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JUGEMテーマ:自作小説 初夏も終わりに近づいてきた。 暑さが増し、空が淀むことも多くなり、あと数日もすれば梅雨入り宣言がされるだろう。 鬱陶しい季節の始まりだ。 だけど今年は梅雨を嫌だとは思わない。 連日の雨はたしかに鬱陶しくはあるけど、刺激を欲しがっていたあの頃とは違って、雨に風情を感じるようになったからだ。 感性の矛先は日常的な変化や自然の情緒へと向かい、窓に流れる水滴や、屋根からしたたる雨粒を眺め続けても退屈だとは思わない。 何もない平日の午後、何もせずに雨だけを眺める。 今日は仕...
SANNI YAKAOO | 2019.06.05 Wed 11:59
JUGEMテーマ:自作小説 いつもどこかで緑がなびいている。 街でも田舎でも、朝でも夜でも、小さな風しかない時でも。 初夏にはあちこちで初々しい緑がなびき、道行く人を見守り、癒し、良い気分にさせてくれる。 夜勤を終えた帰り道、土手の傍に車を停めて、ずっと川の流れを眺めていた。 もうすぐ鮎を狙う釣り人たちが集まるだろう。 オーバーオールみたいな防水着をまとい、長い竿を垂らしながら、獲物を食いつくのを待っているのだ。 そういえば数年前、この川が氾濫寸前まで増水した翌々日のこと、土手を降りた先に幾...
SANNI YAKAOO | 2019.06.04 Tue 13:03
JUGEMテーマ:自作小説 仕事を終え、事務所で一服しながら、同僚と談笑する。 一人がお疲れと出ていったのを皮切りに、みんなそれぞれ散り散りになっていった。 僕も主任に頭を下げてから外へ出る。 時刻は朝の六時半、もう陽は登っていて、うんと背伸びをした。 振り返れば工場にも朝陽が降り注ぎ、近くに停まっているフォークリフトのボディが艶やかに輝いていた。 24時間制の工場はいつでも機械の動く音がしているし、忙しなく作業着姿の人たちが行き交っている。 今日の夜、またここへ来るわけだけど、少し前と違っ...
SANNI YAKAOO | 2019.06.03 Mon 14:18
やっとたどりついた「お子様ランチ」。 しかしそこには、三人それぞれの驚愕の事実が。 ロボ子さんといっしょ。 146話――『十四夜亭においで/篠崎燿子の驚愕。』 https://ncode.syosetu.com/n9675ep/146/ JUGEMテーマ:自作小説
MUNNINの止まり木 | 2019.06.02 Sun 14:12
JUGEMテーマ:自作小説 ガラス張りのビルに雲が映っている。 ゆっくりと流れる動きもそのまま映し、しばらくその光景に見入っていた。 僕のすぐ隣を初老の男が歩いていき、自動ドアを潜って中に消えていく。 ここは近所にある福祉センターで、施設の一角に銭湯がある。 300円で入浴できるのでちょくちょく来ているのだ。 開店は朝九時、ドアが開くのと同時に入って、一時間ほどゆったり浸かっていた。 朝食がまだだったので、向かいのスーパーへ向かう。 特にこれが食べたいといったモノはないけど、腹は満たしておき...
SANNI YAKAOO | 2019.06.02 Sun 11:12
JUGEMテーマ:自作小説 この話の舞台は山口県です。 「みきり君、気になる事があるほやけどいいかな」「どうぞどうぞ」 「犬に名前って付けるよね」「犬だけじ」「ペットだね、ペットに名前って付けるよね」「まさか名前を考えてくれって言うつもりじゃないよね」「ちがうちがう」「あー良かったー、生徒会長のペットに名前とかー、ムリムリ」「無理ではないと思うけど」 「で? 何」「ペットに名前を付けるのはどうしてかな」「愛だね、愛ゆ」「そうだ」「えに! 人はかな」「ね。...
思田 考々、原稿用紙二枚分。 | 2019.06.02 Sun 08:58
JUGEMテーマ:自作小説 病室の空気は、浅葱色だった。いや、空気が染まっていたわけではない。そんな色彩の光が差し込んでいたわけでもない。ただ、病室の空気の雰囲気が浅葱色だったのだ。それはたぶん、窓辺のベッドで半身を起こして私を見つめている老婦人が、呼吸をすることによってこの部屋にそんな色彩の気流を生みだしているのだろう。それが複数の時間と空間を精密且つ曖昧に噛み合わせているのだろう。 私は少女だ。あるいは少年かもしれない。あるいは両性具有の人形かもしれない。それはかつて通り...
pale asymmetry | 2019.06.01 Sat 21:44
JUGEMテーマ:自作小説 この話はオリジナルの県が舞台です。 「思うんだけどさ」「何」「マンガとかゲームとかに外国人って出て来るじゃん」「うん」「何で日本語話すんだろうね」 「植民地にしたいから」 「何で日本語を話すのか、気になるんだけど。日本在住とかならまだ分かるよ?」「タブーじゃ、それはタブーじゃ。触れてはならん。まだ中一じゃて、可能性はある筈じゃ」「ワケわかんねーし」「五月三十一日金曜日、消却」「コエーな消却て」「それでも知り...
思田 考々、原稿用紙二枚分。 | 2019.06.01 Sat 07:57
JUGEMテーマ:自作小説 この話の舞台は山口県です。 「終わったー! 今日の勉強終了ー! っし」「昼からなんする?」「予定なし! そっちは?」「こっちも予定なし。田舎やけえやる事がない」「ねえよな、マジで。 皆何すんのかね。 高校受験何か余裕なほにね、学校で勉強とか。しかも自習。せんでええやろ、マジで」「夏休みの午前は学校で勉強、ふざけんねえや、な、マジで」「休みは一週間くらいだけ。ま、あと何日かしたら九月だけど。 思うんだけどさ、オクトパスって...
思田 考々、原稿用紙二枚分。 | 2019.06.01 Sat 07:48
JUGEMテーマ:自作小説 波打ち際に、わらわらと鬼たちが歩み寄る。いつの間にか鬼たちは浜にいた。物理的に、影の集団の間を通り抜けてこなければ、そこには辿り着けないはずだ。しかし鬼たちはそうしていない。空から降ってきたわけでも、砂から隆起したわけでもない。焔が燃焼するとき煙が立ち上る。煙は直ぐに拡散する。それが逆転するように、鬼たちは現れたのだ。しかしさらに逆回転が進み鬼たちが燃え上がる、というようなことは起こらない。燃え上がらないからこそ鬼なのだからだ。燃え上がってしまえばそれ...
pale asymmetry | 2019.05.31 Fri 22:00
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