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まだ読んでないんだけども気になる本を挙げてみましょう♪
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【忘却録音】11

JUGEMテーマ:気になる本 ☆ 11  その後、四組の生徒に話を聞いてみたがどれも結果は同じだった。  彼女達は誰もが疑心暗鬼になっていて、それぞれの部屋に籠もっている。それは何かを待っているようにもとれる閉じ籠もり方で、そのくせ口をそろえて家に帰りたい、と呟くのだ。帰ればいいのに、と尋ねれば、誰もが口を閉ざしてしまう。……やはりまともに話が出来たのは紺野さんだけで、他の生徒達とは会話すら成立しなかった。  総合結果としては、彼女達は全員が妖精を信じていた。つまり、だれもが手紙と記憶の欠落を持...

たいむかぷせる。 | 2010.12.31 Fri 00:46

【忘却録音】10

JUGEMテーマ:気になる本 ☆ 10  一月五日、火曜日。  いつまでたっても起きない式を放っておいて、わたしは一階の学習室に向かった。  時刻は朝の七時すぎ。学習室で勉強をしようなんて殊勝な生徒はいないのだが、だからこそ密会にはちょうどいい場所になる。  学習室は寮生の為に設けられた図書室だ。各々の目的は違えど、夕方から消灯時間まで寮生たちはここに集まり、お喋りをしたり本当に教科書を開いたりする。が、夕方からは鬼の寮監ことシスター・アインバッハがじきじきにご指導にくるので、彼女の目を盗みな...

たいむかぷせる。 | 2010.12.31 Fri 00:46

【忘却録音】9

JUGEMテーマ:気になる本 ☆ 9  寮に戻って一年四組の生徒の何人かと話をし終わったころ、外はもう暗くなりかけていた。  学校が休みといっても寮内の規律は生きているとの事で、私たちは鮮花の寮室へと移動した。  ここでは午後六時以降、寮内の行き来さえ禁止されてしまう。トイレは別問題として、一階にある学習室を利用する時のみ部屋から出る事を許されるのだそうだ。  高校から入学した生徒はこの不自由さに慣れず、たびたび友人の部屋に遊びに行っては見回りのシスターに発見されるらしい。小等部から過ごしてい...

たいむかぷせる。 | 2010.12.31 Fri 00:45

【忘却録音】8

JUGEMテーマ:気になる本 ☆ 8 『式、新しい仕事だ』  と、トウコは電話越しに言った。  一月二日の夜、トウコは今までとは毛色の違った仕事を私に押しつけた。  鮮花の通う礼園女学院におかしな事件が起きたから行って調査をしてほしい、という内容に、わたしは心弾まなかった。  私―――両儀式が蒼崎橙子に協力しているのは殺人ができるからなのに、今回の仕事はただ原因の究明をするだけときている。それでは私の虚ろな心持ちは乾いたままで満たされない。  そもそも、トウコの仕事で何かを殺すコトはあっても人間...

たいむかぷせる。 | 2010.12.31 Fri 00:42

第四章【夏から秋】 4−6

JUGEMテーマ:気になる本 ☆4−6  「綾白様」 呼ぶと面がこちらを見た。面の奥に思い詰めた様な目がある。 「火焔は共に」 言うと綾白は、火焔の腕と腰を抱き、馬上あら緑鹿の上に引っ張り上げた。緑鹿は馬よりも体高が高い。やすやすと綾白の胸の前に乗せられた。 乗せられたと同時に、いきなり綾白が緑鹿の腹を蹴る。 「綾白様!」 驚く左近が、綾白を追おうと馬の手綱をさばき駆けだす。 しかし緑鹿は速かった。追ってくる左近を振り切り、柔らかな秋の日差しが零れる森の中を右に左に駆ける。紅や黄に色づ...

たいむかぷせる。 | 2010.12.19 Sun 09:18

第四章【夏から秋】 4−5

JUGEMテーマ:気になる本 ☆4−5 「お前は、俺の妻だ」 言うなり、思い切り腕を引っ張る。背後によろける火焔の肩を押さえ、大木の根方に火焔を押し倒した。 「何をする!」 声を上げると、頬を殴られた。一瞬、目の前がパッと白くはじける。 高峯の左手は火焔の肩を押さえ、右手は火焔の小袖の袂にかかり、くつろげようとする。 のしかかられた体は重く、足を必死に蹴り上げようとしても動かない。押しのけようとするが、片手で簡単に払われる。 高峯が何をする気かを察し、悲鳴をあげた。すると高峰は、自分の腰に...

たいむかぷせる。 | 2010.12.19 Sun 09:17

第四章【夏から秋】 4−4

JUGEMテーマ:気になる本 ☆4−4 その夜から、参内して鳳悠の随身として傍らにいる事が、それほど嫌ではなくなった。 鳳悠の振る舞いには閉口する。それでも参内すれば、綾白の姿を見ることができたからだ。 遠く庭を歩く姿を見かける事もあるし、廊下ですれ違うこともある。 綾白は無表情で行き過ぎるのだが、火焔の視線に気がつくと、その目に僅かな優しさを見せる。 そして、七日に一度の休みが来ると、北山に駆けた。 その時は、体に羽が生えて飛んでいけそうなほど嬉しい。 後ろめたさや不安は、胸の奥にくすぶって...

たいむかぷせる。 | 2010.12.19 Sun 09:17

第四章【夏から秋】 4−3

JUGEMテーマ:気になる本 ☆ 4−3  「優しくてたおやかな絶世の美女であったと、今でも懐かしげに語る人がいます。皇后様は皆に好かれておいでだったと。そんなお方に似ていて、なぜ御嫌なのですか」 「母の儚さが憎かった」 口にして、はしゃぐ青年達を遠くぼんやり見る。 「私は母が好きだった。だから弱々しい今にも消えてしまいそうな危うさがある、あの人の美しさを憎んだ。やはりあの人は、あっけなく亡くなった。私が六つの時だ。もっと強く逞しくあってくれれば、私は母を失わずに済んだ」 儚げな美しさを憎...

たいむかぷせる。 | 2010.12.19 Sun 09:16

第四章【夏から秋】 4−2

JUGEMテーマ:気になる本 ☆4−2 別邸に隠れ住む姫も、火焔も同行していた。 二人の女人がいるにも関らず、若者達は上半身裸になり、水に飛び込んで遊んだ。 彼らと共に水に入るのは、面白そうだった。 しかし、胸の印を見せられない。仕方なく綾白は、水の上に突き出した岩場に腰をおろした。足首まで水に浸し、遊んでいた。 ぐるりと周囲を見回すと、足を冷やす姫の姿が見える。しかし、火焔の姿がなかった。 ・・・何処へ行った。 綾白は北山に来ると、火焔の姿を探す癖がついていた。 突然、綾白の足首を誰かの手...

たいむかぷせる。 | 2010.12.19 Sun 09:16

第四章【夏から秋】 4−1

JUGEMテーマ:気になる本 ☆4−1 自らを恥じた。 火焔には律家の惣領娘の立場があり、秋には婚儀も控えている。 なぜ頷いてしまったのか。 北山に行くことを、強制されている訳ではない。行きたくなければ、行かなければいい。 なのに自分は「頷いてしまったから」と、それを理由にして七日に一度、北山へ足を運ぶ。 火焔の行動が、鳳悠の耳に入り、律家が不興をかう不安。婚儀を目前にして、綾白と会う事に喜びを感じる、後ろめたさ。 そんな物を抱えながら、しかし火焔は、北山へ向かって馬を飛ばす。 自らの行いを、...

たいむかぷせる。 | 2010.12.19 Sun 09:15

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