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JUGEMテーマ:古典文学 101.吉野到着 光君は、吉野山の宮の屋敷をご訪問すると、まず使いを出して「薫君のもとから参上した人がいます」と言わせました。 吉野山の宮は、最後に薫君ご本人が訪問なさった後は何の連絡もない事を案じ、失踪なさったとか四方の山々まで騒ぎ求めているとかいう話を聞いてたいそう心配していたので、「あの最初にお使いとして来た人かしら」と喜びつつ、「こちらに」とお呼び入れになりました。 すると、まったく薫君と同じ姿で、清らかで顔も全く変わらない男の人が入ってこられたので...
とりかへばやRemix | 2015.03.23 Mon 07:36
JUGEMテーマ:古典文学 99.はかなきめぐりあい 光君は我慢できなくなって「もしあの女主人が薫君でいらっしゃったら、私の事も変だと見覚えがおありになるのではないか」と思うと、この顔を見せたいと思って小柴垣のそばまで歩いていきます。 屋敷の中でも女主人が「変だ。人の気配がしたわ」と思い、簾を下ろして外の様子をうかがっていると、たいそう清らかで優美で、この上なく上品な男性が顔を出したので、見覚えはないものの妙に目をひきつけられるものがあったのでした。 女主人(実は薫君)は、かつて男と...
とりかへばやRemix | 2015.03.16 Mon 08:35
JUGEMテーマ:古典文学 97.吉野山へ 6月頃の夜更けの月のもと、ごく親しい乳母の子たち3人と、そのお供として何事にも疑問を持たないような低い身分の者達や頼もしげな武士など7〜8人ほどを連れて光君はご出発になります。 たいそう上品で、今までは母屋から外にさえお出にならなかった人が、軽装で、旅にふさわしく装束を着けてお出になるのを、見送りしている全ての人たちは仰天して見ています。 本来なら旅立ちの際には盛大に見送りをしなければ縁起が悪いところですが、前もって光君がお命じになっていた通りに、...
とりかへばやRemix | 2015.03.11 Wed 07:43
JUGEMテーマ:古典文学 95.尚侍の変身 光君は、直接御前に仕える侍女には繰り返し口止めをなさって、男物の装束を用意するよう母上にお願いしました。さらに、光君の乳母の子で、東宮の進という職を務めている親しい人を几帳の後ろに呼び入れると、長い髪をきっぱりと切って男性の普通の髪型に結い上げました。 その間、母上や乳母は「これは、どういうことか」と驚き騒ぎますが、そもそも男の方が本来の姿であり、これ以外の形がありようもないので、止めなさいと押しとどめる事もできません。 この世のものとも思われ...
とりかへばやRemix | 2015.03.06 Fri 06:51
JUGEMテーマ:古典文学 94.母との語らい 自分までも黙って姿を消したなら、世間の評判もただ事では済まず、かといって父君に相談すると一層ショックを与えてしまうだろうから、光君は母上に心細げにこう相談しました。 「薫君の行方が分かりませんが、私は兄弟の数も多くないので、それがたいそう心細く悲しいのはもちろんの事、父君がまったく悶死しかねない状態なのを、男の身を受けた私がぼんやりと眺めているだけというのが辛くてなりません。私が本来の男姿に戻って、薫君を懸命にお探し申し上げたいと思います」 ...
とりかへばやRemix | 2015.03.04 Wed 08:18
JUGEMテーマ:古典文学 92.左大臣の失望 左大臣は、わが子が行方不明になり「今日か、今日か」とお帰りを待って日を過ごしていましたが、出家姿になっている可能性も考慮して探してみても一向に発見できず、2ヶ月ばかり経過してしまい、さすがに気もそぞろになっておられます。 「たとえ出家していたとしても、あれほどたくさんの所を探し求めたのだから見聞きしないわけがない。いくら薫君でも、はるかな田舎まではお出かけにはなるまい。また、国々の境にいたるまで探し求めない場所は無かった。 宰相中将自身がそんな...
とりかへばやRemix | 2015.02.25 Wed 08:42
JUGEMテーマ:古典文学 90.聞きにくき噂 夜は明けましたが、宰相中将は四の君と別れて出発する気にもなれません。こっそりと人を呼んで、病気平癒の御祈祷を始めるよう熱心に命じたりして、四の君に添い続けています。侍女たちも「どうなることか」と困惑しながらも、四の君を救おうと必死な宰相中将を頼もしく感じてしまっているのも愚かしいことです。 宰相中将は、宇治にいる薫君のところに落ち着いて滞在することもできずに、二人の女性関係に苦しんでいる自分自身を「どうしたことか」と我ながら不安に感じます。 か...
とりかへばやRemix | 2015.02.23 Mon 08:34
JUGEMテーマ:古典文学 88.その後の右大将 宇治に隠れた薫君は、あっという間に二十日以上も経って、どうしようもないまま次第にその状態で落ち着いてくるにつれ、父君母上がご心配なさっている様子を思い浮かべては悲しみ、自身も夢を見ているような気分です。 たいそう気分がすぐれず苦しかったので、誰にも見られない隠れ家でこのように気兼ねなく安らかに横になっていられるという点だけは、身の休息のためには良い事だといえました。 そのうち、吉野山の宮からもらった髪が伸びる薬の効き目でしょうか、髪も引き伸ば...
とりかへばやRemix | 2015.02.19 Thu 08:25
JUGEMテーマ:古典文学 87.四の君勘当 右大臣の何番目かの姫の乳母の中に、四の君とその侍女たちとは気性の合わない人がいました。 その乳母は日頃から「右大臣は末娘の四の君ばかりを最愛の娘と思い、他の姫君たちをとんでもないほど軽く考えている、くやしい、ひどい」と思い込んでいましたが、今回の成り行きをほのかに耳にして、今の雰囲気が雰囲気なだけにチャンスではないかと考えました。 そして、右大臣がきっと目に入れるに違いない場所に、誰かに宛てた風に書いた手紙をわざと落としておきました。その手紙には...
とりかへばやRemix | 2015.02.16 Mon 08:24
JUGEMテーマ:古典文学 85.人々の嘆き 京では翌朝、行列の先導を務める人たちが車を運んで宣耀殿に参上したところ、「薫君は夜がふけてからお帰りになりました」というので、あれこれと探しましたが全く見当たりません。「いつも毎月5、6日は必ずお隠れになっていた」と思って探してみましたが、乳母の家にもおられません。 最初のうちは「以前は、吉野山の宮のもとに十何日もお籠もりになった時もあった」などと皆で言い合っていましたが、普段の外出だったらお供にいなければならない人もみな残されていて、そんな状況...
とりかへばやRemix | 2015.02.13 Fri 17:59
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