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失踪者の哀と不幸を、ポルノ映画館などを舞台に、ツッコミ厳しく描かれる、哀と奇跡的写真によるストーリー。笑いあり、感動なし、涙も出やしねぇ・・・そんな物語。
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花屋敷の伝説 第22章 神護寺眞悟

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   次の日の朝は冷え込んだ。 優華は花屋敷で揃えてくれたワードローブから、柔らかな生地のロングスカートを選んだ。  昨日の午後の裕紀の言葉、「親しくなってはいけない」、それを思い起こしてしまって、優華の態度はどことなくぎこちなかった。  「優華さん、寒いのね。ここの冷え込みに慣れていないものね。」 一階の東のサンデッキ、伶香はそう言ってハーブティーをテーブルに置いた。そしてお互いの椅子を少し斜に向かい合わせて並べると、優華のルームシューズを脱がせて、優華の脛に...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.11.29 Mon 16:44

花屋敷の伝説 第21章 才女

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   夕食は奥様もご一緒なのかしら? だとしたら、どんな装いが相応しいのかしら? 迷った末に優華が選んだのは、花屋敷の女主が揃えたワードローブからだった。 薄手の透ける生地にアンダードレスが付いたスリムなワンピース。ウェストからはギャザーがあり、膝丈の裾は優雅に揺れる。黒の地に紫と白のプリントの花柄。 サイズはぴったりだった。  午後6時少し前に優華は部屋を出て一階のホールへと階段を降りると、厨房の入り口の前に美和が待っていた。  「奥様があちらでお待ちになって...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.11.29 Mon 16:40

花屋敷の伝説 第20章 神の領域

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   「信じろと言っても俄かに信じることができない、いえ、信じたくないのは分かります。 しかし、分かってください、全ては龍彦が残していった呪いなのです。荒ぶる神の呪いなのです。」 裕紀は沈痛な表情に変っていた。そして言葉を失った優華に、さらに裕紀はこう続けた。 「なぜ龍彦が奥様にこんな呪いをかけたのか、それには、あの館、雲雀屋敷の話もしないといけません。 しかし今は、屋敷の境界を覚えておいてください。そして決して奥様を屋敷から外に出すことがないように注意してくだ...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.11.29 Mon 16:38

花屋敷の伝説 第19章 残酷

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   「待って。」 優華は裕紀が差し出した手につかまりながら、言った。 瞬間、優華は裕紀の手に、屋外の作業には相応しくない柔らかさと40という歳にしては意外なしなやかさに気付いた。そして裕紀の手は、冷たくはなく、かといって温かでもない、まるで優華の手の温もりに同調してしまっているかのように。いや、同調したのは、優華の方だったのだろうか。  「もう少しだけ、訊かせて。もしも奥様が屋敷から外へ出てしまったら、奥様はどうなってしまうというの?」 優華は裕紀の瞳の奥を覗き...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.11.29 Mon 16:36

花屋敷の伝説 第18章 荒ぶる神と鎮めの神

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   「神薙さん、あなたは神を信じていますか? ともかく、神はこの世のすべての造り主なのです、もちろん人間も含めて。 そうすると、人間だけでなく、この世のすべての生き物は神の子ということになりますね。そう言った意味では、誰もが、そしてどの生物もが、神の血を引いていると言ってもいいのではないかと私は思うのです。 ええ、もちろんあなたが訊きたいことをはぐらかそうというのではありません。  花屋敷の主は橘樹龍彦といいます。お気付きでしたか、今は屋敷にはいません。 私は...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.11.29 Mon 16:33

花屋敷の伝説 第17章 裕紀

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   優華は部屋に戻ると、今朝見つけた館の窓を双眼鏡で確認してからカーテンを閉め、白のブラウスはそのままにして、屋敷の散策にと用意しておいたボトム類に着替えた。 ボトムはシルバーグレーの踝の上までの丈のロングキュロットと、濃いブラウンのチロリアンショートブーツ。 そして髪は首の後ろで束ねて、紫外線をカットするための大きなひさしの付いたチャコールグレーのハットを被った。  優華はカーテンを開け装飾の付いた木製フレームのアンティークな姿見の前に立ち、左右の足を交互に...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.24 Sun 06:42

花屋敷の伝説 第16章 神の血を引く男

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   伶香は優華の手を引いたまま、厨房を覗いた。厨房には、姉妹の妹のほうの紀和が一人でいた。 「紀和さん、これからお茶にしたいと思うの。東のサンデッキで。ご用意をお願いしたいわ。」 伶香がこう言い終わった時、いつからそこにいたのか、二人の後ろで美和の声がした。  「奥様、もともと今日はそんなご予定ではございませんでしたし、あまりお疲れになることはお控えくださいませ。」 そして優華に、少し冷やかにこう言った。 「神薙さんも昨夜お着きになったばかりですから、お荷物の...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.22 Fri 21:25

花屋敷の伝説 第15章 二人の館

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   その部屋で二人だけの朝食を済ませると、伶香は美和に、自ら優華に屋敷を案内したいと訊ねた。 「いいかしら?」  「ええ、奥様がそうなさりたいのなら。」 こう言った美和の答え方にも、美和の申し出にも、優華には違和感があった。  だって、美和さんはここの使用人なのよ。 どうして奥様が『いいかしら?』なんて訊かなきゃいけないの?丁寧と言えば丁寧なんだろうけど。 それに、美和さん、まるで許可を与えてるって言い方じゃないの。 昨夜も『守屋さん』じゃなくて『守屋』って呼...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.21 Thu 00:59

花屋敷の伝説 第14章 女主

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   優華は値段も想像がつかない年代物のドレッサーの鏡に向かい、息を整えた。 この屋敷、いったいいつごろに建てられたんだろう?三つともゆったりとした広さの部屋、いたるところに手の込んだ装飾がなされ、そして無造作に置かれているアンティークな家具の数々。  つい昨日の朝までの、人も街もめまぐるしく変わり続けていた都会の暮らし。人目など気にしたことがなかった雑踏の中の暮らし。 だが今いるのは何千何万年も変わらない自然の中の、昔から変わらないこの屋敷。 そして優華が気付...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.19 Tue 20:39

花屋敷の伝説 第13章 朝日の中で

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   優華は朝食の2時間前に目を覚まして、バスルームで熱めのシャワーを浴びた。それから日の出前の冷涼な空気でクールダウン。昨夜のワインで霞みが残る頭をすっきりさせるにはこれが一番。バスローブの袖には腕を通さず肩にかけて内側から両方の襟を胸の前でつまんだだけで、ホールを通り抜けて部屋に戻った。柔らかで毛足の長いパーペットの感触が素足に心地いい。 優華が使うことを許された三つの部屋は、ホールからドアを開けて入った部屋と、その左右の二部屋。ホールからすぐの部屋に入った...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.19 Tue 03:19

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