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闘神伝説BRUSTER〜ACT:0予告編《宵闇の邂逅》・4

JUGEMテーマ:ファンタジー小説 Case:2 セイン・リズラルフ  闇に紛れる生き物。いつからそんなものに墜ちたのか。黒く淀んだ我が身への天罰のように、雨は絶えず打ち付けてくる。かつて愛した人のとこしえの幸福と微笑みを、命を賭して願っていたのは他ならぬ自分のこの胸であるはずなのに、同じ心で人の絶命を欲している。己の姿がわからなくなる。  闇の中にうずくまるは、得も言われぬ背徳の快感。自分はおそらく狂っているのだろう。自らを嘲弄し続ける寂れた心の最果てに秘めた、時の大河の向こう岸から……もう逢えない...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.08.02 Fri 18:52

神さまになっちゃいました 第1話 イルホ村での日々-8-

 確かに、毎年フェリシアには誕生日プレゼントをあげている。 でも、ソルももう少しで18歳になろうという、立派な男子である。 女の子のプレゼント選びをしている所を親に報告され、尚且つ悪気はなかったにしろ笑われたのだ。 かなり恥ずかしいのは当たり前である。「でも、フェリシアちゃんがお嫁に来てくれると母さんうれしいわぁ」「そうだね。大人しい子だけど、マディアと一緒で家事も上手で、マディアみたいに美人さんだからねぇ」「もう、あなたったら」 頬を両手でおさえ、照れるマディア。「マディア……」 そんなマデ...

イルシオン | 2013.08.02 Fri 09:28

闘神伝説BRUSTER〜ACT:0予告編《宵闇の邂逅》・3

JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「……ゼルシト王家は古代人の直系の末裔(すえ)と聞く。失うには惜しい血統だ。陽に透ければ、まるで金に輝くような美しい髪じゃないか」「気色悪りぃこと言うんじゃねえ」  アルスは舌打ちとともに苦渋に近い表情でタージから視線をそらしたが、タージは気にする風もなく、不機嫌に鼻を鳴らし返した。 「褒めているのに、素直じゃない。ま、お前ごときが緋色の皇子の器とは思えんがね! いい年して軽薄な若づくりしよって、口は悪いわ、身だしなみもいい加減だわ……そんなのばし放題の頭で、何が...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.08.01 Thu 22:49

神さまになっちゃいました 第1話 イルホ村での日々-7-

「ソル、今日はご機嫌だねぇ」 ソルの家のリビング。 家族三人で夕食を食べていると、ソルの父――クルス・ディオスが、上機嫌のソルに問いかけた。 ソルの顔はお父さん似だと言われるほど、二人の顔は似ていた。「あぁ、まあな」 ソルは大好きなミートパスタを頬ばりながら、そっけなく答えた。 そんな彼の口の周りは、トマトソースまみれで、まるで子供のようだ。「今日やっとフェリシアちゃんの誕生日プレゼントが決まったものねぇ〜」 微笑みながら、ソルの母――マディア・ディオスは頬に手を当て、うっとりとした。 濃い青い...

イルシオン | 2013.07.31 Wed 23:25

神さまになっちゃいました 第1話 イルホ村での日々-6-

「どっどうしたんだい、ソルちゃん?」「あっ! いやその……女の子が喜ぶモノって何かな……」「おやおやっ! 好きな子でもできたのかい!?」 ソルが頬を染めながら、ボソボソと言うと、おばさんはオーバーなリアクションで返してきた!「ちょっ! おばちゃん声がでかい!!」 ソルは慌てて、おばさんに「しー」っと指を立てる。「ほっほっほっ」 雑貨屋のおばさんは「おばちゃん嬉しいよ」と言いながら、微笑ましい顔でソルを見ていた。「だから、違うっての! フェリシアの誕生日が近いから……その……」 最後の方、もごもごとい...

