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ソルが怒鳴ると、フェリシアは首を縮め、しゅんっとした。 飼い主の叱られる犬のようだ。「でも、いつもソルに一緒に来てもらうのも悪いし……」 フェリシアは、人差し指と人差し指を合わせて、くねくねとしながらボソボソと言った。「いいんだ! 俺が好きでやってることなんだから」「うっうん」 フェリシアはあまりのソルの迫力に、ぶんぶんと首を縦に振った。「っで? 今から行くのか?」「ついて来てくれる?」「当たり前だろ」 ソルはそう言うと、フェリシアの左手を握り、歩き出した。 手を引っ張られるフェリシアは、ソ...
イルシオン | 2013.07.29 Mon 08:41
そんなソルにフェリシアは頷き、安心したのかほっと息を吐いた。「また、手袋取られたのか?」「うん……」「んじゃ、これで隠せばいい」 ソルは、ズボンのポケットから包帯を取り出した。 彼女は、オレンジの瞳に黒に近い緑色の長い髪をした、お人形のように可愛らしい女の子だ。 だが右手で隠した左手の甲には、爬虫類のような鱗があった。 そのため度々、心無い者たちにいじめられ、迫害を受けていた。 彼女は、シェクロアという、珍しい種族の血を引きづいている。 シェクロアは体のどこか一部に鱗を持ちで、鱗に自分の心許...
イルシオン | 2013.07.28 Sun 09:23
「相変わらず、気持ち悪い手ですねぇ……」「何でお前みたいなのがこの村にいるのか」 ガリガリでメガネをかけた少年と、太った少年二人が、地面に座り込む一人の少女を囲って、冷ややかな視線で彼女を見下ろしていた。 少女は、左手の甲を右手で押さえ、俯いていた。「おい! お前らぁぁ!」 ソルが、怒鳴りながら子供達と一緒に走って来るのを見て、少年たちは「げっ」と顔を歪めた。「くそっ。またアイツか。……どうします坊ちゃん」「ほって、そろそろ帰りましょう。良かったですねぇ、フェリシアさん? お守りが来て」 ...
イルシオン | 2013.07.27 Sat 09:38
第1話 イルホ村での日々 アベリアルと呼ばれる世界。 ガルス王国の南西に位置するイルホ村に、気だるそうに歩く少年が一人。「あぁ、だりぃ……。剣の稽古なんて何でやらないといけないんだよ」 少年は木刀を肩に担ぎ、日差しが強い季節のせいか、黒のノースリーブと短パンという軽装をしていた。 肌が健康的に焼けていて、適度についた筋肉質の体をしてるため、まるでガキ大将のようだった。 眉間にしわを寄せ、悪態をつく深い青色の髪に赤いつり目が特徴の彼――ソルジオル・ディオスは、少し顔色を変えるだけ...
イルシオン | 2013.07.26 Fri 09:28
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「キミ、スクールはもう休み?」 「ああ。そりゃ、今日は聖誕祭だし! これからずっと休みだよ。……あ、そこ座って。コーヒー持ってくる」 「ありがとう」 小さい頃から一緒のアルスとは、気心の知れた仲です。民族の特徴で、ウィルシード人は肌の色が白い人が多いのですが、アルスはちょっと違っていて、よく焼けた小麦の肌に、濃い茶色の瞳(これはとても知的に輝きます)、そして、数年後に出逢うリエもそうですが、燃えるような赤い髪をしています。もっともアルスは、毛染めで無理矢理...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2013.07.23 Tue 17:05
プロローグ 薄暗い。 太陽の光は、高い位置についた小さな窓からしか入ってこない石でできた神殿。 ――そこに、男たちはいた。「……居場所が分かったらしい」 黒い服に身を包んだ若い男は、黄色い瞳を細める。「そうですか……ふふふっ。やっと、貴方様の計画実行の時ですな」 若い男の隣で、年配者だろうか? 腰を曲げて緑のローブを深くかぶった老人が、楽しげに笑う。「あぁ――楽しみだ」 若い男はニヤリと笑うと、老人に背を向け歩き出した。 その若い男の服の背中には、最近信者が増え始めた、ラスガード神を崇めるインペラ...
イルシオン | 2013.07.21 Sun 09:43
「そうねぇ。アネモネちゃんが前向きな子で良かったわ」 ソルモナは、アネモネ様の頭を撫ぜ、微笑んだ。 この時だけは魔女ではなく、どこか母親のような雰囲気に見えた。「さぁ、今日はゆっくり休みましょう」 ソルモナに言われ、俺達は精霊たちにそれぞれ休むための部屋へと案内された。 ――その夜。 俺は眠れずに、ベットを抜け出し、夜空を眺めていた。 自分の住んでいた国と同じ、星の輝く空。 いろいろな国、土地を見てきた。 だが結局、世界を滅ぼす存在さえも、俺たち人が作り出したんだ...
イルシオン | 2013.07.19 Fri 09:16
確かに、俺も始めは体が重く動けなかった。 そう考えると、アネモネ様やヴァルト王子も同じはず。二人とも、隠していたのかもしれない。 逆に言えば俺には、そこまで気づかう余裕がなかったのかもしれない。 この時、アルキオンもだが、ソルモナがいて良かったと思った。「今から、敵の本拠地の乗り込むんだからぁ、やっぱり体は万全にしとかないとねぇ」「ソルモナさん、お心使い感謝する」 ヴァルト王子は、そっと頭を下げた。「いいのよ、別にぃ。それに、アネモネちゃんには良い場所よね?」「……やはり僕は」...
イルシオン | 2013.07.18 Thu 09:05
しかし、精霊は俺達人間やエルフ達より魔力があると聞いてはいたが、ここまでとは……次元が違う。「ソルモナ様! アルキオン様!」 そこへ、小さな……手のひらサイズの羽の生えた人が現れた。――これが、精霊か。 こんな小さな体のどこから、こんな強大な力が出ているのかと思うほどに、精霊の神秘さを感じた。「外は酷い状況ねぇ? みんな無事?」「えぇ、何とかコチラに非難しました。ですが、もうあの場所へ行ける者がおらず、ソルモナ様とアルキオン様から頂いた使命を全うできずに申し訳ありません」 ソルモナとア...
イルシオン | 2013.07.17 Wed 09:47
枯れ果てた大地を歩き続け、しばらくたった。 すると、ふわりと風に漂うように、草花や木々の香りがした。 だが、そんな瑞々しい草木は見当たらない。「ふふっ。精霊たちの里はまだ無事なようね」 そう言う、魔女はどこか嬉しそうに立ち止まった。「フェイア・オセプ・リーレン」 魔女が唱えると、魔女の目の前の空間が歪み、人が一人通れるぐらいの円形の扉が現れた。「これが、精霊ちゃんたちのところへ繋がる扉よ」 魔女は扉を開き、俺達の手招きをした。 俺たちは、驚き呆気...
イルシオン | 2013.07.16 Tue 09:39
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