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JUGEMテーマ:古典文学 83.宇治への微行 薫君は、お供の人や行列の先導をする人達に「今宵は宣耀殿に泊まっていなければならない。翌朝早く、供の人が車を一緒に持って来るようにしなさい」と言って、みなお帰しになってしまっていました。 宰相中将がいつの間にか、身分の低い人が使う車に身をやつして乗って北の陣にいらっしゃったので、薫君もとにかくその車にお乗りになりますが、宰相中将にいざなわれてこっそりと外に出る気分は、まるで夢でも見ているかのようです。 宇治に向かう途中も「これはどうした我が身か...
とりかへばやRemix | 2015.02.09 Mon 08:35
JUGEMテーマ:古典文学 81.親子の仲 四の君との雰囲気がたいそう重苦しいので、一方では自分で自分を慰める気持ちもあって、薫君は「こういう日はかえって父君のもとへも行かない方がいい。父君の姿を見てしまうとひどく気弱になってしまうが、それは耐えがたい事だ。」と判断して光君のおられる宣耀殿にお出かけになりました。 いつもよりも身なりをきちんとし、いつになく四の君のそばに寄って 「これから内裏に参ります。行ってみて奉仕すべき事があったら宿直もお勤めし、そうでなければすぐに帰ってきます」 と申し...
とりかへばやRemix | 2015.02.06 Fri 08:11
JUGEMテーマ:古典文学 80.四の君への言葉 最近の薫君は、毎日朝から晩まで父君や母上の御前にお仕えされていて、父君たちは「うれしい」とお思いで笑みがこぼれます。薫君をご覧になるたびに、うれし涙がとめどなくあふれます。 薫君は、舅の右大臣がむやみに自分の事を恨んだかと思えば、この上なく大切な人のように扱ったりするので道理に合わない思いを抱きつつも、「私の事をどんなにひどい奴とお考えだろうか」と、父君に対する以上に心苦しく気の毒に思っています。 四の君は、妊娠して次第にお腹が大きくなって...
とりかへばやRemix | 2015.02.04 Wed 08:24
JUGEMテーマ:古典文学 78.所狭き身 四月にもなると、次第に薫君の身重の身体も隠しようがなく、動作も不自由になってきましたが、つとめてさりげなく振る舞っています。忍び歩くのも苦しいような状態ですが、宰相中将の方は、薫君に気安く逢えないのが辛くて 「人目にもつくでしょうに、どうしてまだ男姿のままでいるのですか。見咎める人でもいたらどんなに困る事か。」 と繰り返し注意してきます。 宰相中将の父の式部卿宮は、宇治の近辺のご領地にたいそう風雅な邸をお持ちです。そこで宰相中将は、そこに必ず薫君を...
とりかへばやRemix | 2015.02.02 Mon 08:40
JUGEMテーマ:古典文学 76.女君の歌 薫君は、身重の体がだんだん目立ってくるにつれ、「まったく、捨てがたい身とはいうものの、このままいてはいけない」と思い、一人でいるのが心細くて、常に人がいる内裏などに宿直しがちで過ごしていました。そこに宰相中将も参上なさって、例の休息所でひそかに待ち合わせて相談などをするのですが、そのおりに宰相中将はこっそり誰かへの手紙の返事を書いています。 ちょっと気取って使いの者に渡している様子で、これを隠せば薫君に隠し事をしている事になる、隠さないでいると手紙...
とりかへばやRemix | 2015.01.26 Mon 08:36
JUGEMテーマ:古典文学 74.花の宴 その年は桜がいつもより美しく咲いた年でしたが、三月一日頃に、南殿の桜の花を鑑賞する恒例の宴席が設けられました。帝は世の中のありとあらゆる専門の博士たちをお呼びになり、博士たちは素晴らしい詩の題を出そうと苦心しておられます。 当日、人々は与えられた題にそって漢詩を作ります。薫君がお作りになった詩は、すぐれた名声のある博士であっても及ぶところではない素晴らしいものでした。 「日本ではもちろんの事、中国の詩でもこういう優れたものはなかった」 と、帝をはじ...
とりかへばやRemix | 2015.01.21 Wed 08:14
JUGEMテーマ:古典文学 72.大晦日 その年も暮れようとする12月の大晦日の頃、薫君は父左大臣の元に参上なさりました。 年末の事でだいぶ取り込んでいましたが、一晩でも顔を見ないと不安に思うのが親心であり、いつ来るかと待ちわびて、やっと到着した喜びもあらわに薫君をご覧になると、あれほどの盛りの美しさであったお顔がたいそうやつれ、沈みがちな表情で現れたので、父左大臣の胸もハッと高鳴ります。 「どうしてそれほどやつれたのか。また気分が優れないのだろうか」 と父左大臣がおっしゃると、薫君は 「特...
とりかへばやRemix | 2015.01.19 Mon 08:35
JUGEMテーマ:古典文学 71.それぞれの思い 宰相中将は、薫君と別れた後も熱烈な恋文を書いてくる一方で、墨縄で打った線のように真っ直ぐ一筋に薫君だけに思いを寄せているわけではありません。 薫君の前ではその気配を見せたり見せなかったりしますが、浮気心が全く無いわけではなく、どうかすると四の君の元にまぎれるように忍び入る様子があるので、薫君は「この頃また四の君は妊娠したらしいが、それほど数多く子の生まれる2人の因縁の深さをいい加減に扱いたくない、などと考えているのだろう」と見ています。そして...
とりかへばやRemix | 2015.01.15 Thu 07:49
JUGEMテーマ:古典文学 70.喜ぶ人悲しむ人 やはり宰相中将に知らせて、一緒に処置を考えるべきだろうか。 逢わぬ恋の恨めしく辛い日々が重なるうちに、宰相中将が我慢しかねて人目もはばからない行動に出かねない素振りが見えるのも情けない事です。 でも、これが奇妙な我が身の運命なんだと悟ると、この宰相中将を振り捨てるわけにはいかないという気持ちになるし、愛し合った相手としての想いもあるので、あの六条あたりの乳母の家で忍び会う事にしました。逢う事を待ち焦がれていた宰相中将が、妊娠の話をどう受け取...
とりかへばやRemix | 2015.01.13 Tue 08:29
JUGEMテーマ:古典文学 68.右大臣家の嘆き いつも生理で籠っておられる時よりも日数が多く過ぎているので、薫君は「右大臣様がまたどんなに思い嘆いておられる事だろうか」と思いやると心苦しく、お手紙を差し上げて 「例の病気が、いつもよりよくなりませんので、こうしてじっと籠っておりまして。最後にはどうなってしまう我が身かと、心細いにつけても ありながら あるかひもなき身なれども 別れ果てなむ ほどぞ悲しき (生きていても何の甲斐もない身ですが 全てのものとお別れしてしまう事を想像すると悲しくて...
とりかへばやRemix | 2015.01.08 Thu 08:41
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