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【3.客人は、不思議な鏡をたずさえて】4

JUGEMテーマ:気になる本 ☆3−4 グレンが相談したいというのは、大きな姿見についてだと言う。 すでに鏡は屋敷の中にあるギャラリーに運ばせてあるらしく、アンセルが案内してくれた。 二階に上がり、ミリセントの部屋とは反対の廊下を行くとギャラリーがあった。 大窓がいくつもあるその部屋は、絵画や書物を傷めないためだろう、日光を遮断する鎧戸が閉められカーテンが引かれている。卓に置かれたいくつものオイルランプと、アンセルが掲げる燭台の明かりで、あたりはボンヤリと明るかった。 ミリセントは始めて見る絵画...

たいむかぷせる。 | 2010.04.09 Fri 10:06

【3.客人は、不思議な鏡をたずさえて】3

JUGEMテーマ:気になる本 ☆3−3 どうやら、仕事のこと以外にも確かめなければならないことが山とあるようだ。 「今日は、荷物と一緒に依頼品も運んできている。今度こそ、鑑定士の君に仕事を頼めるんだろうな?」 グレンが切り出した言葉に、ミリセントは目を見張った。 「公爵様から聞いたのね・・・確かに、私があの店で鑑定をしていたわ」 鑑定士の仕事というのは、特別な免状や許可が必要なものではない。 正確な鑑定結果と実績を重ねて、信頼で作られるもの。だが、自分を見据える色の違う瞳には、どこか厳し...

たいむかぷせる。 | 2010.04.08 Thu 13:36

【その五、注意!王宮は、危険がいっぱい!】6

JUGEMテーマ:気になる本 ☆5−6 ――と、その時、ふ・・・っとヒューイの瞼が微かに動いた。 そしてうっすらと目を開いたの。 「ヒ・・・ヒューイ!?気が付いたの? ヒューイ!」 あたしが思わずベッドの上に身を乗り出すと、ヒューイは焦点の定まらない瞳のまま、ボンヤリと呟いた。 「・・・ず・・・。みず・・・」 「え?何、ヒューイ。水が欲しいの?待ってて」 あたしは急いで水差しからコップに水を汲んで、ヒューイに飲ませようとした。 けれども水はヒューイの唇の端を流れていくばかりで、どうしても上...

たいむかぷせる。 | 2010.04.08 Thu 13:34

【3.客人は、不思議な鏡をたずさえて】2

JUGEMテーマ:気になる本 ☆3−2 思わぬ人物の来訪に、ミリセントは思わず椅子から立ち上がった。 彼のことや依頼については、昨夜も気にかかっていたところだ。 どうしてこの場所を知ったのかはわからないが、そうまでして訪ねてくるということは、やはり特別な依頼なのだろう。 「わかったわ。お会いします」 応接室へと通されたグレンは、何処か気難しげな顔をしていた。 それでもミリセントが部屋に入ると、立ち上がって礼をとる。 思えば店で会った時には、グレンにとって自分は単なる小間使いにしか過ぎなかっ...

たいむかぷせる。 | 2010.04.07 Wed 10:28

【その五、注意!王宮は、危険がいっぱい!】5

JUGEMテーマ:気になる本 ☆5−5 こんな時なのに、押し付けられたヒューイの胸から、トクン・・・トクン・・・という心臓の音が聞こえてきて、あたしは一瞬恐怖を忘れた。 この瞬間、ヒューイが側にいてくれる・・・そう思っただけで、あたしは不思議と安心する事ができた・・・。 ドサァッ!! 途中、木の枝に引っかかりながら、あたしたちは地上に落下した。 身体にすごい衝撃は感じたけれど、どこも痛くないしどこも怪我をしていないみたい。 あんな信じられないような高さから落っこちたのに、まるで奇跡のようだっ...

たいむかぷせる。 | 2010.04.07 Wed 10:28

【その五、注意!王宮は、危険がいっぱい!】4

JUGEMテーマ:気になる本 ☆5−4 「――はい」 ドアを開けるのもくれぐれも注意するように三人に言われていたあたしは、扉の前で外の様子を窺った。 すると、扉の下の隙間から、一通の封筒が差し込まれてきた。 ・・・?何かしら? 手紙を開いてみると。 そこには流麗な文字で “カノンへ お前に重大な話がある。 決して人目のあるところでは話せない、大切な話だ。 王宮の左端にあるセシルの塔で待っている。 他言無用。       − ヒューイ −” そしてその手紙のサインの下には、ご丁寧にもセシルの塔...

たいむかぷせる。 | 2010.04.06 Tue 11:26

【3.客人は、不思議な鏡をたずさえて】1

JUGEMテーマ:気になる本 ☆3−1 翌朝、なかなか明るくならない部屋でミリセント寝過ごしかけた。 それというのも、寝台が余りに立派な天蓋で覆われているせいだと気づく。 寝台から足を下ろすと、柔らかな素材の室内履きが置かれていた。 鏡台に近づくと、洗面台の水差しは満たされ、タライや顔吹きまでが用意されている。履いていた靴もきれいに泥が払われ磨かれてあった。 思い返せば、昨夜も寝る前にはタライにぬるい湯が張ってあり、寝台の側に着替えが用意されていたのだ。 「まるでご令嬢ね・・・あれ、でもそうな...

たいむかぷせる。 | 2010.04.06 Tue 11:25

【その五、注意!王宮は、危険がいっぱい!】3

JUGEMテーマ:気になる本 ☆5−3 「あ!いっけない!部屋にスコップ忘れてきちゃった。急いで取ってくるからここで待ってて!」 そう言ってきびすを返すと 「・・・お前、マイスコップを部屋に常備してんのかよ・・・」 と、ヒューイの呆れたような声が聞こえた。 「そうよ、おかしい!道具は自分が使いやすいものを揃えておくにが一番だもの」 あたしが振り向いてそう答えたとき 「カノンちゃん、上・・・っ・・・!!」 「・・・え?」 リオの叫び声に目をやると、ヒュウッという鋭い音がして、あたし...

たいむかぷせる。 | 2010.04.05 Mon 13:07

【2.にぎやかな住人たち】9

JUGEMテーマ:気になる本 ☆2−9 「ねぇ、アスワド・・・さん。あなたも母さんのこと知ってるんでしょう?」 するとひどく疲れて不機嫌そうな声が耳元に返される。 「アスワドでいい。これからも鑑定を続けるつもりなら、俺に無駄に喋らせるな。肝心なときに起きられねぇぞ」 「ご、ごめんなさい」 ミリセントは慌てて口を閉ざした。 ――鑑定。そうよね、ここに来た事を公爵様にも連絡しなくちゃ。それに、見せに来てたお客さん、マクミラン様はどうしたんだろう・・・? この屋敷へ来てから驚く事ばかりだったが、...

たいむかぷせる。 | 2010.04.05 Mon 13:03

【その五、注意!王宮は、危険がいっぱい!】2

JUGEMテーマ:気になる本 ☆5−2 でも、リオが助かって、本当に良かった。 「兄さん。このチョコレートのすべてに毒が仕掛けられているんですか・・・?」 スワンがチョコレートの入った大箱を取り上げながらそう尋ねた。 「・・・ああ、そのようだな。それからも同じ匂いがする。それもかなり致死量が高いやつだな。これ1個で、一発であの世逝き間違いなしだ」 「ひぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・」 あたしとリオは、二人揃って顔を青くした。 「カノンが俺の鼻先にチョコを突きつけたから気が付いたもの...

たいむかぷせる。 | 2010.04.04 Sun 11:26

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