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JUGEMテーマ:古典文学 27.春の夜のかいま見 光君が同じ内裏の中にいるようになってから、宰相中将は琴の音が聞こえてくるたびに、前よりも光君との距離は近づいているし、いつか自分の片思いも叶うのではないかという将来を甘く思い描いていました。しかしその可能性がほとんど無いという現実に徐々に否応なく気づかされるにつれ、落胆のあまり霞んだ夜の月の美しさにも虚しさを感じてしまうのでした。 その寂しさに耐えられなくなった宰相中将は、いつものように「薫君と話をして心を慰めよう」と思って、付き添いの家来...
とりかへばやRemix | 2014.11.15 Sat 17:00
JUGEMテーマ:古典文学 24.兄弟の仲 年が明けて正月一日頃(旧暦。現在の1月末〜2月頃)、空は霞んで春らしくなってきているものの、まだ雪がちらほらと降る風雅な景色の仲を、左大臣が光君の住む宣耀殿にお出かけになると、薫君も来ていました。 かつて二人が左大臣の屋敷で住んでいた頃は、それぞれの母親が互いに競争心を抱いていたために、光君と薫君が会って話す機会はほとんどありませんでした。しかし今は「二人の他にもう私の子供はいないのだ。私の寿命もいつまでか分からないのだから、普通ではない二人の身体...
とりかへばやRemix | 2014.11.13 Thu 20:28
JUGEMテーマ:古典文学 20.宰相中将の思い 光君が尚侍の職に就いて女東宮に仕えるようになった今でも、別に恋心を抱いてはいけない事はないので、宰相中将は相変わらず光君につきまとっていました。かえって、左大臣の屋敷に住んでいたときは警備が厳重で思いを届かせる方法もなかったので、尚侍になった今の方が自由になったようで宰相中将は嬉しく思っていました。 宰相中将は夜も昼も宣耀殿のあたりを離れず、だいたいの中の様子を伺ったところ、光君の気品ある振舞いに対する世の人々の評判がとても高いので、「いつに...
とりかへばやRemix | 2014.11.11 Tue 09:05
JUGEMテーマ:古典文学 18.院の望み 女東宮となった一の宮の周囲には、乳母などがお仕えしてはいるものの、しっかりと気が利く人はおらず、女東宮自身もまだ頼りなく幼稚でした。先日帝の位を譲って院になった前帝は、今では女東宮と別居しているので身近で面倒を見ることもできず、女東宮の将来を心細く不安に思って嘆いておられました。 そんな折、左大臣家の光君が、大変立派なのになぜか婿取りや宮仕えを断念しているとお聞きになった院は、「では光君を女東宮の後見人にしたい」と思いつきました。そして左大臣が来ら...
とりかへばやRemix | 2014.11.06 Thu 08:32
JUGEMテーマ:古典文学 16.宰相中将登場 さて、今宵の宴会には宰相中将も参加していました。 今はもう宰相中将は光君の事を恋い焦がれているので、いつものように「たとえ無駄だったとしても薫君に恨み事を言い、面影が似ているはずの薫君の姿を見ることで、光君の類い稀な美貌や雰囲気を見てみたいという気持ちを慰めよう」と思っていました。 宴会の後、「帰った様子もなかったけど、どこに行ったんだろう薫君は」と宰相中将が探し歩いているうちに、薫君が詩を口ずさんでいる声が聞こえました。そこで声のする方向に行...
とりかへばやRemix | 2014.11.04 Tue 08:28
JUGEMテーマ:古典文学 9.帝の思い 当時の帝は四十歳過ぎのとても優美なお方で、東宮(皇太子)は二十七・八歳、容貌はいかにも王家の血を引いた雰囲気があり気品に満ちあふれておられるお方でした。薫君の姉にあたる方(光君のこと)の容貌が評判高いと耳にして、帝と東宮のどちらからもお気に留めてお言葉があったのですが、父の左大臣は、どうしようもない恥ずかしがりやだからという理由をつけて、光君を宮仕えに出すことは固くお断りしていました。 しかし内心は「光君(兄)を帝か東宮の妃にする事ができたら本当に良か...
とりかへばやRemix | 2014.10.30 Thu 00:48
JUGEMテーマ:古典文学 7.裳着・元服 左大臣の屋敷の中で、できるだけ人目に触れないように育てられてきた若君(妹)でしたが、若君(妹)の学問の深さや素晴らしい容貌は、自然と噂となって世間に広まっていきました。そのうち帝や東宮(皇太子)までも 「そこまで何事にも優れている子供なのに、今まで帝に謁見もさせず、朝廷に出仕もさせないのはなぜか」 と言い出し、ぜひその若君(妹)をご覧になりたいと、父の左大臣に何回も催促されました。しかしそれは左大臣にしてみれば非常に困った事で、情けなくみっともない気持...
とりかへばやRemix | 2014.10.30 Thu 00:34
JUGEMテーマ:古典文学 4.若君姫君 とはいえ幼い頃はまだ、いつかは治るだろうと父の左大臣も軽く考えていたのですが、10歳過ぎても2人とも全く変わらないので「これはどうしたものか」と年々左大臣の悩みは深くなるのでした。「でも年月が経てば、いつかきっと自分で気づくだろう」と左大臣はじっと堪えていたものの、ある時とうとう、これはもう治らないと見きわめ、こんな奇妙な事が他にあるだろうかと絶望したとの事です。 今では左大臣は気軽に外出もできないような偉い立場になったので、広大な屋敷を建て、その西と東...
とりかへばやRemix | 2014.10.21 Tue 00:02
JUGEMテーマ:古典文学 1.主人公の父紹介〜2.母と子たち むかしむかしあるところに、容貌も才能も性格も、他人からの評判も人並み外れて優れた人がいました。 彼は左大臣まで出世して、何一つ不満のなさそうな順風満帆な人生を送っているように見えましたが、実は他人には分からない悩み事をずっと抱えていたといいます。 左大臣には2人の妻がいました。 1人目の妻は源宰相という人の娘で、そこまで愛情が深いわけではありませんでしたが、最初の妻だという事もあり、おろそかにせず夫婦として暮らしていたら、世にも稀...
とりかへばやRemix | 2014.10.18 Sat 23:09
JUGEMテーマ:古典文学 みなさまは「とりかへばや物語」をご存知ですか? この物語は平安時代末期に書かれたのですが、源氏物語、枕草子といったメジャーな平安文学と違い、教科書で紹介される事もほとんどなく、知名度はほぼゼロ。しかしこの物語、本当に面白いんです。 源氏物語も枕草子も確かに名作ですが、やっぱり「古典」としての面白さであって、どこか現代の感覚とはずれている部分があって、そこを脳内で補いながら読むことになります。 でもこの「とりかへばや物語」は違います。ハッキリ言ってこのワクワク...
とりかへばやRemix | 2014.10.18 Sat 22:33
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