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JUGEMテーマ:短編小説 小道具づくりを終えて、校舎を出るころには外灯がつくぐらいに暗くなっていた。 僕は例によって丈夫と二人で帰ることになる。少し背伸びをして帰り道にどこか寄りたい気分であった。けれども僕らはおカネを持っていない。だから寄り道をするにしても何も買えないのだ。そこで僕らはいったん帰って、それからちょっとした集まりがあるといって、財布をもってもう一度出てこようという話になった。あんまりこの時間まで出歩くことがなかったので、たまには夜の街というのも眺めてみたかったのだ。母は僕...
ぶるすけった | 2017.12.06 Wed 15:25
JUGEMテーマ:短編小説 僕たちは雪の降らない温かい地域に住んでいるが、それでも今日は曇り空で太陽は拝めず、もしかすると昼前から雪になるかもしれないと天気予報で言っていた。温暖化とか、フロンガスを出さないとか、オゾン層を破壊されて紫外線が入ってくるからガンになるとか、いろいろ言われてるけど、やっぱり冬は寒い。学校へ行くと、教室の窓際にあたる左端に暖房が置かれているから席によってその恩恵を受けられる人とそうでない人に分かれる。不公平だって文句をいう奴が必ず出てくる。目が悪いから、あるいは背が...
ぶるすけった | 2017.12.05 Tue 14:36
JUGEMテーマ:短編小説 世の中にはどうにも好きになれない人というのがいる、なんて子供が言ったら生意気だろうか。 相性という言葉があるけど、そんな複雑なものじゃなくて、もっと簡単な話。世の中には人気になる人と、みんなから嫌われる人がいる。その嫌われる人は、どんなに好きになろうと努力してもできない人であったりする。先生だって、自分で言っている以上、好きにならなきゃいけないはずなのに、それができずに困っているのは見ていてわかる。他人の物を隠して楽しむ奴とか、わがままばっかり言って人を服従させ...
ぶるすけった | 2017.12.04 Mon 19:22
JUGEMテーマ:短編小説 終礼を告げるチャイムの音がスピーカーからけたたましく流れてきた。 先生の話も終わり、日直の号令でさよならの挨拶が終わる。外は寒いけれど、教室の中は暖房がかかっているのでむしろ汗が出そうなほど暑かった。それだけに余計に外に出るのがおっくうになる。 「央、一緒に帰ろう。」 帰り道が同じ方向である丈夫はいつものように声をかけてきた。丈夫とは小さいころから同じクラスだったからなのか、それとも彼がたまたま優しい性格だからなのか、結構親しみやすくお互いの家で遊んだりする...
ぶるすけった | 2017.12.03 Sun 16:11
JUGEMテーマ:短編小説 しかし、彼らはどこへ向かうのだろう。ジャンのところか、老夫婦のところか。二つの選択肢しか頭になかったので、警官がそのどちらでもない北側に走って向かったときには不意を突かれた感じがした。 「ジャン、彼らはどこへ向かってるんだい?」 息せき切りながらの会話だけに、声が途切れ途切れになってしまう。 「さあな、そりゃ教会とかはあるんじゃないか。」 つまりは全く見当がつかないというわけだ。しかしながら前を往く部隊の足取りは急で目的地をはっきり決め込んでいるのははっき...
ぶるすけった | 2017.11.18 Sat 07:46
JUGEMテーマ:短編小説 皆で一斉に事務所を飛び出したはいいが、よくよく考えてみれば犯人だってそこまで派手な真似をするとは思えない。もちろん相手に理性という制御装置が働いていればの話だけれども。自分たちの慌てぶりにみんなでどこか情けない笑いをこぼしながら互いを見合っていた。が、それと同時に次に何をしたらいいか思いつかないというのが共通した疑問であった。 「警察だよな?とりあえず、警察に行きませんか。」 間がやや空いてから、ジャンはまず僕に同意を求めるように言って、それから老夫婦に尋ねた...
ぶるすけった | 2017.11.16 Thu 22:39
JUGEMテーマ:短編小説 ジャンから次の連絡があったのは数日もたたないうちだった。その間、何とか食事位の代金は凌ぎたいと思っていたが、ジャンからもらった代金はそのままにもらっておいて構わないとのことで大変助けられていた。彼は案外おカネのことに頓着しない性格なのか、それともこの程度ならば取るに足らないという判断なのか。帰りの馬車で周りに気付かれやしないかと嫌になるほど気を立てていた自分が少し悲しくなる。 言われたとおり、今度は港の近くの彼のオフィスまで直行することになった。数日前に一回りし...
ぶるすけった | 2017.11.13 Mon 23:14
JUGEMテーマ:短編小説 目の方はすっかり冴えているけれども、寒さからか毛布を取るのに抵抗があって、なかなか起き上がれないでいた。 外を見るまでもなく、窓から差し込む光を感じただけでも晴れているとわかる。とりあえず外に出ようかと、本題も忘れて部屋から出ることにした。とにかくおなかが空いていたのだ。それに手掛かりなど見つかりそうもないのでジャンに相談しようという考えもあった。 外を出れば、そこからはすぐに大通りに出られるので、空腹を肥やす店を探すのにも苦労しない。流れ者が多いところではな...
ぶるすけった | 2017.11.10 Fri 21:46
JUGEMテーマ:短編小説 チリチリと、かすかに油の爆ぜる音がやけに大きく響くように感ぜられる。 僕は今いる場所も忘れて起き上がろうと片足をベッドから地面に下ろそうとして失敗した。思いのほかこのベッドは幅広に作られているらしい。そもそも誰のために作ったものなのか。 つかの間の引っ越し、あるいは旅に来ていたというべきか、そのことをぼんやりと思い出したのだが、残念なことにあの紙を書き残したであろう彼は正直者ではなかったようだ。 部屋がやけに明るい。寝ぼけて明かりをつけるなんて器用な真似が自...
ぶるすけった | 2017.11.09 Thu 23:26
JUGEMテーマ:短編小説 馬車で長い間揺られること、揺られること。どのぐらいたったかはわからない。しかしどうせ時間ばかりが長く感じられただけで大して移動していないのだろう。よくもまあ、これだけの缶詰にして馬も車を進められるものだと、その点ばかり考えていた。車の中では口を利くのはあまり行儀のよろしくないことらしく、誰一人沈黙を保っていた。というか、口を開くには近すぎるというか、ひどすぎる揺れのせいで言葉も聞き取りづらそうだし、どうにも言葉をしゃべるのも不自然な態勢だし、みな華やかな話題の一...
ぶるすけった | 2017.11.09 Thu 15:06
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