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ショート・ショート

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: 掌編。超短編。など、名前は様々。
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考えるなら

JUGEMテーマ：ショート・ショート僕は、考えごとをするときは木に登るんだ。オススメの木があるよ。上が椅子のようになっていて、そこから天を仰げる。ずっとずっと座っていても苦にならない。ただ残念なことに、君と並んで座るだけの広さはないんだ。ひとりで、行ける？大丈夫。僕がちゃんと、下で見ていてあげるから。

つながっているこころ | 2010.08.11 Wed 12:35

JUGEMテーマ：ショート・ショート窓の向こうに、青空が見えた。透き通った澄み渡った、空。手を伸ばせば届きそうな、雲。でも手を伸ばすことはない。手を伸ばしたって、外の世界には届かない。窓の外には私の知らない世界がある。外の世界に踏み出す勇気は、私にはない。この世界で守られていたいから。この世界に何も不自由を感じないから。だから、外の世界は窓から眺めていたらいい。踏み出さないからこその美しさが、そこにはある。

つながっているこころ | 2010.08.11 Wed 12:34

蝉時雨

JUGEMテーマ：ショート・ショート蝉の声がうるさいな――そう？切ない喧騒じゃないか切ないかい？――だって必死だもの。短い命を懸命に費やしているんだよふーん。切ないかも――そうさ。君は必死で何かに費やしたかい？さあ？まだ先だよ――先か……ところであなた誰なの？――教えても構わないけど、大丈夫かな？なんで？教えてよ――僕は死神え？またまたー！冗談きついなー――冗談は言わないよ。勤務中なんだからなっ、何？鎌!?――僕は蝉時雨が好きだよ。悲鳴を消してくれるからひっ…ぃ!!――切ないね

桃源情歌 | 2010.08.09 Mon 19:07

第2幕

JUGEMテーマ：ショート・ショートどうしても彼女に会いたくなって、いつも同じ場所に脚が向くが、彼女はいない。でも時々気配は感じる。人混みに紛れたり、鏡やショーウィンドーにちらりと映るいつもと変わらないあなたの姿に安堵した。どうかあなたに対して素直になれない、つまらない僕を見ないまま、僕から遠く離れないでいて欲しい。僕の手の届かない場所へ行かないで、僕から離れたいから、遠くへ行きたいなんてそんな残酷なことを言わないで。僕は彼女のせいで他者に振り回される快楽を憶えてしまって、彼女と会えないなん...

Infinity With You | 2010.08.08 Sun 20:34

お盆のつづき

JUGEMテーマ：ショート・ショート思い出すままに田舎の夏のことで前回かききれなかったことごとがいくつかある。まず、来客の食事の最後はそうめんや、日本そば。おそばはお手伝いのオバさんが手打ちでつくる。そのあいだに、そうめんを茹でる。どちらもその量は数十人分であったから殺気立っていた。また、別の人たちは精進揚げにいそがしかった。大きなざるの平たいのに山盛りになるまで。めんつゆは２種類。ひとつは冷たいの。もうひとつは熱くて茄子やみょうがが入っていた。そこへ、冷たいそうめんを浸けて食べる。何種類も...

ふゆはつとめて | 2010.08.04 Wed 08:20

いやはてにさく

JUGEMテーマ：ショート・ショートこの国に四季は無い。あるのは、全てを凍らす冬の季節だけだ。身を焦がす太陽の暑さも、葉を赤く彩らせる肌寒さも、全てを息吹かせるやわらかな温かさも、この国では、伝説になってしまっている。過去の文献には、四季があったと推測出来る情報が書かれてはあるものの、誰もがそれを半信半疑で聞く。

Le Figuier Commun | 2010.07.31 Sat 13:21

strandbrink

JUGEMテーマ：ショート・ショート真夏の川の土手は日差しをしのぐ木陰もないが、いつも彼女は輝く緑の草の上に独りで腰を下ろし、独りでボールを蹴って遊んでいる僕を見つめている。彼女はとてもやせっぽちで、真夏だと言うのに真っ白で、眩しい日の光に同化して今にも消えそうな儚さがある。それでも彼女は毎日同じ場所に座っていたし、僕も何気なく同じ場所でボールを蹴っていた。すぐそばには川が流れていて、ほんの少しコントロールを誤れば、大切なボールは海まで流されるしかない。しかし本音はと言えば、ボールが川に流さ...

Infinity With You | 2010.07.30 Fri 21:44

甘味族・６４

JUGEMテーマ：ショート・ショート田舎のお盆るる子の祖父母の家、また父の生家でもある田舎の家の夏は子供時代の１番の思い出である。８月になるとお手伝いの人やその上に立つ料理人さんが集まっておもてなしの準備をはじめた。こんにゃくのピリ辛煮、あぶらあげのそのまま甘辛、なすの含め煮、缶詰みかんの寒天よせ、等々。いうなれば精進料理。料理人さんは長ーい蒸し物をつくった。簾に巻かれたそれを外して輪切りにすると、餡子をお饅頭の皮で巻いたお菓子であった。切らなければ日持ちしたのか、お盆を送るときの舟にも載せ...

ふゆはつとめて | 2010.07.23 Fri 14:18