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失踪者の哀と不幸を、ポルノ映画館などを舞台に、ツッコミ厳しく描かれる、哀と奇跡的写真によるストーリー。笑いあり、感動なし、涙も出やしねぇ・・・そんな物語。
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花屋敷の伝説 第12章 舌鼓

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   「私は、平山美和、こっちは妹の紀和よ。 もう守屋からお聞きになってるわよね、きっと。」 美和に紹介されて、紀和は黙ったまま、面倒くさそうに少しだけ頭を下げた。 優華は立ちあがって、身体の前で両方の手を組み二人に深くお辞儀をして、「どうぞ宜しくお願いいたします」と、丁寧に挨拶した。  終始愛想のよい姉の美和、対照的に無愛想な妹の紀和。 いけない、そう分かってたらもう少し違う態度で、そう冷静になれたかもしれないのに。 美和をこの屋敷の女主と思い込んでしまった優...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.19 Tue 03:14

花屋敷の伝説 第11章 花屋敷への第一歩

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   やがて花屋敷は右手の土手に隠れ、道路は二股に分かれた。ラングラーは右の緩い勾配の坂道を登り、それから弧を描くような右に曲がるカーブを回った。 鉄格子の扉が左右に開かれたレンガ造りのアーチをくぐると、両脇をよく手入れされた緑に囲まれた通路は真っ直ぐに館のエンタランスまで続いている。ラングラーのタイヤは馬のギャロップを思わせる軽快な音をたてて、通路の細かな砂利を噛んでいる。そして、優華の座る助手席のドアを玄関に向けて、館のエンタランスに、静かに止まった。  エ...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.19 Tue 03:10

花屋敷の伝説 第10章 館の灯

JUGEMテーマ:連続ブログ小説  優華はラングラー・アンリミティッドの助手席のシートに身を任せてから、少しも後部座席には注意していなかった。 いやだ、こんな気味の悪い男。まさか初めから乗ってただなんて、私、うかつだったわ。  「ヒカリ!止めなさい!お客様に失礼だぞ。」 守屋はちらっと後ろに首を振って、笑っている男を叱責した。  ヒカリと呼ばれた男、内村光は顔をあげた。 「このお姉ちゃん、もうメロメロなんじゃないの?ええ、白馬の騎士のモリヤさん?」  ヒカリ?そういうんだ、この子。 ラングラーの暗...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.15 Fri 21:33

花屋敷の伝説 第9章 セクシー

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   そしてラングレーのヘッドライトは、雄ジカの姿を完全に照らし出した。  シカは向きを変えて、一旦四本の足を少し屈めて身構えたかと思うと、次の瞬間シカの目の前の1メートル余りの高さの茂みの上に向かってジャンプした。 前足が茂みの向こう側に隠れ、次に豊かな角をたたえる頭が隠れた。しかし後ろ足は、茂みに当たってしまうのではないかと思えた。 優華は思わず「ああぁ」と低く声を漏らした。  しかし、シカはさらに腰を高く跳ね上げ、後ろ足をハイジャンパーの脚のようにうねらせ...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.15 Fri 21:29

花屋敷の伝説 第9章 セクシー

JUGEMテーマ:連続ブログ小説  そしてラングラーのヘッドライトは、雄ジカの姿を完全に照らし出した。  シカは向きを変えて、一旦四本の足を少し屈めて身構えたかと思うと、次の瞬間シカの目の前の1メートル余りの高さの茂みの上に向かってジャンプした。 前足が茂みの向こう側に隠れ、次に豊かな角をたたえる頭が隠れた。しかし後ろ足は、茂みに当たってしまうのではないかと思えた。 優華は思わず「ああぁ」と低く声を漏らした。  しかし、シカはさらに腰を高く跳ね上げ、後ろ足をハイジャンパーの脚のようにうねらせて、茂...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.14 Thu 21:57

花屋敷の伝説 第8章 遭遇

JUGEMテーマ:連続ブログ小説  葛篭折りの悪路、景色を楽しむどころではないドライブは暫らく続いた。  いかにも冒険の始まりって感じだわ。 いつしか不安は遠のいて、これからやって来る新しい未来に期待を持ち始めている自分に気付き、優華は軽い驚きを感じていた。  やがて道路は南北に連なった山並みの尾根伝いへと変わった。 路肩には砂利や赤茶けた土が広がってはいるが、一応舗装はしっかりとしていた。大小のカーブやアップダウンは続いているが、さっきまでの悪路と比べたら、そう、天国へ続く道路のように思えた。 ...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.14 Thu 21:54

花屋敷の伝説 第7章 悪路で

JUGEMテーマ:連続ブログ小説  道はバスが通った道から分かれて、勾配のきつい登り坂に差し掛かっていた。 粗末なアスファルトの舗装は途切れて、赤土の道路のあちこちに牙のようなごつごつした石が頭を出している。左側の垂直に近い斜面は崩れてからそんなに経っていないのだろう、一本の草も生えてはいない。右側は鬼首谷から続く渓谷。ガードレールもない。いじけた雑草のむこうは、どこまで落ちるのか分からない深く暗い谷。優華は窓から谷を覗いてみた。吸い込まれるような錯覚に思わず背筋が寒くなった。  花屋敷って、私の...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.14 Thu 01:07

花屋敷の伝説 第6章 言霊

JUGEMテーマ:連続ブログ小説  「あのわたし・・・」、「もうこんな・・・」 守屋がラングラーのイグニッションキーを回し3,872ccのエンジンがグォンと唸りを上げたのを合図のように、優華と守屋は同時に話し出そうとして、二人の言葉がぶつかりあった。  「一緒に喋ったんではお話しになりませんから、順番に話しましょう。神薙さんからどうぞ。」 守屋はハンドルを右に切りながら、目では道路だけでなくさっきの人影が消えていった林にも注意を配っている、しかし口元はかすかに微笑んでいるようでもあり、その声には穏やかな...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.14 Thu 01:03

花屋敷の伝説 第5章 ホワイトナイト

JUGEMテーマ:連続ブログ小説  優華は堅く目を閉じて歯を食いしばった。そして顔を空に向けた。 かすかに優華のスカートにどれかの手が触れた。優華の背筋には反射的に力がこもり、ビクッを胸を反らした。瞬間、優華のしなやかな髪は緩やかに揺れた。  「うはは、都会の女は髪の毛もいい匂いがするもんだな」、どれかの人影がそう言おうとしてまだその言葉が終わりきらないでいるその時だ、高回転するエンジンの唸りと短いピッチで断続するクラクションの音が響いた。 カーブが続く道路を、荒れて起伏のある路面でタイヤを軋ませ...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.13 Wed 02:48

花屋敷の伝説 第4章 トオル

JUGEMテーマ:連続ブログ小説   気付かれてしまったなら仕方がない、思ったより早かっただけのことさ、そう言わんばかりに、さっきまで息をひそめていた人影は動き始めた。 カサカサッ、カサカサッと乾いた音が、あっちからこっちから、じわじわと優華に近づいてくる、腰を屈め僅かばかりの雑草の陰に顔を隠しながら。 グレーや茶の、暗い色彩のシャツやズボン、中には、野球帽をひさしを後ろにかぶっているもの、タオルかバンダナで顔を覆っているもの、格好はそれぞれだが、どの人影も不気味だ。  薄暗くなりかけた鬼首谷...

見果てぬ夢 〜オリジナル小説、エッセイのブログ | 2010.10.13 Wed 02:45

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