イルシオン | 2013.07.31 Wed 09:03

闘神伝説BRUSTER〜ACT:0予告編《宵闇の邂逅》・2

JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「よ、料理長。お疲れサン。ほら、一杯」「サンキュ」  木の椀に注がれた暖かいビールを受け取り、皆で乾杯する。談笑しながら、アルスは自分の仲間の手製の料理に舌鼓をうった。仕事上がりの食事は、胃袋に染みるようだ。 「また読み書きと計算教えてくれよ、アルス」「あと世界情勢に歴史、地理なんかもいい。こないだ聞いた経営学は役に立つ」「……もーちょい、疲れてねえ時な。勉強熱心なこった」  アルスは身を乗り出してくる男客達に、苦笑いで返す。 「おべんきょーってヤツぁ、結構お...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.07.30 Tue 21:55

神さまになっちゃいました 第1話 イルホ村での日々-5-

 フェリシアの家族は平穏を求め、小さくもなく大きすぎることもないイルホ村へとやってきたのだった。  ――風が爽やかに吹き抜ける。 イルホ村の北にある森を抜け、花々が咲き乱れる丘に、ソル達はいた。 そこの一角には、イルホ村の住人の墓場がある。 フェリシアは、丘に咲く花を摘み、「ラウフ・イステミト」と書かれた墓の前に供え、しゃがむと手を合わせる。(ラウフさん良い人だったなぁ) ソルがまだ小さい頃、ラウフにはよく遊んでもらっていた。 ラウフによく「俺は病気でなかなかフェリシアの面倒を見れない。これ...

イルシオン | 2013.07.30 Tue 08:24

闘神伝説BRUSTER〜ACT:0予告編《宵闇の邂逅》・1

JUGEMテーマ:ファンタジー小説 ACT0 Legend Of The Down under the Red Moon.〜case :1 プロローグ  紅い月の夜空に星が降る、冷え込んだ春先。そこはぐらぐらと煮え立つスープから立ち上るかぐわしい蒸気でむせかえり、暑いほどだった。  汗をかきながらも忙しなく働いているのは、真っ白な揃いを着こんだ年齢様々な男達。  厨房だ。 「白身魚の香草焼きを、車海老のオーロラソースサラダ付きで三つです!」「子牛のレイデリア風、香辛料控えめで!」「追加です! 子羊のテリーヌとジャガ芋の冷製スープ、二人前ずつ!」「食...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.07.29 Mon 22:42

神さまになっちゃいました 第1話 イルホ村での日々-4-

 ソルが怒鳴ると、フェリシアは首を縮め、しゅんっとした。 飼い主の叱られる犬のようだ。「でも、いつもソルに一緒に来てもらうのも悪いし……」 フェリシアは、人差し指と人差し指を合わせて、くねくねとしながらボソボソと言った。「いいんだ! 俺が好きでやってることなんだから」「うっうん」 フェリシアはあまりのソルの迫力に、ぶんぶんと首を縦に振った。「っで? 今から行くのか?」「ついて来てくれる?」「当たり前だろ」 ソルはそう言うと、フェリシアの左手を握り、歩き出した。 手を引っ張られるフェリシアは、ソ...

イルシオン | 2013.07.29 Mon 08:41

神さまになっちゃいました 第1話 イルホ村での日々-3-

 そんなソルにフェリシアは頷き、安心したのかほっと息を吐いた。「また、手袋取られたのか?」「うん……」「んじゃ、これで隠せばいい」 ソルは、ズボンのポケットから包帯を取り出した。 彼女は、オレンジの瞳に黒に近い緑色の長い髪をした、お人形のように可愛らしい女の子だ。 だが右手で隠した左手の甲には、爬虫類のような鱗があった。 そのため度々、心無い者たちにいじめられ、迫害を受けていた。 彼女は、シェクロアという、珍しい種族の血を引きづいている。 シェクロアは体のどこか一部に鱗を持ちで、鱗に自分の心許...

イルシオン | 2013.07.28 Sun 09:23

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