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第3話 クマのぬいぐるみとペペロン フェリシアと付き合い始めて、数日。 ソルは今日も、内心ウキウキな気分でフェリシアの家へ向かう。 今日は、いつもフェリシアが墓参りする丘の、墓地と隣接した花が咲く広場でピクニックをする約束をしていた。 ――待望の二人っきりのデートである。 付き合い始めてからというもの、特別今までと何かが変わったわけではなかった。 いつも通り丘へ行ったり、一緒に買い物へ出かけたり……。 そんないつもの日常と変わらない日々でも、フェリシアが自分の恋人になってくれた...
イルシオン | 2013.09.04 Wed 08:30
僕僕先生シリーズの外伝「童子の輪舞曲」今までのシリーズに出てきた登場人物のエピソードや、本編で語られなかった冒険など、外伝的な話が掲載されています。中にはちょっと不思議な話もあり、それがどうも今後の王弁と僕僕先生の関係につながっていくらしいのですが…。 ・避雨雙六 雨の無聊をなぐさめるため、僕僕先生が不思議なすごろくをだしてきた。自分の願いにあわせてオーダーメイドにつくられるすごろくで、王弁の道順だけが異様に長くなってしまって…。 すごろくの中で動く人形と自分がシンクロしているので、穴に落...
日々の書付 | 2013.09.04 Wed 00:11
彼は、シェクロアの「自分の心許す者以外が触ると、怒りで村一つ破壊する」という伝説出し、フェリシアを安心させたかったのだ。「……っ!!」 フェリシアは、大粒の涙をオレンジの瞳から次々と流しながら、小さな手のひらで顔を覆った。 そんなフェリシアを、ソルはそっと抱きしめた。「フェリシア。俺は鱗もあわせて、フェリシアの全部が好きなんだ」 そして、小さな子をあやすように、背中をポンポンと優しく叩いた。 しばらくフェリシアをあやしつつ、ソルは幸せを実感していた……。 ――その後。 目を真っ赤に腫らした...
イルシオン | 2013.08.16 Fri 08:44
ソルは息を呑んで、緊張して暴れ出しそうな心を押し込め、口を開いた。「俺……お前のことが好きなんだ!」 ソルは言った! だが、次にくるフェリシアの返事が怖くて、思わず硬く目を閉じた。「……本当に?」 自分の胸の辺りから、小さなフェリシアの声が聞こえてきた。「……本当に好き?」 ソルが、フェリシアの方を見ると、泣きそうな顔で彼を見ていた。「あぁ」「うれしい……お願いが叶った」 フェリシアはソルの返事を聞き、涙を流しながら笑顔を浮かべた。「醜い私を好きになってくれてありがとう」 ソルの胸に顔を埋めながら...
イルシオン | 2013.08.15 Thu 08:34
「どっどうかな?」 フェリシアは、どこか恥ずかしそうに笑ってみせた。「うん、すっげぇ似合う! やっぱりフェリシアの綺麗な目に合わせてよかった」 いたずらっ子のようににかっと笑うソル。(私の瞳に合わせてくれたんだ……) フェリシアは、ソルの誕生日プレゼントを貰うだけで嬉しかった。 なのに彼は、フェリシアがあまり自信を持っていない外見を綺麗と褒めてくれ、自分の瞳に合わせてアクセサリーを買ってくれた。 胸の奥が、何だかどんどん暖かくなるのを感じたフェリシアは、思うわず……。「ソル! ありがとう!」 嬉...
イルシオン | 2013.08.14 Wed 09:38
いつもは見せない、決意に満ちたフェリシアの瞳に、ソルはもう一度聞いた。「本当に俺が使っていいのか?」「うん。ソルだから使ってほしいの」 フェリシアは、ソルのネックレスを持つ手を、自分の手で包むように握った。「お父さんも、ソルならきっと許してくれるわ」 フェリシアは、ソルを安心させるように笑う。「おれ……俺、ずっと大事に大事に使うからな!」 ソルは、手の中のネックレスを自分の首を吊るし、もう一度剣のチャームを見た。「ソル。封印を解きたい時は『リペラシオン』と叫んでね」「あぁ。ありがとな、フェリ...
イルシオン | 2013.08.13 Tue 08:36
「うん。……ソル?」 フェリシアは、歩き出そうとしたソルの服の端っこをつまんだ。「どうしたんだ?」「これを、貰ってほしいの……」 フェリシアは、可愛らしいポシェットから剣の形をしたチャームのついたネックレスを取り出した。「えっ? これって……」 ソルは、そのネックレスを受け取りながら、目を丸くする。「お父さんが使っていた、アラディスだよ」 アラディスは、フェリシアの父ラウフが使っていた魔法のかけられた剣だ。 一見、ただのネックレスのようだが、呪文を唱えるとその姿を本物の剣に変える、世間にはあまり出...
イルシオン | 2013.08.12 Mon 09:28
「どっどうしたの、ソル?」 走ってきたソルは、汗を流し、息をきらせていた。「はぁ……はぁ……このバカっ」 ソルは、コツンと優しくだがフェリシアのおでこを叩く。「一人で出歩いて、心配しただろ!」「うっ……ごめんなさい」 フェリシアは、おでこを押さえながら、頭一つ分低い位置から上目遣いで謝ってくる。 それが、不覚にもかわいくてかわいくて、ソルは思わずドキっとしてしまった。「いっいつ、いじめっ子共が出てくるか分からないだろ?」 ソルは、動揺を隠そうと冷静を装う。 しかし、フェリシアはどちらかと言えば天然...
イルシオン | 2013.08.11 Sun 12:54
「えっ? フェリシアなら、丘に行ったはずよ?」 フェリシアに家についたソルは、いつも出迎えてくれるはずのフェリシアがいないのに気づき、彼女の母――ネイラ・イステミトに聞いた。 ネイラは、驚きながら「ソルちゃんと一緒じゃないの?」と、首を傾げていた。 ソルは、ネイラに一礼すると家を飛び出し、急いで丘へと向かった。 色とりどりの花束が置かれた、ラウフの墓。 その前に、しゃがんで手を合わせているフェリシアの姿があった。「お父さん、今日で私十六歳になったの」 誕生日のためか、フェリシアもソ...
イルシオン | 2013.08.10 Sat 20:12
第2話 決心と幸せ ――フェリシアの誕生日会当日。 ソルは、ドキドキしながらフェリシアの家に向かっていた。 フェリシアとソルは、誕生日が一日違いのため、いつもフェリシアの家で合同誕生日会をしていた。 ちなみに、フェリシアはこの年で十六歳を向かえ、結婚できる年になる。 差別などせず、小柄でかわいいフェリシアを、女性として見ている男たちも少なからず、この村にはいた。 そのため、ソルはこれからフェリシアに寄ってくる害虫を駆除するという、大仕事も控えていた。 だが、その前にフェリシアにプレ...
イルシオン | 2013.08.09 Fri 10:00
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