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昭和56 第5句集 蝶を追ふ多佳子大姉の先んじて いもとよりいとこ美し夏まつり 座る余地まだ涅槃図の中にあり 村ぐるみ花野となりぬ過疎に耐へ 様付けて金勢拝む差日傘 雲の上より降拝の紅一点 天泣か一白鳥の昇天か 年の始の噴煙に目をこする 精神科年賀云ふもの云はぬもの 三日月の光にふれて螢消ゆ 太陽に選ばれビキニ逍遥す 雲海の上に天網いわし雲 名月は近し飛行機にて歩く 背嚢を熊が曳きずる昼寝ざめ 上り鮭たましひのみが簗を越ゆ J...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.09.26 Tue 11:47
平成9 第11句集 長き長き戦中戦後大櫻 太陽はいつもまんまる秋暑し たましひは先を行くなり秋の空 二つ目の原爆の日も過ぎにけり 生きて知るソ連崩壊蟲しぐれ 朝寒や剃刀當つるひげの杭 昨日より今日遥かなる殘花かな 敗戦日の午前短し午後長し 寒満月沈みたる日に照らされて 梟や男はキャーと叫ばざる 飛ぶ鳥のつひになかりし良夜かな 黒板と黒板拭と冬休 JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.09.25 Mon 14:12
2012年 第1句集 水澄むや宇宙の底にいる私 目を閉じてまつげの冷たさに気づく 大木とみれば抱きつく夏帽子 帽子掛け虫籠吊ってありにけり 雷や波打際の砂の城 ホットココア星を見ている人へ運ぶ これほどの田に白鷺の一羽きり 雲の峰死にたるときの本の嵩 いなびかり象は象舎のほか知らず 平面に立体を描く寒さかな 雲の峯よりも遠くや犀の国 桐一葉黒き眼の黒兎 樹の刺繍学芸員の膝掛けに どこへ隠そうクリスマスプレゼント キリンの舌錻力(ブリキ)色な...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.09.18 Mon 12:40
1998年 「天狼」同人 「七曜」主宰 第3句集 胸の手が鉛の重さ昼寝覚め 遊船の波うけ島の子が泳ぐ 白毫寺磴のつづきにうろこ雲 騙されてゐよう日の中雪が降る 残雪を伽藍の蔭にのみ許す 悲しき眼鵜匠亡き鵜の緑眼は 葛あらし生家壊せしあともなし この玻璃を頼む稲妻また稲妻 大蓮田われには見えぬ花もあり 新幹線雪に盲ひしところ過ぐ 涅槃図へいざなふ坊の緋毛氈 花の雨走つて走つて花の下 星空に帽子一振り螢獲る 鳴き出してわれもわれもと夕蜩 百万石...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.09.17 Sun 20:32
2009年 「海程」同人 「豆の木」代表 第1句集 藤棚の下に自転車ごと入る よびすての少年と行く夏岬 背番号のよじれておりぬ昼寝かな 昼寝する父に睫毛のありにけり ころりころりこどもでてくる夏布団 青林檎放物線の途中に掌 後退る背泳かなしい手を上げる 家族ならビーチパラソル支えなさい 時々は立ち泳ぎして家族待つ 帰省して母の草履でゆく海辺 夏座敷父はともだちがいない 昼寝する君の背中に昼寝する 永遠に汽車は来ないひなたぼこ そわそわ空うごき...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.09.13 Wed 23:04
JUGEMテーマ:俳句 開催日:令和5年9月10日(日) 場 所:本部道場 南寮会議室 参加者:10名 投句者:8名 激暑の峠は越えたようですが、まだまだ暑い日、10名が参集しました。 投句も沢山あって、近年最高の126句が集まりました。 最高得点者は“温雄さん”、 賞品獲得者は参加者中の最高得点者“玄妙さん”でした。 今回の兼題は「秋風」「鬼灯」「蜻蛉」「新涼」 ------各自の高得点句を紹介します。-------- ...
座禅修行だより | 2023.09.13 Wed 13:55
2008年 「半夜」同人 「船団の会」会員 第3句集 名月をオペラグラスで眺めけり ものの芽がまだ何色といふでなく ひとつ傘さす冷ゆること言ひ合うて 河豚雑炊ふぐの口して吹いてをり まばたきをして白梅に近づきぬ 磯巾着夢の中まで闖入す 飛花落花見し夜の深き眠りかな 逢うてすぐさくら見に行きたいと言ふ 買うて来て冬瓜二日目もごろり 寒風に顔を小さくして帰る 血の通ふほどに御室のさくら満つ 鮟鱇や言へば言ひ返されさうな 芦の穂の高さに物を考へる ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.09.11 Mon 12:53
2018年 「運河」同人 第1句集 はんざきの眼なかなか見つからず 熟考の末の一歩か山椒魚 はんざきのゐぬかと岩に目を凝らす 挨拶の泡が二つ山椒魚 首出して見ても水槽山椒魚 手をうつて見てもはんざき応へざる 二三回会へばともだち山椒魚 頼りなき四肢を頼れる山椒魚 山椒魚動きて子ども喜ばす 山椒魚にも動かねばならぬ刻 一跨ぎ出来る流れに山椒魚 初旅も山椒魚のゐるところ JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.09.06 Wed 19:46
平成18 「運河」編集同人 第3句集 春の鯉かたまつてゐてよく動く 観梅に来て観桜の段取りを 秋興や渚にひとりゐることも 猪狩の片眼つぶれし紀州犬 真言をとなへて点火虫送 赤き月出て来し祇園祭かな 二つ折手拭被す菌籠 豊玉姫一人静となられしか 板の間の板上げて出す蝮酒 斑鳩町字法隆寺芋茎干す 尾根筋のはつきり見ゆる鵙日和 冬紅葉ことに没日の差すときの 初氷にて厚氷御杖村 JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.09.04 Mon 22:08
平成9 「鶴」同人 第3句集 祭馬涼しき木蔭もらひけり 海抜を訊きて涼しくなりにけり 葛切に家居の腹の出来にけり 訊かれたることに答へず真菰刈 眼の力曼殊沙華にて使ひきる 枯山が日ごと枯山らしく見ゆ きのふ恋ひけふ憂かりける花茨 袖口をひろらに安居したまへり 伊勢道の拳のやうな蓬餅 病院のかへりをあそび獺祭忌 ポケットに木の実ポシェットにも木の実 蹤いてくる鹿に一瞥春日巫女 角立てて待春の加賀金平糖 うまさうに炒つてあるなり鬼の豆 涅槃...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.08.30 Wed 21:06
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