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日本に生まれた我々が、
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神戸空襲と野坂昭如――戦災孤児の虚像は未だに消えず

JUGEMテーマ:日本文学   6月5日は神戸が大空襲に見舞われた日。当時中学3年だった野坂昭如(当時は張滿谷昭如)も被災。後に文壇デビューのきっかけとなった「火垂るの墓」(『オール読物』昭和42・10)の直前に発表した「プレイボーイの子守唄」(『婦人公論』昭和42・3) で「養父は、二百五十キロの焼夷爆弾の直撃を受けて、五体四散し、養母、祖母もなくなり、疎開していた恵子と、まったくの偶然で生き残ったぼくが、焼跡にほうり出された」と書き、直木賞受賞以後の「ぼくの家族は焼き殺された」、「戦慄の少年院...

見る 読む 歩く | 2021.06.05 Sat 10:49

風雨の野口五郎小屋・ブナ立尾根  一期一会の人

JUGEMテーマ:日本文学  野口五郎岳には忘れがたい思い出がある。写真を探してなかなか見つからないが、手帳が出てきた。    北アルプス縦走中に豪雨で避難、3000m近い山稜の山小屋で、激しい風雨の中の一夜っを過ごしたのだった。  1981年の8月4日、中房温泉から合戦尾根を経て燕岳(2763m)、翌日は大天井岳(2922m)から東鎌尾根を経て槍ヶ岳(3180m)へ。槍ヶ岳山荘は大変な混雑、互い違いに寝て身動きもできなかった。翌日6日は西鎌尾根から樅沢岳(2755m)、双六岳(2860m)を経て三俣蓮華岳...

見る 読む 歩く | 2021.06.02 Wed 17:30

北原白秋『桐の花』を読む? 川喜田晶子

白き猫膝に抱けばわがおもひ音なく暮れて病むここちする 『桐の花』    膝に抱くのが黒猫ならば、作者と猫と世界の闇とは親和的になめらかに融け合うだろう。 「白き猫」であるために、闇に融け合わぬその白の繊細な猫の輪郭は、世界に対する作者の異和の象徴として、不安定に浮かび上がる。  音もなく己れの病理を抱きしめている夕暮れが、世界からもてあまされているけだるさ。  主題は「融け合わぬ病」でありながら、「白き猫」によって一首のイメージが象徴的にとりまとめられ、すぐれた短歌性、すなわ...

星辰 Sei-shin | 2021.06.02 Wed 11:36

松下和幸・佐智子『中国で暮らして』を読む

JUGEMテーマ:日本文学    旧知の松下夫妻が最近上梓した『中国で暮らして』(協立コミニュケーションズ 2021・2)を読んだ。    松下さんには、「お二人それぞれの中国赴任の事情、かの地での生活……、これまでもいくらかお聞きしておりましたが、この御本で時間軸も地平軸もよくわかりました…… 」、と読後の感想をメールで伝えたが、アマゾンサイトの内容紹介が実によくできているので、以下に引用します。   「松下和幸は通算12年、松下佐智子は6年中国で暮らし...

見る 読む 歩く | 2021.05.28 Fri 07:16

坂口安吾と「タケヤリ」広告――「大波小波」

JUGEMテーマ:日本文学  昨日(5・24)の東京新聞夕刊コラム「大波小波」に、太平洋戦争下に日本軍の非合理を暗に批判する「鉄砲」と、毎日新聞記者・新名丈夫が紙面(1944・2・23)で、敵が飛行機で攻めて来るのに「竹槍」では戦えないと、「海洋航空兵力の飛躍増強」を提言した。    5月11日の宝島社の広告は、安吾や新名の精神を受け継いでいると指摘。この広告の載った直後、「現状はまったくあの昭和10年代にそっくり」と、ブログに書いた私としては、まさにわが意を得たり、である。     ...

