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【DOZEN 3nd】 私の覚悟

淡い期待でしかなかった。むしろ、駄目だろうと思っていた。祖母の机の引き出しから出て来た見るからに年代物の腕時計。それを付けていた姿がおぼろげに私の中に残っていたが、それが祖母にとってどれほど大切な物なのか、どれほどの価値なのか、それは全く知らない。「物を買うときは少々の無理をしても良い物を買いなさい。そのほうがきっと後悔しないから」が、口癖の祖母のことだから、安物ではないだろう。もしかするとその教訓を得た「後悔の品」なのかも知れない。「お預かりの時計ですが電池交換して動きの確認はできました」...

演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.03 Fri 14:09

【DOZEN 3nd】 いつか止まる

永遠…そんなものが存在するのか、それはわからない。命はもちろん、トキメキも苦しみも、清々しい朝も深く寒い夜も、必ず終わりは来る。この星も太陽にも終わりが来る。そのことを思えば「答え」は「ない」でいい。しかし、時間はどうだ?と、問われると困ってしまう。それは淡々と進んで行く。その中で、あまたの終わりを生み出している。それは永遠なものを永遠に生み出さない、永遠の流れ。その中で、あまたの始まりを生み出している。この星がくるっとターンして、ハイそれが一日。仮にこれを「1パロ」と呼んだところで、起きてい...

演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.03 Fri 14:05

星屑の回転テーブル

JUGEMテーマ:ショート・ショート   ガラガラ、キュキュキュ、ガラガラガラ、キュキュキュキュ歪な音を立てながら回転テーブルが回る。ガラガラ、キュキュキュ、ガラガラガラ、キュキュキュキュテーブルの上には13個の皿と13種の星。蛍のように淡く灯る星。ギラギラと燃えるような星。隣の星に反射して輝く星。オレンジ色の星。個性的な星たちが目の前を通り過ぎていく。回転テーブルを囲むのは性別も年齢も実にバラバラな5人だ。ただ、じっと暗闇の中で輝く星をじっと見つめている。1人の白髪の老人が口を開いた。する...

さめない紅茶 | 2013.03.01 Fri 19:31

パパの卵焼き

JUGEMテーマ:ショート・ショート 「そういえば昨晩、寅の脚の裏に目ができる夢をみたなぁ」「め?めってどっちのめ?発芽の芽の方?」「いや、目ん玉の目」「へー、、、変な夢」私は曖昧な相づちをうちながらリビングの窓際で懸命に毛繕いしている寅次郎に視線を向けた。窓の外は昨夜から降り続いてる雪で真っ白。どの家も植木もまるで厚手の白コートをまとっているようだ。そんな景色を背にして毛繕いしている寅次郎。黒々とした毛並みが綺麗なシルエットを描いて、まるでそこだけが絵画のようだった。寅次郎は2年前の今頃、近...

さめない紅茶 | 2013.02.27 Wed 10:07

大晦日から元旦にかけて

この話の設定を使った荒木くんと聖さんのパロ正月話です。なにがなにやら。でも正月ネタ書けた満足です。あんまり正月関係ないけど正月だって言い張る。誤字あったら済みません。

じゃんくうさぎ。 | 2013.01.05 Sat 00:48

じっとして、朝はきっともうすぐ

あたたかな時間も束の間。寝台に横たわり夢うつつを行来していたわたしの髪を、骨ばった指先が絡めとる。目を細めくちびるは弧を描いて、瞳はやがて色を帯びる。夜を闊歩する船艇のように冷然な顔をした彼が、笑った気がした。「泣いてた?」「……違う。夢、見てた。忘れちゃった」「おれが居なくて寂しがるとかさぁ、ないの。偶には淑やかさを見せてくれても罰は当たらないと思う」「今さら何言ってるの」そんなものを求められても。だがそれは彼がわたしを心配しての台詞だということも察知できた。うたた寝のつもりが随分と深い...

BYMEHKF | 2012.11.22 Thu 18:18

あの事件

JUGEMテーマ:ショート・ショート  真っ白なベッドの上に座っている彼は昔とはすっかり変わってしまっていた。それでも姿形はさほど変わらない、ただ少しはやつれたかもしれない。正直なところ、余りに彼が変わりすぎていて、いつも鮮やかに頭に思い浮かべていた昔の彼が、一体どんな風だったのか、本物の彼を見て突然思い出せなくなってしまった。いつも一緒にいた友人たちが、一瞬にして彼の目の前から、永久に消えた。彼の虚ろな瞳は、彼らを探して彷徨っているようだ。私はそこにいなかった。突然彼の前から、永久に消えて...

Infinity With You | 2012.10.30 Tue 11:55

僕へ

JUGEMテーマ:ショート・ショート 君が中学生になったら、つるんでいる友達伝手に手紙を受け取るときが来る。手紙と言っても、メモ帳に書きなぐっただけの、たった1行の短い手紙だ。思いもかけない相手からの手紙を信じられないかもしれないが、信じるべき相手を決して間違ってはいけない。この手紙の文面を信じられなかった僕は、疲れ果てて1歩も前に進めなくなるほどの遠回りをして、たった1つの大切な真実を、数え切れないほどの無駄な物で見過ごして、未だにどこにも行き着けないし、何も得られないままだ。たった1行の手紙が...

Infinity With You | 2012.10.22 Mon 14:44

だって君が泣かないから(SS)

「煽ててもおれがしてやれることなんてない」 嫌な奴だと嗤えばいい。言外に含ませた渇いた声。彼はいつもそうして拒絶する。それでも引き下がらないわたしもわたしだ。ちゃんちゃら可笑しい。 こんなひとを好きになってと心の奥が自嘲するけれど手を伸ばした気持ちは真実誠に等しく、わたしは素気なくされた右手を見やる。 果たして同い年だということを幾ばくか忘れて。彼は時折幼さをちらつかせわたしを揺さぶるのだ、しかしながら目の前に佇むおんなを消すことができないでいる。癇癪を起こすこどもみたいだと思った。 わたし...

BYMEHKF | 2012.10.18 Thu 13:04

twitter小説 2012年9月分まとめ  #twnovel

JUGEMテーマ:ショート・ショート 結婚式は秋が多いらしい。連休もあるし、暑くも寒くもないちょうどいい季節だからだと、彼女が力説する。コイツは結婚したがっている。俺はそうじゃない。つまり、二人にとってちょうどいい季節はきていない。もしかして、暦の上ではちょうどいい季節だと考えればいいんだろうか。 君のことはいつだって頭の片隅に思ってる。ちゃんと向き合わなくちゃっていうのも、もちろんわかってるよ。ただ、もう少し時間が欲しい。お願いだ、もう少しだけでいい。心の中で念じながら返事を待つ。「提出日を...

M00n-machinery | 2012.10.01 Mon 18:56

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