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JUGEMテーマ:古典文学 72.大晦日 その年も暮れようとする12月の大晦日の頃、薫君は父左大臣の元に参上なさりました。 年末の事でだいぶ取り込んでいましたが、一晩でも顔を見ないと不安に思うのが親心であり、いつ来るかと待ちわびて、やっと到着した喜びもあらわに薫君をご覧になると、あれほどの盛りの美しさであったお顔がたいそうやつれ、沈みがちな表情で現れたので、父左大臣の胸もハッと高鳴ります。 「どうしてそれほどやつれたのか。また気分が優れないのだろうか」 と父左大臣がおっしゃると、薫君は 「特...
とりかへばやRemix | 2015.01.19 Mon 08:35
JUGEMテーマ:古典文学 71.それぞれの思い 宰相中将は、薫君と別れた後も熱烈な恋文を書いてくる一方で、墨縄で打った線のように真っ直ぐ一筋に薫君だけに思いを寄せているわけではありません。 薫君の前ではその気配を見せたり見せなかったりしますが、浮気心が全く無いわけではなく、どうかすると四の君の元にまぎれるように忍び入る様子があるので、薫君は「この頃また四の君は妊娠したらしいが、それほど数多く子の生まれる2人の因縁の深さをいい加減に扱いたくない、などと考えているのだろう」と見ています。そして...
とりかへばやRemix | 2015.01.15 Thu 07:49
JUGEMテーマ:古典文学 70.喜ぶ人悲しむ人 やはり宰相中将に知らせて、一緒に処置を考えるべきだろうか。 逢わぬ恋の恨めしく辛い日々が重なるうちに、宰相中将が我慢しかねて人目もはばからない行動に出かねない素振りが見えるのも情けない事です。 でも、これが奇妙な我が身の運命なんだと悟ると、この宰相中将を振り捨てるわけにはいかないという気持ちになるし、愛し合った相手としての想いもあるので、あの六条あたりの乳母の家で忍び会う事にしました。逢う事を待ち焦がれていた宰相中将が、妊娠の話をどう受け取...
とりかへばやRemix | 2015.01.13 Tue 08:29
JUGEMテーマ:古典文学 68.右大臣家の嘆き いつも生理で籠っておられる時よりも日数が多く過ぎているので、薫君は「右大臣様がまたどんなに思い嘆いておられる事だろうか」と思いやると心苦しく、お手紙を差し上げて 「例の病気が、いつもよりよくなりませんので、こうしてじっと籠っておりまして。最後にはどうなってしまう我が身かと、心細いにつけても ありながら あるかひもなき身なれども 別れ果てなむ ほどぞ悲しき (生きていても何の甲斐もない身ですが 全てのものとお別れしてしまう事を想像すると悲しくて...
とりかへばやRemix | 2015.01.08 Thu 08:41
JUGEMテーマ:古典文学 今日の東京はいつもの東京らしい冬日どう東京らしいかとゆーと晴れて乾燥している大陸からの寒気は日本海で水分をたっぷり吸い込んで上陸し山地山脈にドーンとぶつかり日本海側に大雪を降らし水気を失った寒気団は山を楽々越えて東京にやってくるいわゆる関東の空っ風今日は風もなくおだやかな日和だったんで今年初のジョギングに出掛けた気持ち良いなぁどこぞのお笑いさんがジョガーの相方にそんなにしてまで長生きしたいかとネタにしていたが健康のために走っている人は少ないんぢゃなかろーか少なくとも僕は...
Hisashi Shirahama Official Blog | 2015.01.07 Wed 17:52
JUGEMテーマ:古典文学 66.身を去らぬ影 それからというもの、宰相中将は内裏でもどこでも、身を離れぬ影のように薫君に付き添っていましたが、薫君は、真に愛情の満たされるような逢瀬はきっぱりと拒否していました。 逢って親密に語り合っている時は、どうにも逃れようのない奇妙な心身を抱えた自らの運命を悟り、宰相中将にたいそう心を寄せる風の様子だったりするのですが、しかし離れ離れになってしまうと薫君はすぐ冷静になり、いくら難しいとはいえ、作ろうと思えば自由に作れるはずの機会をめったに作ろうとはしな...
とりかへばやRemix | 2015.01.05 Mon 08:39
JUGEMテーマ:古典文学 ブックオフをぶらぶらしていたら探し物は見つからなかったんだが春樹訳のライ麦が¥200で売られていたそーいえば読もう読もうと思いつつ・・あれ、何処へいっちゃったんだろう?まっいいか、旅行用に買ってもなんたって¥200なのだからこの100年の時代の変化は凄まじかったからいわゆる古典に分類される名作の改訳、再翻訳が進められているライ麦は第二次大戦後に出版されているから勿論古典ではないが、50年代の無気力な若者と今日日の10代との共通点を考えるとシュール以前よりも古めかしく感じてしまうの...
Hisashi Shirahama Official Blog | 2015.01.05 Mon 01:52
JUGEMテーマ:古典文学 64.帝の御前 薫君が内裏に参内してみると、帝からお召しがありました。そちらに参上してみると、帝はいつものように薫君を側近くに呼び寄せて、話の内容も、いつものように光君の事についてでした。帝は薫君をじっと見守ってご覧になります。 薫君の容貌が、たいそう美しく目を惹きつけるのを帝はご覧になりながら、「光君は薫君とよく似ていると聞いている。実際、この男がもし髪を長くしてよく化粧し、額髪も長く垂れていたら、舞い降りてきた天女といったら少し大げさかもしれないが、魅力的で華や...
とりかへばやRemix | 2015.01.02 Fri 17:32
JUGEMテーマ:古典文学 62.後朝の文 薫君の父左大臣は、いつものようにまず微笑みを浮かべて、限りない愛情を込めて薫君をじっと見守りになり、 「今宵はこの屋敷におられたのか」 と質問したので、薫君は 「宰相中将が、手紙の事で質問したい事があるといって、わざわざおいでになりましたので」 とお答えしましたが、それだけで胸がどきどきします。 「右大臣が、内心ひどくがっかりしているらしいよ。やはり人の恨みを受けぬよう身を扱いなさい」 と父がおっしゃるので、薫君はきまりが悪く、 「右大臣さまのお恨...
とりかへばやRemix | 2014.12.29 Mon 13:23
JUGEMテーマ:古典文学 60.ものぐるおしき夜 雑談をしているうちに日が暮れてきました。日が暮れると涼しい風が吹き、秋がやってきた気配がさすがに感じられますが、宰相中将は薫君の横に寄り添って横になったまま、薫君を起こそうともしません。 宰相中将は、光君に何とかして伝言を伝えたいのに、もはやつてが全く無くなってしまい、このままこの数年来の恋心が絶たれてしまったら、私の身は跡形も残さずにこの世から消えてしまうだろうなどと語り、恨み事を言い続けています。その様子はとても哀れに見えますが、薫君は...
とりかへばやRemix | 2014.12.26 Fri 08:50
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