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黄なる日に鏽びし姿見鏡てりかへし人あらなくに百舌啼きしきる 『桐の花』 錆びた姿見鏡(すがたみ)に映る人の姿はなく、秋の「黄なる日」に空白をてりかえすばかり。ただ百舌が啼きしきる。 鏡の中の空白と、百舌の啼きしきるけたたましさとの対比が不安をかきたてる。 秋の日の人のもの思いを映すべき鏡ではなく、そのような安定感のある情緒を欠落させた世界を空白として照りかえすだけの鏡。そしてその不安にいらだつかのような百舌の声。 人も世界も錆びてしまったと感じている作者のア...
星辰 Sei-shin | 2021.08.07 Sat 11:26
なつかしき七月二日しみじみとメスのわが背に触れしその夏 『桐の花』 白秋の資質は、幼少期のまどろむような幸福感へ回帰しようとするのではなく、初めて世界に触れたときの恐怖の感触とまどろみとがひとつに溶け合っている場所への回帰願望に特色があるとおもわれるが、その資質は、「手術」という酷薄な体験をもまた、同様の場所のなつかしさとして自らに刻みつけようとする。 「な音」や「さ行」の多用が、己れの肉体と世界とがメスによって融合する瞬間への粘っこい凝視の感触を伝えてしみじみと痛ましい。...
星辰 Sei-shin | 2021.07.24 Sat 11:44
折ふしのものの流行のなつかしくかなしければぞ夏もいぬめる 『桐の花』 短歌という器にとって新鮮な素材を詠む行為は、正岡子規においては、こんな物もかつて詠まれたことはなかった、これも近代においては素材になり得る、という、幼児のような眼で貪欲に対象を発見していく溌剌とした行為であったろうが、白秋においては、どこか素材の永遠性を信じきれないといったけだるい距離感が漂う。 ヒヤシンスもココアもカナリヤもハモニカも、あるいは古典の中で数知れず詠まれてきた夕暮れも春も螢も恋も、白秋が...
星辰 Sei-shin | 2021.07.23 Fri 16:03
JUGEMテーマ:日本文学 『朝日新聞』文化欄「語る――人生の贈りもの 田中優子」が14回(7・16)で終わった。田中優子は有名人で、どんな活動をしているかも大体わかったつもりでいた。しかし、知らないことばかりで、興味津々、毎朝楽しみに読んだ。 今回の第165回芥川賞の受賞者は二人とも女性、それがニュースにならなくなって久しい。最近、斎藤美奈子、上野千鶴子の発言・発信が鋭く面白いが、大学総長の役から降りた田中さんのこれからの発言も楽しみだ。総長時代も忖度なしに発言したというが(...
見る 読む 歩く | 2021.07.17 Sat 14:32
JUGEMテーマ:日本文学 中野重治を調べていて、『文学アルバム 中野重治』が出てきた。『新潮日本文学アルバム 中野重治』(1996刊)より早い1989年の刊、中野重治の郷里での出版だ。版型も新潮版より大きい菊版?だ。中から切り抜きが出てきた。昔々、小学館『高校教育展望』に新刊紹介を連載していた時のもので、刊行直後に寄稿したものらしい。 没後十年を記念するかのようにして中野重関係の本が何冊か出たが、これはその中の一冊で、郷里福井県丸岡町の...
見る 読む 歩く | 2021.07.14 Wed 14:43
JUGEMテーマ:日本文学 『朝日新聞』文化欄「語る――人生の贈りもの――」に、田中優子が登場。田中優子は有名人で、名前は知っているし、どんな活動をしているかも大体わかつもりでいた。しかし、知らないことばかりで、興味津々、毎朝楽しみに読んでいる。 今日はその「5」、「勉強って面白い」………。田中優子さんが法政大学総長だったこと、この春、退かれたことは知っていたが、東大、京大などの国立系大学の出身だろうと思っていたが、法政大学出身とあって、びっくりした。評論家や物書...
見る 読む 歩く | 2021.07.02 Fri 18:25
JUGEMテーマ:日本文学 「季刊文科」連載の「文学忌・今昔」、次号は、幻化忌・梅崎春生。 今回は最初からご難続き.これは自分が悪いのだが、今回早くなった締め切りをすっかり失念?。直前に気づいて慌てた。担当編集者に連絡、締め切りを延ばしてもらったが,次のトラブルは、?入力キーの不具合。 これまで使っていた東芝のノートパソコン、起動の不具合が続いて、富士通のデスクトップを購入。順調だったが、入力がうまくゆかなくなった。「かわ」と入力しても、「かあわぁ」と言う風になってしま...
見る 読む 歩く | 2021.07.01 Thu 18:47
JUGEMテーマ:日本文学 梅崎春生文学碑除幕式の様子を、「みんなの桜島ブログ」で見て、私はコメント欄に次のように記した( 2006年11月11日)。 梅崎春生文学碑の建立、おめでとうございます。先年、『桜島』の舞台を尋ねて島に渡ったことがありましたが、戦後文学の名作の一つに数えられるこの作品が、作品と深いかかわりのあるこの地に、文学碑はおろか観光案内に作者(梅崎春生)の名前もないことに驚き、雑誌連載の写真紀行『桜島』の中でそのことを嘆いた(『読んで、行きたい 名作のふるさと』教...
見る 読む 歩く | 2021.06.17 Thu 11:30
JUGEMテーマ:日本文学 「季刊文科」連載原稿の締切、ずっと前に連絡をもらっていたのをうっかり。まだ当分先のことと思っていたら、6月半ばだった。6月5日の神戸空襲、野坂昭如の被災と『火垂るの墓』の関係など、いろいろ考えたり書いたりしていたから、あわてて次回原稿に取り掛かった。 「文学忌・今昔 11」は、幻化忌、梅?春生の執筆予定。梅崎が生涯を閉じたのは昭和40年7月19日で、享年五十。「あんたが死んだら俺が葬儀委員長をやってやる」と言っていた相手の椎名麟三より先に逝ってしまい、逆に梅...
見る 読む 歩く | 2021.06.13 Sun 10:35
JUGEMテーマ:日本文学 webで「NHK アーカイブス」、「あの人に会いたい」を検索すると、過去の放送も観ることができる。私の観た昨年12月の 「2020年度放送分」には、白籏史朗から浅香光代の29名が載っているが、野坂昭如はなかった。私の観たのは「アンコール」だったと思って、さらに過去に遡ると、2016年度に「File Ho.489 野坂昭如(のさかかあきゆき) 1930〜2015 作家」が表示される。 映像も視聴可能で、観てみると、「野坂さんの人生が一転したのは 終戦の直前 突如神戸の街を襲った大空襲で...
見る 読む 歩く | 2021.06.06 Sun 17:55
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