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ソルは、ぬいぐるみが口を聞く以前に、もうこの意味の分からない生物にため息が出た。「こらっ! にゃぜため息をつくにゃ!」「何かもう俺疲れた」「疲れたとはにゃんだ!」 ソルの手に握られたまま、短い手足でジタバタするペペロンは一見可愛いが、彼にとっては可愛さより、面倒くささが上をいっていた。「神しゃまの力を感じできたにょに、にゃんでこんにゃ強面にょに辿りつくにゃ!」 ぶつくさぶつくさと文句を垂れ流す、ペペロン。 小汚くはあるが、せっかくのかわいいクマのぬいぐるみが台無しである。「……」 神がどうの...
イルシオン | 2013.09.08 Sun 08:04
(しっかし、アレは一体……?) 空の彼方へ投げたてしまったにしろ、あの不思議なしゃべるぬいぐるみは一体なんだったんだろうと思う、ソルであった――。 フェリシアとの楽しいピクニックデートも終わり、ソルは自室にいた。 家に帰る頃には、すっかりしゃべるぬいぐるみの事も忘れ、フェリシアとの別れに残念な気分でいっぱいだった。 次の日には会えなくもないが、一時間でも長く一緒にいたいと思うソル。 ――心はまるで純粋な恋する乙女である。「はぁ、早く明日にならないかなぁ……」 ソルは、ベットに倒れこみ、天井を見...
イルシオン | 2013.09.07 Sat 08:14
辺りをキョロキョロと見回すソルを見て、フェリシアは不思議そうに聞いた。「いや、今声が聞こえて……」「えっ? 私には聞こえなかったけど……?」(フェリシアには聞こえてないのか?) 確かに、自分にははっきりと知らない声が聞こえた。 だが、フェリシアがこんなことで嘘をつくような子ではないのは、ソルが一番知っていた。 謎が深まる一方なソルに、またあの声が聞こえてきた!「ここでしゅ! ていうか、しょの掴み方やめてほしいでしゅ!」 ソルの摘んでいるクマのぬいぐるみが、しゃべりながら動き出した! 彼は、その...
イルシオン | 2013.09.06 Fri 07:58
ソルは座り、フェリシアの肩を優しく引き寄せる。 ――っと、その時だった!! バーーーンっ!! 激しい衝撃音と供に、ソル体がふらりと揺らめき、その場に倒れた。「ソル!?」 フェリシアは、何が起こったのか分からず、ソルを抱き上げる。「いってぇー……」 ソルは痛む頭を押さえながら、ぼんやりとする意識の中、今何が起きたのかを必死に理解しようとしていた。(確か、何かが俺の頭にぶつかって……それで?) ソルは、ゆっくりと辺りを見渡した。(俺の頭に当たった何かが落ちてるはずだ……) そんな彼の瞳に、草むらに横た...
イルシオン | 2013.09.05 Thu 08:20
第3話 クマのぬいぐるみとペペロン フェリシアと付き合い始めて、数日。 ソルは今日も、内心ウキウキな気分でフェリシアの家へ向かう。 今日は、いつもフェリシアが墓参りする丘の、墓地と隣接した花が咲く広場でピクニックをする約束をしていた。 ――待望の二人っきりのデートである。 付き合い始めてからというもの、特別今までと何かが変わったわけではなかった。 いつも通り丘へ行ったり、一緒に買い物へ出かけたり……。 そんないつもの日常と変わらない日々でも、フェリシアが自分の恋人になってくれた...
イルシオン | 2013.09.04 Wed 08:30
僕僕先生シリーズの外伝「童子の輪舞曲」今までのシリーズに出てきた登場人物のエピソードや、本編で語られなかった冒険など、外伝的な話が掲載されています。中にはちょっと不思議な話もあり、それがどうも今後の王弁と僕僕先生の関係につながっていくらしいのですが…。 ・避雨雙六 雨の無聊をなぐさめるため、僕僕先生が不思議なすごろくをだしてきた。自分の願いにあわせてオーダーメイドにつくられるすごろくで、王弁の道順だけが異様に長くなってしまって…。 すごろくの中で動く人形と自分がシンクロしているので、穴に落...
日々の書付 | 2013.09.04 Wed 00:11
彼は、シェクロアの「自分の心許す者以外が触ると、怒りで村一つ破壊する」という伝説出し、フェリシアを安心させたかったのだ。「……っ!!」 フェリシアは、大粒の涙をオレンジの瞳から次々と流しながら、小さな手のひらで顔を覆った。 そんなフェリシアを、ソルはそっと抱きしめた。「フェリシア。俺は鱗もあわせて、フェリシアの全部が好きなんだ」 そして、小さな子をあやすように、背中をポンポンと優しく叩いた。 しばらくフェリシアをあやしつつ、ソルは幸せを実感していた……。 ――その後。 目を真っ赤に腫らした...
イルシオン | 2013.08.16 Fri 08:44
ソルは息を呑んで、緊張して暴れ出しそうな心を押し込め、口を開いた。「俺……お前のことが好きなんだ!」 ソルは言った! だが、次にくるフェリシアの返事が怖くて、思わず硬く目を閉じた。「……本当に?」 自分の胸の辺りから、小さなフェリシアの声が聞こえてきた。「……本当に好き?」 ソルが、フェリシアの方を見ると、泣きそうな顔で彼を見ていた。「あぁ」「うれしい……お願いが叶った」 フェリシアはソルの返事を聞き、涙を流しながら笑顔を浮かべた。「醜い私を好きになってくれてありがとう」 ソルの胸に顔を埋めながら...
イルシオン | 2013.08.15 Thu 08:34
「どっどうかな?」 フェリシアは、どこか恥ずかしそうに笑ってみせた。「うん、すっげぇ似合う! やっぱりフェリシアの綺麗な目に合わせてよかった」 いたずらっ子のようににかっと笑うソル。(私の瞳に合わせてくれたんだ……) フェリシアは、ソルの誕生日プレゼントを貰うだけで嬉しかった。 なのに彼は、フェリシアがあまり自信を持っていない外見を綺麗と褒めてくれ、自分の瞳に合わせてアクセサリーを買ってくれた。 胸の奥が、何だかどんどん暖かくなるのを感じたフェリシアは、思うわず……。「ソル! ありがとう!」 嬉...
イルシオン | 2013.08.14 Wed 09:38
いつもは見せない、決意に満ちたフェリシアの瞳に、ソルはもう一度聞いた。「本当に俺が使っていいのか?」「うん。ソルだから使ってほしいの」 フェリシアは、ソルのネックレスを持つ手を、自分の手で包むように握った。「お父さんも、ソルならきっと許してくれるわ」 フェリシアは、ソルを安心させるように笑う。「おれ……俺、ずっと大事に大事に使うからな!」 ソルは、手の中のネックレスを自分の首を吊るし、もう一度剣のチャームを見た。「ソル。封印を解きたい時は『リペラシオン』と叫んでね」「あぁ。ありがとな、フェリ...
イルシオン | 2013.08.13 Tue 08:36
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