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JUGEMテーマ:短編小説 眩しすぎる光が車窓の中まで入り込んで、僕は思わず目に手を当てなければならなかった。列車が線路とぶつかる音が規則正しく響き、心地よい揺れとなって体に伝わってついつい意識を失いそうになる。しかし先ほどまで眠っていたからか、目は冴えていて、眠りに落ちるということはなかった。四人掛けの席を一人で独占していた。いや、この車両には僕一人しか乗っていないようだった。 列車はどれぐらい走り続けているのか、最後にどこで止まったか、すっかり忘れてしまっていた。窓の外に展開される景色...
ぶるすけった | 2017.12.15 Fri 15:00
JUGEMテーマ:短編小説 翌日のことだった。さっきの国語の授業もすっかり脱線して、物語に出てくる雪国の暮らしの話をしているはずなのに、いつの間にか鍋物の話題にすり替わり、おでんの具は何が好きかなどともはや家庭科でもないレベルの話になってしまっている。ほとんどの生徒は授業には目もくれず、卵型の小型ゲーム機に夢中になっていた。先生は真面目に聞いてくれる数人のためだけに授業をしているようだった。いつの間にか時計の針が終了時刻に近づいていたので、先生も早めに切り上げて休み時間にしてくれた。 「...
ぶるすけった | 2017.12.09 Sat 09:12
JUGEMテーマ:短編小説 もう今年も残すところ少なくなった。来週を過ぎれば、待望の冬休みになる。まあ、休みになるって言っても、学生の身分では有難いとも何とも思わないけれど。受験生にしてみれば山場という部分にあたるらしい。岡野君なんかはどんな冬を過ごすのだろうか、想像するだけでも恐ろしい。 忘年会のシーズンということもあって、というよくわからない理由だが、この日曜日は父が休みが取れたので、電車に乗って、都内まで買い物に行くことになった。母はもう少し前から言ってくれたらよかったのにと不満を漏...
ぶるすけった | 2017.12.08 Fri 16:36
JUGEMテーマ:短編小説 今まで、誰と誰が仲がいいなんてあまり気にしたことがなかった。が、どうもそれではいけないらしい。そもそも仲がいいってどういうことかも考えたこともなかった。一緒に遊ぶ相手のことか。よく話す相手のことか。でもそうじゃない。その人のことが好きだとか尊敬しているとか、最近意識するようになってきた。うまく言えないけど、本質ってやつだと思う。相手のことを知りたいと思う、相手の気持ちを知りたいと思う。なんでそうなったのか、おそらく不安からなのだろう。相手の言うことが信じられない。...
ぶるすけった | 2017.12.07 Thu 13:55
JUGEMテーマ:短編小説 小道具づくりを終えて、校舎を出るころには外灯がつくぐらいに暗くなっていた。 僕は例によって丈夫と二人で帰ることになる。少し背伸びをして帰り道にどこか寄りたい気分であった。けれども僕らはおカネを持っていない。だから寄り道をするにしても何も買えないのだ。そこで僕らはいったん帰って、それからちょっとした集まりがあるといって、財布をもってもう一度出てこようという話になった。あんまりこの時間まで出歩くことがなかったので、たまには夜の街というのも眺めてみたかったのだ。母は僕...
ぶるすけった | 2017.12.06 Wed 15:25
JUGEMテーマ:短編小説 僕たちは雪の降らない温かい地域に住んでいるが、それでも今日は曇り空で太陽は拝めず、もしかすると昼前から雪になるかもしれないと天気予報で言っていた。温暖化とか、フロンガスを出さないとか、オゾン層を破壊されて紫外線が入ってくるからガンになるとか、いろいろ言われてるけど、やっぱり冬は寒い。学校へ行くと、教室の窓際にあたる左端に暖房が置かれているから席によってその恩恵を受けられる人とそうでない人に分かれる。不公平だって文句をいう奴が必ず出てくる。目が悪いから、あるいは背が...
ぶるすけった | 2017.12.05 Tue 14:36
JUGEMテーマ:短編小説 世の中にはどうにも好きになれない人というのがいる、なんて子供が言ったら生意気だろうか。 相性という言葉があるけど、そんな複雑なものじゃなくて、もっと簡単な話。世の中には人気になる人と、みんなから嫌われる人がいる。その嫌われる人は、どんなに好きになろうと努力してもできない人であったりする。先生だって、自分で言っている以上、好きにならなきゃいけないはずなのに、それができずに困っているのは見ていてわかる。他人の物を隠して楽しむ奴とか、わがままばっかり言って人を服従させ...
ぶるすけった | 2017.12.04 Mon 19:22
JUGEMテーマ:短編小説 終礼を告げるチャイムの音がスピーカーからけたたましく流れてきた。 先生の話も終わり、日直の号令でさよならの挨拶が終わる。外は寒いけれど、教室の中は暖房がかかっているのでむしろ汗が出そうなほど暑かった。それだけに余計に外に出るのがおっくうになる。 「央、一緒に帰ろう。」 帰り道が同じ方向である丈夫はいつものように声をかけてきた。丈夫とは小さいころから同じクラスだったからなのか、それとも彼がたまたま優しい性格だからなのか、結構親しみやすくお互いの家で遊んだりする...
ぶるすけった | 2017.12.03 Sun 16:11
JUGEMテーマ:短編小説 しかし、彼らはどこへ向かうのだろう。ジャンのところか、老夫婦のところか。二つの選択肢しか頭になかったので、警官がそのどちらでもない北側に走って向かったときには不意を突かれた感じがした。 「ジャン、彼らはどこへ向かってるんだい?」 息せき切りながらの会話だけに、声が途切れ途切れになってしまう。 「さあな、そりゃ教会とかはあるんじゃないか。」 つまりは全く見当がつかないというわけだ。しかしながら前を往く部隊の足取りは急で目的地をはっきり決め込んでいるのははっき...
ぶるすけった | 2017.11.18 Sat 07:46
JUGEMテーマ:短編小説 皆で一斉に事務所を飛び出したはいいが、よくよく考えてみれば犯人だってそこまで派手な真似をするとは思えない。もちろん相手に理性という制御装置が働いていればの話だけれども。自分たちの慌てぶりにみんなでどこか情けない笑いをこぼしながら互いを見合っていた。が、それと同時に次に何をしたらいいか思いつかないというのが共通した疑問であった。 「警察だよな?とりあえず、警察に行きませんか。」 間がやや空いてから、ジャンはまず僕に同意を求めるように言って、それから老夫婦に尋ねた...
ぶるすけった | 2017.11.16 Thu 22:39
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