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掌編。超短編。など、名前は様々。
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前線の南、橙の気流

JUGEMテーマ:ショート・ショート    玄関の扉を開けると、早朝の空気は橙色をしていた。風は強く、その橙が気流に巻き取られて流れていく。生温い風だった。 「私たちは南側にいるの?」  君が少しはしゃいだ声で聞く。 「そうだね。前線はここより北側に位置しているようだ」  僕は北の空を見つめる。遠くに青の欠片が斑に見える。あの辺りに境界があるのだろうか。もちろんその詳細は解らない。今朝の天気図をイメージして、この場所の空に重ねてみても、それでもよく解らない。 「台風はもう近づ...

pale asymmetry | 2025.11.12 Wed 18:01

十三夜をあなたは知らない

JUGEMテーマ:ショート・ショート   「月が綺麗だね」  隣のあなたがそう言ったので、私は少しドキドキしてしまった。そっとあなたを見ると、あなたは真っ直ぐに月を見上げていて、だからあなたは漱石を知らないのだと思った。 「空気が、冷ややかに沈んでいるからかな」  呟きは私に向けられたものではないようだったから、私は肯定も否定もしなかった。ただ温かなワインを口に運び、その甘みと渋みを流し込んで気分を落ち着けたりしていた。夜が長くなったから、ベランダで並んでワインを飲むことが多くな...

pale asymmetry | 2025.11.02 Sun 17:41

The junk tropical fish

JUGEMテーマ:ショート・ショート    数分前まで強い雨が斜めに降っていたのに、今は晴れ間が見えている。でもその陽光は頼りなく、どこか病的な印象を受けた。僕らは丘の上のレストランで、窓際の席に並んで腰掛け、そんな窓外の風景を眺めていた。窓の外の庭には大きな魚が設置されている。まん丸い躰に小さな鰭の魚。カラフルな体色と模様で、たぶん熱帯魚を模したものなのだろうと思われた。その向こう側の、遠くに海を見下ろすことができる。さっきまでの雨の滴を纏った魚は、海までの長い距離に憤っているように...

pale asymmetry | 2025.10.29 Wed 18:41

彼女の足先を拭う

JUGEMテーマ:ショート・ショート    たっぷりと濡らしたタオルで、彼女の足先を拭う。小さな傷が刻まれた足先からは、血が滲んで流れ落ちる。 「こうやって、全ての血液が流れ出してしまうのかしら?」  彼女の呟きが、薄暗い部屋を控えめに跳ね回る。それは無邪気な子猫のような気配で僕を擽る。 「傷は小さいから、全ての血液が失われる前に止まるよ」  僕がそう言うと、彼女はとても意外そうな表情をする。僕は器の中で温くなった液体をシンクに流し、また冷水を器に注ぐ。それは星雲を連想させる図...

pale asymmetry | 2025.10.23 Thu 18:02

染み込むのか、弾くのか

JUGEMテーマ:ショート・ショート   「私たちが砂漠にいることを想像して」  彼女が囁く。真夜中のベランダ。満月に向かう月。簡素な椅子を並べて僕らはだらしなくそれに腰掛けている。それぞれの手には温めた赤ワイン。もう夜は夏ではない。 「砂漠って、どんな砂漠?」  僕が尋ねると、彼女は少し驚いた表情になる。 「どんなって、砂漠は砂漠じゃない?」  彼女はカップに口を傾けた後、気持ちよさそうに息を吐く。きっと温かい息が放たれたはずだけど、それが白く際立つほど冷えた夜ではない。 ...

pale asymmetry | 2025.10.18 Sat 19:59

振る舞いが重なっていく

JUGEMテーマ:ショート・ショート    雨が降るのを待って、僕たちは出かけた。雨が降ることは解っていたから、それまでに出かけて用事を済ませることだって出来た。でも彼女が言ったのだ。「雨を待ちましょうよ」と。一つの傘のなかに窮屈に収まって、僕たちは街路を歩く。触れ合っているのは肩先だけではなく、形のない事象だって強く触れ合っている。あるいはそれは形がないからこそ、触れ合うだけじゃなく重ね合わされているように思える。 「ねっ」  彼女が突然囁く。 「ね?」  僕の問いかけは勢い...

pale asymmetry | 2025.10.08 Wed 17:25

何者にも掠われないように

JUGEMテーマ:ショート・ショート    彼女が庭のアセロラを収穫する。背丈を低く抑えるように剪定したのが良かったのか、結構な実がなった。一つ一つ摘み取って、小瓶に集める彼女の表情は慈愛に満ちている。このアセロラでジャムを作るのだという。それにしては収穫が少なすぎるような気もするけれど、まあ彼女にも何か考えがあるのだろう。 「急がないとね。掠われてしまうから」  独り言のように彼女が呟く。 「何に? 何者に掠われてしまうの?」  僕が尋ねると、彼女は首を傾げる。 「さあ、何...

pale asymmetry | 2025.10.01 Wed 18:24

でもそれはあなたの問題でしょうと君は言う

JUGEMテーマ:ショート・ショート   「でもそれはあなたの問題でしょう?」  君はやわらかな口調でそう言って、軽やかに砂を蹴る。跳ねた砂が僕の踝にかかって少し熱かった。 「そして当然私の問題ではないわ」  君は笑う。楽しいはずがないのに、とても楽しそうに笑う。つられて僕も笑ってしまう。すると君はまた砂を蹴り上げる。今度は明確に僕を狙って。 「どう仕様もない問題だというのなら、それに専念しても良いのよ」  君は走る、波打ち際まで。スニーカーを水没させて、それでも走る。 「...

pale asymmetry | 2025.09.29 Mon 17:29

火喰い蜻蛉に諭される

JUGEMテーマ:ショート・ショート   「火喰い蜻蛉に諭される夢を見たよ」  目を覚ました彼がそう囁いた。曇りがちな午後、リビングのソファーに私たちは落ち着いていた。私はそのソファーに腰掛け、文庫本を開いていた。彼は傍らに横たわり、さっきまで寝息を立てていた。ソファーはそんなに大きくはなかったから、彼の脚は盛大にソファーからはみ出していた。私の読んでいる物語のなかで三人目の死者か出たときに、彼の少し掠れた声が私を物語から呼び戻したのだった。 「僕が生きていることには何の意味もない...

pale asymmetry | 2025.09.26 Fri 19:16

掻き乱さずに掻き回す

JUGEMテーマ:ショート・ショート   「これは夢なの」  私は彼に言った。見知らぬ海辺を二人で歩いていた。見知らぬ場所なのに、水平線は南にあるのだと解った。そちらから風が吹いていたので、それは南風だと解った。 「夢だから、いくらでも掻き乱すことができる」  私がそう言うと、彼は小さく頷いて微笑む。 「それなら、掻き乱さずに掻き回すことだってできるね」  そう言って、風を掻き回すように軽やかに踊った。確かにそれは、掻き乱さずに掻き回しているように私には思えた。 「でも、ど...

pale asymmetry | 2025.09.25 Thu 18:18

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