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いつか、この世界で起こっていたこと / 黒川 創 世界が変わり、森が変わっても、人々は生きる―。 わたしたちは一体いつまで、この地球で生きられるのだろうか。
レミングスの本棚 | 2015.12.16 Wed 22:01
JUGEMテーマ:短編小説 足音がする 足音が近づいてくる 誰? 私は眠っている 眠っているはず 家で 家のふとんで 隣には夫が寝ているはず ほかには誰もいない家 足音は 私の頭の上を横切って 左側に回る 手!? ふとんに手が入ってくる やめて! 左側にまるくなって寝ていた私は 逃げようとする 身体が動かない まずい 引っ張られる ばたばた・・・してるつもり??? やっと夫の方 右側を向いた すっと気配が消える ほっと胸をなでおろす もう大丈夫 もう一...
水月あす薫のシリウスの泉 | 2015.04.17 Fri 12:37
わたしのばあちゃんは、すごくかっこいいばあちゃんです。いつもおしゃれな洋服を着て、真っ白な帽子をかぶって、真っ赤な口紅をつけて、街の中をすたすたと歩いていきます。ぴんと背すじをのばして歩く姿は、九十才をこえているようにはとても見えません。 そんな元気いっぱいのばあちゃんが、入院してしまったのは春の終わりのことでした。 ばあちゃんが病気になってしまったことに、わたしも家族もばあちゃんの友達もみんながびっくりしてしまいました。でも、ばあちゃんは入院していてもあいかわらず元気でした。 「ちょっと...
kotobauta | 2013.11.29 Fri 11:49
女は食うに困ったら、売るものがあるからいいよな(・∀・)ニヤニヤこういうどアホウなことを言う男は、相当数いる。今まで何度か耳にした事がある。勿論、絵空事ではなく現実での話だ。例えば、私が中学生の頃担任だった数学教師だ。彼は娘を持つ父親でもあった。自分の父親が教壇で中学生に向かい、女は体を売れるから楽が出来ていいという内容の事を、にやにや笑いながら語っていると知ったら、娘さんは父親を軽蔑するだろうなと、ぼんやり考えた記憶がある。この教師は度々生徒を殴った。斜頚の男子生徒をいきなり張り倒した事もある。...
白嘘物語‐つくもうそ物語 | 2013.05.17 Fri 23:55
JUGEMテーマ:短編小説 「夢?」 布団にもぐったまま、寝ぼけた頭は今見た光景を反芻している。 結婚式。 結婚式・・・だった。 会場は、舞台・またはコンサートをするような大きなホール。 椅子は、舞台に向かって並び、階段は上に行くに連れ、高く高く昇っていくように、そしてそれは、とても大きな会場だった。 客席で変わっているのは、必ず椅子と椅子の間に長テーブルがあり、披露宴の料理が並べられ、次々と飲み物やデザートなどが運ばれてくること。 親族は一番前の椅子に座り、女性は当然のよう...
シリウスの泉 | 2013.04.14 Sun 23:32
JUGEMテーマ:短編小説 最初に起きた時聴覚に捕らえられるものは相変わらずなかった。薄い瞼の通す赤い光を認知して目を開くと、相変わらずの真っ白でシミひとつない世界が広がっている。少しひんやりした空気を触覚が感知し、ぶるり、と震えが走った。薄い夜間着越しから擦る手にさえ求める温かみは得られなかった。 ふいに扉の音で振り返れば、おなじみの人物が微笑んで立っていた。 歳は20代半ば。長い髪を後ろで括り、シャツのボタンも上まできちんと閉めている見た目は好青年なかつての家来。「おはようございます、杏嬬...
朽ち逝きる、最期の棲み処 | 2012.10.23 Tue 21:01
JUGEMテーマ:短編小説白くふっくらした指。温かなぬくもり。誰かの顔が目の前にある。美しい翡翠の、優しげな瞳。何か呼びかけるような声。うっすらした唇が小さく笑みをつくる。顔に添えられた手が、下がっていく。 そっと、闇が始まる――
朽ち逝きる、最期の棲み処 | 2012.10.23 Tue 20:53
常々感じていた事だけれど、寝ている時に脳が見る「夢」と、いつかこうなるといいと想像する希望の「夢」は、どうして同じ単語を共有しているのだろう。 英語でも「dream」は両方の意味を持っている。「A dream comes true」 は「夢が叶う」で「正夢」ではないし、「I have a dream」は「私には夢がある」で、寝ぼけているわけではない。 しかし日本語で「夢を見た」と言うと、儚い希望を抱いていたのか、寝ていて夢を見たのか判らない。 ちょっと曖昧すぎやしませんか? と思うわけ。「夢」は睡眠時のイメージという事に限定し...
白嘘物語‐つくもうそ物語 | 2012.05.05 Sat 19:24
日暮れまで、まだ一二時間ある。夜はこのジャマ・エル・フナ広場の屋台でカバブでも食べたいし、一度ホテルに戻ろうかと考えていると、また近くに人の気配を感じた。いささか警戒して振り向くと、あの素人ガイドの少年が、左目の周りを紫色に腫らして、すぐ側に立っていた。今日、彼と一緒に飴をあげた子ども達も二三人、少し離れた所に立ってこっちを見つめている。「ムッシュー、僕ガイドするよ」見ているこちらが目眩を起こしそうな痛々しい顔に、屈託の無い笑みを浮かべ、か細い右手の親指を立てて見せた。こういう所で生きる子ど...
白嘘物語‐つくもうそ物語 | 2012.03.14 Wed 21:44
あの男の容赦の無い暴力は嫌悪するが、僕は義憤を燃やしたり、この国の子供たちに同情はしない。あの子たちは「可哀想なこども」ではない。自分の国の常識を、そのまま他国に当てはめるのは短絡だ。そんな事をぼんやり考えていると、カフェのボーイが注文を取りにやってきた。僕は、空腹を抱えて昼まで耐えた経験を踏まえ、持ち帰り用にペットボトルのミネラルウォーターを一本と、ホブズという丸パンを一個、そして喉を潤す為にミントティーを一杯頼んだ。テーブルに運ばれてきた長めのグラスには、切ったばかりかと思われるミント...
白嘘物語‐つくもうそ物語 | 2012.03.13 Tue 20:49
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