見る 読む 歩く | 2021.05.25 Tue 19:40

吉村萬壱「発狂遊び」の、あちら側とこちら側

JUGEMテーマ:日本文学   「季刊文科」84号掲載の「書き下ろしほか」は、私にとっては未知の世界で、それぞれ面白かったが、吉村萬壱「発狂遊び」に驚き、笙野頼子の「難病貧乏裁判糾弾プラチナを売る」には仰天した。     吉村萬壱「発狂遊び」は、小学生時代に布団シーツの中に潜り込んだ兄を「あかん! 出してくれ! 」というまで抑え込んだ「遊び」の愉悦を、今、小学生の娘と同じ密閉シーツの遊びをしながら思い出し、家庭を棄てて結婚する約束の女性との「苦しみの余り互いに頭がおかしく」...

見る 読む 歩く | 2021.05.24 Mon 11:55

「超短編」のすすめ――「季刊文科」84号

JUGEMテーマ:日本文学      「季刊文科」84春季号が「『超短編』のすすめ」を特集している。  短編小説もだんだん長くなって30枚から50枚が普通になったが、以前は20枚以内のものが主流だった。教科書に採られた夏目漱石の「夢十夜」の一夜分は5枚、志賀直哉「清兵衛と瓢箪」9枚、芥川龍之介の「鼻」は17枚、梶井基次郎「檸檬」は13枚、井伏鱒二「山椒魚」16枚、中島敦「山月記」は16枚と、20枚以内がほとんど。    巻頭の「『超短編』のすすめ」座談会の発言・応酬が面...

見る 読む 歩く | 2021.05.22 Sat 16:53

深沢七郎と深田久弥

JUGEMテーマ:日本文学  深田久弥は昭和21年に中国から復員、志げ子と長男・森太郎の疎開先越後湯沢に身を寄せ、その後は郷里福井県大聖寺町、金沢市に移り住み、昭和30年上京、東京都世田谷区松原に居を定めた。    松原の深田宅のすぐ近くに深沢七郎が住んでいた。深田、深沢とまぎらわしいことから、郵便物その他届け物が間違って届けられることがおおかった、と深沢七郎が書いている(「分らなくなってしまう日記」1959・9『新潮』)。そのコピーが探していてなかなか見つからない。深田久弥の子息森太郎...

見る 読む 歩く | 2021.05.20 Thu 15:55

深沢七郎の生地 石和温泉

JUGEMテーマ:日本文学  笛吹川を眺めながらタクシーに下ってもらい、深沢七郎生家跡近くの公園で降りた。足湯もある公園でゆっくりし、今は蕎麦屋になっている生家と、その脇の印刷所跡を訪ねた後、宿泊先のかんぽの宿まで歩いた。4月下旬だったが暑い日で、疲れも感じてタクシーをと思ったが、近くに電話もなく、たいした距離でもないので歩いた。    かんぽの宿石和温泉で体に異常を感じた。旅先のことで不安の一夜を明かした。翌朝は一応治まった。体調を崩した理由は、過労だったと思う。年甲斐もなくタクシ...

見る 読む 歩く | 2021.05.17 Mon 14:44

飯田蛇笏・龍太の生家 墓所――石和温泉

JUGEMテーマ:日本文学  石和は俳人の飯田蛇笏・龍太の生地(聖地?)で、タクシーの運転手さんも知っていた。深沢七郎文学碑からの帰りに寄ってもらった。如何にも当地の旧家を思わせる屋敷と邸宅で、隣に記念館「山盧」も建っている。飯田家墓所にも寄ってもらったが、墓地は判っても「飯田家の墓」はいくつもあって、どれが蛇笏・龍太の墓なのか分からない。ここでも近くの畑の人を運転手さんが呼んで、その人は親切に墓地まで来てくれて、これがそうです、と簡素な墓を示された。           飯田蛇笏・龍...

見る 読む 歩く | 2021.05.17 Mon 06:38

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