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JUGEMテーマ:自作小説 ヘラジカに似た朱色のシカだった。その身体もその角も、そして粗く吐き出す唸りと息も朱色だった。闘志に満ちた二つの瞳だけがエメラルド色に染まっていた。その瞳は遙か遠くに向けられているように思えて、彼らの戦う相手は何千万光年も離れた場所にいるのだろうと僕には思えた。けれどその距離は、彼らにとっては何でもない距離なのかもしれない。そんなことも感じた。僕らとは時間や空間を共有していないのではないかと思えたのだ。彼らはそういう生命体なのだろう。あるいは、生命体を超...
pale asymmetry | 2019.06.27 Thu 21:43
JUGEMテーマ:自作小説 この話は、山口県が舞台です。 「せいくん、さいきんやさしいけどなんかあったほ?」「なんかあったっていうか。やさしいひとになりたいなって。まだまだだけどね」「やさしいひとか。まだまだって、せいくんはじゅうぶんやさしいよ。 おかあさんになんかできんかなあ・・・・・・。 せいくん、紙、紙どっかない? せいくん、おかあさんいまからかみもってくるけえ、それにかいて。おまもりつくろ、おまもり。おまもり? ...
思田 考々、原稿用紙二枚分。 | 2019.06.27 Thu 18:33
+++ 目次 +++ ――/窓のふち 13歳、マー月。真夜中に目が覚めて、蓮茶を飲んだら眠れなくなった。 幽霊も暑さで眠れずにいた。彼もあきらめてお茶を飲んだ。結局明け方 まで話す。 窓の外で雷が光っている。 雷鳴は聞こえない。それはずいぶん昔に彼の耳から入り込み、彼の中を満たして鳴り続けているので、もう無音と区別がつかない。ただ窓の外が時々光る。遠く近く。 彼は窓の縁に手をかけて一番近い光を待つ。星座の窓掛けは上げずにおく。光るときにめく...
幽 霊 の こ と | 2019.06.27 Thu 15:37
十四夜亭店主清光さんと虎徹さん。 宙軍士官学校寮での、でろでろキャベツ煮を廻る過去とは。 ロボ子さんといっしょ。 153話――『十四夜亭においで/キャベツ畑でつかまえて?』 https://ncode.syosetu.com/n9675ep/153/ JUGEMテーマ:自作小説
MUNNINの止まり木 | 2019.06.26 Wed 17:59
JUGEMテーマ:自作小説 宿り子は、どこから来たのだろう。銀河の中心からだろうか。その時空特異点からだろうか。そこから事象の地平面を振り払ってやってきたのだろうか。 飛んできたのだろうか。泳いできたのだろうか。飛び泳ぎ、それによって疾駆してきたのだろうか。ああそうだろう。だからこれだけの波動を放っているのだ。 星々の狭間をその時空の歪みを、蹂躙してきたのだろう。星々の軌道に、そのプロミネンスに蹂躙されたりもしただろう。星のない空間では、闇を貪り喰ったのだろう。その闇に何...
pale asymmetry | 2019.06.25 Tue 21:35
JUGEMテーマ:自作小説 どこだ? ここは。 まさか、異世界!? あの人に聞いてみよう。 「あの、すみま(『ま』に『こ』が重なって)」「こは異世界! 図書館だけ。 そう! 図書館だけ、異世界」「どぅーいう事?」「ものすごく狭いという事。 図書館だけだから!」「ちっちゃ!」 「さあ本たちよ、あいさつだ!」 ・・・・・・。 「ただ飛び回ってるだけじゃねーか。いや、すごいけど」 痛っ。角じゃなく...
思田 考々、原稿用紙二枚分。 | 2019.06.25 Tue 18:46
JUGEMテーマ:自作小説 何だろう、この感覚は。身体中の全ての細胞が、翻ろうとしているようだ。叫びたい衝動が、突き上げてくる。唸り声を響かせたいという衝動が。世界を、自身の爪で、自身の牙で組み伏せたいという欲望が。僕は誰だ? 人だろうか。それとも過去に人であった者だろうか。今はもう、怪物に変じているのかもしれない。そんな感覚が僕の心を満たす。 「唸りたいと思っている?」 彼女の問いかけに、僕は強く頷く。 「私もそう。この場所の、高濃度のエーテルが私たちにも影響を及ぼして...
pale asymmetry | 2019.06.24 Mon 21:20
JUGEMテーマ:自作小説 この話は、山口県が舞台です。 「今日のって何かいつものと違くない?」 「全然分からん」「そっか、分からないか。あなたらしい。 さ、昼ご飯食べよ?」 「神成花剣(かみなりかけん)さんが昨日自殺で亡くなりました。まだ六月二十五日、神成さんは二十四日に亡くなったのですが、高一になったばかりだったというのに。自殺。非常に残念です」 『今日のって何かいつものと違くない?』...
思田 考々、原稿用紙二枚分。 | 2019.06.24 Mon 16:37
JUGEMテーマ:自作小説 彼女の唇の感触で、僕は覚醒へと呼び戻された。目眩に翻弄されて、いつの間にか気を失っていたようだった。 「お帰りなさい」 少しだけ離れた彼女の唇が囁く。甘く優しく。言葉を返したかったけれど、声を上手く出せなかった。いや、そうではなくて苦しかった。呼吸が上手く出来ない。 「落ち着いて。ゆっくりと大きなリズムで息を吐き、吸い込むのよ。あなたは、この場所から拒絶されてはいない」 言われた通りに呼吸する。僕は拒絶されていないと言い聞かせながら。何とか...
pale asymmetry | 2019.06.23 Sun 21:14
JUGEMテーマ:自作小説 この話の舞台はオリジナルの県です。 「えー、子どもを育てるには免許が必要、そういう法律が出来ました。えー、これは、虐待を減らすためであります」 「はい、今日のハグ終了」「ありがとー」 「はあ」「どうしたの、お母さん」「心配ありがとう。 子どもを育てるのに免許が必要ってなって十年くらい経つけど本当にこれで良いのかなって思って」「良いんじゃないの?」「あなたが言うから正しいんで...
思田 考々、原稿用紙二枚分。 | 2019.06.23 Sun 13:18
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