに教えていった。杖をつかった掃除の仕方、洗濯の正しい方法(『ウォッシャブル、洗え!』)、内職にするつもりのシャツの仕立て、その方法、ちょっと早いけど編み物。 それから人間と魔法と《誇り》について。 コレット婆の、...
Note d' Ecrire | 2008.01.26 Sat 10:19
家を掃除するといったって、一体どこから手をつけたらいいのかわからない。 家は、玄関と台所と居間を兼ねる一番大きな部屋と、その正面の壁から左右のドアにつながる小さな部屋が二つ。右が両親の寝室だったところ。左がわたしの寝床。でも男たちは、泥酔して暖炉のそばでだらしなく寝崩れるのが常だったし、わたしのは寝床といっても、かび臭いわらの山だけだった。 住人の体内から出たゴミと埃をのぞけば、この棲家には、まともな布切れひとつなかった。ほんとうに貧しかったのだ。 わたしは掃除をはじめようとして、ま...
Note d' Ecrire | 2008.01.26 Sat 10:18
「メローピーじゃないか!今そっちに行こうとしてたとこだよ。大変だったねえ」 日が高く昇るころ、わたしはなんとか気力をふりしぼって、村の反対側に住むコレット婆のところへ行ってみた。ボロしかもっていないので、どうしても通らなければならない村の中を歩くのは恥ずかしかった。とおりすがりの女の人たちに、立ち話する男の人たちに、走り回る子供たちに、はやされたり、好奇と憐れみの目でこっちを見られるのは本当に恥ずかしい。目を伏せて、足をひきずるようにしてその場を去る。 コレット婆はわたしの生活保護の後見...
Note d' Ecrire | 2008.01.26 Sat 10:17
安心して寝床に入るなんて、何年ぶりだろう。わたしは自分の部屋のそまつな藁の山にもぐりこんで、幸福にひたった。疲れと安堵からすうっと眠りに入る。意識が遠のいていく… 夢をみた。 夢?わたしはふだん夢をみない。だから眠りについたと思ったのに、家の窓辺にだれかがいるのが見えてきて、不思議におもった。でもそこにいたのは、他でもない――私は息の詰まる思いだった。 ――おかあさん。 おかあさんがいる。椅子に、十四年前、わたしを置いて家を去った母が。家をすてた?そんなことどうでもいい。わたしはいつのま...
Note d' Ecrire | 2008.01.26 Sat 10:17
魔法警察が、家宅捜索を終えて引きあげていく。 「さーてと、やるだけのことは、やった」 年配の、くたびれたローブを着た男が腰を伸ばしながら息をつく。 「本当ですね」 と若くて金髪のほうの男が書類を繰りながら、疲れたように笑って答えた。彼らは魔法警察のしんがりをつとめて、最後の確認作業をしていた。 この汚れた家――家とすら呼べない。棲家。あばら家。年配の男が床中をおおった汚れを気持ち悪そうに見る。若い方の男も、靴の裏にねっとりとついた汚れを無意識にこそげ落とそうとしている。暖炉脇に積み重な...
Note d' Ecrire | 2008.01.26 Sat 10:16
わたしは醜い。 「おかあさんはどこにいるの?」 父にそう訊いた当時のわたしも充分醜かったと思う。わたしは四歳だった。 わたしの知る限り、ゴーント家の人間はみんな不具だ。 薄暗い、日の射さない部屋。あかあかと燃え盛る暖炉。ムウッと汚物の臭いがこもっている。ザラッ、と砂ぼこりがうすく床をおおっている。おかあさんが掃除をしていないのだ、もう丸三日、姿をみせていない。 足元で、地べたにかがみこんで、兄が壺に飼った蛇を殺して遊んでいる。蛇の血と内臓がそこら中に飛び散っている。兄と私の顔はそっ...
Note d' Ecrire | 2008.01.26 Sat 10:15
「出てこいよ」 え?誰かいるの? 「あーあ、バレちまったか…」 そういって現れたのは金髪のお兄さん(?) 「俺が気づいてないとでも思ってたか?」 俺を馬鹿にしてるのか? って意味だと思う…多分ね。 ちょっと今、皐月くんの凄さに感動したよ 「悪かったって!そんな怒んなよ 彩音ちゃんだっけ?ごめんな」 「いっいえ、全然大丈夫ですよ!!」 おおっ?!この人まともな人じゃないか!! 「それは俺がまともじゃないって言いたいのか?」 「そっ、そんなことありませんよ!?」 ...
君色僕世界 | 2008.01.25 Fri 23:39
部屋から現れたのは銀髪の人だった。 左目の下にはホクロがある。泣きボクロって言うんだっけ? この人が如月さん…だよね? 「あ、ども初めまして」 私は如月さんに向かって言った。 「…ふーん キミが新しい主?」 如月さんは目を細めて私の事をまじまじと見ている。 「はい…えと、何か変ですか?」 流石にずっと見られているのは気持ち悪…気になるので聞いた。 「うん、変」 「…は?」 え、何この人?!失礼だよ!!何考えてるんですかっ?! 「如月…お前…」 流石に横で見ていた皐月...
君色僕世界 | 2008.01.25 Fri 23:28
「それで、これからどうするの?」 私はお腹を抱えて未だに爆笑している皐月くんに向かって言った。 「くくッ…あー腹いてぇ… んじゃ、とりあえず他の奴の所へ行くぞ」 「あ、うん」 畜生。何がそんなにおかしいんだ!私が長月さんに何をしたって言うんだ!! 「お前って案外酷いな」 「え…どういう意味ですか?!」 「やっぱいい 気にすんな 俺は(色んな意味で)結構良いと思うぜ」 「ええっ!?余計意味分かんないですよ!!」 「如月の部屋が一番近いから、如月んとこから行くか」 「アレ?無視...
君色僕世界 | 2008.01.25 Fri 23:16
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