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ふまじめどれい・2

ニミジンの故郷、砂漠の国ウハイス。 ウハイス王のムラリスは…おっと、まだ名前を覚えまするな。 どうせほどなく名前を変えるはずだからです。 そうです、ことあるごとに名前を変える、 改名王とうたわれたほどのムラリスは、 その呼び名の如く、今回5度目の改名を行い、 名をヤンリスと改め(ほら、もう変わりました!)、 その記念に隣国の強国ウラヒワに侵攻を開始すると お触れを出しました。 「またか‥‥」 ウハイス家臣団は思いましたが、国王にむかって、 そうは申せま...

イタンデルセン童話 | 2015.01.14 Wed 18:29

ふまじめどれい・1

第13房にふまじめなどれいが居ると、 遠く第1房にまで噂が聞こえて来ました。 房と申しましても、 それは部屋でも、部屋の集まりでもありません。 部屋の集まりの集まりが更に集まった、 町のことをこの国では房と呼ぶのでした。 どれい国ビハシャンは全員がどれいなのです。 犬猫から、上は王様に至るまで。 第13房のそのふまじめなどれいに 再教育をすべきだという声が高まり、 DOREICで800点以上を修めた者ばかりの第1房の、 なんと総合920点の優秀どれい、 将来のどれい貴...

イタンデルセン童話 | 2015.01.13 Tue 11:03

むづかしい本を読むと眠くなる・40としてのあとがき

また別の夜のほんのみち。 山猫はぶーぶかとハーモニカを吹いています。 「いつかは楽器でここをとおるー」 音は青銅の壷に当たり、少し音色が変わりました。 「本を読まずに踊ってとおるー」 山猫の尻尾が二本になっています。 「お前の世真似絵だが」 ミヨイが山猫のようなものに言います。 「実際どう発音するんだ?」 山猫は鳴きました。 「YOMAにぇー!」 ミヨイはしばらくそれを真似しましたが、 馬鹿馬鹿しくなってしまったようです。 「なるほどな」 立ち去るためにそう言いました...

イタンデルセン童話 | 2015.01.09 Fri 23:00

むづかしい本を読むと眠くなる・39

「記念にみんなで写真を撮ろう。 わしは北国に建物を建て暮らすんじゃ! 今度は本だけじゃなくいろいろ置くぞ。 バレエシューズや小さな噴水をな。 『ぴあの館』と名づけようと思うておる」 そのようなこびとを見たり音楽を聴いたことのある 三人の司書は皆同じく笑いました。 そしてみんなで公園まで行って、写真を撮りました。 リンリさんと背広の男、その犬(寝ています)、 リョクコ司書、 ミヨイの逆さ壷、 おじいさん司書、 そこにうつらないこびとたち、 そこにうつらないのに素早く通りがかった 山猫...

イタンデルセン童話 | 2015.01.09 Fri 22:59

むづかしい本を読むと眠くなる・38

その日めでたく司書になったリンリさんは、 同じくめでたく司書になったリョクコと肩を並べ、 帰り道のほんのみちを歩きます。 リョクコはリンリさんの肩を叩き、 笑顔で指差します。 見ますと向こうから、 青銅の壷が一つ跳ねて来るのでした。 「わけわからないもの、で片付けられたぞ」 壷は辺りにいろいろに当たって カランガランと音を立てています。 「こんなものをかぶせてくれたな」 かすれた笑い声が壷にこもります。 「だがこれで無敵になった」 かすれた笑い声が壷にこもります。 「私も...

イタンデルセン童話 | 2015.01.09 Fri 10:35

むづかしい本を読むと眠くなる・37

「リョクコ司書」 おじいさん司書はリョクコ司書を呼びます。 整列しているリンリさんと他の図書館職員は 惜しみなく拍手を送ります。 「よく試練を乗り越えたね」 拍手の中、リョクコ司書は進み出ます。 彼女は全ての試練を容易にこなしてしまいました。 あんな試練ですものね。 それでもリンリさんの横を通る時に、 彼女はリンリさんにちょっと複雑な顔をしました。 複雑と言っても友情が込められた良い表情です。 おそらくそれは「貴方こそがふさわしい」と 言っている顔なのでしょう。 リンリさんは首を...

イタンデルセン童話 | 2015.01.09 Fri 10:34

むづかしい本を読むと眠くなる・36

なぜ今日も会う事になっていたのでしょう。 二人は何を話すのでしょう。 とにかく最初からやり直すのではないでしょうか。 恋物語は、むづかしくむづかしく、行ったり来たりにです。 二人はいつか結婚する気がいたします。 それで許して下さいますか? これらを詳しくお話するのが、 この物語の最初の約束でしたが、 こびとの力により、 私が語るに話はむづかしくなり過ぎました。 そろそろ筆を置かせて頂くことになりそうです。 テーマ:イタチョコシステム

イタンデルセン童話 | 2015.01.08 Thu 22:48

むづかしい本を読むと眠くなる・35

次の朝。 そうです。次の朝でした。 時間が戻った、というような事ではなかったようです。 きちんと時間は経っているのです。 リンリさんはがっかりしながら、 しかしわずか、変化の期待をしながら 公園に向かいました。 公園には男がいました。 落ち着きなく心配そうに自分の犬を見ています。 犬はぐっすり白目をむいて寝ています。 男はあれに気づかないのでしょうか、 犬の尻に注射がぷすぷすと何本か刺さっています。 あれがこびとの奇跡なのかしらと、 リンリさんは吹き出しそうになりました。 男...

イタンデルセン童話 | 2015.01.08 Thu 22:47

むづかしい本を読むと眠くなる・34

本の最後は‥‥ 白紙でした。 ただ、そこに黒紺のインクによる 簡単な留め書きがありました。 著者によるものでしょうか、 『この図書館の司書になるものにこの本を捧ぐ』とあり、 いきおいのある線で一人の男が描かれています。 その男にはきちんと顔が描かれていません。 何しろ簡単な線なのですので。 リンリさんは激しい眠さの中、 机の引き出しからガラスペンを取り出します。 ガラスペンなんてまだあったんですね。 もしかするとこびとがなってくれたのでしょうか。 インク瓶は‥‥これもこびとがなっ...

イタンデルセン童話 | 2015.01.08 Thu 10:42

むづかしい本を読むと眠くなる・33

遠く遠くにピアノの旋律が聴こえています。 登山家志望でない、手元に来たこびとには リンリさんは眠さの中でもかまってあげます。 こびとはリンリさんの手のひらを トランポリンに思うのか、 そのように弾みます。 その弾み方は登山家こびとにも伝わり、 トランポ=リンリ山登頂も繁盛して来ました。 「何をむづかしくしてほしい?」 トランポ=リンリ山のあちこちに こびとが合わさった植物が作られています。 植物に更にこびとが加わりますと それはどんどん育って行きます。 やがては花を咲かせるのでしょう...

イタンデルセン童話 | 2015.01.08 Thu 10:41

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