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JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから 「おばあちゃん、俺行くよ。今日行くって約束したし。」 「でも・・。」 取りすがる桐代を無視して玲王は外に出た。 誉次郎も黙って玲王の後に続く。桐代のすすり泣く声が聞こえた。 佳苗が家に来てから、桐代の精神状態はますます不安定になった。 佳苗の言う事、する事、何もかも気に入らず、 重箱の隅をつつくように、毎日毎日、いわゆる嫁いびりをした。 誉次郎が見ても、やりすぎだと思う事が多々あった。 しかし、誉次郎はそれを見て見ぬ振りをした。...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.05.26 Tue 22:29
JUGEMテーマ:恋愛小説「蒼衣、もうここまででいいって」誕生日パーティーのあと、てっきり玄関先で見送られると思っていた陽は、当然のように陽の家への帰り道を歩き出した私に、そう声をかけた。「もうちょっと、行く。」振り返って陽を見上げると、玄関の明かりが陽の金髪をまるで後光のように照らしていて、もうすっかり外は暗いのにそこだけなんだか眩しい。「じゃ、そこの角までね」陽は、夜中に私が一人で出歩くのを極端に嫌がる。それは、この数週間で感じたことだ。『大丈夫だよ〜』と言っても、『危ないでしょ』と言うのが陽...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.05.26 Tue 08:35
JUGEMテーマ:恋愛小説 朱里は正直、自分と蒼衣のプレゼントが“同じ位のランク” のものだということが意外だった。(もし恋人同士なら、森兄がくれたみたいなアクセサリーとか、そういうものを贈るんじゃないの?)ということは。二人は、まだ付き合っていないのかもしれない。 妹に先を越されずに嬉しいような、そう感じるのが申し訳ないような。なんともモヤモヤとした気持ちのままパーティーが過ぎ、その日はお開きの時間になった。 しかし、晴れないモヤモヤは、他にもある。「“あおい”、もう帰るよ」陽は、今までちゃん付けだ...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.05.25 Mon 08:32
JUGEMテーマ:恋愛小説 誕生日パーティーは、例年と同じように行われ、そして終わった・・・ように見えた。なのに、今年の誕生日パーティーは、明らかに去年までとは何かが違った、と朱里は思う。テキスト、カメラ、機材、着替え。 いろんなものをごろごろと詰め込んだ重いカバンを手に抱え、電車に揺られながら朱里は先日の誕生日を思い返していた。カバンのなかには、そのパーティーの際に陽からプレゼントされたブロードウェイのDVDも入っている。日本で未発売のこのDVDを学校のみんなにも見せてあげようと思い、持って来たのだ。 ...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.05.23 Sat 23:34
JUGEMテーマ:恋愛小説陽が、蒼衣のリクエストを訊くのに苦戦したその翌日。 朱里は、同じ学部の杉浦・・・ちょっといいなと思っている、カメラマン志望の同級生と、神田の古本屋街を歩き回り、くったくたになっていた。「あんま、種類無かったね・・・。」グループの自由研究でスクリプト(台本)係になった二人は、一人芝居用のいい台本を探して専門書店も多いこの神田の本屋街を、それこそ足が棒になるま歩き回ったのだが、あまりピンとくるシナリオに出会えなかったのだ。「うーん。どうすっかなあ。先輩に頼もうか」杉浦は、煙草を唇に...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.05.22 Fri 22:00
JUGEMテーマ:恋愛小説「じゃあ、かんぱーい」カチン、とワイングラスのかわりにDURALEXのグラス・・・シンプルで安くて可愛くて頑丈な、陽のお気に入り・・・を合わせる。本当におなかが空いているらしい蒼衣は、真っ白なお皿に盛られたパスタをフォークでぐるぐるっと巻いて一気に一口でパクついた。「美味しい!」パスタソースは、振りかけたチーズとベーコンのようなものの塩味が絶妙で、シンプルなのにものすごく美味だ。「このベーコンすごい美味しい!」「パンチェッタね。正しくは」「・・・ジローラモ?」「それはパンツェッタ」「・・・・...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.05.21 Thu 08:37
JUGEMテーマ:恋愛小説ひと夏の恋っていうのかな?ストーリーがうまく進みすぎな感じはしました。人生、そんなにうまく進めばいいよな〜と思いました。浩一の未来も分かりましたよね。読みやすくはありましたが…しかし、切ない感じはよく伝わってきました。女性としては、いくつになってもそういう気持ちは変わらないですよね。
kuuの読書感想 | 2009.05.21 Thu 00:48
JUGEMテーマ:恋愛小説最初から読まれる方はここから嵯峨誉次郎は、今日孫の玲王(れお)を車で送る約束になっていた。当初息子の叔且(としかつ)が送っていくはずだったが、昨日の夜になって突然仕事で出勤となり、急遽誉次郎に白羽の矢が立ったのだ。正直誉次郎は乗り気ではない。送迎などしないで済むなら、止めてしまいたい。しかし、玲王に一人で行かせるのはもっと気が進まない。「おじいちゃん、お待たせ。」玲王が二階から降りて来た。玄関には、少し前から誉次郎と妻の桐代が、落ち着かない様子で待っている。「玲王、どうし...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.05.20 Wed 19:52
JUGEMテーマ:恋愛小説初めて合鍵を使い、蒼衣がどきどきしながら陽の家に上がってから1時間ほどたったころ。陽が、食料品を買ったらしいビニール袋を手に帰ってきた。「おかえり〜!」背が高くスーツの似合う陽を、満面の笑みで出迎える。「・・・ただいま」リビングで蒼衣の姿をみつけると、陽はなんだか照れくさそうに目を細めて、まぶしそうな顔をして言った。「誰かが家にいてくれてるって、やっぱ・・・いいね」家に帰ったら電気がついていて、誰かがいて、迎えてくれる。それだけで、こんなにも満たされるんだ。陽は、母が去って何年...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.05.20 Wed 08:32
JUGEMテーマ:恋愛小説長い一日の授業の終了を告げるチャイムと同時に、どこからか携帯がブルブルっと震える音がした。「蒼衣。ケータイ、鳴ってる」「あれ?あたし?」朱里と共有しているバレンシアガのエディターズ・バッグからシルバーの携帯を取り出すと、意外な人からのメールが届いていた。 『今日早く帰れそうだから、予定なかったらウチでゴハン食べてかない?』(陽からのメールだ!)しかも、しかも・・・陽のうちで、ゴハン?興奮のあまり震える指先を押さえるように、両手を使って返信する。『もちろん、行く!何時ごろだった...
小説 カラスト 〜Color stories〜 | 2009.05.19 Tue 08:34
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