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暮らしとしての、体温。 3

 さて、私は住まいについて、よく「単なる箱ではないんです」という言い方をします。外皮がとても優れている単なる箱であれば、それで良いのかという問題はあると思いますし、これから高性能化が進んでいき、普及した後に出てくるものかもしれません。過度に期待しすぎると、「高性能だと住まい手はみな幸福になる」というようなキャッチも出てきそうで、少し躊躇いがあります。まあ、それくらいこの国の住環境はこれまで箸にも棒にもかからないくらい酷かったという事ですが、少々その部分が改善したからといって、万能特効薬のよう...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.01.20 Fri 07:18

暮らしとしての、体温。 2

 住まいというものは、連綿とつづく住まい手ご家族の「暮らし」の舞台装置であり、住まい手にとっては生涯の大半の時を送る場所になります。それだけ住まい手の暮らしに与える影響は大きく、トイレもお風呂も隅々まで夏も冬も一定の温度で満たされているなどということは、実は住まいの前提条件としてクリアしておきたいお話なのです。40年近く前から同じ事を言い続けている私にしてみれば、このところ急に来ているブームのような現象には戸惑いこそ感じても、「ハイハイ!それ以前から言ってましたぁ」ともならずに、気分としては、も...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.01.19 Thu 07:24

暮らしとしての、体温。 1

 先日のガイアの夜明けは、寒い冬に向けての断熱特集、弊社も所属する一般社団法人パッシブハウスジャパン森みわ代表の密着取材などもあって、まさに「時は来た!」という思いで観させていただきました。そしてそれに追随するように、NHKのクローズアップ現代でも、日本の住まいの室温の低さが命の危険に晒されるリスクがあると大々的に特集番組として放映されていましたから、これからしばらくこの反響は社会現象となって業界にも何らかの影響と変化が起こると思われます。近年一般消費者の皆さんの方がYouTubeなどを事細かく検索して...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.01.18 Wed 07:35

福岡市西区K邸完成見学会のお知らせ

緊急開催で恐縮ですが、来たる1月21日(土曜日)かねてより完成に向けて工事を進めておりました福岡市西区のK邸が完成いたしますので1日限りで恐縮ですが完成見学会を催しますのでご案内いたします。時節柄、当日は完全予約制として、人数を制限しにながらコロナ対策をして開催したいと思っております。つきましては、参加ご希望の方はメールにて、参加者全員のお名前、当日有効な御連絡先お電話番号、2つのタイムカテゴリーからご希望をかいでお申し込みください。受付完了の方から、現地のご住所地図などをご返信いたします。なお...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.01.17 Tue 07:29

時のうつろいに、暮らせば...。 5

 では、欧州にあるような感覚はこの国においては全くの新機軸といえばそういうわけではなくて、本来この国にも十分にあったものだと思います。「もったいない」という言葉はマータイさんのおかげで世界に広がりましたし、侘び寂びの美的感覚もこの国の長い歴史の中で真摯に「時」と向き合ってきた美的感覚だと思います。先人たちが育んできた記憶に刻まれた価値観を、良いところは思い起こすようにしていかなければならないと思うのです。プロセスを大切に考え、完成の瞬間をも、経過の一通過点だと認識すれば、日々のメンテナンスは...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.01.16 Mon 07:25

時のうつろいに、暮らせば...。 4

 ものの価値を測るときに、本当は時間軸を肯定的に取り入れると、また違った見方ができるとよく思います。近年のこの国の価値観はあまりにも結果のみが優先で、プロセスを軽んじるきらいがあります。一棟の住まいが出来上がるまでには、様々な人が一つ一つ作業を重ねていくプロセスがあって、複雑で非常に豊かです。それを知らないで簡単に出来合いのものを買うなどという事は、本当にもったいない話だと思ったりするのです。何もないところから、一つ一つ思い描いて、モノが出来上がっていくプロセスを、もっと愉しまれたらきっと価...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.01.15 Sun 07:27

時のうつろいに、暮らせば...。 3

 戦後の大量生産、大量消費の文化は、まさに真新しくツルピカのものが良いとされてきた時代です。それがどんなに早々に朽ち果て色褪せても、すぐ代替品と取り替えれば良いということですから、それが消費だということですから、消費が容易にできるということに豊かさの価値があったということなのだと思います。未来永劫それが続けられれば良いのですが、そんなことが幻想であることは、おそらくもうずっと前から皆さん気づいているはずなのですが、考えないことが気休めになるためか、あえて皆でそのルーティンを続けているというの...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.01.14 Sat 07:20

時のうつろいに、暮らせば...。 2

 例えば、ドイツの方達が、住まいの外壁に、無塗装のままの針葉樹の板を使って、建築当初はその白木の美しさを愉しみ、まただんだんグレーになっていくその劣化の色の変化を愉しんで暮らすというお話を伺い、現地でもそういうものもたくさん見てきましたが、時のうつろいとそういう折り合いをつけていきながら、そういうものを、むしろ愉しむと言う考え方に感心したことを覚えています。 無垢の板は、切り出して板になりたては白木の美しさがありますが、空気中でも徐々に炭化していき、その姿をグレーに変えていく変化を遂げてい...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.01.13 Fri 07:21

時のうつろいに、暮らせば...。 1

 近頃は、支障があるからか露骨に「メンテナンスフリー」という言葉をあまり見なくなりました。住宅産業界で、結構当たり前に当然の如く一頃よく使われていました。要するに、劣化なんて未来永劫しないから、メンテナンスはありませんということなのです。お客様からも、「本当ですかね?」と尋ねられることがありましたが、そういう時は私はこう答えていました。「住まいの寿命を20年と想定した場合のメンテナンスフリーはあるかもしれませんね」とお答えしていました。つまり、住まいの寿命そのものをそれくらいの短い時間スパンで考...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.01.12 Thu 07:06

街ゆく人々が笑顔になるように。 5

 帰巣本能のままに、我が家と言われる空間に立ち戻った時に、心から安心して心身を休め、英気を養い次への活力を再生してくれるような、住まい手の味方のような住まいができたらいいなと思います。そのためには一にも二にもフィット感だと私などは思います。定量的なお話がしにくくて恐縮なのですが、むしろそう定量化できない部分こそが、私たちが手腕を見せなければならない部分なのだと思ったりします。また、このところ在宅ワークなども増えて、あらゆるシチュエーションが住まいの中に入ってきているので尚更のことです。近年私...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.01.11 Wed 07:12

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