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男はそこが不釣り合いな場所だと感じて居たたまれない。女はそれを感じ取ってその手をしっかりと握りしめた。店員は閉店間際に訪れた客に嫌な顔一つ見せず、淡々と作業を進めた。「お待たせしました」その声と共に差し出されたトレー。その中には小さな紙が乗っていた。二人はそれを覗き込む。そこには手書きで数字が書かれていた。二人は一の位から順にその数字の桁数を数えた。想像していたよりも数字は大きく、二人は顔を見合わせた。「こちらでよろしければ、即金でお支払いします」二人の驚きとは対照的に、抑揚のない店員の声だ...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.07 Tue 21:30
頼んであったデザートを運んでもらえるよう彼は店員に伝える。「さっきの雑誌見せてもらえる?」そう口にしたのは、まだ店員がお皿を片づけている途中。なんとも間の悪い奴だと心でため息、顔には笑顔を浮かべて頷く。30代の女性をコアターゲットにした雑貨やアパレルのネットショップの運営スタッフをしている私にとって、ファッションやライフスタイル提案の雑誌は一通り目にしておきたい。メインどころは会社で購入しているが、自分で買うのも少なくない。それを食事の前に彼と買いに行った。「なかなかこういう雑誌を見る機会が...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.06 Mon 17:21
戻るなり事務所の壁掛時計を見た。その前に時間を確認したのは営業車を降りる時だから、数分も経っていない。よし、大丈夫―それでも、改めて確認と決意をした。その時だった。携帯が“待った”をかけてきた。液晶には取引先の担当の名。反射的に手にはしたものの、出るには躊躇した。しかし、バイブでなく音が出ている以上、周りの視線も気になる。「はい、神埼です」嫌な感じを抱きながら電話に出た。こういう時はいつも以上に声が明るく愛想良くなる。一種の職業病だろう。「どうも、遅くに申し訳ない」僕のそれとは真逆の声が返ってき...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.05 Sun 19:04
吸えないなら吸えないでかまわない。それくらいだった。だから妊娠して簡単にやめられた。産後も吸いたいとは思わないでここまで来た。でも、包帯で巻かれた旦那の姿を見て…いいや、決断の時を迎えることを知り、彼女は21年振りに煙草に手を伸ばした。流石に肺に吸い込むまではできない。それでも、少し気持ちが落ち着く。錯覚かも知れない。いつもはしないことをして、今という時間から現実感を削いでいる。それだけのことかも知れない。それでも、彼女には十分だった。だから、1本を5分以上かけてゆっくりと吸い切った。一人娘が...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.05 Sun 14:11
バス停を降りればすぐに見つかるだろう―そんな根拠のないことを思った自分に悪態をつきたい気分だった。全くそれらしい建物が見えない。自分の知っているこの辺りは畑や田んぼで、道路も片側一車線だった。まともに歩道すらなかったはずだ。すっかり変わった街並みが恨めしい。今では大型店舗をはじめ、ズラリと建物が並び中央分離帯と歩道がある道路へと変わっている。町を出て約20年。全く帰ってこなかったわけではないが、このあたりを歩くのは初めてかもしれない。改めて、経過した時間の長さを感じる。まるで浦島太郎だな―そん...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.04 Sat 09:23
カフェモカを一口飲んで、こぼれたのは仕事を終えた充実の一息。それではなく、明らかなため息。「仕事は半人前でも、特典は使えるんだよな」まだ耳に残る店長の大きな独り言が、追加のエスプレッソショットが生み出すビターな後味を汚していく。それを洗い流そうと、もう一口飲んだ。制服の可愛さと、ドリンクメニュー無料の特典に魅かれて始めたバイト。土日に仕事というのはマイナイス面だけど、100%希望通りの仕事なんてこの世の中に存在しない。最近気がついた。今の仕事は嫌いじゃない。毎日変化がある。同じ日なんて1日も...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.03 Fri 14:16
淡い期待でしかなかった。むしろ、駄目だろうと思っていた。祖母の机の引き出しから出て来た見るからに年代物の腕時計。それを付けていた姿がおぼろげに私の中に残っていたが、それが祖母にとってどれほど大切な物なのか、どれほどの価値なのか、それは全く知らない。「物を買うときは少々の無理をしても良い物を買いなさい。そのほうがきっと後悔しないから」が、口癖の祖母のことだから、安物ではないだろう。もしかするとその教訓を得た「後悔の品」なのかも知れない。「お預かりの時計ですが電池交換して動きの確認はできました」...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.03 Fri 14:09
永遠…そんなものが存在するのか、それはわからない。命はもちろん、トキメキも苦しみも、清々しい朝も深く寒い夜も、必ず終わりは来る。この星も太陽にも終わりが来る。そのことを思えば「答え」は「ない」でいい。しかし、時間はどうだ?と、問われると困ってしまう。それは淡々と進んで行く。その中で、あまたの終わりを生み出している。それは永遠なものを永遠に生み出さない、永遠の流れ。その中で、あまたの始まりを生み出している。この星がくるっとターンして、ハイそれが一日。仮にこれを「1パロ」と呼んだところで、起きてい...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.03 Fri 14:05
JUGEMテーマ:ショート・ショート ガラガラ、キュキュキュ、ガラガラガラ、キュキュキュキュ歪な音を立てながら回転テーブルが回る。ガラガラ、キュキュキュ、ガラガラガラ、キュキュキュキュテーブルの上には13個の皿と13種の星。蛍のように淡く灯る星。ギラギラと燃えるような星。隣の星に反射して輝く星。オレンジ色の星。個性的な星たちが目の前を通り過ぎていく。回転テーブルを囲むのは性別も年齢も実にバラバラな5人だ。ただ、じっと暗闇の中で輝く星をじっと見つめている。1人の白髪の老人が口を開いた。する...
さめない紅茶 | 2013.03.01 Fri 19:31
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「そういえば昨晩、寅の脚の裏に目ができる夢をみたなぁ」「め?めってどっちのめ?発芽の芽の方?」「いや、目ん玉の目」「へー、、、変な夢」私は曖昧な相づちをうちながらリビングの窓際で懸命に毛繕いしている寅次郎に視線を向けた。窓の外は昨夜から降り続いてる雪で真っ白。どの家も植木もまるで厚手の白コートをまとっているようだ。そんな景色を背にして毛繕いしている寅次郎。黒々とした毛並みが綺麗なシルエットを描いて、まるでそこだけが絵画のようだった。寅次郎は2年前の今頃、近...
さめない紅茶 | 2013.02.27 Wed 10:07
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