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「どっどうかな?」 フェリシアは、どこか恥ずかしそうに笑ってみせた。「うん、すっげぇ似合う! やっぱりフェリシアの綺麗な目に合わせてよかった」 いたずらっ子のようににかっと笑うソル。(私の瞳に合わせてくれたんだ……) フェリシアは、ソルの誕生日プレゼントを貰うだけで嬉しかった。 なのに彼は、フェリシアがあまり自信を持っていない外見を綺麗と褒めてくれ、自分の瞳に合わせてアクセサリーを買ってくれた。 胸の奥が、何だかどんどん暖かくなるのを感じたフェリシアは、思うわず……。「ソル! ありがとう!」 嬉...
イルシオン | 2013.08.14 Wed 09:38
いつもは見せない、決意に満ちたフェリシアの瞳に、ソルはもう一度聞いた。「本当に俺が使っていいのか?」「うん。ソルだから使ってほしいの」 フェリシアは、ソルのネックレスを持つ手を、自分の手で包むように握った。「お父さんも、ソルならきっと許してくれるわ」 フェリシアは、ソルを安心させるように笑う。「おれ……俺、ずっと大事に大事に使うからな!」 ソルは、手の中のネックレスを自分の首を吊るし、もう一度剣のチャームを見た。「ソル。封印を解きたい時は『リペラシオン』と叫んでね」「あぁ。ありがとな、フェリ...
イルシオン | 2013.08.13 Tue 08:36
「うん。……ソル?」 フェリシアは、歩き出そうとしたソルの服の端っこをつまんだ。「どうしたんだ?」「これを、貰ってほしいの……」 フェリシアは、可愛らしいポシェットから剣の形をしたチャームのついたネックレスを取り出した。「えっ? これって……」 ソルは、そのネックレスを受け取りながら、目を丸くする。「お父さんが使っていた、アラディスだよ」 アラディスは、フェリシアの父ラウフが使っていた魔法のかけられた剣だ。 一見、ただのネックレスのようだが、呪文を唱えるとその姿を本物の剣に変える、世間にはあまり出...
イルシオン | 2013.08.12 Mon 09:28
「どっどうしたの、ソル?」 走ってきたソルは、汗を流し、息をきらせていた。「はぁ……はぁ……このバカっ」 ソルは、コツンと優しくだがフェリシアのおでこを叩く。「一人で出歩いて、心配しただろ!」「うっ……ごめんなさい」 フェリシアは、おでこを押さえながら、頭一つ分低い位置から上目遣いで謝ってくる。 それが、不覚にもかわいくてかわいくて、ソルは思わずドキっとしてしまった。「いっいつ、いじめっ子共が出てくるか分からないだろ?」 ソルは、動揺を隠そうと冷静を装う。 しかし、フェリシアはどちらかと言えば天然...
イルシオン | 2013.08.11 Sun 12:54
「えっ? フェリシアなら、丘に行ったはずよ?」 フェリシアに家についたソルは、いつも出迎えてくれるはずのフェリシアがいないのに気づき、彼女の母――ネイラ・イステミトに聞いた。 ネイラは、驚きながら「ソルちゃんと一緒じゃないの?」と、首を傾げていた。 ソルは、ネイラに一礼すると家を飛び出し、急いで丘へと向かった。 色とりどりの花束が置かれた、ラウフの墓。 その前に、しゃがんで手を合わせているフェリシアの姿があった。「お父さん、今日で私十六歳になったの」 誕生日のためか、フェリシアもソ...
イルシオン | 2013.08.10 Sat 20:12
第2話 決心と幸せ ――フェリシアの誕生日会当日。 ソルは、ドキドキしながらフェリシアの家に向かっていた。 フェリシアとソルは、誕生日が一日違いのため、いつもフェリシアの家で合同誕生日会をしていた。 ちなみに、フェリシアはこの年で十六歳を向かえ、結婚できる年になる。 差別などせず、小柄でかわいいフェリシアを、女性として見ている男たちも少なからず、この村にはいた。 そのため、ソルはこれからフェリシアに寄ってくる害虫を駆除するという、大仕事も控えていた。 だが、その前にフェリシアにプレ...
イルシオン | 2013.08.09 Fri 10:00
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「久しぶりだな」 笑った顔はあの幼い少年のそれではない。彼は成長していた。鋭い眼光、意志の強い口元。引き締まった体にはバネのような筋肉が見事に発達していて、小柄といえど油断のならない猛禽類のような雰囲気を漂わせていた。その声は若々しく張りのある、自信に満ちて堂々とした大人の男のテノール。 「どうした。やはり打ち所が悪かったか? お前は金魚か、馬鹿皇子。人の顔を見て何を間抜けにぱくぱくしている」 ……馬鹿の意味もわかんなかったあの馬鹿が、こんな立派な減らず...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.08.06 Tue 15:32
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 硝子の破片がふりそそぐに似た猛烈な雨風に、体が突き刺さされる感覚。泥水にまみれてめちゃくちゃになった長い髪がじゃまして、前が見えない。手足がしびれて力が抜ける。 「成る程! ヴァスカーの調べの通りということか!」 男の低い声が賞賛を込めて、半ば浮かれた調子で響いているのが遠いところから聞こえた。アルスはしたたかに打ち付けた頭の激痛に朦朧とする意識の中、ぼんやりこう考えた。前々から思っちゃいたが、どうやらオレは賭け事に向いてるらしい。はっきり言ってこりゃ最...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.08.06 Tue 01:06
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 Case:2 セイン・リズラルフ 闇に紛れる生き物。いつからそんなものに墜ちたのか。黒く淀んだ我が身への天罰のように、雨は絶えず打ち付けてくる。かつて愛した人のとこしえの幸福と微笑みを、命を賭して願っていたのは他ならぬ自分のこの胸であるはずなのに、同じ心で人の絶命を欲している。己の姿がわからなくなる。 闇の中にうずくまるは、得も言われぬ背徳の快感。自分はおそらく狂っているのだろう。自らを嘲弄し続ける寂れた心の最果てに秘めた、時の大河の向こう岸から……もう逢えない...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.08.02 Fri 18:52
確かに、毎年フェリシアには誕生日プレゼントをあげている。 でも、ソルももう少しで18歳になろうという、立派な男子である。 女の子のプレゼント選びをしている所を親に報告され、尚且つ悪気はなかったにしろ笑われたのだ。 かなり恥ずかしいのは当たり前である。「でも、フェリシアちゃんがお嫁に来てくれると母さんうれしいわぁ」「そうだね。大人しい子だけど、マディアと一緒で家事も上手で、マディアみたいに美人さんだからねぇ」「もう、あなたったら」 頬を両手でおさえ、照れるマディア。「マディア……」 そんなマデ...
イルシオン | 2013.08.02 Fri 09:28
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