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一六夜店

子どもの頃、七月になると一六夜店がにぎわった。綿あめ・アイスクリームのような食べ物・飲み物も楽しみであったが、人気は松田の魚屋の鉄砲による水玉落としと吉村の花屋のだるま落としである。成功するとくじ引き券がもらえ、それでくじを引く。券を手に入れるまでの技術とくじ引きのギャンブル性が上手く調和している優れものの遊びだった。   見ているだけでも面白いし、たくさんの観客がいるから撃ったり投げたりする方も力が入るというものだ。金魚すくいも技術が必要であった。カミソリで紙の輪を切る紙切りは、お...

受験生のための探究学習講座 | 2018.01.08 Mon 12:09

水道と伝染病

夏に雨が降ると、旭小学校からの帰り道には楽しみがあった。南本町と東本町の間を流れる小川でフナをとるのである。フナは上流のスイゲンチという池から流れてくる。今、池は住宅地に変わり、小川は暗渠になってしまった。   社宅の北、子供たちが幽霊山と呼んで遊び場にしていた小山にコンクリートでできた直方体の構造物があった。私たちは「機関砲の陣地」と噂していた。本当は、トーチカは磯際山にあり、幽霊山にあったのは水道の貯水槽である。水源地から中央小学校の山を経て幽霊山の浄水施設に水が流れ、山頂の貯水...

受験生のための探究学習講座 | 2018.01.08 Mon 09:47

真夏のフィールドワーク

夏休み、歴史好きの高校生を案内して一日、歴史文化コースの大学生のフィールドワークで一泊二日、相生市内を案内してまわった。学生さんは授業、私たちはツーリズムのガイドのシミレーションである。   ツーリズムは単なる観光ではなく、学びながら地域を歩いて理解を深める。高校生や大学生がどれくらいの知識を持っているのか?何に興味を示すのか?大学の先生が何に注目するのか?私たちは興味津々であった。   下土井城を背景に「矢野荘ではこの畔を境にして下地中分しました」と説明。教科書に下地中分と...

受験生のための探究学習講座 | 2018.01.08 Mon 09:41

兵隊さんのお墓

小学生の頃、毎年、お盆になると田舎へ墓参りに行った。昭和三十年代のことで、墓地には真新しい兵隊さんのお墓が並んでいた。当時の私は兵隊さんの階級に興味があった。   あれから半世紀が経ち、真新しかったお墓も周囲になじんできた。幼かったときには見逃していたが、お墓には戦死した年月日と場所が刻まれている。昭和十九年後半から二十年にかけてが大半で、戦没地はフィリピンが多い。昭和十九年、姫路第十師団が満州からルソン島に移り壊滅したためである。   昭和十九年六月のマリアナ沖海戦に敗北し...

受験生のための探究学習講座 | 2018.01.08 Mon 09:19

お正月の原風景

子供の頃、師走は一年で最もワクワクする月であった。ジングルベルが流れ、パン屋にケーキが並ぶ。福引きが始まり、景品の凧(たこ)をもって山に登る。   大晦日は人で溢れ、紅白が始まる頃に大掃除が始まる。年越しそばの出前が来て、子供たちはうどんを食べ、行く年来る年の鐘の音を聞きながら眠りにつく。翌日から商店街は長いお休み。おもちゃ屋さんだけが店を開いていた。それがお正月の原風景。   七十年代もそんな感じで、正月といえば酒と麻雀に耽(ふけ)っていた。様子が変わり始めたのは、八十年台に入...

受験生のための探究学習講座 | 2018.01.08 Mon 09:01

眠くなる本

自分の理解できない本を読もうとすると眠くなる。若い頃、読みかけては睡魔に襲われた本がハイデッガーの『存在と時間』、書いてあることがまったく理解できないのである。   理解できない本には二種類あって、一つは、執筆動機はわかるが内容が理解できない本。航空機を設計するための技術書は、私の学力では理解できないけれども著者の意図はわかる。もう一つは、この本は何のために書かれたのかと不思議に思う本である。『存在と時間』は後者の典型であった。   それから三十年が過ぎたある日、哲学の教授と...

受験生のための探究学習講座 | 2018.01.08 Mon 08:47

琴棋書画

古代中国の貴族の教養は琴棋(きんき)書画(しょが)であった。日本もこれに倣(なら)い、日光東照宮の陽明門に「君主の四芸」の彫刻がある。琴棋書画は学校教育に受け継がれて、音楽・書道・美術になったが、棋(囲碁)は消えて代わりに体育が入った。西洋の学校教育に囲碁はなく体育があったかららしい。欧州の支配階級は身体を鍛えたが、中国では知性による国家統治が理想とされ、上流階級は囲碁という知的スポーツを楽しんだのである。   音楽・美術・書道・体育という趣味系の教科に対し、国語・数学・理科・社会・英語は...

受験生のための探究学習講座 | 2018.01.08 Mon 08:31

仰げば尊しは二番が大切

一昔前、卒業式の式歌は「仰げば尊し」と決まっていたが、近年は「贈る言葉」や「旅立ちの日に」が増えているようだ。   学年主任をしていたとき、「仰げば尊し」を式歌にしようと思い立ち、歌詞や歌い方を調べてみたことがある。この曲は三コーラスで、一番は卒業生の師への感謝、二番は師の卒業生への説諭、三番で学校生活を振り返り「今こそ分かれ目いざさらば」で終わる。一番は卒業生、二番は教師、三番は両者で歌う構成になっているのである。生徒に尋ねてみると、ある中学校一校だけがそのように歌っていた。 &nb...

受験生のための探究学習講座 | 2018.01.08 Mon 08:16

学校より塾や予備校が信頼される理由

久しぶりに面白い本を読んだ。書名は「大学教育の変貌を考える」   塾や予備校は学校よりも有効に機能する。保護者や生徒はそれを本能的に知っているから学校より塾や予備校を頼りにする。その理由を理論的につきつめたのが、本書の第四章「褒める教育と叱る教育のパラドックス」である。   学園ドラマでは「金八先生」も「GTO」も教室外で先生が活躍する。教師の本務は授業であるにもかかわらず、彼らは授業をしない。教師の多数派は、教師の本務は授業を受けたい生徒に授業で学力をつけることだと思ってい...

受験生のための探究学習講座 | 2018.01.08 Mon 08:02

盗人にも三分の理

JUGEMテーマ:幼児教育 JUGEMテーマ:中学受験 JUGEMテーマ:受験生 JUGEMテーマ:高校受験 JUGEMテーマ:大学受験   「盗人にも三分の理」    「悪事をはたらくにも相応の理屈はある」という意味のことわざになります。泥棒が盗みをするのにも、それなりの理由があるというのです。言いかえれば、どんなことにでも理屈をつけようと思えばつけられるということになります。  ちなみに「三分」というのはどの程度の割合になるのかお分かりでしょうか?割合を表す言葉として「...

文の会ブログ | 2018.01.07 Sun 23:08

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