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「どっどうしたんだい、ソルちゃん?」「あっ! いやその……女の子が喜ぶモノって何かな……」「おやおやっ! 好きな子でもできたのかい!?」 ソルが頬を染めながら、ボソボソと言うと、おばさんはオーバーなリアクションで返してきた!「ちょっ! おばちゃん声がでかい!!」 ソルは慌てて、おばさんに「しー」っと指を立てる。「ほっほっほっ」 雑貨屋のおばさんは「おばちゃん嬉しいよ」と言いながら、微笑ましい顔でソルを見ていた。「だから、違うっての! フェリシアの誕生日が近いから……その……」 最後の方、もごもごとい...
イルシオン | 2013.07.31 Wed 09:03
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「よ、料理長。お疲れサン。ほら、一杯」「サンキュ」 木の椀に注がれた暖かいビールを受け取り、皆で乾杯する。談笑しながら、アルスは自分の仲間の手製の料理に舌鼓をうった。仕事上がりの食事は、胃袋に染みるようだ。 「また読み書きと計算教えてくれよ、アルス」「あと世界情勢に歴史、地理なんかもいい。こないだ聞いた経営学は役に立つ」「……もーちょい、疲れてねえ時な。勉強熱心なこった」 アルスは身を乗り出してくる男客達に、苦笑いで返す。 「おべんきょーってヤツぁ、結構お...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.07.30 Tue 21:55
フェリシアの家族は平穏を求め、小さくもなく大きすぎることもないイルホ村へとやってきたのだった。 ――風が爽やかに吹き抜ける。 イルホ村の北にある森を抜け、花々が咲き乱れる丘に、ソル達はいた。 そこの一角には、イルホ村の住人の墓場がある。 フェリシアは、丘に咲く花を摘み、「ラウフ・イステミト」と書かれた墓の前に供え、しゃがむと手を合わせる。(ラウフさん良い人だったなぁ) ソルがまだ小さい頃、ラウフにはよく遊んでもらっていた。 ラウフによく「俺は病気でなかなかフェリシアの面倒を見れない。これ...
イルシオン | 2013.07.30 Tue 08:24
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 ACT0 Legend Of The Down under the Red Moon.〜case :1 プロローグ 紅い月の夜空に星が降る、冷え込んだ春先。そこはぐらぐらと煮え立つスープから立ち上るかぐわしい蒸気でむせかえり、暑いほどだった。 汗をかきながらも忙しなく働いているのは、真っ白な揃いを着こんだ年齢様々な男達。 厨房だ。 「白身魚の香草焼きを、車海老のオーロラソースサラダ付きで三つです!」「子牛のレイデリア風、香辛料控えめで!」「追加です! 子羊のテリーヌとジャガ芋の冷製スープ、二人前ずつ!」「食...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.07.29 Mon 22:42
ソルが怒鳴ると、フェリシアは首を縮め、しゅんっとした。 飼い主の叱られる犬のようだ。「でも、いつもソルに一緒に来てもらうのも悪いし……」 フェリシアは、人差し指と人差し指を合わせて、くねくねとしながらボソボソと言った。「いいんだ! 俺が好きでやってることなんだから」「うっうん」 フェリシアはあまりのソルの迫力に、ぶんぶんと首を縦に振った。「っで? 今から行くのか?」「ついて来てくれる?」「当たり前だろ」 ソルはそう言うと、フェリシアの左手を握り、歩き出した。 手を引っ張られるフェリシアは、ソ...
イルシオン | 2013.07.29 Mon 08:41
そんなソルにフェリシアは頷き、安心したのかほっと息を吐いた。「また、手袋取られたのか?」「うん……」「んじゃ、これで隠せばいい」 ソルは、ズボンのポケットから包帯を取り出した。 彼女は、オレンジの瞳に黒に近い緑色の長い髪をした、お人形のように可愛らしい女の子だ。 だが右手で隠した左手の甲には、爬虫類のような鱗があった。 そのため度々、心無い者たちにいじめられ、迫害を受けていた。 彼女は、シェクロアという、珍しい種族の血を引きづいている。 シェクロアは体のどこか一部に鱗を持ちで、鱗に自分の心許...
イルシオン | 2013.07.28 Sun 09:23
「相変わらず、気持ち悪い手ですねぇ……」「何でお前みたいなのがこの村にいるのか」 ガリガリでメガネをかけた少年と、太った少年二人が、地面に座り込む一人の少女を囲って、冷ややかな視線で彼女を見下ろしていた。 少女は、左手の甲を右手で押さえ、俯いていた。「おい! お前らぁぁ!」 ソルが、怒鳴りながら子供達と一緒に走って来るのを見て、少年たちは「げっ」と顔を歪めた。「くそっ。またアイツか。……どうします坊ちゃん」「ほって、そろそろ帰りましょう。良かったですねぇ、フェリシアさん? お守りが来て」 ...
イルシオン | 2013.07.27 Sat 09:38
第1話 イルホ村での日々 アベリアルと呼ばれる世界。 ガルス王国の南西に位置するイルホ村に、気だるそうに歩く少年が一人。「あぁ、だりぃ……。剣の稽古なんて何でやらないといけないんだよ」 少年は木刀を肩に担ぎ、日差しが強い季節のせいか、黒のノースリーブと短パンという軽装をしていた。 肌が健康的に焼けていて、適度についた筋肉質の体をしてるため、まるでガキ大将のようだった。 眉間にしわを寄せ、悪態をつく深い青色の髪に赤いつり目が特徴の彼――ソルジオル・ディオスは、少し顔色を変えるだけ...
イルシオン | 2013.07.26 Fri 09:28
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「キミ、スクールはもう休み?」 「ああ。そりゃ、今日は聖誕祭だし! これからずっと休みだよ。……あ、そこ座って。コーヒー持ってくる」 「ありがとう」 小さい頃から一緒のアルスとは、気心の知れた仲です。民族の特徴で、ウィルシード人は肌の色が白い人が多いのですが、アルスはちょっと違っていて、よく焼けた小麦の肌に、濃い茶色の瞳(これはとても知的に輝きます)、そして、数年後に出逢うリエもそうですが、燃えるような赤い髪をしています。もっともアルスは、毛染めで無理矢理...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.07.23 Tue 17:05
プロローグ 薄暗い。 太陽の光は、高い位置についた小さな窓からしか入ってこない石でできた神殿。 ――そこに、男たちはいた。「……居場所が分かったらしい」 黒い服に身を包んだ若い男は、黄色い瞳を細める。「そうですか……ふふふっ。やっと、貴方様の計画実行の時ですな」 若い男の隣で、年配者だろうか? 腰を曲げて緑のローブを深くかぶった老人が、楽しげに笑う。「あぁ――楽しみだ」 若い男はニヤリと笑うと、老人に背を向け歩き出した。 その若い男の服の背中には、最近信者が増え始めた、ラスガード神を崇めるインペラ...
イルシオン | 2013.07.21 Sun 09:43
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